スカイハイ

あの世への入口の門に死者がたどり着いたところから始まる、1話完結式のホラーミステリー。『スカイハイ・カルマ』、『スカイハイ・新章』と続くシリーズ最初の1作。一話につき一人の死を扱い、章題は「第~死」で統一。墨と筆で描かれたような重厚感のある絵柄が特徴。

概要・あらすじ

不慮の事故や殺人などで不遇の死を遂げた者は、怨みの門で門番のイズコに3つの行き先から選択することを迫られる。死者は12日間で、「死を受け入れ天国へ旅立つ」か、「受け入れずに霊となって現世をさまよう」か、「現世の人を一人呪い殺す」かを選ばなければならない。ただし呪い殺す場合は、自分の魂が地獄に堕ちることと引きかえになる。

なお、生前人を殺めたり自殺した人間は、どのみち地獄で再生のない苦痛が永遠に続くことになる。生々しい人の生死や、心の暗部に迫る。

登場人物・キャラクター

イズコ

怨みの門の番人で、全編を通じた影の主人公。市松人形のような10代の少女の姿。実は堕胎された胎児、つまり水子の魂。門を訪れた死者に、3つの行き先を指し示す仕事を13年続けている。死者が行き先を決め、送り出すときのセリフは「おいきなさい」。再生を選んだ場合は「お生きなさい」、現世をさまよう場合は「お行きなさい」、地獄を選んだ場合は「お逝きなさい」と、漢字が使い分けられている。 魂は門に人質同様に縛られ、死者の魂の選択に私情をはさめば、地獄へ堕ちる約束になっている。

関川 法子 (せきかわ のりこ)

第一死「gain」の主人公。夫関川勝の子を身ごもったことで元学友の吉野美里に恨まれ、お腹のぼうやもろとも殺された妊婦。夫と再婚した美里を出産中に呪い殺した後、本当は自分の子として生まれるはずだった赤ちゃんの魂が、無事美里の腹を借りて転生できたことで、安心して地獄へ向かう。

吉野 美里 (よしの みさと)

第一死「gain」に登場。関川法子の元同級生。いつも先を越されてきたと感じていた法子が、好きだった関川勝と夫婦になった上、その子を身ごもったことに耐え切れなくなり、法子を腹の子もろとも事故を装って殺した後、勝と結婚して後釜に収まる。二人の子春樹を出産中に、腹から現れた法子の姿を見て絶命する。

関川 春樹 (せきかわ はるき)

第一死「gain」に登場。関川法子の死から約一年後、終盤で生まれる赤ちゃん。関川勝と再婚した吉野美里が生んだ息子だが、魂は前妻法子の腹の中にいた赤ん坊のもの。春樹という名前は法子が生前決めていたものと同じ。

未来

第二死「つながり」の主人公。小野ジョージと小野ジョータの18歳の双子の兄弟に殺された10代の少女。タバコの火を押しつけられ、肋骨が折れた状態で発見されたが、身内の捜索願いもなかった。世間とのつながりが希薄で身元が知れず、警察も名前の読みすら分からない。一人は怖いため、二言目には「ゴメンナサイ」と謝ることで、人とのつながりを保とうとする。 死んでもなお一人であることを知って愕然とし、自分を殺した小野兄弟を呪い殺して地獄に行くことを選ぶ。

南 智志 (みなみ ともじ)

第二死「つながり」に登場。二人揃うと凶暴になる双子の小野兄弟と同居している専門学校生。同じく同居していた未来には比較的優しかったが、小野兄弟が怖くて見殺しにしたことを後悔している。自首しようとしていたところを双子に殺される。死後は未来とともに、拘置所に入った小野ジョージと小野ジョータを呪い殺す。

村田 (むらた)

第三死「HERO」の主人公。接待帰りの夜道で、刃物を持った男に襲われている女性を助けに入ったことで殺された。太った若いサラリーマン。事件をきっかけに、盗撮・盗聴趣味が両親や世間に露呈する。罪人あつかいされたことで自分を殺した男に怒り、会いに行く。だが犯人はすでに首をくくっており、犯行は道を聞いただけで女に笑われたことに逆上したのがきっかけだった。 さらに、命懸けで助けた美人は、実は高い化粧品を売りつけるいかがわしい仕事をしていた。さらに、男にまたがりながら、助けたのは人間として当たり前、と言い、盗撮を馬鹿にするのを聞いて、彼女に殺意を抱く。最後にはイズコに諭され、人間はみな歪んでいることを知り、天国での再生の道を選ぶ。

木下 麻美 (きのした あさみ)

