さよならをありがとう

さよならをありがとう

ごく普通の女の子が中学生活の最後に、憧れの同級生の男の子と急接近することになる「さよならをありがとう」を含む、3つのエピソードで綴られるオムニバス恋愛作品集。中学、高校、大学、その時にしか経験できない青春のなかで交差する、さまざまな恋の形を丁寧に描く。本書は神尾葉子の初コミックスであり、エピソード「さよならをありがとう」は、当時大学生だった作者の連載デビュー作となる。ちなみにエピソード「はたちのままで待っている」も、著者が大学時代に描いたもの。「さよならをありがとう」は「マーガレット」1988年No.11からNo.14にかけて、「恋しくて…5年目」は「週刊マーガレット」1987年43号、「はたちのままで待ってる」は「ザ マーガレット」1986年No.19に掲載された。

正式名称
さよならをありがとう
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さよならをありがとう
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あらすじ

さよならをありがとう

3か月後に卒業を控えた中学3年生の松本藍は、仲良しの和恵やあっこといった友人にも恵まれ、平凡だが楽しい日々を送っていた。そんなある日、美化委員としてアネモネの球根を1人で植えていたところ、想いを寄せていた紺野翼が手助けをしてくれる。これをきっかけに、2人は急接近していく。

恋しくて…5年目

高校2年生の永見奈々子は、中学からの腐れ縁の水穂洋とつかず離れずの仲でいた。このままの関係を望んでいた奈々子だったが、ある日、五島治から告白をされてしまう。これを境に、奈々子と洋の関係は少しずつ変わり始める。

はたちのままで待ってる

弥生は20歳の女子大生。アルバイトで17歳の男子高校生の真野舷にピアノを教えている。3歳年下の舷から好意を寄せられて戸惑う弥生だったが、彼女もまた舷に心惹かれていく。

登場人物・キャラクター

松本 藍 (まつもと あい)

エピソード「さよならをありがとう」に登場する。3年8組の女子生徒で、3か月後に卒業を控えた中学3年生。親友である新海和恵やあっこと同じ如月高等学校への進学を目指している。ショートカットのごく普通の女の子。今までの中学生活を振り返り、勉強もスポーツもそこそこに励み、和恵やあっこなどのいい友達に恵まれて満足している。 特に同級生の紺野翼に恋をしたことが、最大の思い出となっている。美化委員として1人で大量のアネモネの球根を植えることになった際、それまでほとんど口を利いたこともなかった翼に手伝ってもらい、卒業間近に憧れの彼と急接近することになった。

永見 奈々子 (ながみ ななこ)

エピソード「恋しくて…5年目」に登場する。高校2年生の女子生徒。ふんわりとしたボブカットの可愛らしい女の子。周囲から、中学からの腐れ縁の水穂洋と付き合っていると噂されている。事実、中学1年の秋に3日間だけ付き合ったことがある。だが、その時は妙に洋を意識してしまい、上手くいかず、すぐに関係を解消した。友達に戻った現在の方が仲良くやれているため、この環境に満足していた。 しかし五島治からネックレスのプレゼントとともに告白され、自分の気持ちに迷いが生じてしまう。

弥生 (やよい)

エピソード「はたちのままで待ってる」に登場する。20歳の女子大生。ピアノ教師のアルバイトをしている。長い髪に童顔の、ふんわりとした印象の人物。週に一度、男子高校生の真野舷にピアノを教えている。3歳年下の舷が弥生に惹かれ始めてくると、舷の同級生の響子に、「舷は単に年上に憧れる時期だっただけだ」と非難を受ける。

紺野 翼 (こんの たすく)

エピソード「さよならをありがとう」に登場する。3年8組の男子生徒で、3か月後に卒業を控えた中学3年生。女顔なのに見た目がキツイと言われる綺麗な顔のイケメン。気さくで勉強ができるため、紺野翼の友人たちをはじめ、クラスメイトたちと仲がいい。中学の入学式で校長の話にケチをつけて退場させられたことがあり、周囲には不良っぽいイメージで捉えられている。 卒業を控えたこの時期に、両親の離婚で苗字が「紺野」から「花房」に変わった。心臓に疾患があってスポーツはできないため、帰宅部である。1人で大量のアネモネの球根を植えている松本藍を手伝ったことをきっかけに、彼女に興味を持ち始める。

新海 和恵 (しんかい かずえ)

エピソード「さよならをありがとう」に登場する。3年8組の女子生徒で、3か月後に卒業を控えた中学3年生。長い髪をポニーテールにし、前髪は横分けにしている。親友である松本藍やあっこと同じ如月高等学校への進学を目指している。藍やあっこからは、「A型らしい神経質」と言われている心配性の女の子。真面目な性格の一方で、紺野翼に数学の問題の解き方を、藍と一緒に教えてほしいと頼むなど、大胆なところもある。

