きらめきのライオンボーイ

きらめきのライオンボーイ

漫画が好きな高校生の高野瀬みわは、初めて現実世界の男の子、中条桐敦を好きになった。何気ない日常が、恋をしているだけできらめいて見える事を知ったみわの成長を、恋愛を通して描く物語。

正式名称
きらめきのライオンボーイ
ふりがな
きらめきのらいおんぼーい
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
りぼんマスコットコミックス(集英社)
巻数
既刊5巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

漫画が大好きな高校1年生の高野瀬みわは、「バイブル」と呼ぶほどに大好きな漫画「きらめきハート」の新刊を手に、わくわくしていたところ、階段を踏み外してしまう。そこに偶然通りかかり、みわを助けたのは、「きらめきハート」のヒーロー「星さま」にそっくりな中条桐敦だった。胸をときめかせるみわだが、その興奮も一瞬の事で、いつもの漫画の世界に浸る日常へと戻ってしまう。みわにとって漫画は、いじめられていたつらい小中学生時代に、現実に立ち向かう勇気をくれた、大切なものであった。そんな中、みわに一目惚れした桐敦は、不器用ながらもみわに告白する。当初こそ、現実世界の男の子に関心を示さなかったみわだったが、次第に漫画ばかり読んでいる自分の事を許容してくれる桐敦に心を許し始める。ちょうどその頃、みわは中学生の時に自分をいじめていた猪倉雅樹が、高校入学を機にまた街へ戻って来たとの噂を耳にする。再会するなり、さっそくみわをいじめる猪倉からみわをかばった桐敦は、みわは自分が守ると宣言。桐敦が守ってくれるなら、現実世界も恐くないと感じたみわは、勇気を出して自分から桐敦をデートに誘う。初めて二人きりで校外で長い時間を過ごし、みわははっきりと桐敦への恋心を自覚し、桐敦の告白を受け入れる事を決める。

第2巻

中条桐敦と付き合う事になった高野瀬みわは、桐敦が叔父の経営しているサーフショップでアルバイトをしている事を知る。そして、併設のカフェで接客する姿や、休憩時間に波乗りをして遊ぶ桐敦の活き活きとした姿を見たみわは、漫画ばかり読んで引きこもっていた暗い自分を変えようと決意する。だが、そんなみわの前に、再び猪倉雅樹が現れる。雅樹は無理やりみわの携帯電話を奪い、みわに桐敦と別れるように脅す。自分がいじめられるだけならばまだしも、桐敦にまで被害が及ぶ事を恐れたみわは憤慨する。みわに怒りの感情を向けられた猪倉は、子供の頃からずっとみわが好きだったが、その思いをうまく表現できず、いじめていたのだと本心を明かす。猪倉の気持ちにまったく気づいていなかったみわは、彼の好意を悪意と勘違いして、人生が暗いものに感じられていた事に気づき、衝撃を受ける。だが、今こそ自分を変え、前向きに生きていくチャンスだと考えたみわは、猪倉ときちんと向き合い、これまでのネガティブな自分に区切りをつけるのだった。一方、猪倉は子供の頃はおとなしくて頼りなかったみわが、きちんと自分の意見を言えるようになった事に驚き、彼女をそのように導いた桐敦を認め、自身もみわへの思いを断ち切ろうと決意する。この一件を通し、桐敦に恥じない自分に一歩近づけた気がして、みわは笑顔で桐敦のもとへと向かうのだった。

