墓場鬼太郎

墓場鬼太郎

人類以前に栄えた幽霊族の生き残りである鬼太郎の周囲で起こる怪奇な事件を描いた作品。妖怪漫画の金字塔である『ゲゲゲの鬼太郎』の原型であり、鬼太郎やねずみ男などの造形は本作の時点でほぼ完成している。貸本漫画として、複数の版元から出版されており、エピソードごとに鬼太郎の性格や設定の一部が異なっている。また、本作以前には紙芝居版の『墓場鬼太郎』も存在する。

正式名称
墓場鬼太郎
ふりがな
はかばきたろう
作者
ジャンル
怪談・伝奇
関連商品
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概要・あらすじ

血液銀行に務める水木は、家の隣の古寺に引越してきた奇妙な夫婦と出会う。異様な風体のその夫婦は、自分たちが幽霊族の生き残りであること、夫婦共に不治の病を患っていること、夫人のお腹には2人の子供が宿っていることなどを水木に告げた。それから八ヶ月後、再び古寺を訪れた水木は、夫婦の死体を発見、原型を留めていた夫人の亡骸を墓地に葬った。

その三日後の夜、夫人の墓穴から生まれた赤ん坊鬼太郎を見つけた水木は、これを引き取って育てることを決める。しかし鬼太郎が成長するに連れ、その周囲に異様な事件が起こり始めるのだった。

登場人物・キャラクター

鬼太郎 (きたろう)

人類との争いを避け、地底に暮らしていた幽霊族の生き残り。不気味な雰囲気を持つ隻眼の少年である。地獄と現世を行き来できるといった不可思議な能力を持ち、肉体を溶かされてもある程度活動することができるほどの生命力を持つ。最初期には自分に関わった人間が悲惨な運命に見舞われても助けようとはせず、逆にそれを楽しんでいるかのようなそぶりを見せることがあった。 しかし、後のエピソードでは妖怪に狙われた人間に頼まれてボディガードを引き受けるなど、その性格や人間に対する姿勢が変化している。

目玉おやじ (めだまおやじ)

鬼太郎の父親。打ち捨てられた幽霊族の男性の遺体から目玉だけが意識を持って動き出した存在で、眼球から体が生えた姿をしている。人の掌に乗るほど小さいため、鬼太郎の肩に乗っていることも多い(鬼太郎の眼窩に収まることもある)。妖怪や怪異に関する知識が深く、鬼太郎のアドバイザー的な役どころを担っている。

水木 (みずき)

血液銀行に務める男性。鬼太郎の誕生に立会い、赤ん坊だった鬼太郎の養父となる。しかし、成長した鬼太郎の不審な行動を探るうちに地獄行きの切符を手に入れてしまい、生きたまま地獄の入り口まで送られてしまう。なお、鬼太郎誕生に纏わるエピソードは、この水木の視点から語られている。

水木の母 (みずきのはは)

水木の母親。鬼太郎を不気味に思い敬遠していたが、水木が(地獄に落ちて)行方不明になると、それが鬼太郎の仕業ではないかと疑う。やがて鬼太郎が物の怪であるいう確信を得て、鬼太郎を地獄に突き落とそうとする。

ねずみ男 (ねずみおとこ)

ボロ布同然の黄色い衣を纏った鼠のような顔の男。非常に不潔で腕っ節も弱いがそれなりに弁が立ち、強い者に取り入っては甘い汁を吸おうとする。本作では四代目ドラキュラの下男として初登場。共倒れとなった主人と夜叉の遺体から生まれた吸血木をトランク永井に植え付けるといった非道も行った。 なお、その際には「グロテスクなものを作るのがわしの趣味でもあり生きがいなのだ」と述懐し、独特のポリシーがあることも伺わせている。

四代目ドラキュラ (よんだいめどらきゅら)

ハンガリーからやってきた吸血鬼で、劇中では「魔人ドラキュラの四代目である」と説明されている。居場所を探して、夜叉が営む下宿屋に正体を隠して転がり込み、夜叉と獲物の取り合いになってしまう。

