概要・あらすじ
とある繁華街に店を構える高級クラブ「京桜」のママ、京極さくらのもとに、警視庁総務部統計課特別室長である天神恭一が姿を現す。これを合図として、仕事を終えたさくらは漫画喫茶へ向かい、天神と密会する。さくらは、最愛の夫であり、暴力団「黒不二組」若頭でもある京極龍一の仮釈放を条件に、天神から極秘捜査を引き受けていたのである。
今回の捜査内容は、自分の客を殺害して逃亡したホスト、一条光也を見つけ出すというもの。暴力団「真鶴組」組長の真鶴一生から、光也が逃亡資金を貯めるべく出張ホスト(男版ホテトル)の仕事をしていると聞いたさくらは、早速光也に指名を入れるのだった。
登場人物・キャラクター
京極 さくら
高級クラブ「京桜」のママを務める女性。年齢は28歳。少々とぼけたところのある、愛嬌たっぷりな巨乳の美人。実は暴力団「黒不二組」の若頭である京極龍一の妻で、夫の仮釈放を条件に、警視庁の天神恭一から特別任務を依頼される隠密捜査官でもある。筋の通った義侠心の持ち主で、悪人を許せない正義感の強い性格。
天神 恭一
警視庁総務部統計課特別室長の男性。年齢は38歳。京極さくらの夫の仮釈放を条件に、さくらに特別捜査を依頼している。さくらからは「警視総監の犬」と罵られることも多いが、基本的には腹を割って言いたいことを言い合える仲であり、彼女の筋の通った義侠心を信頼している。四角い顔が特徴で、そのことをさくらからよくからかわれる。
林家 順平
暴力団「黒不二組」の組員の若い男性。なるべく堅気の仕事をしろと、京極さくらに言われ、犬の散歩の仕事をしている単純で可愛げのある性格。さくらの片腕として捜査の仕事に協力することも多い。息子に万引きをさせている植木のことを見過ごせない、正義感の強い一面がある。
真鶴 一生
暴力団「真鶴組」の組長を務める男性。余計なことは口にしないクールなイケメン。京極さくらの義理人情に厚い性格を熟知しており、さくらの頼みなら、いつも最大限の協力を惜しまない。ヤクザは義理人情を大事にするというのが信条で、顔も知らない尾亀にも、さくらの友人だという理由で、多額の見舞い金を渡す太っ腹な人物。
たまき
クラブ「京桜」のホステスの女性。京極さくらが警視庁の天神恭一に協力していることを知っている数少ない人物の1人で、さくらからも信頼が厚い。さくらのおとぼけにいつも付き合わされているが、心優しい性格で、さくらが特別捜査に駆り出されるたびに身を案じている。客として店に訪れる世界的なヴァイオリニスト、三條昭美に気に入られている。
一条 光也
エピソード「ママとヤクザとケーサツと」に登場する。ホストの若い男性で、殺人事件の逃亡犯。警視庁の天神恭一からの捜査依頼で、京極さくらが行方を追っている。クールな雰囲気を漂わせた爬虫類タイプの外見で、客の女性から金を搾り取るだけ取り、最後には殺すという残忍な人物。さくらが暴力団「真鶴組」組長の真鶴一生から得た情報によれば、出張ホスト(男版ホテトル)をしながら逃走資金を貯めているという。
須田 実夏
エピソード「女の純情」に登場する。美人で一途な性格の女性。年齢は23歳。年寄りばかりをターゲットにして、振込詐欺を行っていた犯人、美園谷と連絡を取り合っていると目され、警察にマークされている。捜査にあたっていた京極さくらに、妊婦や子供に親切にしている姿を目撃される。
永井
エピソード「邪悪なる予告」に登場する。クラブ「京桜」の常連の男性客。国立東京東大学の教授を務めている。心理学を専門としており、花嫁と男の子が殺害された「ネット予告殺人事件」を追う京極さくらに、2つの殺人の犯人は別人だとの見解を示した。さくらをホテルに連れて行きたがるスケベ親父でもあり、そのたびに、さくらに睡眠薬で眠らされている。
佐々山
エピソード「幼き命」に登場する。墓場で殺害された男性。当初は幼児性愛者だったとされていたため、京極さくらは捜査を拒否していた。だが、実際は幼児性愛者に娘を殺された子煩悩な父親であり、同情したさくらが捜査を開始。のちに、佐々山が追っていた真実にたどり着くこととなる。
黒不二 歳三
