魔導の系譜

魔導の系譜

佐藤さくらの小説「真理の織り手」シリーズ第1巻『魔導の系譜』のコミカライズ作品。魔導士が差別されるラバルタ国で、魔導士の少年ゼクスが三流魔導士であるレオン・ヴァーデンと出会ったことを皮切りに、己の運命を大きく変えていくファンタジーバトル。「MAGCOMI」で2019年9月から配信の作品。

正式名称
魔導の系譜
ふりがな
まどうのけいふ
原作者
佐藤 さくら
漫画
ジャンル
家族
 
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

第1巻

真記952年。レオン・ヴァーデン魔導士でありながらも、その実力は三流以下と見なされ、辺境の田舎で私塾を開いて暮らしていた。しかしそんなある日、彼のもとにラバルタ国で国内最高峰の研究機関である鉄の砦に所属する知己、ダリエシが訪れる。ダリエシの願いは、破格の才能を持ちつつも誰の言うことも聞かない問題児、ゼクスの教育を担当してほしいというものだった。才能は三流ながら、誰よりも努力をしてきたレオンならば、ゼクスを導けるとダニエラは考え、彼にゼクスを託す。しかし、ゼクスは誰にも心を許さずにすべてを拒絶し、周囲に破壊をもたらす存在だった。村人たちからも反感を買い、ゼクスの暴走を目の当たりにしたレオンは、彼を見捨てようとも考える。村人の少女ニアが傷ついている姿を見て、レオンはゼクスに絶望するものの、ほかならぬニアが彼をかばう姿を見て、レオンはあらためてゼクスと向き合う覚悟を決める。そして、レオンはゼクスが識字障害で、どれだけ勉強しても文字が読めないのだと知る。彼の苦しみを理解したレオンはゼクスを受け入れ、ゼクスもレオンに心を開き、二人は師弟としての第一歩を歩み始めるのだった。

第2巻

ゼクスレオン・ヴァーデンの弟子となって5年後、ゼクスはたくましく精悍な青年へと成長していた。ゼクスは研究機関である鉄の砦に戻れば、己の力を示し、地位を手に入れられると考え、そのために研鑽と実績を重ねる日々を過ごしていたのだ。そんなある日、鉄の砦の使者がゼクスの目の前に現れる。使者はゼクスを鉄の砦に招くとともに、レオンが鉄の砦の招集命令を隠していたことを告げる。ゼクスは己の気持ちを知りながら、招集命令を隠していたレオンに激怒。彼に決別の言葉を投げかけ、たった一人で鉄の砦に向かうのだった。破格の才能を持ち、長年研鑽を続けてきたゼクスは鉄の砦でもすぐさま頭角を現すようになる。しかし、同じ魔導士のあいだでなお、ゼクスは生まれがセルディア人であることで見下され、孤立する日々を過ごすこととなる。漠然と鉄の砦にさえ行けば何かが変わると思っていたゼクスは、理不尽な現実に打ちのめされる。ゼクスは失意の中、ゲオルギウス・ランバートから与えられた助言で師の言葉を思い出し、自分が今までどれだけレオンにいろんなものを与えられてきたのか実感する。そしてゼクスは国一番の魔導士になって、師の名前を世に知らしめることを誓う。

関連作品

小説

本作『魔導の系譜』は佐藤さくらの小説「真理の織り手」シリーズの第一巻『魔導の系譜』を原作としている。「真理の織り手」シリーズは、巻によって主人公が変わっており、それぞれの視点で魔導士の運命を描くファンタジー小説となっている。

登場人物・キャラクター

ゼクス

セルディア人の少年。物語開始当初の年齢は12歳。黒髪を無造作に伸ばし、ボロを羽織った野生児のような佇まいをしている。魔導士としての才覚は「千年に一人」ともいわれる破格なもので、研究機関である鉄の砦で保護されて、異例の教育を受けることとなる。しかし彼らを拒絶し、レオン・ヴァーデンに預けられる。実は識字障害を患っており、どれだけ勉強しても字が読めない。それがコンプレックスとなり、字が読めないことを人に知られるのを何より恐れ、魔導士としての教育を受けるのを拒んでいた。周囲を拒絶する反抗的な態度から凶暴な性格と誤解されがちだが、本来は面倒見がよく、実直な性格をしている。レオンに受け入れてもらったことで、魔導士になることを決意する。その後5年間、研鑽を重ねて、髪を切って精悍な顔つきの青年へと成長した。生活にだらしないレオンのもとで生活してきたため、家事の類いが得意になっており、特に料理の腕はかなりのもの。レオンを師として尊敬しつつも、鉄の砦への招集を黙っていた件で決別して彼のもとを離れ、鉄の砦に向かう。字が読めないが、レオンが根気強く教えたため、知識も実技もレベルが高い。剣の腕前も高く、魔術と剣を合わせて戦うことで、たった一人で野盗の群れを打ち倒すほど。しかし、その優秀さ故に砦の魔導士たちから妬まれることとなる。また、セルディア人であることで不当な差別を受けることも多い。理不尽な状況の中、レオンが自分にとってどれだけ大きい存在だったか実感し、国一番の魔導士となって己の師の名前を轟かせることを誓う。