第四死「逆転」の主人公。いじめられっ子。クラスメイトの田島さんのカバンにいたずらをした濡れ衣を着せられ、それをきっかけにいじめられるように。死ぬと人一人殺せることを約束してくれる妖精の存在を信じている。いじめっ子たちに復讐しようと友人の志村に背中を押してもらい、崖から海に落ちて死ぬ。生きて復讐を楽しんでいる志村に嫉妬して殺そうと、彼女の前に化けて出る。 イズコに諭され、再生して生き直すことを選ぶ。

志村 (しむら)

第四死「逆転」に登場。木下麻美の友人で、いじめられっ子仲間。木下の死後、いじめっ子3人に彼女からの手紙を渡す。呪い殺されるとおびえる彼女たちの姿に形勢逆転を見てとり、どうせ人一人殺して地獄へ行くならと、その状況を楽しみ始める。

井崎 五郎 (いざき ごろう)

第六死「pigeon house」の主人公。神保町にあるオオクマ出版で勤続50年の守衛。屋上で飼っているのハトの世話担当でもある。地層の本などを出している格式ある出版社だが、業績はふるわない。大熊社長の自殺を止めようとして巻き込まれ、事故死する。 自分が一生かけて守ってきた会社に大変な愛着を持っている。自殺した大熊に代わって妻の加代子が社長になった後も、リストラなどで会社が瓦解していくことに絶望する。イズコに提示された3つの選択肢のどれも選ばず、会社の屋上に霊としてとどまることを選ぶ。

リョータ

第七死「a song」の主人公。2年前の自動車事故で植物状態になっていた。バンドを組んでいる相棒コージは気まぐれだが、その歌の才能はニセモノの自分にはないと感じている。事故の際、助手席に座っていたコージはリョータの魂が体から抜けるのを目撃し、救助もそっちのけで「魂のおわりに」という曲を作曲。 死んだリョータが会いに行くと、武道館でコンサートをするほどスターダムを駆け上がっていた。自分の一生はコージの踏み台だったのかとぼやきつつも、天国で再生を待つ道を選ぶ。

東 賢 (あずま けん)

前・中・後編からなる第八死「face」の主人公。富美子と美香という妻子持ちの売れっ子小説家。ある日塚原警察署の北村が自宅を訪れ、正常な会話ができない被疑者の女が自分と東の娘の腕を切り落としたと供述していると伝えて、捜査協力を求める。その娘を殺した母親は、18年前に登戸の青果店でバイトをしていた頃、一度だけ寝た女だった。 東は週刊誌を使って顔も知らない娘杏奈の頭部を探し求め、彼女の生きた証を作ろうと「アンナ」と題した小説を執筆し始めるが、杏奈の祖父に刺されて殺される。

南條 杏奈 (なんじょう あんな)

第八死「face」の登場人物。東賢と、水商売をしていた南條京子の間の娘。母親に殺され、秩父で首と右腕がない状態の遺体が発見された。6年ひきこもっていたのを、むりやり外へ連れて出ようとして怒った京子に殺された。祖父も家計を支える娘の肩を持っていて、自分を愛している人間はいないと感じている。 死後初めて会った父東の愛に救われ、門番イズコの後任になるのは止めて、再生の道を選ぶ。

場所

怨みの門 (うらみのもん)

不慮の事故や殺人などで不遇の死を遂げた者が訪れるあの世の入口。門番を務めるイズコに会った死者は、生・行・逝の3択の中から行き先を選ばなければならない。イズコ役は交代可能で、現在のイズコは13年間勤めている。門番も死者の判断に私情をはさむと、地獄に堕ちることになっている。作中では声のみで、イズコや一時その後任候補になった南條杏奈と会話している。

ROOM302

第五死「ROOM302」の舞台でラブホテルの一室。主人公の37歳独身女(名前は登場しない)が殺された場所。孤独感を抱えて生きており、つき合っている貴田寅彦に結婚の話を持ち出す。だが資産家貴田グループ会長の息子の長男で、無職かつデブの自分を醜いと思っている貴田は、金目当てと疑って信じない。 あげく逆上して彼女を殴り、絞殺してしまう。3日後、貴田は女のアパートの部屋におもむき、彼女が本当に彼を人生の伴侶にしたいと思っていたことを知って、発作的に焼身自殺する。女の遺体は死後一週間経って、たまたま自分の死体の上でセックスを楽しんでいたという理由で呪い殺した男とともに、302号室から発見される。

書誌情報

スカイハイ 全2巻 〈ヤングジャンプコミックス〉 完結

第1巻

(2001年12月発行、 978-4088762456)

第2巻

(2002年5月発行、 978-4088763019)

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