概要・あらすじ
最期を看取った友人の法子が十億円の遺産の相続人であることを知ったのぞみと進は、のぞみと法子の面立ちがそっくりであることを利用して、遺産をだまし取ろうと計画する。法子とその弁護士になりすまし、N県の山中にある法子の実家を訊ねたふたりだったが、遺産目当ての偽者を疑う法子の親類から邪見な扱いを受ける。
居心地の悪さもさることながら、法子の遺品となる御守を手にしてから、身辺で奇妙なことも続いていた。旧弊な田舎を舞台に、亡くなった友人になりすまして遺産をだまし取ろうとする男女が遭遇した恐怖と怪異が描かれている。
登場人物・キャラクター
のぞみ
二十代後半の女性。進と同棲している。サラ金数社に多額の借金がある。亡くなった友人の法子から、法子が祖母からもらったという御守を遺される。亡くなった法子とは、姉妹みたいだと言われるほど面立ちが似ており、法子が祖母から受け継いだ十億円の遺産をだまし取るため、法子になりすまして、N県の山中にある法子の実家に向かう。
進
のぞみと同棲する男性。のぞみとともにサラ金の取り立てに追われる身の上。のぞみを法子の偽物として仕立て、十億円の遺産をだまし取ろうと提案する。N県の山中にある法子の実家に向かう際には、弁護士の横島として同行する。
法子 (のりこ)
入院先の病院で亡くなったのぞみの友人。のぞみと同年代の二十代後半。祖母の遺言により、山林の相続権など、十億円の遺産相続人になっていた。駆け落ちで家を飛び出し、勘当同然になっていた母親から生まれたため、祖母以外の親類からは疎まれていた。20年前、一度だけ実家を訊ねた際、たった一人の孫として祖母から御守を託されている。 肌が上気した時のみ浮かび上がるアザが背中にある。