概要・あらすじ
はるか昔、鬼の屍から生まれたという少年の姿をした鬼は、名前を持たないが、鬼切丸という刀を携えているため、鬼切丸の少年と呼ばれている。彼は、「すべての鬼をこの世から滅せば人間になれる」という高僧の言葉を信じ、悠久の時をさまよって鬼を斬り続ける。
登場人物・キャラクター
鬼切丸の少年 (おにきりまるのしょうねん)
冬服の学生服を着た少年の姿をしている。鬼を切ることができる唯一の刀鬼切丸を持つ。名前を持たず、鬼切丸の少年などと呼ばれる。鬼の屍の中から生まれた純血の鬼。角や牙なく外見は人間だが、刃物や銃は利かず、また何年たっても年老いない。「すべての鬼を斬り殺せば人間になれる」という高僧の言葉を信じ、鬼を斬り続ける。 他の鬼からは「同族殺し」などと呼ばれる。鬼に対しては容赦なく、その過去に悲しい経緯があっても迷いなく鬼切丸で塵に返す。
後藤 紗英 (ごとう さえ)
ボブヘアーの女性。自称心霊ルポライター。当初はフリーだったが、のちに雑誌編集部の一員として働く。坂上田村麻呂によって滅ぼされたという鬼・大嶽丸と、続発する記憶喪失者との関連を調べる中で鬼切丸の少年に遭遇する。その後自身が鬼と化する一歩手前で鬼切丸に斬られ、胸に大きな刀傷が残る。 それ以来、時には鬼切丸の少年の相棒のような役割を果たし、結城七郎や幻雄など鬼に関わる人々と出会いを重ねていく。
結城 七郎 (ゆうき しちろう)
女子のような顔立ちをした少年。「鬼結城」と呼ばれた結城一族の末裔。16歳の誕生日を境に、女性を鬼へと変化させ思いのままに操る鬼おとしの能力を手に入れる。姉結城夕香緒を斬った鬼切丸の少年を憎む。看護婦新井圭子を鬼におとして連れ回す。その後、女裏僧枷・寂影に操られて女を鬼におとし続ける。
新井 圭子 (あらい けいこ)
長い黒髪の若い女性。病院に搬送された結城七郎の担当看護婦になる。結城七郎が生き延びることを肯定し励ます。結城七郎に好意を持たれ、彼の鬼おとしによって鬼に変化し、共に行動する。
宗賢 (しゅうけん)
剃髪した僧の姿の男性。裏僧枷の一人で、鬼を喰らう法力・五大明王呪のうち、金剛夜叉明王呪を使う。寂影と共にし鬼を喰らって生きてきた。鬼切丸の少年を迎え撃つ一方で、密かに自らの行いを止めてくれることを願っている。
寂影 (じゃくえい)
短い髪で着物姿の女性。剃髪した僧の姿の男性。裏僧枷の一人で、鬼を喰らう法力・五大明王呪のうち、軍荼利明王呪を使う。裏僧枷になった直後、他の修行僧達から命を狙われた際に弟・聖行を殺された。記憶を失った結城七郎に暗示をかけ、聖行と呼んで女達を鬼に変化させ食料としている。
聖行 (じょうあん)
若い僧侶姿の男性。裏僧枷の一人で、寂影の弟。鬼を喰らう法力・五大明王呪のうち、大威徳明王呪を使う。裏僧枷になった直後、他の修行僧達に殺された。寂影の回想に登場する。
幻雄 (げんゆう)
長い黒髪を後ろでまとめた若い男性。裏僧枷の一人で、寂影の弟。鬼を喰らう法力・五大明王呪のうち、不動明王呪を使う。拳銃で不動明王を表す梵字が刻まれた弾丸で鬼を調伏する。鬼切丸の少年とは共闘することが多い。鬼を追う中で後藤紗英と出会い、居候するようになる。
冴木 椋子 (さえき りょうこ)
ショートヘアーの少女。女子高生。結城七郎を拾い、一人暮らし中のアパートの同室に住まわせた。一見明るいが、母親が自殺したことに悩み、リストカットをしなければ寝られない。結城七郎とお互い魅かれ合うが、共に寂影達に狙われる。
鈴鹿御前 (すずかごぜん)
長い髪の女子の姿をした鬼。かつて「鬼姫」と呼ばれ、奥州の鬼・悪路王の妻だった。後に坂上田村麻呂の妻となり、大嶽丸などの鬼を次々に倒し、人間の生活を愛したために鬼としての記憶を封印し、女子高生として生活を送っていた。人間としての名前は小山内鈴香。鬼切丸の少年に斬られたことで呪詛から解き放たれ、記憶を取り戻す。 大通連と呼ばれる日本刀で鬼と戦う。
覚丹 (かくたん)
年老いた僧侶姿の男性。明治時代から現代まで活躍した偉大な法力僧。取材に訪れた後藤紗英に対して鬼切丸の少年について語る。かつて鬼切丸の少年に名前をつけたことがある。
良子 (りょうこ)
髪を短く切り揃えた少女。明治時代の伊秋院家のメイド。鬼を追って伊集院家に入り込んだ鬼切丸の少年と出会い、互いに共通するものを感じていた。後年鬼切丸の少年の心に深く刻まれることになる。
鬼魅香 (きみか)
長い髪で口元にほくろのある少女の姿をした 鬼。人の感情がある限り消滅せず、鬼切丸の少年に斬られても蘇る。鬼切丸の少年に対して愛情を語るが、そのことで彼に、かつて出会った悲しい少女良子を想起させてしまう。
哲童 (てつどう)
裏僧枷の一人。鬼を喰らう法力・五大明王呪のうち、降三世明王呪を使う。かつては僧侶姿の男性だったが、最強最悪の鬼となって後藤紗枝、幻雄、鈴鹿御前、鬼切丸の少年を次々におびき寄せる。