概要・あらすじ
平田文吉は、赤沢組の暴虐極まるやり口に我慢の限界を超えてしまい、ついには単身で殴り込みをかけてしまう。しかし、1人では敵うはずもなく、文吉は組のお尋ね者として追われる立場となる。死を覚悟した文吉が最後に望んだことは、病床のおっかさんに一目だけでも会うことだった。
登場人物・キャラクター
平田 文吉 (ひらた ぶんきち)
正義感の強い少年。大木を持ち上げるほどの力を持っている。村を支配する赤沢組に対して単身殴り込みをかけるが、数の暴力に勝つことはできず、追われる身となる。当初はおっかさんに最後の挨拶をした後、多くの組員を巻き添えに自爆するつもりだったが、みさ子やヤブ、おっかさんの言葉を聞き、村から抜け出すことを決意する。
みさ子 (みさこ)
平田文吉の恋人。かれを「文ちゃん」と呼ぶ。赤沢組に追われていた文吉をかくまう手伝いをする。家には、畳を外すと地下に通じる秘密の通路が隠されており、玉井たち赤沢組が見分に来た時も、それを使って隠し通すことができた。自爆を目論む文吉に対し、それだけは思いとどまるようにと懇願する。
玉井 (たまい)
赤沢組の若い衆を取りまとめている男性。他の組員と異なり、襲撃を受けたことに対して憤りを抱いている様子はないが、面子に関わるとして平田文吉への制裁を目論む。ヤブとは旧知の仲で、先生と呼んで親しんでいるが、ヤブが文吉を見逃すことを頼んでも「それだけはできない」と突っぱねた。なお、考えなしに突っ走った文吉を親不孝者と評したが、それに関してはヤブと意見が一致している。 のちに村から逃げ出そうとする文吉を、銃を持ち出してでも阻止しようとする。
ヤブ
平田文吉の住む村で医者を営む老年の男性。赤沢組にも一目置かれており、玉井とも親しい。病気に苦しむおっかさんの診療のため、度々文吉の家を訪れている。文吉が考えなしに赤沢組に殴り込みをかけたことを咎めつつも、彼の将来性に期待しており、何としても村を脱出し、よりでかくなって戻ってくるよう、激励の言葉をかけている。
おっかさん
平田文吉の母親。病に苦しんでおり、ヤブに家まで来て診察をしてもらっている。息子想いの優しい母親で、文吉が赤沢組に盾突き、狙われるようになったことで深く悲しむこととなる。しかし、ヤブの説得によって、文吉が何としても生きる決意を固めたことで、おっかさんも、悲しみつつも息子を強く信じることを決める。
集団・組織
赤沢組 (あかざわぐみ)
平田文吉の住む村を牛耳っているヤクザの集団。150人以上の勢力を持つ非常に強力な組である。構成員はみんな血の気が多く、一般市民に迷惑をかけることも多いため、特に文吉には強い敵意を向けられている。そのため、とうとう殴り込みをかけられることとなる。その落とし前をつけさせるため、幹部である玉井の指示のもと、組の総力をあげて文吉の始末に乗り出す。