あらすじ
第1巻
野田はじめは無職で子供っぽく、おまけに身勝手な言いがかりばかりつけるので、妻の野田さなえは「今日から他人だ」と家を出て行ってしまう。仕方なく、はじめは団地のとなりに住む清水宅に生協の注文書を渡しに行く。主人が失踪したという清水ようこに誘惑されたはじめだが、ようこは夫の清水けんじが養殖しているさそりを体にまとっていた。その時突然、けんじが帰って来る。(エピソード「さそり妻」)
ある日、カミソリを探していたはじめにいちゃもんをつけられたさなえが、「ゼッペキなのに頭なんか剃るな」と反撃する。するとさなえの貧乳を攻撃対象にしたはじめは、さなえが愛用している、オッパイを大きくする道具を持ちだし、夜な夜なキュポキュポしている事をバカにする。(エピソード「夫婦茶碗」)
はじめは団地の上階に住むおばあさんをおぶって階段を上り、1000円をもらっていた。彼は団地の階段をおぶって上るエレベーターマンになると言い出す。無視するさなえをよそに、はじめは中学の制服をリサイクル。エレベーターマンとなったはじめだが、団地の住人の目は冷たく、子供たちには馬鹿にされる。(エピソード「エレベーターマン」)
暑中見舞いが一枚も来なかったはじめは、友達募集のポスターを団地の掲示板に出す。それを見て訪ねてきた塚田弘は、友達をほしがっているはじめの足元を見て、酒を要求したり、さなえのパンツを盗んだりとやりたい放題。はじめが酒で眠ったスキに、さなえにコンドームのセールスを始めるのだった。(エピソード「珍客商売」)
団地でカメムシが大発生する。ゴミ袋いっぱいのカメムシを捨ててくるよう、さなえに命じられたはじめは、団地を牛耳る前川に注意される。前川の家にゴミ袋に詰めたカメムシを、バズーカ砲だと撃ち込んだはじめだが、前川の逆襲に遭う。更に、さなえは前川に畑のきゅうり泥棒の噂を流される。(エピソード「カメムシ戦争」)
風邪で寝込んださなえに、風邪薬を買いに行かされたはじめだったが、市が回収する不用犬ポストに入っていた犬を拾って帰って来る。はじめは徳次郎と名付けた犬に服を着せ、自分の息子として公園デビューをさせるが、すぐに犬だとバレてしまい、さなえに帰ってくるなと言われてしまう。落ち込んだはじめは、不用犬ポストで徳次郎と共に夜を過ごすのだった。(エピソード「不用家族」)
はじめはとなりのけんじから、たこを六田治の家に届けろと命令される。治は関節はずしの神業を持つ元整体師だった。行く道中で、お腹が痛くなってしまうはじめ。男子トイレが清掃中のため、女子トイレに入ったはじめは、そこでうっかりたこを便器に流してしまう。となりのトイレから出てきたたこをどうにかつかまえたはじめは、洗浄して治の家に持って行く。治はトイレを盗撮していたため、たこが一度便器に流された事を知っていたが、家族の前では言いだせず、結局治の妻と子供はそのたこを食べてしまう。(エピソード「たこ地獄」)
サイクリングに出掛けた野田夫婦だったが、転んだ拍子に、はじめがさなえのスカートを摑んだ事から、スカートは川に流されてしまう。さなえは公衆トイレに隠れ、はじめが家にスカートを取りに帰る事になる。しかしはじめは、家に戻らず干してあるスカートとパンティを盗み、その家の女性から水をかけられる。逃げるはじめは段ボールに入り、たき火で服を乾かすのだが、段ボールに火が移り、そこへ警察が駆けつけ、あせったはじめは段ボールのままドブにダイブする。(エピソード「屈辱自転車」)
団地の上の階の騒音がひどいので文句を言いに行ったはじめは、ピザ屋と間違われる。そこには醜く太った主婦・大山の姿があった。元は美人だったようで、はじめは動物を調教するように大山にダイエットをさせ、生き物を飼う充実感を感じるのだった。(エピソード「脂肪美人」)
さなえの父とさなえの母が野田家を訪れるが、はじめは徳次郎のダニにかまれて、横柄な態度を取ってしまう。怒ったさなえの父は、10万円をさなえのために置いて帰るのだが、はじめはさなえの命令で、父親に金を返しに行く。さなえの父に追い返されたはじめは、ペットショップの台湾ザルを檻から出し、ダニを取ってもらう。だが、一匹が逃走し車に跳ねられた事で、はじめが10万円で台湾ザルを買い取る羽目になる。(エピソード「ダニ三昧」)
ゲイラカイトを上げるために土手に来た野田夫妻と徳次郎。徳次郎はつくしが大好物だった。はじめと徳次郎を残しパートに出掛けたさなえは、帰宅後、ゲイラカイトにつながれた徳次郎がどこかへ飛んでいってしまった事を知る。しばらくして、徳次郎を見つけたというさなえと共に土手に行ったはじめは、徳次郎を血統書付きのプードルだといって連れている貧相なおばさんに出会う。(エピソード「春風徳次郎」)
