概要・あらすじ
デザイン会社に勤務する堤直人は、5年前に妻と離婚し、現在は小学生の息子・堤虎夫と2人で暮らしている。親子関係は良好なものの、小児喘息を患う息子が同級生から軽いいじめを受けていることを偶然目撃する。そんな中、たまたま入った小料理屋の女将・畔上早苗からの提案で、直人が学生時代に夢中になったラグビーを小児喘息の治療もかねて虎夫に教えることになる。
早朝のトレーニングに早苗も参加し、直人は早苗に好意を抱くようになるが、虎夫は早苗に父親を取られるような複雑な思いを募らせる。
登場人物・キャラクター
堤 直人
デザイン会社「スタジオ・アデ」に勤務する男性で、年齢は38歳。5年前に妻と離婚し、一人息子の堤虎夫とともにマンションで暮らしている。まだ8歳で小児喘息の虎夫の食事や風呂入れなどをこなし、親子関係は良好。学生時代はラグビーの選手で、大分鶴見高校在籍時はインターハイで準優勝している。その後、東亜大学へ進学し、全日本メンバーの候補として将来を嘱望されていたが、大学2年生の時に交通事故で6か月の重傷を負ってしまう。 のちにカムバックしたものの、事故前の走りを見せることはできず、3年生の秋に無念の引退となった。近所で小料理屋を営む畔上早苗に好意を寄せている。
堤 虎夫
練馬丘小学校に通う小学3年生の男の子。年齢は8歳。5年前に両親が離婚し、父親の堤直人とマンションで2人で暮らしている。小児喘息を患っており、吸入器が欠かせない。父親のことを「パパ」と呼び、親子関係は良好だが、父親が朝食に作るハムエッグはワンパターンすぎて食傷気味。幼いながら、父親と畔上早苗の関係を察する勘の鋭いところがあり、早苗の存在に複雑な感情を抱いている。
吉野
堤直人と同じく、デザイン会社「スタジオ・アデ」に勤務するデザイナーの中年男性。直人と隣の机で仕事をしており、直人から家庭の相談を受けるほど打ち解けている。吉野自身も幼い頃小児喘息だったこともあり、堤虎夫のことを気にかけている。
畔上 早苗
堤直人が暮らすマンションの近くで、小料理屋「早苗」を経営する女将。年齢は30代後半と思われる和服姿の美人。北国の出身で、いまだに独身。学生時代の恋人がラガーマンだったこともあり、店にたまたま客として訪れた直人の顔を知っていた。小児喘息の治療も兼ねて、堤虎夫にラグビーを教えたらどうかと直人に進言した。のちに直人、虎夫にとってかけがえのない存在となる。
亀田
畔上早苗とかつて交際していた男性。帝都大学のラグビー部に所属しており、大学時代は堤直人のライバルだった。ラフプレイが多く、直人からは内心嫌われている。小学生の息子が直人の息子である堤虎夫と同じ学校に通っており、その小学校の運動会で17年ぶりに直人と再会する。同時にかつての恋人である早苗とも再会し、不倫関係になる。