エピソード「消えた拳銃」に登場する。暴力団「黒不二組」の組長の老人。若頭の京極龍一とその妻、京極さくらを可愛がっている。70歳の高齢ということもあり、現役は半ば引退した状態にある。義理人情に厚い器量の大きな人物と評判だが、おっぱいパブが好きなスケベジジイでもある。
曽山
エピソード「消えた拳銃」に登場する。警察内では真面目だと評判の男性刑事。定年退職間近に、銃を奪われるという失態を犯してしまう。天神恭一からの依頼により、京極さくらが奪われた曽山の拳銃の行方を探すことになる。その最中、実はヤクザから金をせびるチンケな悪党だったことが明らかになる。
弁護士
エピソード「騙し騙され」に登場する。中国系マフィアに関わる仕事を手掛けている悪徳弁護士の男性。殺人事件の容疑者であり、その証拠となる背中の鯉の刺青を確認するため、京極さくらは弁護士に接近し、誘惑しようと試みる。
三島 麗子
エピソード「愛に生きる女」に登場する。打ち上げでクラブ「京桜」に飲みに来た女優。夫が殺害されて警察に疑われていたが、死体の腐敗具合からアリバイが成立していた。しかし来店時、大ファンだという京極さくらと自身の主演映画「愛に生きる女」について話をしたことかきっかけとなり、そのアリバイを崩されてしまう。
三島麗子の夫
エピソード「愛に生きる女」に登場する。三島麗子の夫で、マネージャーでもある男性。世間ではおしどり夫婦として知られているが、夫婦仲は冷え切っていた。貧乏だった麗子を拾ってやった、と今でも恩着せがましい態度を取る。麗子に愛人がいるのを知っていて、「俺を殺すなよ」と釘をさす嫌味な性格。
植木 翔太
エピソード「エンジェルの祝福」に登場する。赤街小学校3年生の男子。スーパーで酒を万引きしていたところを林家順平に目撃された。母親は事故で亡くなっており、リストラされた父親、植木に命令され、嫌々万引きしていた不憫な少年。京極さくらが植木を成敗した後、植木翔太を守るべく、順平に彼らの事後調査をさせることとなる。
植木
エピソード「エンジェルの祝福」に登場する。リストラされた男性。息子の植木翔太に万引きをさせていた。万引きの一部始終を目撃していた林家順平と、その報告を受けた京極さくらの怒りを買って成敗される。息子にも謝りはするが、その後も、仕事もせずにパチンコ店に入り浸る甲斐性なし。
三條 昭美
エピソード「名器の値打ち」に登場する。世界的に有名な天才ヴァイオリニストの男性。ロングヘアで貴公子然とした風貌をしている。クラブ「京桜」の常連で、たまきの客でもある。いつもは音楽関係者と来店することが多いのだが、3億4000万円のストラディバリウスが盗まれて記者会見を開いた2週間後に、五山田銀行の須藤隆と「京桜」に来店する。
須藤 隆
エピソード「名器の値打ち」に登場する。五山田銀行で特別顧客のためのファンドを担当する男性。世界的な天才ヴァイオリニスト、三條昭美とともにクラブ「京桜」に訪れた。三条が名器といわれるストラディバリウスを手にする1か月前にも、一緒に来店していた。そのため、何か企んでいると、京極さくらに睨まれている。
一直
エピソード「仲間」に登場する。殺害されたホームレスの佐藤と仲が良かった男性。林家順平の聞き込みにより、殺害事件後に急にフリーマーケットで物を売り始めたことが明らかになっており、ホームレス仲間からも、逃亡資金作りではないかと疑われている。一直線な性格ゆえに、仲間から「一直」と呼ばれているが、実際は気の弱い一面がある。
佐藤
エピソード「仲間」に登場する。殺害されたホームレスの男性。いつもニコニコして優しいので、ホームレス仲間から「ニコさん」と呼ばれており、特に一直と仲が良かった。京極さくらが捜査を進めるうち、仲間を想う気持ちが強かったがゆえに殺害されたことが判明する。
尾亀
エピソード「二つのお見舞い」に登場する。暴力団「白子根組」の組員の男性。極道生活が50年になるが、うだつが上がらず、ボロアパート住まいで、存在感が薄い。自分が余命半年のガンだと知っているが、どんなに辛くても泣き言を言わない芯の強い性格。高校時代の京極さくらと知り合いで、病気だと知ったさくらがお見舞いに訪れた。