野田夫婦が団地に越して来た2年前、さなえは幸せだと思った出来事を紙切れに書き、それを入れて置く小箱を「しあわせ箱」と名付け、一つをはじめに渡していた。さなえの「しあわせ箱」を見つけたはじめは、なにも入っていないとさなえをなじり、実家に帰れと言ってしまう。だが自分の「しあわせ箱」はザリガニを入れて死なせてしまったため、捨てていた。その後、はじめはさなえの「しあわせ箱」が自分が捨てたモノだったと気づき、さなえの本当の「しあわせ箱」を見つけてしまう。そこにはたくさんの幸せが詰まっていた。(エピソード「玉手箱」)
第2巻
ゴミ置き場から双眼鏡を拾って来た野田はじめは、向かいの団地をノゾキ見していた。すると、こちらをノゾキ見している人物を発見。相手は少女で、病気で失明するかもしれない事を知る。彼女のために美しいものをスケッチし見せる事にしたはじめ。そんな中、彼女が手術で入院、1か月が経った。(エピソード「近距離恋愛」)
となりの清水けんじ夫婦に待望の赤ちゃんが生まれ、うらやましくてたまらないはじめ。野田さなえが大久保夫婦からもらったというベビー用品を見て、我が家にも待望の赤ちゃんが産まれるのかと喜ぶはじめだったが、さなえに産む予定はない、と言われてしまう。仕方なく、犬の徳次郎にベビー服を着せベビーカーで公園に出掛けるはじめだったが、徳次郎を乗せたベビーカーが盗まれてしまう。(エピソード「アダルトベイビー」)
ぼうやがおばあさんを気球で世界旅行に連れて行ったところ、おばあさんがみるみる若返ったという絵本を、はじめはさなえに読んでもらう。生活苦で疲れ果てたさなえを見て、このままでは確実にさなえが死ぬと思ったはじめは、早速気球作りに取り掛かる。ある日、さなえは高額のガス代を見て驚愕するのだった。(エピソード「気球旅行」)
さなえから一日20円の小遣いしか貰えなくなったはじめは、ガチャガチャでカブトエビの卵を狙う事に熱中していた。ある日、子供からカブトエビの卵を奪ったはじめは、くみ置き用の水差しに卵を入れて育てる事にする。はじめの留守中、ガチャガチャを盗られた子供と母親が家にやって来る。事情を知ったさなえから怒られたはじめは、くみ置き用の水差しに入った卵を子供に渡すのだった。(エピソード「大人のたまご」)
リールを作成したはじめは、ベランダから生ごみを団地のゴミ置き場に投げ込むのだが、それで猫を釣ってしまう。その後、猫でおばあさんを釣ろうとするが失敗。エサにするものがなくなったはじめは、ナベをエサにして投げ込む。すると久々に手ごたえがあり、必死で釣り上げてみると、さなえが釣れていた。(エピソード「妻のヒモ」)
はじめは愛犬・徳次郎の老いぼれた姿を見て、彼の生きた証を残すべく、嫁探しを始める。早速、公園で犬の品定めを始めるのだが、「男の価値は女房の器量で決まる」と言い放ち、飼い主たちとさなえを何とも言えない空気にさせる。その後、豪邸に住むキャンディーというコリー犬こそが徳次郎の嫁にふさわしいと考えたはじめは、徳次郎を庭に忍び込ませるが、徳次郎がキャンディーにマウンティングされてしまう。(エピソード「忘れ形見」)
福引でスキヤキ食べ放題券を当てたはじめは、さなえとスキヤキを満喫する。満ち足りた気分の二人だったが、帰りの電車ではじめが女性から痴漢だと騒がれてしまう。(エピソード「スキヤキ電車」)
はじめは夏を楽しむグッズを生協で勝手に注文する。さなえは文句を言いながらもプールに付き合うが、プールは休みだった。失意のどん底のはじめだったが、家に戻る途中雨が降ってくる。花火を楽しみにしていたはじめは、夜中、部屋で花火を始める。(エピソード「夏の午後」)
さなえが犬仲間を作った事が面白くないはじめは、自分も公園の犬仲間に入るべく、「自分はあとから行くので、マナー袋にうんちを入れている事を誉めろ」とさなえを先に公園に行かす。だが、徳次郎はうんちをせず、あせったはじめは自分のうんちをマナー袋に入れる。公園で犬仲間と合流したはじめだが、マナー袋のうんちがおかしいと愛犬家たちが騒ぎ始める。(エピソード「犬仲間」)
さなえの筋肉ムキムキの下半身に女を感じないと、はじめはイラつく。しおらしく反省し、化粧をしたさなえを見て、はじめは余りの美しさにときめき、さなえを別人のように扱う。だが、風呂から上がったさなえに、はじめはもう一回化粧をしろとどなり散らし、化粧をして別人となったさなえにこっぴどくふられる。(エピソード「仮面妻」)
