おしとね天繕

おしとね天繕

山口譲司の代表作の一つ。新シリーズに『おしとね天繕~ゴールドフィンガー~』がある。元禄年間の大奥が舞台で、将軍の夜のお相手選びを一手に担う、「おしとね天繕」こと皇天繕が主人公。大奥3000人の美女を相手に、性技を尽くして務めを果たす天繕の活躍を描いた大江戸エロティックコメディ。集英社「スーパージャンプ」「オースーパージャンプ」にて、2004年から2009年にかけて連載された。

正式名称
おしとね天繕
ふりがな
おしとねてんぜん
作者
ジャンル
時代劇
 
ハーレム
レーベル
ジャンプ・コミックスデラックス(集英社)
巻数
既刊6巻
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大奥を面白おかしくエロティックに描く

本作の舞台となっているのは、元禄年間の大奥。第5代将軍、徳川綱吉の御褥(おしとね)番付役すなわち「夜お相手選び」を行う、床与方筆頭会釈(とこあらためかたひっとうあしらい)天繕が主人公である。天繕は、男子禁制といわれる大奥に、将軍以外で入れる唯一人の男性。また、将軍の嫡子を身ごもり「上様の生母」となる女性の発掘という大役を担うため、その実質的な地位は、老中や側用人より上だという。天膳や「床与方」という役職については、作中で「江戸幕府の正史にその存在は残されていない」と記されている通り、フィクションである。本作は、大奥や将軍の床入りといった秘密のベールに包まれた題材を、面白おかしくエロティックに描いたコメディである。

天繕の務めと特権

天繕の仕事は、朝目覚めた綱吉の男性器の観察から始まる。その後、御目見以上の奥女中が集まり挨拶を行う「総触れ」では、綱吉が目付けした女性をチェックする。加えて、朝・昼・晩の食事内容も大切で、これらすべてを考慮したうえで吟味を重ね、大勢の女中の中からおしとね役を選ぶのである。また、床与方の役職は重職であるため、様々な特権がある。例えば「お手付御免」は、大奥在住の女中全員の体を自由に調べられる特権、「お褥改め」はおしとね役を取り調べられる特権である。閨房(けいぼう)術・房中術に通じた天繕は、床与方の特権と卓越な性技により「おしとね吟味」と称して、所かまわず女中たちの身体を弄ぶのだ。

天繕に敵対する柳沢保明

大奥で絶大な力を持ち、やりたい放題の天繕をよく思わない人物もいる。その一人が柳沢保明(のちの吉保)である。野放しにすれば、いずれ綱吉を傀儡とし天下をも動かしかねないと考えているのだ。保明は、おしとね役の女性にしらみを仕込み天繕の過失にしようとしたり、隠密の女性、葉隠を放ち、天繕の弱点を探らせたりする。天繕の機転で、策略はいつも失敗してしまうが、保明は執念深く、天繕失墜のチャンスを窺っている。

登場人物・キャラクター

皇 天繕 (すめらぎ てんぜん)

第5代将軍、綱吉に仕える床与方筆頭会釈の男性。綱吉の夜のお相手を選ぶ役目を担う。長身長髪が特徴で、男子禁制の大奥にあって、将軍以外でただ一人、勝手無頼を認められている。閨房術・房中術に通じた性技の達人。毎月1回は城下にも繰り出し、おしとね吟味(おしとね役を選ぶために女性の身体を吟味すること)を行っており、江戸っ子からは「ねぶりの旦那」と呼ばれている。

柳沢 保明 (やなぎさわ やすあき)

第5代将軍、綱吉に仕える御側用人。のちの柳沢吉保。通称は「弥太郎」。館林藩時代から綱吉の小姓をつとめ、30歳にして御側用人という異例の出世を遂げた。冷静沈着、頭脳明晰な人物。天繕の存在を疎ましく思っており、天繕を陥れようと機会を窺っている。同名の実在人物をモチーフにしている。

書誌情報

おしとね天繕 6巻 集英社〈ジャンプ・コミックスデラックス〉

第1巻

(2005-01-01発行、978-4088594811)

第2巻

(2005-07-01発行、978-4088595177)

第3巻

(2006-01-01発行、978-4088595542)

第4巻

(2006-07-01発行、978-4088595856)

第5巻

(2007-01-01発行、978-4088596204)

第6巻

(2009-06-01発行、978-4088597829)

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