お伽話のユダ

お伽話のユダ

清水玲子の初期のSFファンタジー。空を飛べる種族・華族の子供と、それをかくまう人間の話。全体にコメディタッチだが、ラストは切ない。文庫版のあとがきで、作者は「(この頃はまだ)一作にかける時間がたっぷりあったので、とても丁寧に描いています」と語っている。清水玲子作品の常連キャラクターであるカイが、女性として登場している。1984年(昭和59年)12月大増刊号の『LaLa』誌上に掲載された。

正式名称
お伽話のユダ
ふりがな
おとぎばなしのゆだ
作者
ジャンル
ファンタジー
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概要・あらすじ

南アメリカのエクアドルで、珍しい生き物を探していた探検隊の一行が、空を飛ぶ人間を発見した。その人種は華族と名付けられ、捕獲され、見世物となった。5年後、世界で5人しか発見されていない華族のたった1人の子供であるタナーが逃げ出し、高額の懸賞金がかけられる。倒れていたタナーをかくまったのは、一人暮らしをしている変人のカイ。

タナーに変装をさせ、人間社会の中で隠れて生きるすべを厳しく教えこむ。しかし、変装もむなしく、ビルの窓から宝物を落としたタナーは、衆人環視の中で空を飛んでしまう。

登場人物・キャラクター

タナー

世界で5人しか発見されていない華族の、唯一の子供。巻き毛が特徴で、口が悪い。種族の中で唯一、人間から逃げおおせているキルに憧れ、キルに会いたい一心で逃げだす。

カイ・ニールセン (かいにーるせん)

倒れていたタナーを拾い、かくまう。新進気鋭の評論家。言葉も態度もきついが、実は女性で、女装をすると妖艶な美女に化ける。タナーを人間社会に紛れ込ませるために、色素を注射するなど、色々と世話を焼く。

キル

いちばん初めに人間につかまった華族で、自由にしてもらう代わりに、他の華族の居場所を人間に教えた裏切り者。タナーだけは、かあさんから、「人間から逃げおおせている英雄」と教えられている。

かあさん

主人公タナーの母親。華族の一員。何より自由を愛し、タナーにも自由に生きてほしいと願っている。そのために、裏切り者のキルを英雄に仕立てて話して聞かせ、「キルに会いに行きたい」とタナーが願うように誘導した上で、逃がした。

社長 (しゃちょう)

華族を見世物にして金儲けをする人物。南米・エクアドルで紫色のモルフォ蝶を探している途中、空を飛ぶ人間・キルを見つけて捕獲し、その後、キルを逃がして、別の華族を5人捕獲する。逃げ出したタナーには50万ドルの懸賞金をかける。

その他キーワード

華族

空を飛ぶ人間の種族。南米・エクアドルの森の中で暮らしていたが、人間に発見されて捕獲される。色素が極端に薄く、白い髪に白い肌と、高い声が特徴。

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