第3巻
野田はじめがさなえの父に送った、台湾ザルのジョージの誕生日会に招待された野田さなえは、はじめと徳次郎を連れ実家に行く。盛り上がらないパーティの中、はじめがジョージにプレゼントしたシンバルモンキーに興奮したジョージにより、パーティは散々な有様になる。だが、本当は父親の誕生日だと、さなえはさなえの母に耳打ちされるのだった。(エピソード「ハッピーモンキー」)
さなえの財布から宝くじの束を見つけたはじめは、堕落したとさなえを責める。宝くじは、ラッキーが続いたさなえに便乗しようと、前川ら団地の奥さんたちの分をさなえがいっしょに購入した物だった。それを聞いたはじめは、さなえを連れてパチンコに行き、有り金を使い果たしてしまう。(エピソード「ラッキーワイフ」)
買い物を頼まれたはじめは、近所のスーパーを比較検討して、安い食材を買って来た。しかし、余ったお金をガチャガチャに使ったと、さなえに責められたはじめは、一人で生きていくと家を出て行ってしまう。捨てられていたタンスに住み、お供え物目当てで地蔵を借りてきたはじめのもとに、さなえがおにぎりを置いていく。毎日置かれるおにぎりの具が梅干しである事に、はじめは次第に腹を立てる。(エピソード「ロンリー地蔵」)
となりの清水けんじ夫妻宅に、借金取りがやって来る。すると清水夫妻がベランダ越しにはじめ宅に侵入、妊婦を雇ってエロおやじにおっぱいを絞らせる「おっぱい牧場」に出資しないかと持ちかけてきた。さなえは、けんじに泣く泣くへそくりの20万円を渡してしまう。(エピソード「おっぱい牧場」)
クリスマスが楽しみでたまらないはじめは、冷めたさなえの態度が気に食わない。実はおととい、はじめがサンタへの手紙に「美しくて優しい妻が欲しい」と書いていたのをさなえは見てしまったのだった。(エピソード「黙殺サンタ」)
大晦日に神社に初詣に行ったはじめとさなえは、賽銭泥棒に遭遇する。彼は盗んだ賽銭でダルマを調達し、境内で売っているダルマ侍こと清十郎だった。彼からダルマをもらったはじめだが、何度取り換えても不良品ばかり。ある日、はじめがまた不良品のダルマを取り換えに行くと、清十郎は賽銭泥棒の罪で警察に追われ逃げたと神社の宮司から聞かされる。(エピソード「ダルマ侍」)
ソリ遊びをしていたはじめとさなえは、ひょんな事から古利根湖の地下路に閉じ込められてしまう。地下路の向こう側に行けば、出口が見つかるというはじめに従い、出口に辿りついた二人だが、出口の門には鍵がかかっていた。凍死寸前になったはじめは、「天国でまた会えたら」とさなえに愛の言葉を囁くのだった。(エピソード「遭難天国」)
幼稚園で子供たちが可愛がっていたにわとりが数羽いなくなった。現場を通りかかったはじめとさなえは、チキンを懐に忍ばせた清十郎が、にわとり泥棒の件は私に任せて下さいと、女性教師に取り入るのを見ていた。彼が犯人だと思ったはじめとさなえは、夜間にわとり小屋を見張り、さなえが清十郎を小屋に閉じ込める。だが、犯人はにわとりで暖をとろうとしていた園長先生だと判明する。(エピソード「にわとり中毒」)
鼻水が止まらなくなり、タンポンを鼻につめたはじめは、さなえに生理用品を買いに行かされる。タンポンが膨らみ鼻血を出したはじめは、物陰で薬局で買ったナプキンで水分を吸い取ろうとしていたところを、通りすがりの女性に通報される。警察に変質者だと見なされたはじめは、警察官と共に自宅に向かう事になる。(エピソード「タンポン黙示録」)
自分との会話をめんどうくさがるはじめと、楽しい時間を過ごしたいと思ったさなえは、オセロを購入する。無理やりゲームを始めるが、はじめは恐ろしく弱かった。何とか負けてあげようとするさなえに対して、イラついたはじめは、しじみ汁のしじみを使い、オセロ盤の場外で勝負を続けようとする。(エピソード「しじみ汁しみじみ」)
はじめがさなえが作った弁当を食べようとベンチに座っていると、塚田弘がやって来て粗末な愛妻弁当を食べ始め、はじめの弁当も食べてしまう。その後、弘は苦しみ出し帰宅。それを聞いたさなえは、はじめと弘宅に謝りに行く。そんな中、弘の妻アミが昼寝から起き出し、弘の弁当に入っていたのと同じモノをはじめたちに振舞うのだった。(エピソード「愛妻弁当」)
死人のように覇気がないはじめは、チラシを見て墓を購入したいと、無理やりさなえを万光寺に連れて行く。万光寺住職にチラシを見せたはじめだが、そのチラシは結婚資金を貯めたい清十郎の仕業だったと判明。はじめは気に入った骨壺を選ぶのだが、それは自分のモノだと言い張る住職と揉め、清十郎も交えて大騒動になり、墓がドミノ倒しのように倒れてしまう。(エピソード「極楽ちょんぼ」)