レオン・ヴァーデン

リール村で私塾を開いている魔導士の男性。赤毛の髪を肩口まで伸ばした青年で、無精ひげを生やしている。導脈の力が弱いため、魔導士としての才覚は三流以下。若い頃はそれでも大成することをあきらめきれず、努力に努力を重ねたが、結果は出なかった。ただし努力を重ねた結果、知識量と操魔の腕前ならば研究機関である鉄の砦の魔導士にも匹敵するほどになっている。また、精緻な操魔技術と弱い導脈は、本来ならば禁忌とされる導脈の連結を安全に行うことを可能にしている。この導脈の連結を行うことで未熟な魔導士の力を引き出し、使い方を教えるといった独自の指導方法を開発している。自らの才能のなさに絶望し、心の奥底ではほかの魔導士たちに嫉妬の感情を抱いている。しかし善良な心根をしているため、それを表に出さず、人の面倒を見るお人よし。このため、彼の教えを受けた後輩や弟子たちからは慕われている。弟子の一人であるダリエシからゼクスの教育を頼まれ、彼の面倒を見ることとなる。当初は彼の凶暴さを前にあきらめようとも考えたが、次第に心を通い合わせ、信頼関係で結ばれていく。ゼクスが順調に成長していく姿に喜びを感じる一方、破格の才能を持つ彼に無意識のうちに嫉妬の感情を抱く。これもあってゼクスの身を案じると言い訳しながら、鉄の砦がゼクスの招集を命じたのを拒否していた。ゼクス自身が鉄の砦に行きたがっているのを知っていたが、彼に秘密にしていたため、ゼクスに知られた際に彼に激怒され、一方的に決別される。

ニア

リール村に住む少女。小麦色の髪をおかっぱ頭にした子供で、明るく快活な性格をしている。魔導士への差別意識が強いリール村の中で、彼らに分け隔てなく接するおてんば娘で、無邪気な気持ちでゼクスとなかよくなろうとする。ゼクスと本を読んでなかよくなろうと考えるが、識字障害のゼクスは本そのものがトラウマとなっており、反射的に力を暴走させてニアにケガを負わせてしまう。しかし、子供ながらニアはゼクスが怯えているのを感じ取っており、父親がゼクスに報復に向かおうとした際には、それを話して父親を止めている。事件解決後もしつこくゼクスに会いに行き、次第に距離を縮めていく。青年期では、髪を長く伸ばした美しい乙女へと成長したが、おてんばは変わらず。

ガトー・ヒルデン

騎士団に所属する黒髪の青年。顔中に傷がある厳つい見た目をしているが、気さくで明るい性格をしており、レオン・ヴァーデンとは長年の友人同士。彼がリール村で私塾を始めて以降も、ヒマを見つけては彼のもとをたびたび訪れて、友誼(ゆうぎ)を育んでいる。ゼクスの成長を見守っており、青年期では冗談半分で彼を「息子」呼ばわりしている。

ダリエシ

鉄の砦に所属する魔導士の男性。優しげな雰囲気を漂わせた青年で、まじめな性格をしている。幼い頃は魔導士としては無能といわれ、周囲の人間も彼の教育を見限っていたが、そんな中、たった一人面倒を見てくれたレオン・ヴァーデンに多大な恩義を感じている。レオンによって眠っていた才能を開花され、鉄の砦で働くようになるが、同じような境遇のゼクスと出会って彼を救いたいと考え、無理を承知でレオンにゼクスの弟子入りを頼み込む。その後は無理難題を恩師に頼み込んでしまったと、相当気に病んでいた。青年期では、弟弟子にあたるゼクスを何かと気に掛けている。