王 志玲 (わん ちーりん)
エピソード「赤い糸」に登場する。木利山保に関わる裁判で、決定的な証言をすることになっている中国人女性。口封じされる恐れがあるため、警視庁が所有しているマンションに匿まわれている。木利山の愛人だが、彼の愛を信じており、木利山が殺人の指示を出したことを証言するか否か迷っている。一途な想いに共感した京極さくらの助けを得て、木利山に会いに行くことになる。
木利山 保
エピソード「赤い糸」に登場する。民民党の代議士で、将来総理大臣確実といわれている男性。中国と太いパイプを持ち、中国に新港を作る計画に関する収賄と殺人教唆の容疑で、警察にマークされている。王志玲を愛人にしており、中国の「赤い糸伝説」にちなんで、赤いメノウのアンクレットをプレゼントしていた。
トン子
エピソード「同窓会」に登場する。京極さくらが中学3年生の時に、同じクラスだった女性。さくらとは仲の良い友人だった。ロングヘアで、ぽっちゃり体型をした気風のいい人物で、バツイチ。友人想いで、同窓会に現れた柳田由美が、さくらに対してバカにした態度を取ったため、激怒して殴りかかろうとした。
田坂
エピソード「同窓会」に登場する。京極さくらが中学3年生の時に、同じクラスだった男性。さくらとは仲の良かった友人だった。中学時代に生活保護を受けていたさくらに、気を遣わせないように手助けしていた優しい人物。同級生の柳田由美に憧れていた。気が弱い性格で、話を小出しにする癖がある。
柳田 由美
エピソード「同窓会」に登場する。京極さくらが中学3年生の時に、同じクラスだった女性。中学生時代、生活保護を受けていたさくらをバカにしていた。夫が仕事をせず、美容師の自分が養っていたが、借金が理由で偽装離婚したと噂されている。プライドが高く、気持ちとは裏腹な言動を取ってしまうところがある。
田中
エピソード「歯ブラシの謎」に登場する。アパートで病死した老人の遺体を調べた巡査の男性。老人の息子である水島とアパートの大家とのやり取りに立ち会ったことがきっかけで、水島が父親の歯ブラシを持ち帰った理由を、京極さくらと調べることになる。やや杓子定規的な性格で、好奇心旺盛なさくらの行動に刺激を受ける。
水島
エピソード「歯ブラシの謎」に登場する。アパートで病死した老人の息子。父親の死後、火葬したかどうか騒いだ挙句に、アパートから父親の歯ブラシだけを持って帰った。父親と母親がいつもケンカをしていたので、母親が事故死したのは父親のせいだと恨んでいた。父親の死を知った後、無意識のうちに封印していた水島自身の記憶を取り戻すこととなった。 一見強面だが、父親の秘密に触れて涙を流す素直な性格。
美保
エピソード「たった一つの手がかり」に登場する。殺害された女子高校生。死因は脳挫傷。真面目で成績も良い優等生だった。暴行された形跡はなかったが、妊娠3か月だったことが判明する。京極さくらの捜査により、高校教師の斉藤と付き合っていた事実が明らかになる。
斉藤
エピソード「たった一つの手がかり」に登場する。私立高校の教師を務めていた優男風の若い男性。殺害された女子高生の美保と付き合っていた。妊娠した美保には、自分が学校をクビになってもいいので、子供を産んでくれと頼んだ誠実な人物。しかし、殺人事件の容疑者になるのが恐ろしく、警察には美保との関係を言えなかったという気の弱い面もある。
八代
エピソード「たった一つの手がかり」に登場する。クラブ「京桜」の常連の男性客。大学病院に勤務する産婦人科医。店では女性を前にすると呂律が回らず、太っていることもあって「デキない男」に見られている。昼間は別人のように仕事をこなし、何事も呑み込みが早い切れ者。美保が通っていた産婦人科の医者、宇都津良一郎は大学の先輩。 彼の医院を捜査するため、京極さくらをワケありの患者と偽って送り込む。
宇都津 良一郎
エピソード「たった一つの手がかり」に登場する。殺害された美保が通院していた宇部津産婦人科病院の院長の男性。クラブ「京桜」の常連である八代の大学時代の先輩であり、当時は女にだらしなく、成績が悪かった。