第3巻

高野瀬みわ中条桐敦が付き合い始めたという噂が学校中に広まるほど、二人の仲は目立っていた。そんな中、みわの中で桐敦の存在が大きくなるほどに、みわの親友、岡崎笑心は寂しさを覚えていた。かつて、猪倉雅樹からいじめられていた事をきっかけに、みわを守る事にやっきになっていた笑心は、桐敦がみわに迫った当初、桐敦をみわに近づけないようにしようと奔走していたのだ。だが佐野に、みわを狭い世界に閉じ込めるなと叱責され、それ以来、笑心はクールでぶっきらぼうだが仲間思いの佐野に惹かれ始める。一方、佐野も元気で明るい笑心に惹かれていたが、アプローチの仕方がわからず悩んでいた。佐野の気持ちを知る桐敦は笑心の佐野への思いを知り、笑心の恋愛相談に乗っていた。しかし、二人でいるところをクラスメイトに目撃され、笑心はみわの彼氏に手を出したと誤解されてしまう。その誤解は学校中に広まり、笑心は焦って佐野に告白する。校内での告白だった事もあり、多数の生徒達に知られる事となり、笑心はその場から逃げ出してしまう。みわと桐敦の協力で佐野の気持ちを知り、二人きりになる事が多い桐敦にやきもちを焼くほど笑心が好きだと言う佐野に、笑心は心を許し、二人は晴れて恋人同士になる。

第4巻

桜太により、12月2日が高野瀬みわの誕生日だと知った中条桐敦は、みわに行きたい場所はないかと尋ねる。愛読書「きらめきハート」のヒーロー「星さま」が訪れた地のモデルとなった原宿に遊びに行きたい、と言うみわに桐敦は快く同意する。みわへの誕生日プレゼントにリップクリームを用意したデート当日。原宿散策を楽しんでいた二人は、突然の雨に降られる。桐敦の家に雨宿りに向かったみわは、桐敦が一人暮らしをしている事を知り、驚く。両親と同居していないという複雑な家庭事情の桐敦を前に、何も聞かずにいてくれるみわを、桐敦はこれまで以上に愛おしく思うのだった。そして、一人暮らしの桐敦の家にしょっちゅう出入りしている佐野ら幼なじみと岡崎笑心も加わり、その日は夜遅くまで、みわの誕生日を祝う。後日、みわは桐敦ととてもよく似た少年、成田凌空と知り合う。転んで足を擦りむいたところを介抱してくれた凌空は、なんと桐敦の従弟だった。初対面なのにみわを毛嫌いする凌空は、どうやら、女性に対してよくないイメージを持っているらしい。複雑な家庭環境で育った桐敦を勝手に同志だと思っていた凌空は、桐敦が彼女だと紹介したみわを敵視しながら、観察する。そして突然、凌空は姉のように優しく接してくれるみわを前に、取り乱してしまい、涙する。

第5巻

成田凌空の家は母親が不在がちで、忙しくしている父親との二人暮らしの中で、凌空のそばにいる女の子は加山恵だけだった。高野瀬みわに泣きついていた凌空は、迎えにきてくれた恵に連れられ、浜辺へと向かう。女性に対しての苦手意識がぬぐえない凌空のために髪を短くし、ボーイッシュに振る舞ってきた恵は、ないものにあこがれるよりも、周りにある大切なものに目を向けるよう助言する。そして、いつか凌空が誰かを好きになる時がきて、それが自分だったらとても嬉しいと告げる。ずっとそばにいてくれる恵への感謝と愛情の念から、凌空は恵を女性として意識し始めるのだった。後日、クリスマスが誕生日の中条桐敦を祝うため、みわはイヴの夜から桐敦宅に泊まりに行く。みわが連絡なしで訪れたため、桐敦を困惑させるが、共にクリスマス料理の準備をしたり、桐敦の子供時代のアルバムを見たりするうち、だんだんと距離が縮まっていく事を実感する。桐敦の口から、父親が死去している事と、医師である母親が世界中を飛び回って仕事に打ち込んでいる事を聞き、みわは、やりたい事をする母親を応援したい気持ちと寂しさが複雑に絡み合っている桐敦を、愛おしく思うようになる。そして桐敦と共に初詣に向かったみわは、桐敦と出会って非常に充実したその年を振り返り、自分を現実の世界に引き上げてくれた桐敦と互いに支え合い、末永く共に在りたいと願うのだった。

登場人物・キャラクター

高野瀬 みわ (たかのせ みわ)