ロザリンド

貴族であるアンドルース卿の次女。上品な身なりをした少女で、おしとやかな性格をしている。導脈を持って生まれたため、周囲に存在を知られないように隠されて育てられた。そのため、貴族であるが家族からも厄介者扱いされ、家名を名乗ることが許されていない。力が暴走しないように最低限の教育のみ受けさせてもらっており、レオン・ヴァーデンに師事する。父親からも「あれ」呼ばわりされ、窮屈な館に閉じ込められているため、同じ魔導士であるレオンに強い仲間意識を感じ、彼に対しては心を開いて接する。また、会ったことはないが、レオンから話を聞いたゼクスのことを弟弟子と呼び、気に入っている。事実上の幽閉である聖堂院に入ることが決まり、レオンと惜しみつつ別れる。その際、レオンからゼクスの作った木彫り細工をもらい、それを心の支えにして聖堂院に向かう。

セレス・ノキア

私塾を開いていた魔導士の女性。白い髪を長く伸ばした老婆で、厳しくも落ち着いた雰囲気を漂わせている。若かりし頃のレオン・ヴァーデンの師で、幼い頃から彼の面倒を見てきた。弱い導脈しか持たないレオンが人一倍努力しているのを知っており、彼に対して才能がないと断じつつも、その人柄と技術、知識には一目置いていた。引退間際には彼を後継者として認め、自分の私塾を継がせた。研究機関、鉄の砦の総帥であるゲオルギウス・ランバートとは古い知己で、時折手紙のやり取りを行っている。

ゲオルギウス・ランバート

鉄の砦の総帥を務める男性。しわくちゃの顔をした老爺で、眼鏡を掛けて上品な衣服を身にまとっている。ラバルタ国において唯一登城が認められている魔導士で、砦内の魔導士の頂点に立つ。セレス・ノキアとは古い友人関係で、彼女の弟子であるレオン・ヴァーデンにも高い評価を下している。また、レオンの弟子であるゼクスに対しても師であるレオンの偉大さを語り、彼の事情をおもんぱかった言葉を伝えた。

ジェシ

ダザの街に住む魔導士の男性。柔らかい顔立ちをした糸目が特徴で、髪を短く整えている。青年期のゼクスの友人で、ギルドの仕事では彼とコンビを組んで仕事をすることが多かった。まじめで誠実な人柄をしており、セルディア人のゼクスも彼には気を許して接する。しかし内心では、ゼクスの才能に嫉妬していた。ジェシも研究機関である鉄の砦に行くことを目指してギルドで実績を重ねていたが、ゼクスに鉄の砦の招集がきたことで、ゼクスに抱いていた嫉妬が爆発。心ない言葉を彼に投げかけたのを最後に彼と決別する。

オルガ

リール村に住む老爺。腰が曲がり、小柄な体型をしている。村のことを第一に考えつつも融通がきき、配慮を欠かさない好人物で、村人も彼の言葉には一目置いている。少年時代のゼクスが問題を起こした際も、私刑に処そうとした村人たちを制止し、レオン・ヴァーデンに忠告と助言をたびたび行っている。また、レオンにゼクス用の子供服を仕立て渡している。

場所

ラバルタ国 (らばるたこく)

レオン・ヴァーデンたちが暮らす王国。宗教はバルテリオン教が最も信仰されているが、バルテリオン教では魔導士は最も邪悪な存在といわれているため、国内では魔導士への風当たりは強い。導脈を持って生まれた者は、暴走の危険性があることから、平民から貴族、王族に至るまで例外はなく下賤な存在として扱われる。このため、ラバルタ国では魔導士は一人前になって初めて人間として扱われるが、それでも穢れた存在および危険な存在として周囲から疎まれて生活することとなる。一方で、魔導士を軍事に転用する研究も積極的に行っており、研究機関である鉄の砦では魔術の軍事研究が盛んに行われている。

鉄の砦 (くろがねのとりで)

ラバルタ国で最高峰の軍事を誇る魔導の研究機関。ラバルタ国の首都であるリアンノンに設けられており、扱いとしてはラバルタ軍騎士団の下請けという位置づけになっている。そのため、所属する魔導士はふだんは魔術の研究や学習の傍ら、治安維持活動を行っており、有事の際には戦地に派遣されることもある。鉄の砦に所属する魔導士の数は2000人ほどで、主に20人前後の小隊に振り分けられ、小隊規模で活動するのが基本となっている。砦の運営は総帥であるゲオルギウス・ランバートと、教授と呼ばれる高位の魔導士約30人によって行われている。

聖堂院 (せいどういん)

