エデンの最期に

エデンの最期に

表題エピソード「エデンの最期に」を含む「エデン(楽園)」をテーマにした5つのエピソードを、ブラックユーモアを交えて描くオムニバス作品集。一部のエピソードには、千之ナイフの「死太郎くん」シリーズのキャラクターであるシタローくんが登場する。

正式名称
エデンの最期に
ふりがな
えでんのさいごに
作者
ジャンル
ホラー
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あらすじ

エデンの最期に

手術を終えたは、看護師に付き添われて2人部屋の病室へと移った。その病室のベッドには、同じ年頃に見えるエルという美少女が横たわっていた。エルは恵に自分が生まれ育った「エデン」という島に関する、不思議な話を語り始める。自身には兄や姉がいたが、皆が短命でとうとう自分1人だけになってしまったこと。その時に出会ったアデルという少年との楽しかった思い出。そして話は、島で行われていたエルの出生に関わる不気味な研究内容のことへと及ぶのだった。

死んでるファミリー

藤見真美は友人と遊園地に行く予定を変更して、父母と兄とともに一家団欒のドライブに出かけたが、途中で崖下に車ごと落下するという事故が発生。真美はただ1人だけ助かることとなった。家に戻り、リビングで塞ぎ込む彼女に、団地住まいの叔父夫婦は、残された真美を家ごと面倒を見ると語り掛ける。そんな時、一本の電話が鳴る。電話の内容は「病院から真美の家族の遺体が消えた」というものだった。それを聞いて狼狽える、真美と叔父夫婦。その直後、真美の家の扉が激しく叩かれる。

海はまねくよ

海沿いを走る電車に乗るの正面に座る両親の顔色は、久しぶりの一家団欒の家族旅行にも関わらず冴えない。薫のパパがリストラされたのが響いているのかと気にかけつつも、薫は両親とともに今夜の宿泊先として崖の上の朽ち果てた旅館に到着する。電気も点かず、人気もない旅館を不思議に思いつつも、薫は、父母の勧めに従って海に散策に出かけた。そこで、同じ宿に泊まっているシタローくんという少年と出会い、一緒に遊ぶことに。その頃、心中目的でこの旅館に来た薫の両親が死に支度を進める途中で、この近辺がナンパスポットだと聞いた若者3人組が、宿泊したいと旅館の玄関に現れる。薫の両親は詮索されるのを避けるため、旅館の従業員の振りをして、若者たちをもてなすことにする。ところが、この周囲はナンパスポットではなく、実際は心霊スポットであり、若者3人に怪異が次々と降りかかるのだった。

地獄城の王様

空き家ばかりでゴーストタウンのような土地に1人で住み続けるおじいちゃんを心配して、利乃とその両親が、一緒に住もうと提案する。だが、おじいちゃんは、先祖代々の土地を離れられないと断り続けていた。そんなやりとりを傍目に、利乃はおじいちゃんの家の庭で不思議なものを作っている少年を見かける。話しかけた利乃に、その少年は「地獄のかぎを作っている」と答えるのだった。それから1か月後、連絡のつかなくなったおじいちゃんを訪ねて行った利乃が目にしたのは、巨大な建物と、その中でヤラセの心霊番組撮影を始めようとするテレビの撮影スタッフ一行だった。いつの間にか、利乃の隣には「地獄のかぎ」を作っていた少年が立っていて、「地獄城はまだおじいさんが作り続けている」と語り、おじいちゃんの居場所も知っていると口にする。

黒の楽園

矢城亜弥は義理の弟である矢城尚士と恋人関係にあった。それを両親にとがめられた2人は、心中しようと車ごと崖から身を投げたが、亜弥だけが生き残ってしまう。毎晩、血だまりの中で苦しむ弟の夢を見る亜弥は、それを苦にして教会に通って懺悔を繰り返し、神に祈る日々を過ごしていた。そんなある日、彼女の勤め先のレストランに、尚士の友達の谷口が客として訪れ、2人の関係を知っていると口にする。前から亜弥のことを気に入っていたと言う彼と話した夜、通っていた教会が火事に遭い焼けてしまう。様子を確かめに向かった亜弥は、禍々しい外観へと変貌した教会に足を踏み入れ、「新しい神父」を名乗る者に、以前の神父が死んだことを衝立越しに告げられる。新しい神父は、弟を生き返らせる方法があると語り、亜弥はその言葉に従って弟のために罪を重ねていく。

登場人物・キャラクター

エル

エピソード「エデンの最期に」に登場する。優しく穏やかな十代の少女。相次ぐ兄、姉の死に心を痛めている。三条博士を「お父さま」と呼び、慕っている。

藤見 真美 (ふじみ まみ)

エピソード「死んでるファミリー」に登場する。女子学生。家族とドライブ中、崖から車ごと転落してしまう。崖下で倒れ伏しながら家族の無事を願った際に、血走った大きな目にランドセルを背負った少年に会い、「きっと願いは通じる」と告げられた。結果的に他の家族は全員死亡し、事故の唯一の生存者となる。