高校生の女子。1年A組に在籍している。12月2日生まれで、いて座のA型。電車で乗り合わせた男子に噂されるほどかわいい容姿をしている。漫画が大好きな根っからのインドア派。帰宅部である事から、終業後はまっすぐ帰宅し、漫画を読んで1日を終える事が多い。漫画の中で特に好きなのは「きらめきハート」で、自らの人生のバイブルとしている。 その理由は、いじめられて不登校になりかけた時に、母親が買い与えてくれた「きらめきハート」のヒーロー「星さま」のポジティブな言動に勇気づけられたから。高野瀬みわ自身は漫画ばかり読み、現実離れしている事を自覚しており、そんな自分に寛容に接してくれる中条桐敦に徐々に心を開いていく。過去に猪倉雅樹のアプローチを断った事で、集団いじめやひやかしの対象となった事から、恋愛には消極的である。 猪倉の姉には「みわたろう」と呼ばれ、かわいがられている。何かに夢中になると周りが見えなくなり、階段を踏み外したり、赤信号でも道路を横断しようとしてしまうドジな一面を持つ。

岡崎 笑心 (おかざき にこ)

高校生の女子。1年A組に在籍している。高野瀬みわの親友で、いつもボーイッシュな恰好をしている。猪倉雅樹に迫られた事が原因でいじめや冷やかしに遭い、自分以外に心を閉ざしがちなみわと親身に接している。かわいらしい容姿のみわに悪い虫がつかないようにボディガードを気どり、近づく男子の邪魔をしてきたが、佐野から過保護過ぎると指摘され、その行為を反省した。 そして、みわと中条桐敦のデートを、寂しさを抱えながらも温かく見守る事を決意する。みわと桐敦の仲を見守るうち、佐野のクールな中に見える優しさに気づき、次第に惹かれていく。その後、勇気を出して佐野に人生初の告白をし、交際を始める。サッカー部に所属しており、放課後のクラブ活動でみわといっしょに帰れない事を嘆いている。

中条 桐敦 (なかじょう きりあつ)

高校生の男子。1年C組に在籍している。12月25日生まれ。まる見、桜太、佐野と共に、「C組の幼なじみ達」として非常に目立つ存在。容姿に恵まれており、非常にモテるが、無口で恋愛に関して疎く、何を考えているかわからないと敬遠されがち。そのため、女子との交際経験はない。足を踏み外して階段から落ちて来た高野瀬みわに一目ぼれし、以来、積極的にアプローチして告白を受け入れてもらった。 みわの愛読書「きらめきハート」のヒーロー「星さま」に似ている事でみわの関心を引いたのを知って衝撃を受けるが、「星さま」がかっこいい男だと知り、その事実を受け入れた。以来、デートをするようになっても、みわが言葉の端々に「星さま」の名を出しても気にしなくなった。 みわの漫画好きな一面を尊重する数少ない男子の一人。叔父の経営しているサーフショップ兼カフェでアルバイトをしており、子供の頃から海にもまれて育ったため、サーフィンが得意。スポーツは全般に得意だが、球技は少し苦手である。父親は亡くなり、医師をしている母親は全国各地を飛び回って仕事に打ち込んでいるため、現在は一人暮らし。 となりに住む叔父によく面倒を見てもらっている。母親に関しては、やりたい事をしている点を応援しているが、独りの寂しさも感じており、幼少期に共に過ごした母親との思い出に浸る事も多い。叔父の息子である従弟の成田凌空を実の弟のように大事に思っており、凌空には「桐にい」と呼ばれ、慕われている。

まる見 (まるみ)

高校生の男子。1年C組に所属している。中条桐敦、桜太、佐野と共に、「C組の幼なじみ達」として非常に目立つ存在。いつも何か食べており、丸っこい体型をしている。

桜太 (おうた)

高校生の男子。1年C組に所属している。中条桐敦、まる見、佐野と共に、「C組の幼なじみ達」として非常に目立つ存在。かわいい系男子として非常にモテるため、デートに誘って女子に断られた経験がない。そのため、高野瀬みわに一目ぼれした桐敦を気にかけ、恋愛事に疎い桐敦に代わってみわをデートに誘ったところ、人見知りしたみわに断られて衝撃を受けた。 明るい性格の持ち主で、恋バナが大好き。富豪の御曹司で、将来政略結婚をしなければならず、誰かを好きになる事に消極的である。