第4巻
断水で団地の住人が困っている事を知った野田はじめは、団地の芝生に井戸を掘ろうと奮闘する。だが前川と揉め、団地の住民がザワつき始める。野田さなえはとなりの清水ようこが「井戸があれば」とはじめに言ってしまった事を聞き、みんなのためにがんばるはじめと共に井戸を掘り始める。(エピソード「青の広場」)
清水けんじ夫妻に城ヶ島に誘われた野田はじめ夫妻。遊覧船に乗り遅れた一行は、ナチス風の軍服に身を包んだ艦長・土門光の小型船に乗るのだが、彼のサービスをことごとく無視したために、無理矢理小島に上陸させられる。土門に服従させられた一行は、トンボロ現象(引き潮時に小島がつながる現象)に遭遇、土門を引っぱたいて城ヶ島に渡る事に成功する。(エピソード「ドモンホルム先生」)
「もう仕事やめる」とのさなえの寝言を聞いてしまったはじめは、翌日無理やりさなえを息抜きに連れ出す。猫の米吉と遊んだり、ウナギを獲ったり、すいかを収穫したりと休日を満喫した二人。最後に秘密の入り口から団地の屋上に上がった彼らの目の前には、美しい夕焼けが広がっていた。(エピソード「妻の寝言」)
車に乗った気味の悪いストーカーにつけられたさなえは、はじめに相談する。自分がおとりになると化粧をしたはじめだが、悪目立ちするため、さなえがおとりになる。段ボールに隠れながらついて行ったはじめだが、さなえが車で連れ去られてしまう。それはさなえを心配したさなえの父の仕業だった。(エピソード「夜の罠」)
ある日、はじめは家のポストを覗いていた少女に遭遇する。「鍵がないので帰れない」と言っていた少女のために鍵を探すはじめだったが、さなえは生協である噂を耳にする。それは両親が共働きの少女が鍵をなくし、自力で窓から入ろうとして転落死、この季節になると目が飛び出て骨がグニャグニャになった少女が目撃されるというものだった。恐ろしくなった野田夫妻は万光寺住職に供養を依頼する。(エピソード「めめちゃんの鍵」)
食パンのシールを集めると貰える皿を、さなえは、いつのまにか服の袖についていたシールも使って貰って来た。それを万引きだと見なしたはじめは、皿をスーパーに返しに行くが、置き場所に困り、試食コーナーの皿と取り換えてしまう。だが、はじめは取り換えた皿の処理に困惑。さなえが様子を見に行くと、はじめは試食コーナーで勝手に働いていたのだった。(エピソード「どろ女房」)
あこがれの二段ベッドが野田家にやって来た。組み立てに戸惑いながら、幼い頃の二段ベッドへの想いを語り出す二人。だが、二人は共に上段で寝る事しか頭になく、じゃんけんでさなえが上段で寝る事に決まる。さなえはすねたはじめに、いっしょに上段で寝ようと慰める。(エピソード「二段ベッド」)
となりの清水夫婦が引っ越すと聞いて、はじめとさなえは嬉しさを抑えきれない。だが、さなえは清水夫婦に20万円を騙し取られたままだった。二人が清水家の引っ越しを手伝いに行くと、高級住宅地に引っ越すと自慢され、こき使われる。そんな中、タンスから50万円の現金を見つけたさなえは、20万円を抜きとる。だがその後、清水夫婦は夜逃げを隠していた事が判明。同情したはじめは、自分たちが見つけたタンスの金の存在を清水夫婦に明かす。(エピソード「隣人グッバイ」)
休みの日にさなえははじめにたたき起こされる。朝ご飯を作れとうるさいはじめに、自分一人が家事も仕事もしなければならないのは不公平だとキレる。プロポーズの時もなかなか言えないはじめを見かねて、さなえが「いっしょに幸せになろ」と助け舟を出したのだ。もう他人でいいというさなえに、今から自分がプロポーズをすると意気込むはじめだったが、異様に緊張した状態のまま、結局何も言えないのだった。(エピソード「夫婦平等条約」)
はじめはさなえにお腹が出てきたと指摘され、徳次郎の散歩に行かされる。その後、はじめは重兵衛というたくましい犬を連れ帰って来る。金持ちのお嬢様が小さい犬がいいとだだをこね、はじめは徳次郎と交換してきたという。重兵衛は高い肉しか食べず、必然的に野田家の食生活は圧迫され、はじめはダイエットに成功。1か月後、金持ちの家の執事が重兵衛を迎えにやって来た。(エピソード「ミートボール」)
ガーデニングを始めた前川の影響で、さなえも「金づる草」というツタのような植物を育てる事にした。はじめはその草についていた虫に「壱介」と名付け、壱介亡き後もその子供たちを殺さぬよう、さなえに殺虫剤を禁じた。1か月後、「金づる草」は物凄い勢いで階下に伸びて行き、怒った前川がツタを伝って登って来た。(エピソード「貧者の庭」)
