概要・あらすじ
妻を事故で亡くした初老の男、奥田参平は、勧められるがままに息子家族と同居を始めた。参平の手に遺されたのは、亡き妻が遺した一冊のファイル。生活レシピ満載の「奥田家の記録」を紐解くことで、参平は主夫として家事をこなせるようになる。息子の詩郎と嫁の礼花、孫娘の乃菜との生活を通して、参平は今まで妻にまかせっきりで見過ごしてきていた何気ない日常の豊かさとかけがえのなさを実感してゆく。
登場人物・キャラクター
奥田 参平 (おくだ さんぺい)
3年前に定年になった初老の男性。ロマンスグレー。喫煙者。妻の鶴子が交通事故で亡くなってしまい、息子の詩郎の家族と同居することになった。仕事一筋で家事は妻にまかせっきりだったので困っていたが、妻が書き遺していた家事や家族に関するファイル「奥田家の記録」を頼りに、主夫としての第二の人生をスタートさせる。 嫁の礼花が花屋に復職したことで、完全に一人で家事を担当することになった。料理や掃除洗濯は一通りこなせるようになるが、工作は苦手。感情を素直に出すことが苦手で不器用な性格だが、家族思いである。
奥田 鶴子 (おくだ つるこ)
奥田参平の妻。交通事故で亡くなった。参平のことは「参さん」と呼んでいた。まめな性格で、家事にまつわることや家族に関する様々なメモを「奥田家の記録」として書き遺していた。この分厚いファイルが参平の主夫生活の大きな助けとなる。
奥田 礼花 (おくだ れいか)
詩郎の妻。専業主婦になる前は花屋で働いていた。優しくおっとりしているが、少し天然ボケで、昼寝から起きたのに朝だと勘違いして、夕食の代わりに朝食を作ってしまったりする。実家は広島県。旧姓は遠野。詩郎との出会いは、彼の勤務先に花をセットしに行ったのがきっかけ。参平が主夫を引き受けてくれたので、花屋にパートとして復職した。
奥田 乃菜 (おくだ のな)
詩郎と礼花の一人娘。小学2年生。いつも仏頂面で、あまり感情を表に出さない無口な子。虫が大好きで、自分が興味を持ったものにはすごい集中力を発揮する。学校の勉強は苦手だが、のびのびと育っている。イケメンの先生にバレンタインチョコを渡そうとするなど、女の子らしい面もある。
奥田 詩郎 (おくだ しろう)
奥田参平の息子。メガネをかけている。おおぞら建研に勤務しているサラリーマン。妻と娘にとって良き父親だが、頑固な一面も持つ。他社から引き抜きの話があることから、なかなか優秀な会社員だと思われる。
仙川 イオリ (せんかわ いおり)
人材派遣会社の社員である若い女性。引き抜きをするため、詩郎につきまとっている。その様子を見た参平は浮気と誤解し、一人で無駄に悩むこととなった。その後も参平とは妙な縁があり、二人は互いに秘密を共有する微妙な関係となる。
おじいちゃま
礼花の父親。広島県在住。現在は妻と二人暮らし。豪快でおしゃべりが面白く、孫の乃菜は「おじいちゃま」と呼んで慕っている。乃菜は同居している参平のことを「じいさん」としか呼んでくれないので、参平は密かに礼花の父にジェラシーと対抗心を燃やしている。すごく訛りの強い広島弁を話すので、参平には何を言っているかほとんど聞き取れない。
その他キーワード
奥田家の記録 (おくだけのきろく)
『さんさん録』に登場するファイル。奥田参平の妻の鶴子が常日頃からつけていた数々のメモが一冊にまとまった分厚いもの。料理のレシピから掃除・洗濯の仕方など家事に関するあらゆる情報や、家族に関する記録が網羅されている。孫娘の乃菜が虫好きだという細かいことまで記されている。このファイルのおかげで、妻亡き後も参平は主夫として生活していくことができる。