佐野 (さの)

高校生の男子。1年C組に所属している。中条桐敦、まる見、桜太と共に、「C組の幼なじみ達」として非常に目立つ存在。周りに媚びず、相手にシビアな発言をする事が多い。高野瀬みわを大事に思うあまり、過保護に彼女の行動を制限していた岡崎笑心を見かねて、思いやりと束縛する事は違うと諭し、笑心に一目置かれた。 その後、明るく前向きな笑心と互いに惹かれ合い、交際するようになった。恋愛にはあまり興味がないが、笑心が初めての彼女ではない。桐敦を応援したい桜太がみわの話題を出すと、男ならば唐揚げやマヨネーズの話をしろ、と一喝するクールな性格の持ち主。

猪倉 雅樹 (いのくら まさき)

N高に通う高校1年生の男子。小中学生時代に、高野瀬みわを思うが報われず、好きの裏返しでいじめていた。父親が社長のため、実家は非常にお金持ちである。中学生の時に実家の都合で転校したが、高校入学を機に、みわのいる街に戻って来た。子供の頃に、好意を寄せているみわに、どのようにアプローチすればいいのかを姉に尋ねたところ、あきらめない男が好かれると教えられた。 それ以来、みわにしつこく迫っていたが、中条桐敦の存在を知り、身を引く事を決める。

ディラン

成田凌空の家で飼われている子犬。自分をライオンだと思っており、「犬」と言われると、言った相手に吠えたり、前足で蹴りつけたりする。となりに住んでいる中条桐敦宅にもよく出入りしており、桐敦に非常に懐いている。明るく、構ってほしがり屋で、懐いている人には見境なく飛び掛かる。

成田 凌空 (なりた りく)

中条桐敦の従弟。中学1年生の男子。身長は153センチ。となりに住む桐敦を慕い、「桐にい」と呼んでいる。桐敦宅によく遊びに来る佐野、桜太、まる見には、顔が桐敦にそっくりなため、「ちびあつ」と呼ばれている。成田凌空自身はこのあだ名を非常に嫌っており、桐敦の幼なじみ達をわずらわしく思っている。父親との二人暮らしのため、女性の事がよくわからず、あまりいいイメージを持っていない。 母親とは連絡を取り合える環境にはあるが、独り暮らしをする桐敦の家庭環境が複雑な部分に共感し、勝手に同志だと思っていたところ、桐敦が彼女である高野瀬みわに心を許す姿を見て、動揺する。父親の経営するサーフショップに来るキャリアウーマン達に誘われ、鍋パーティーなどに参加して、大人の女性を観察している事が多い。 幼なじみの加山恵とは何でも話せる仲だが、恵に好意を寄せられている事を知り、恵を女性として意識するようになる。

加山 恵 (かやま けい)

成田凌空の幼なじみ。中学1年生の女子。凌空とは、母親に持たされた夕飯のおかずを渡しに行くような、家族ぐるみの仲である。凌空に思いを寄せているが、恋愛事に疎い凌空に気持ちを伝える事がかなわず、ずっといらいらしていた。従弟の中条桐敦に彼女ができた事をきっかけに、困惑する凌空に気持ちを伝え、女性として意識してもらう事に成功する。

その他キーワード

きらめきハート

「別冊タンバリン」で連載中の少女漫画。作者は「ミドリ」で、既刊14巻。宇宙から来たヒーロー「星さま」が、地球にいる主人公の少女と惹かれ合う姿を描いた物語。小中学校時代、いじめに遭っていた高野瀬みわは、「星さま」のポジティブな言動に、ずっと励まされてきた。

書誌情報

きらめきのライオンボーイ 5巻 集英社〈りぼんマスコットコミックス〉

第1巻

(2016-10-25発行、 978-4088674346)

第2巻

(2017-03-24発行、 978-4088674490)

第3巻

(2017-06-23発行、 978-4088674650)

第4巻

(2017-10-25発行、 978-4088674780)

第5巻

(2018-02-23発行、 978-4088674889)

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