第5巻
初日の出を見に行く車中、今日だけはケンカをしない約束をした野田はじめと野田さなえ。初日の出を見ながら食べようと持参したおせちがショボく、はじめは海で鯛をとろうと言い出した。二人で海に入るが、先に上がったはじめがタイ焼きを食べたいと言い出す。だが、さなえのコートに財布は見当たらない。仕方なく、さなえ一人が海の中を探していると初日の出が顔を出す。(エピソード「初日の出」)
前川を突き落とした治療代30万円に頭を抱えるさなえは、思い詰めひどい形相になっていた。はじめはそんなさなえを、清水けんじ宅に20万円返せと言いに行かせる。だが、さなえはけんじに50万円するという大名茶碗を持たされる。仕方なく二人は茶碗を持って質屋に赴く。質屋のおやじがお涙頂戴の話に弱い事を知ったはじめは、茶碗で2万円を手に入れる。そんな中、普段にも増してみすぼらしい恰好で質屋通いする二人を見た前川は、良心を痛める。(エピソード「貧者のマーチ」)
梅雨時、はじめ宅に汗だくの見知らぬ女がやって来た。彼女はタカシの担任の鈴木だと名乗り、はじめを教え子のタカシの父親だと勘違いして家庭訪問を続ける。汗っかきの彼女を見て、はじめは遊び心でストーブをつけ、鈴木が汗だくになった時、さなえから洗濯物を外に干せとの電話が入る。(エピソード「タカシ君を待ちながら」)
はじめの22歳の誕生日。さなえが帰宅すると、はじめは自分が見た悲しい夢を語りはじめる。彼は成功者となり、南の島で妊婦のさなえと優雅に暮らしていた。その島には22歳になると火の川を渡る試験を受けるシキタリがあった。なんとかやり遂げたはじめは村民に勇者と称えられ、無事出産したさなえに、少し眠ると告げたあと、老衰で亡くなるのだった。(エピソード「恍惚アイランド」)
さなえがリフレッシュするために映画に出掛けようとすると、はじめがついて来た。映画館で大量のポテトを買ったはじめだったが、前席の男性の座高の高さで映画に集中できない。一方、さなえは映画を満喫。ポテトの食べ過ぎでおならをしたはじめの周りには誰もいなくなり、さなえの姿も消えていた。(エピソード「淋シネマ」)
団地の屋上にセーラー服の女の子を見つけたはじめ。彼女ははじめが駆けつけると、人生に自信が持てないと語り出す。怖くなったはじめはさなえに相談。はじめのあとをつけたさなえは、女の子が屋上から降りて来るのを見て一安心。女の子は、傘をさして飛び降りてみたら飛べるかもとはじめに勧められ、無理だと答えると、「やる前から結果を出すな」とはじめに激怒され感動したと言うのだった。(エピソード「飛ぶ女」)
はじめは賃貸物件を探し不動産屋に入る。担当のバカの女は、人が住んでいると思われる物件を案内し、その部屋の家具を捨ててしまう。その後、女が部屋を間違えていた事が判明。はじめと女は互いにバカだとののしり合う中、部屋の住人が帰って来る。(エピソード「バカの部屋」)
はじめは自分のあとに風呂に入るさなえが、入浴剤を入れているのが気に入らない。はじめが問い詰めると、さなえは変なモノがいっぱい浮いているからだと答える。傷ついたはじめを気遣い、さなえはただのリフレッシュだと言い直す。気を取り直し、二人はお互いをマッサージし合う事にするのだが、干からびたカエルを生き返らそうと風呂に入れたので、自分の方が疲れているとはじめが主張し、さなえは激怒する。(エピソード「ふれあいマッサージ」)
さなえの父の生前葬にさなえとはじめは嫌々出席する。勝手な注文やリクエストで親戚一同をイライラさせたさなえの父親に、はじめは皆が大迷惑していると言い放つ。するとさなえの祖母が泣き出し、さなえの父親の幼い頃の感動エピソードを話し出す。(エピソード「生前葬」)
さなえの祖母から、若い頃河童を見た話を聞いたはじめは、河童を探しに出かけてしまう。心配したさなえが祖母の家に行き、はじめを探すと、金が払えずタクシーの運転手にボコボコにされたはじめが、河童のような姿で現れるのだった。(エピソード「河童伝説」)
はじめは幸福団地の主婦を相手に、卑猥な形をした野菜を売っている峰岸を訝しんでいた。はじめはさなえのあとをつけ、峰岸宅で密会していた事実を突きつける。さなえは家庭菜園について聞きに行った際、峰岸家の子供たちにもみくちゃにされたと言い返す。(エピソード「峰岸くんのナス」)
第6巻
