概要・あらすじ
実験動物として殺される運命にあったライオンのパオを、アフリカのサバンナに転送して助けようとしたレティシア・ルティシア・ラギは、誤って同行していた女学生のアデリシア・アデライトを、6千5百万年前に飛ばしてしまう。そして事件から2年。誰もが不幸な事故の記憶を薄れさせてきた頃、ラギは何とかしてアデリシアを取れ帰ろうと、密かに計画を立てていた。
登場人物・キャラクター
レティシア・ルティシア・ラギ (れてぃしあるてぃしあらぎ)
地球連邦大学アカデメイア遺伝学科の学生で、19歳の青年。成績はトップクラスで、心優しく、なおかつ行動力がある。2年前、アデリシア・アデライトと共に、時間移動機械「ムシ」を使ってパオをアフリカに逃がそうとしたところ、誤ってアデリシアを6千5百万年前に飛ばしてしまった。
アデリシア・アデライト (あでりしああでらいと)
地球連邦大学アカデメイア言語学科動物心理学の女学生。正義感が強く、心の優しい性格。2年前、16歳の時に、レティシア・ルティシア・ラギと共に、時間移動機械「ムシ」を使ってパオをアフリカに逃がそうとしたところ、誤って過去に転送されてしまい、行方不明となった。
ミセス・リジー (みせすりじー)
地球連邦大学アカデメイアの図書館に勤務する初老の女性。レティシア・ルティシア・ラギのことを心配しており、彼が2年前の事件で心に傷を負っていることに、唯一気づいている。
タイチ
地球連邦大学アカデメイアの学生で、19歳の青年。レティシア・ルティシア・ラギの友達。黒髪で小柄な体格をしている。性格は単純で素直で可愛らしく、騙されやすいタイプ。
ラオラ
6千5百万年前のゴンドワナ大陸の原住民の女性。19歳で童顔だが、カシムと結婚している。アデリシア・アデライトの使う言語である英語を覚え、通訳のような役割を担っている。自分たちの町や生活について教えるため、レティシア・ルティシア・ラギを案内する。
カシム
6千5百万年前のゴンドワナ大陸の原住民の男性。英語が話せる。21歳で童顔だが、ラオラと結婚している。ラオラがレティシア・ルティシア・ラギに親切にしている姿を見て焼きもちを焼き、石を投げつけたりするが、本当は心の優しい性格。
チャイ
6千5百万年前のゴンドワナ大陸の原住民の中で唯一の子供。ゴンドワナ大陸では、千年くらい前に祖先が宇宙線を浴びてしまった影響で遺伝子に異常が生じ、徐々に子供が生まれなくなっている。チャイは最後の子供。舌足らずなせいでレティシア・ルティシア・ラギの名前がうまく呼べないが、無邪気で可愛らしい。
ククチャナ
6千5百万年前のゴンドワナ大陸の地下洞窟に住んでいる長老。年齢や性別は不詳。手を握っただけで相手の人格がわかってしまう、という不思議な力を持つ。アデリシア・アデライトの理解者であり、彼女が記憶を失っているふりをしていることも知っている。
パオ
遺伝学科の実験動物として飼われていた雄ライオン。2年前にパオを助けようとして行方不明になったアデリシア・アデライトに免じて、パオは実験動物として殺されず、レティシア・ルティシア・ラギに託された。
場所
ゴンドワナ大陸 (ごんどわなたいりく)
アフリカ大陸と南アメリカ大陸が分裂する前の状態の大陸のこと。地球上では、元々ひとつだった大陸が少しずつ分裂していった、と考えられている。最後に現代の学説では、およそ6千5百万年前には、アフリカ大陸と南アメリカ大陸はすでに分裂を終え、現在の位置についたとされている。
地球連邦大学アカデメイア
地球と月の間を飛んでいる人工施設(コロニー)の中にある大学。レティシア・ルティシア・ラギやアデリシア・アデライトが通っている。遺伝学、言語学、生物学などあらゆる学科がある。
その他キーワード
ムシ
歴史科のメンバーが作り上げた時間移動機械。いわゆるタイムマシン。時間と場所を指定して人物や物体を移動させる。時間はそのままで場所だけを指定して転送することもできる。大きな虫のような形をしている。