あっこ

エピソード「さよならをありがとう」に登場する。3年8組の女子生徒で、3か月後に卒業を控えた中学3年生。長い髪を三つ編みにして後ろで1つにまとめた髪型をしている。親友である松本藍や新海和恵と同じ如月高等学校への進学を目指している。藍や和恵からは「B型らしい楽天的な性格」と言われている。和恵とは真逆の性格ながら、いいコンビとなっている。

のぼる

エピソード「さよならをありがとう」に登場する。松本藍の弟。母親や藍とも仲が良く、一緒に石焼きイモを作って鍋をダメにしてしまったりと、ほほえましいエピソードに事欠かない、平凡な幸せな家庭に育った。のぼるや自分の母親の姿を見ていると、藍は紺野翼の家庭が不幸であることを想起する。

紺野翼の母 (こんのたすくのはは)

エピソード「さよならをありがとう」に登場する。紺野翼の母親。育ちの良さそうな和服の美人。紺野翼の父と結婚する前に好きな人がいたが、当時は両親の経営する会社が上手くいっておらず、資産家である紺野翼の父と、ある意味で政略結婚させられた過去がある。もともと夫婦仲は上手くいっていなかったが、翼のことは深く愛しており、松本藍と関わることで紺野が癒されることを喜んでいる。

紺野翼の父 (こんのたすくのちち)

エピソード「さよならをありがとう」に登場する。紺野翼の父親。スーツを着ていて口ひげを蓄えた横柄な人物。紺野翼の母と無理やり結婚したが、紺野翼の母が自分を愛していないことを感じ、家にあまり帰らなくなっていた。離婚の際には翼を跡取りとして引き取ろうとしたが、翼が母親側についたため断念する。

紺野翼の友人たち (こんのたすくのゆうじんたち)

エピソード「さよならをありがとう」に登場する。紺野翼といつも一緒にいる同じクラスの男子生徒たちで、上田、矢島、荒尾、八田の4人。翼の苗字が「花房」に変わったことを気にせず、名前の「翼」で呼ぼうと話しあい、今までと変わらない生活を心がけている。翼が学校に来ない時は心配して電話したり、家へ行ったりと積極的に交流する、気のいい男子たち。

水穂 洋 (みずほ よう)

エピソード「恋しくて…5年目」に登場する。高校2年生の男子生徒。黒髪をやや立たせたスポーティな外見。気さくな性格で、中学の時から永見奈々子とは腐れ縁の関係。中学1年の秋に3日間だけ奈々子と付き合った。しかし、奈々子が水穂洋を意識しすぎて上手くいかなかったため、付き合うのをやめて友達に戻った。奈々子が五島治に告白されたことを苦々しく思っている。

五島 治 (ごしま おさむ)

エピソード「恋しくて…5年目」に登場する。高校2年生の男子生徒。永見奈々子にネックレスのプレゼントとともにラブレターを渡した。すらりとした真面目そうな外見をしている。水穂洋と奈々子がどういう関係なのか気にしている。洋と正式に付き合ってないのなら、自分と付き合って欲しいと奈々子に告白する。

ユウキ

エピソード「恋しくて…5年目」に登場する。永見奈々子と水穂洋が、中学時代に仲良くしていた女子生徒。今でも連絡は取りあっており、中学時代の仲間で集まる時には声をかける役割を担っている。洋に伝えたことが奈々子に伝わっていなかったため、2人の間に何かあったのではないかと心配する。

真野 舷 (まの げん)

エピソード「はたちのままで待ってる」に登場する。高校3年の男子生徒。17歳の男の子。弥生にピアノを習っている。昔は短距離で神奈川県下3位の記録を持っていたが、事故でアキレス腱を切ってしまい、スポーツを断念した。これまでとまったく違うピアノを習うことにし、弥生の年上とは思えない可愛らしさに心惹かれていく。弥生に出会ってから、それまで付き合っていた同級生の響子と別れた。

映子 (えいこ)

エピソード「はたちのままで待ってる」に登場する。弥生の友人で同じ大学の女子大生。黒髪の大人ぽい美人。年下の男子高校生である真野舷と弥生との付き合いに心配し、高校生は高校生同士で、大学生は大学生と付き合えばいいと、忠告する。

響子 (きょうこ)

エピソード「はたちのままで待ってる」に登場する。真野舷と同じ高校に通う女子生徒。黒髪のショートカットの美人。舷と半年前に別れたが、その原因を突き止めるため舷の後を付け、弥生の存在を知る。弥生に「舷はたまたま年上の女性に憧れる時期だっただけだ」と告げ、手を引くよう求める。

早坂 (はやさか)

エピソード「はたちのままで待ってる」に登場する。真野舷と同じ高校に通う、同級生の男子生徒。体育祭では男子400メートルの選手だったが、響子と弥生の喧嘩に巻き込まれて怪我をした結果、レースに出られなくなってしまう。

場所

如月高等学校

エピソード「さよならをありがとう」に登場する。神奈川県にある共学の公立高校。松本藍、和恵、あっこが進学を希望している高校。試験は10時30分から始まり、4科目を受験する。紺野翼は心臓の病気が思わしくなく、受験することができなかった。

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