野田さなえがスーパーの懸賞で当てた「大江戸時代劇村」のペアチケットで、行楽を楽しむ事にした野田はじめ夫婦。水戸黄門のコスプレで、「この男をつかまえたら10万両」というイベントに参加するも、「この男」は二人の知り合いで、先ほども見かけた清十郎だった。(エピソード「黄門フェスティバル」)
愛犬・徳次郎をほめて育てると言い出したはじめは、さなえに徳次郎を叱る事を禁じる。そのかいあって食卓に乗らなくなった徳次郎は、更にいい子になり、さなえははじめの事もほめて育てようと思いつく。(エピソード「希望の芽」)
チャリティーの精神に火がついたはじめは、小学校のチャリティーバザーで、自分が食べるのを我慢した米を出品する。だが米は売れる気配がなく、空腹を我慢できなくなったはじめは、チャリティーのお代をくすね、出店で豚汁を食べてしまう。(エピソード「餓鬼バザー」)
眠れないはじめは自分の出てくるお話をしてくれとせがみ、さなえは「なまけむし」の話を聞かせる。みんなが栄養を蓄える時に寝てばかりいたなまけむしは、皆がさなぎになる季節に眠れなくなり、みんなが飛び立った頃、ポロリと葉から落ち死んでしまう、という話だった。(エピソード「なまけむし」)
春、はじめとさなえはつくしを取りに土手を訪れた。はじめはモグラの穴を観察していたが、ゴルフボールが穴を塞いでいた事から、土手で練習しているゴルファーに文句を言いに行く。モグラに迷惑をかけたと落ち込むゴルファー。だが、徳次郎がモグラをくわえているのを見たはじめは、モグラを解放するべく、素晴らしいスイングを披露し、徳次郎にボールを追わせる。(エピソード「モグラスイング」)
4日もお風呂に入っていないはじめは、さなえにクサいと言われ、さなえの匂いを嗅ぎ返す。さなえの匂いが牛印石鹸だと気づいたはじめは、新婚当初の初々しかった頃を思い出すのだった。(エピソード「愛のニオイ」)
スーパーの生きたどじょうを助けるため、さなえのへそくりを盗もうとしたはじめは、そのお金がさなえが外食用に置いていた2000円だと知り、今すぐ外食したいと言い張る。居酒屋に入った二人は予算オーバーしないようオーダーしていたのだが、酔ったはじめが自分の夢が恩返しする事だと語り出し、先が聞きたくなったさなえははじめにビールを勧めるのだった。(エピソード「僕の恩返し」)
万光寺住職が経営拡大のため、人生相談の募集チラシを制作するも、感謝のお便りの欄に載せるエピソードに行き詰っていた。そんな時、住職は不幸そうな表情をしているさなえに出会い、その後、蝶々に生まれ変わろうとさなぎのような姿になっているはじめを見かける。住職はそれをもとに、さなえのエピソードを捏造。それを見たさなえは住職に文句を言いに行くが、はじめの奇行を止めるべく怪しい壺を勧められる。(エピソード「畜生イマジネーション」)
となりの清水けんじに呼び出されたはじめは、妻の清水ようこが浮気をしているので、妻を見張り子供の世話をしろと、手錠を渡される。しばらくおとなしくしていたようこだが、浮気相手から電話があったあと、はじめを使い身支度を整える。浮気相手に会いにいくと気づいたはじめだが、浮気相手のもとに連れて行ってくれと泣きつかれ、ようこをカーテンに包み運び出そうとする。(エピソード「獄中マダム」)
はじめとさなえは花火大会のため、夫婦揃って浴衣を買った。だが、さなえは浴衣をうまく着る事ができず、ゆるゆるの浴衣姿のまま出発。開場に間に合わなさそうになるや否や、さなえははじめに思い切り自転車を漕がされ、高台を全速力で登らされる。(エピソード「今夜はロマンチカ」)
前川は団地の美少年・峰岸と接近するため、地区対抗の創作ダンスを毎日練習しようと言い出す。翌日、はじめとさなえが集会所に行くと前川以外誰も来ておらず、気の弱そうな根本という主婦が遅れてやって来た。士気が下がる中、前川は帰り、前川の用意したテープで三人は練習する事になる。(エピソード「愛のダンス」)
第7巻
野田はじめと野田さなえはさなえの父から「助けてくれ」との電話を受ける。さなえの実家では、さなえの父が凶暴化した猿のジョージに、半殺しの目にあわされていた。さなえの母の不在中、ジョージは狂暴化するという。さなえの父が溺愛するとみんな怒りっぽい性格になるというはじめの発言で、さなえの父とはじめがケンカを始める中、凶暴化したジョージの攻撃が始まった。(エピソード「クソオヤジ」)
