単身花日 桜木舜の単身赴任・鹿児島

単身花日 桜木舜の単身赴任・鹿児島

『ぼっけもん』『花マル伝』などで知られる、いわしげ孝による長編作品。現代の鹿児島県が主な舞台。住宅会社の営業マンの桜木舜は、ある日、鹿児島支店への転勤を命じられる。少年期を過ごした鹿児島に単身赴任した桜木は、初恋の人、桐野花との再会に胸をときめかせる。仕事、家庭、初恋の記憶のあいだで揺れ動く桜木と、謎めいた花が抱えている秘密を描いたラブサスペンス。小学館「ビッグコミック」2006年第17号から2008年8号まで連載。重岡大毅主演でテレビドラマ化され、『単身花日』のタイトルで、2023年10月14日から12月9日までテレビ朝日系にて放送された。

正式名称
単身花日 桜木舜の単身赴任・鹿児島
ふりがな
たんしんはなび さくらぎしゅんのたんしんふにん かごしま
作者
ジャンル
家族
 
恋愛
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊3巻
関連商品
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男女四人が繰り広げるラブサスペンス

本作の主人公は、ハウスメーカー「サンバスホーム」の営業マンで、37歳の桜木舜。ある日、東京本社から鹿児島支部への転勤を命じられた舜は、悩んだ末に妻のゆり子と娘の花奈を置いて単身赴任する。じつは鹿児島県は、小学5年生から中学3年生まで多感な少年時代を過ごした土地だった。鹿児島で初恋の女の桐野花と再会した舜は、青春の日々を思い出し、次第に彼女に惹(ひ)かれていく。そして、舜の「終わっていない初恋」は、妻のゆり子、花と深い関係にある片山直哉を巻き込んで、四角関係を形成する。こうして始まった30代男女四人の恋愛模様は、やがて、開けてはいけない「パンドラの箱」に迫るサスペンスドラマへと変容していく。

単身赴任で封印されていた初恋がよみがえる

舜は鹿児島の土を踏んだとたん、花と初めて会った小5の夏の日のことや、二人で花火を見に行った中学時代のことなど、心の奥に埋もれていた記憶を次々と思い出す。花に対して、懐かしさと胸騒ぎを覚える舜は「初恋が終わり切ってない」状態だった。その後、花と再会した舜は、変わらない彼女の美しさと、思わせぶりな言動に惹かれていき、花のことで頭がいっぱいになるほど恋してしまう。一方、花は酔い潰れた舜を部屋まで送ったり、食事の世話をしたりと、まるで妻のように世話を焼く。しかし花は、精神的な苦痛を抱えており、舜にやすらぎを求めているだけだという。しかも花は、ゆり子が鹿児島に来たときメル友になっており、舜とのことを何一つ隠さずメールしていた。ゆり子は舜のことを信じていたが、花が何かすごく怖いことを秘めているのではないかと感じてしまう。

恋敵? 片山直哉に嫉妬する舜

ある日、舜はファミレスで喧嘩(けんか)する、花と片山直哉を目撃する。片山は花と同じ水泳部に所属にしていた同級生。中学時代、花と自転車を二人乗りしているのを見かけ、舜は嫉妬に駆られたことがあった。コップの水をかけられ、店の外に飛び出した花を、片山が呼び止める。「このままやっていける自信がない」という花に「隠し通す約束だろう」と答える片山。そして花は片山の胸で泣きじゃくった。片山は独身だが、花にはたまにしか帰ってこない航海士の夫がいる。舜は、花が片山と不倫していることに凹む。そしてやはり心のどこかにスケベ心があり、片山に花を取られたくないというのが本音だった。

登場人物・キャラクター

桜木 舜 (さくらぎ しゅん)

ハウスメーカー「サンバスホーム」の営業マンで、37歳の男性。元陸上部の爽やかなイケメンで、男女に関わらずモテる。妻のゆり子と小学生の娘、花奈と、幸せな家庭を築いている。ある日、東京本社から鹿児島支部への転勤が決まり、単身赴任する。小学5年生から中学3年生までは鹿児島で過ごしていたことから、親友や同級生、初恋の女性の武田花(旧姓・桐野)らと再会。天然で行動的な花の言動に惹かれ、妻のゆり子との間で気持ちが揺れ動く。あだ名は「サク」。

武田 花 (たけだ はな)

中学の教師をしている女性。旧姓は桐野。桜木舜とは小中の同級生で両想いの初恋相手で、中学時代は水泳部に所属していた。ロングヘアーが特徴の美女で、耳のところで髪をかきあげる癖がある。天性の色香がある一方、超天然な一面もある。たまにしか帰ってこない一等航海士と結婚するが、DV夫だと噂されており、幸せな結婚生活は送っていない。

片山 直哉 (かたやま なおや)

桜木舜、武田花の中学時代の同級生の男性。幼少時の大病が原因で、1年遅れで小学校に入学しているため、舜より1歳上の38歳で、長めの髪、左の眉毛に小さなキズが特徴のイケメン。中学時代は花と同じ水泳部に所属しており、舜と女性人気を分け合うモテ男だった。舜の会社のライバル「三つ星ハウス」の営業マン。花とは、「花」「直ちゃん」と呼び合うほど親しい。

桜木 ゆり子 (さくらぎ ゆりこ)

桜木舜の妻。34歳で、小学生の娘、花奈がいる。ショートカットが特徴の明るい女性。舜とは大学のサークルで出会い、結婚に至った。舜の単身赴任に際し、「浮気はだめ」と何度も念を押す。舜の様子を見に鹿児島を訪れたときに、武田花と知り合いメル友になった。東京に戻ってから、舜の世話に一生懸命な様子をメールしてくる花の天然ぶりに面食らう。舜のことを信じてはいるものの、花に得体のしれない闇を感じる。

続編

上京花日 花田貫太郎の単身赴任・東京 (じょうきょうはなび はなだかんたろうのたんしんふにん とうきょう)

いわしげ孝が、『単身花日 桜木舜の単身赴任・鹿児島』の次に連載を開始した作品。作者死去のため絶筆となった。東京郊外のM市にある書店が舞台。「ブックスサンフラワー」鹿児島店店長、花田貫太郎46歳は、新店... 関連ページ:上京花日 花田貫太郎の単身赴任・東京

書誌情報

単身花日 3巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2023-10-12発行、 978-4098626335)

第2巻

(2023-10-12発行、 978-4098626434)

第3巻

(2023-10-12発行、 978-4098626441)

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