(かおり)

エピソード「海はまねくよ」に登場する。初対面の青年にも「可愛い」と言われるほどの美少女中学生。出会ったばかりの青年や、旅先の海で遊んでいた子供のシタローくんとも気さくに話す、明るく素直な女の子。

利乃 (りの)

エピソード「地獄城の王様」に登場する。おじいちゃんの孫で、ツインテールの髪型をした女学生。過疎化の進む土地から離れようとしないおじいちゃんのことを心配している。

矢城 亜弥 (やしろ あや)

エピソード「黒の楽園」に登場する。黒髪ストレートロングヘアのおとなしい印象の美女。街を歩けば多数の男性に声を掛けられる。血が繋がっていない弟の矢城尚志と恋人関係になったことを両親にとがめられ、心中を図った。結果的に尚志が死に、矢城亜弥だけが生き残ってしまったため罪の意識に苛まれ、教会に懺悔に通っている。そこで知り合った謎の人物に、尚志を生き返らせる術があると聞き、言われるがままに罪を重ねてしまう。

(めぐみ)

エピソード「エデンの最期に」に登場する。手術を終えて、しばらく入院することになったショートヘアの少女。美しい少女エルと同室になり、彼女が生まれ育った美しい島「エデン」での不思議な体験を聞く。

三条博士 (さんじょうはかせ)

エピソード「エデンの最期に」に登場する。眼鏡をかけ、長髪にひげを蓄えた壮年の男性。穏やかな物腰で、エルには「お父さま」と呼ばれている。実験の島「エデン」の責任者で、エルやアデルの産みの親でもある。

アデル

エピソード「エデンの最期に」に登場する。肩にかかる長さの髪で、前髪で右目を覆うように隠した少年。エデンの研究施設の周辺で暮らしている。エルとは、彼女が三条博士の後をつけて来た際に知り合う。

真美のパパ (まみのぱぱ)

エピソード「死んでるファミリー」に登場する。藤見真美、藤見良介の父親で、働き盛りの男性。家族総出の初めてのドライブで、新車で峠道を走っていた最中、車道に出てきた兎を避けて崖下へ転落してしまう。これにより事故死したはずだが、同時に死亡したはずの真美のママや良介とともに真美のいる家に帰って来る。

真美のママ (まみのまま)

エピソード「死んでるファミリー」に登場する。藤見真美と藤見良介の母親。家族総出のドライブで、崖下に車ごと転落し事故死するが、同時に死亡したはずの真美のパパや良介とともに、生き残った真美のいる家に戻って来た。

藤見 良介 (ふじみ りょうすけ)

エピソード「死んでるファミリー」に登場する。藤見真美の兄。必死に勉強している浪人生。眼鏡をかけ、ドライブ先でも「必勝」と書かれた鉢巻をしている。家族総出のドライブで崖下に車ごと転落し事故死するが、同時に死亡したはずの真美のパパや真美のママとともに、生き残った真美のいる家に戻って来た。

幸子 (さちこ)

エピソード「海はまねくよ」に登場する。薫の母親で、ふくよかな見た目の中年女性。薫のパパのリストラを苦にして、一家心中するため、かつて心中事件を何回も出して潰れてしまった、いわく付きの旅館にやって来た。

薫のパパ (かおりのぱぱ)

エピソード「海はまねくよ」に登場する。薫の父親で、やせ型の中年男性。会社をリストラされてしまい、薫に心配されるほど、あからさまに心労が顔に出ている。一家心中するため、かつて心中事件が何回も起きて、潰れてしまった、いわく付きの旅館に、娘の薫と妻幸子とともにやって来た。

おじいちゃん

エピソード「地獄城の王様」に登場する。利乃の祖父で、妻を亡くしたばかりの高齢の男性。過疎化の進んだ土地から離れずにいることを心配され、利乃の家で同居するよう誘われているが、断り続けている。1か月ぶりに利乃が会いに行くと、おじいちゃんの家は一目見たら忘れられないような巨大な建物に変わってしまっていた。

シタローくん

エピソード「地獄城の王様」に登場する。ふっくらした体形にランドセルを背負い、つば付き帽子の下にぎょろっと大きな目を持つ少年。ストーリーには影響しないものの、他のエピソードにも登場する。おじいちゃんの家の庭で地獄の鍵を作っていたところ、利乃に話しかけられて知り合う。

寿 (ことぶき)

エピソード「地獄城の王様」に登場する。中年のぽっちゃり体系の女性。低予算の30分番組制作に、雰囲気がそれっぽいという理由で、霊能力者としてキャスティングされる。撮影のために地獄城へ足を踏み入れた。本人いわく、霊感はある方。

矢城 尚志 (やしろ なおし)

エピソード「黒の楽園」に登場する。矢城亜弥の義理の弟。亜弥と恋愛関係となったことを両親にとがめられ、心中を図った。結果的に矢城尚志は死んでしまったものの、亜弥は生き残った。

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