となりの清水けんじに妻の清水ようこの妊娠がウソかもしれないと相談されたさなえ。妊娠すると男が優しくなり、情緒不安定になっても許されると思っている、とけんじは不信感を抱いていた。だが経験不足で話にならない、とバカにされたさなえは「妊娠百科」という本を購入。はじめはさなえが妊娠したと単純に喜ぶのだが、自責の念にかられたさなえは情緒不安定になる。妻が妊娠すると夫が優しくなると実感したさなえは、けんじに奥さんの妊娠はウソだと自信満々に言うのだった。(エピソード「マタニティーブラック」)
野田夫婦は、週末に登山に行く事にした。色々と想像しながら明日の準備をするのも楽しいとさなえが言い出すと、はじめの想像力はエスカレート。想像上の熊の出現で窮地に陥ったはじめは、さなえの厚手のコートを破ってしまう。(エピソード「絶頂マウンテン」)
愛犬・徳次郎に親の務めを果たそうと、はじめはさなえを連れ、ペットショップにおもちゃを買いに行く。そこにいた徳次郎そっくりのジャーマンシェパードの子犬が、一匹30万円で売られているのを知る。さなえは、メスのジャーマンシェパードを購入し一儲けしようと、ブリーダーに連絡を入れる。(エピソード「雑な作りのブギ」)
近所の子供たちからダンゴムシを助けたはじめを、一人の少年が追いかけて来た。虫についての知識と虫に対する独特のストイックさから、少年ははじめを先生と慕うようになる。ある時、少年がイジメられているとはじめに打ち明けるのだが、雨風のせいで帽子が飛ばされ、少年が女の子だった事が判明する。(エピソード「虫けら先生」)
さなえの父がグローブとボールを野田家に送りつけてきた。さなえの父はさなえに恋人ができれば、その相手とキャッチボールをし、さなえにふさわしい男性かどうか見極めると、中学時代のさなえに語っていたのだ。さなえの父が今からこちらに来ると言うので、あせったさなえは、はじめにキャッチボールの特訓を始める。(エピソード「パパの思い出」)
拳銃の処分に困ったけんじは、布でくるんだ拳銃を、中身を言わず小心者の野田夫婦に押しつける。中を見たはじめとさなえは正気を失う。二人が拳銃を処分しようと歩くうち、はじめは冷酷なスナイパーになりきってしまい、土手でさなえの頭に空き缶を乗せ、撃ち抜こうとする。(エピソード「悶絶スナイパー」)
職場の給食センターで倒れたさなえは、早退をする。電話ボックスからはじめに迎えに来てと頼むが、はじめは飼っているカタツムリのエサの心配ばかり。心配させてやろうと決めたさなえは鼻をつまみ、「妻を拉致した」と再びはじめに電話する。ちょうど通りかかった職場の班長は、電話ボックスで座り込んでいたさなえを家に連れ帰る。その後、さなえのカバンを電話ボックスに取りに来た班長は、電話ボックスの中で大量のカタツムリにまみれているはじめを見て絶句、鼻をつまみさなえのカバンを取ろうとしたところ、はじめに「妻を拉致したのはお前か」とからまれる。(エピソード「ロンリーエスカルゴ」)
はじめがキッチンに身を潜めてさなえを驚かそうと待ち構えていると、知らないおじさんが入って来た。おじさんは、金目のモノを物色しさなえのへそくりを見つけるのだが、その時さなえが帰宅。おじさんは、はじめが隠れている横の戸棚に身を潜める。くつろぎ始めたさなえは、キッチンであられもない姿を晒す。その後、さなえはへそくりがなくなっている事に気づき、何のために生きているのかと泣きはじめる。(エピソード「覗キッチン」)
新車を手に入れたさなえの父は、日帰り温泉にさなえを誘いに来る。当然はじめもついて来るのだが、さなえの父は、さなえが「旅を楽しむ我が家のルール」をほとんど忘れている事に落ち込む。気を取り直し、家族風呂に入ろうとする父親を、さなえは拒否する。だが「必ず夕陽を見る」というルールを待ち望んでいた父親の悲しむ姿を見て、さなえは家族風呂でいっしょに夕陽を見る事にするのだった。(エピソード「ダディの慕情」)
「池の主」と呼ばれる魚が気になるはじめは、さなえとボートでデートする事になる。張り切ったさなえのメイクはかなり濃いめになってしまう。ボートに乗ったはじめは、「池の主」と思われていたものが実は杭に生えた草だったと知り、一気にやる気を失う。一人ボートに残されたさなえは意地になり、ボートで転覆。さなえは杭にしがみつき、はじめに助けを求めるのだった。(エピソード「怪奇デート」)
第8巻
峰岸の計らいにより、家庭菜園をする事になった野田さなえ。だが野田はじめは峰岸を詐欺師と決めつけ、悪態をつく。数日後、はじめの植えたスイカに乾燥を防ぐシートをかぶせてくれた峰岸の親切に感涙したはじめとさなえ。二人は峰岸の畑の野菜が害虫だらけなのを発見し、駆除するのだが、はじめは怒り狂った峰岸に殴られる。(エピソード「やさしいやさい」)