ラバルタ国で最も信仰されているバルテリオン教の宗教施設。弱者の救済措置を行っており、貧困で食うに困っている者や、貴族の血筋で生まれた魔導士が入ることが多い。ただし貴族にとって聖堂院に入ることは事実上の幽閉と同じで、家族と縁を切り、一生を聖堂院で過ごすこととなる。バルテリオン教は魔導士を最も邪悪な存在と位置付けているが、皮肉にも魔導士が最後に行きつく場所となっている。

カデンツァ

ラバルタ国の北部に存在する地域。もともとは北の隣国であるシェールの領土であったが、山間部が多く、冬場は寒いために農耕に適さない土地が多い。そのためラバルタ、シェール両国から見向きもされず、名目上はシェールの領土だったが自治区として成り立っていた。しかし、カデンツァ近郊から銀の鉱脈が見つかったことで事情は一変。両国が領土権を主張して泥沼の戦争が行われ、戦いの果てにラバルタの領土となる。カデンツァの人間はラバルタの身勝手な支配に不満を募らせており、現在はラバルタの支配に抗う紛争の絶えない地域となっている。また、カデンツァのさらに北部にはセーラ山脈と呼ばれる険しい山脈が存在し、そこにはセルディア人が暮らしている。セルディア人がこの紛争に巻き込まれることがあるが、ラバルタはセルディア人を差別しているために見向きもしておらず、混乱を招く要因となっている。

ダザ

ラバルタ国に存在する町。規模はさほど大きくないが、リール村周辺では唯一ギルドが置かれた町となっている。ギルドがあるために魔導士も数多く住んでおり、ダリエシやゼクスも一時期はこの町を利用して活動していた。ギルドで任務を受けるならば町に住む方が効率はよいが、ゼクスは町中では字がたくさんあって心が休まらないため、わざわざリール村から通っていた。また、リール村周辺では一番施設が整った町でもあるため、レオン・ヴァーデンも鍛冶屋などに用事がある際にはこの町を訪れている。

その他キーワード

魔導士 (まどうし)

導脈を持ち、魔術の力をあやつれる職業。ラバルタ国で導脈を持つ人間は、暴走の危険性があるため、必ず訓練を受けて魔導士の資格を得る必要があり、もし訓練についていけないと判断されたら殺されることも珍しくない。また、ラバルタ国では生まれの貴賤は関係なく、魔導士はすべて下賤で穢れた身分とされ、差別の対象となっている。訓練を受け、一人前となった魔導士は首から真鍮のメダルを下げ、これが身分の証となる。メダルには鳥かごに入れられた短剣が紋章として描かれており、訓練を受けた魔導士が師より授与される。このメダルは与えられた者が暴走しない証ともいわれているが、同時にその者が魔導士であるという烙印でもある。魔導士の仕事は基本的にその力を生かした犯罪者の捕縛や治安維持活動で、それらの仕事は各地に存在するギルドで受けることができる。また国軍の下請けである鉄の砦は、実力の認められた魔導士のみ所属できるエリート機関で、国中の魔導士にとってあこがれの地となっている。

導脈 (どうみゃく)

魔術をあやつるために必要な特殊な器官。誰にでもあるわけではなく、まれにこの導脈を持った者が生まれることがある。この器官を持つ者は、導脈を通じて目に見えない力の流れ「魔脈(まみゃく)」に意思を連結し、そこから力を引き出すことができる。この引き出した力を組み上げ、魔術を行使することを「操魔(そうま)」と言い、この操魔を一人前に使いこなせる人間を「魔導士」と呼ぶ。導脈を持ちながら操魔の訓練を受けない場合、その者は感情によって己の力を暴走させる危険性がつねに付きまとうため、周囲から危険視されて殺されることも珍しくない。そのため導脈を持つ者は、実質的に魔導士にならなければ生きていけない環境となっている。また、導脈を持つ者同士ならば、導脈を連結することも可能。これによって他者の導脈を操作し、魔術を使いこなす感覚を教えることもできる。ただし、導脈の連結は力の逆流というリスクがあり、最悪の場合は導脈が焼き切れ、内臓が損傷することがあるために禁忌扱いされている。レオン・ヴァーデンは導脈が弱いという点が功を奏し、高い操魔技術もあって、このリスクを回避している。

セルディア人 (せるでぃあじん)

カデンツァ北部のセーラ山脈に漂泊する民族。ラバルタ国とシェール国の国境に住み、独自の信仰と自治のもと、他民族の支配を拒絶している。国境を独自の判断で軽々と越境するため、ラバルタ国から不遜と侮蔑の対象として見られており、差別されることが多い。カデンツァが紛争の絶えない地域となっているのもあり、セルディア人はそれに巻き込まれることも多い。

クレジット

原作

佐藤 さくら

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