夜叉 (やしゃ)

一千年前に中国からやってきたという吸血鬼。全身が触手のような毛でできあがっている。鬼太郎の魂を抜き取り、召使いにしていた。無料の下宿屋を営み、客になった人間を獲物にしようと目論むが、四代目ドラキュラが下宿屋にやってきたことで、吸血鬼同士の戦いとなる。

禿山 (はげやま)

水木が務めていた血液銀行の頭取。鬼太郎父子が水木を地獄送りにしたことを知り、ドライブを装って2人を警察に突き出そうとする。しかし、その途中で車ごと崖から落ちて死亡してしまい、地獄の入り口で水木と再会する。水木に指摘されるまで、自分が死んだことに気が付かなかった。

トランク永井 (とらんくながい)

魅惑の低音で人気を集める流行歌手。終電車の中でねずみ男に出会い、右腕に吸血木を植えつけられてしまう。治療方法も見つからないまま、輸血代を稼ぐために仕事を続けるが、ついにステージ上で倒れ、そのまま木に変わってしまった。

寝子 (ねこ)

鬼太郎が通うことになった小学校のクラスメイトで、鬼太郎の初恋の相手。鼠を見ると美しい顔が猫のように変わり、我を忘れて襲い掛かってしまう。トランク永井に気に入られ、キャット寝子の芸名で歌手としてデビューするが、ステージ上で猫化してしまったことで絶望、さらにニセ鬼太郎に誘われて川に落ち溺死してしまった。 死後は地獄の住人となり、目玉おやじと再会するが、地上に戻ろうとはしなかった。

ニセ鬼太郎 (にせきたろう)

鬼太郎とそっくりな人間の少年。ただし、鬼太郎とは違い隻眼ではなく、市松模様のちゃんちゃんこを身に着けている。自分にそっくりな鬼太郎を嫌っており、ねずみ男と手を組んで鬼太郎の名を騙り、名声を得ようと企む。

水神 (みずがみ)

『墓場鬼太郎』の登場する怪物。透明な体細胞を持った妖怪で、太古の時代から川の水などに化けて人間を喰らっていた。山奥で眠りについていたが、鬼太郎によって無理やり目覚めさせられたことで激怒し、街の人々を襲った。

ジョニー

フランスからやってきた吸血鬼で、ギターを奏でることで相手を魅了することができる。名士の血を吸うことを好み、日本の総理大臣・池田勇人を狙う。しかし、2回続けて襲撃に失敗したため、日本の事情に詳しいねずみ男を秘書として雇うことにした。

その他キーワード

吸血木 (きゅうけつき)

『墓場鬼太郎』に登場する血のように赤い怪植物。激しく争った末に不気味な塊となってしまった四代目ドラキュラと夜叉の死体から芽吹いた。人間に植え付けられると、その血液を吸収しながら成長し、やがてはその人間を木に変えてしまう。

アニメ

ゲゲゲの鬼太郎(B/K)

主人公の鬼太郎は滅亡寸前の幽霊族の末裔。体が溶けて目玉だけになった父親やねずみ男といった仲間たちと暮らしているが、妖怪による事件が起きて困った人々から助けを求められると、超能力を駆使して妖怪と戦う。 関連ページ:ゲゲゲの鬼太郎(B/K)

墓場鬼太郎

幽霊のようになった患者を調べる会社員水木は幽霊族の夫婦にたどり着く。死んだ幽霊族の母から生まれた赤ん坊鬼太郎を、目玉親父となって蘇った幽霊族の父は幽霊族最後の生き残りとしての教育をする。 夜な夜な出か... 関連ページ:墓場鬼太郎

ゲゲゲの鬼太郎 地獄編

主人公の鬼太郎は滅亡寸前の幽霊族の末裔。ある日、ネズミ男が掘り出した不思議な枕の力で、天童ユメコが地獄に落とされてしまう。鬼太郎らはユメコを救出するために地獄に向かい、母親や地獄童子と出会う。 関連ページ:ゲゲゲの鬼太郎 地獄編

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