さなえが作ったパサパサのホットケーキに落胆したはじめは、愛のあるホットケーキを食べに行くと出て行ってしまう。「愛のあるホットケーキ」を注文したはじめだが、喫茶店のおばさんは、はじめの家に行こうと言い出す。彼女は亭主に浮気され、ヤケになっていたのだ。はじめ宅で、おばさんは裸にエプロン姿になる。そんなおばさんのホットケーキを食べ終える事に恐怖を感じたはじめは、どんどんおかわりを頼むのだった。(エピソード「ホットケーキ愛」)
さなえが足をねん挫し、病院に行けないとはじめにおんぶを強要する。雪駄の鼻緒が切れてしまい、履き物がないはじめは、ローラースケートを履いてさなえをおんぶする。病院まで恐ろしく時間がかかる中、はじめも足首をねん挫。困った二人は片足ずつローラースケートを履き、呼んだ救急車の後ろに捕まって、消防署に到着。その時、幸福団地7号棟から火災発生の報せが届く。あせった二人は再び、消防車の後ろに捕まるのだった。(エピソード「ローリング夫婦」)
粗大ゴミに出そうとしていたテレビが突然映るようになり、さなえは食事の時間もテレビに夢中になってしまう。怒ったはじめだが、さなえにつまらないと言われてしまい、さなえを楽します事に奮闘。はじめはさなえと相撲を取り、テレビに頭から突っ込んでテレビを壊してしまう。(エピソード「暗妻テレビ」)
はじめとさなえは、団地の火事で焼け出され、集会所で暮らしているおじいさんに差入れを持って行った。自分とルックスが似ているおじいさんに大いに同情したはじめは、彼を家に連れて帰る。だが、夜中に恐ろしい形相のおばあさんが野田家のドアをドンドン叩くのだった。(エピソード「my老人」)
便秘に苦しむさなえは、同窓会に行くまでにスッキリしたいとあせっていた。そんなさなえに悪態をつくはじめだが、昔告白された江藤に会う事を楽しみにしているとさなえは反撃。はじめは反省し、さなえの日に日に膨らむお腹をマッサージする。次第に、膨らむお腹に赤ちゃんがいるような気がしてきたはじめは、さなえが飲もうとした便秘薬を全部飲んでしまう。(エピソード「お久しブリッ」)
生前、はじめの母は、風呂に入りながら、「たとえ死んでもお空から鳥になってはじめを見守っている」と言っていた。その時の母親の濡れた黒髪を思い出したはじめは、餌付けしようとしているカラスが自分の母ちゃんだと確信。一方、カラスがゴミ置き場を荒らしていると聞いたさなえは、ベランダにいる大量のカラスを追い払う。(エピソード「カラスのカァちゃん」)
風邪をひいたはじめは睾丸が痛いと言い出す。子供ができなくなる事を恐れたさなえは、はじめを病院に連れて行く。道中、熱くなった睾丸を心配したさなえは、公園の水道ではじめの睾丸を冷やす。はじめはさなえに「自分より睾丸の方が大事なのか」とわめき、さなえに買ってもらった熱々のコーンスープを睾丸にかけてしまう。(エピソード「タマには愛して」)
万引きGメンとなったバカの女は、スーパーではじめを捕まえる。彼女はさなえを電話で呼び出すが、さなえははじめが盗みなどしていない事に自信があった。はじめを真っ裸にし、盗みをしていない事を証明したさなえに対し、女は服を脱ぎ、盗んだ事にしてくれないと服を着ないというのだった。(エピソード「バカの罪」)
子供の頃に開発工事現場で土器が発掘された事を思い出したはじめは、さなえと共にその森に行ってみる。二人は土器のかけらを大量に発見、つなげてみると皿になった。持参したおにぎりをその皿に載せて食べた二人だったが、更にかけらを組み立てると、人間の頭蓋骨になってしまう。(エピソード「土器ドキ探検隊」)
はじめとさなえは徳次郎を狂犬病の予防注射に連れて行くのだが、さなえはそこで、目をむき出しヨダレを垂らしたた狂犬のような犬に嚙まれてしまう。今は日本で狂犬病は発生していないが、致死率は100%と病院で言われたさなえは、死を覚悟する。翌日自分が書いたはじめの履歴書を彼に渡し、働くまで家には入れないと追い出すのだった。(エピソード「男の履歴書」)
第9巻
祭りに出掛けた野田はじめは、妻の野田さなえの普段着姿にガッカリしていた。一方のさなえは、昔自分の事を好きだった森山を見つけ、彼をガッカリさせるのがイヤでお面を買ってかぶってしまう。そしてさなえは浴衣に着替えるため一度家に帰る。しばらくして現れた浴衣姿のお面の女をさなえと勘違いしたはじめは、リンゴアメや金魚すくいをねだる。そんな中、小学校の頃に好きだった女の子を覚えているかとお面の女に尋ねられたはじめは、「オレの初恋の相手はおまえだ」と答えるのだった。そんなはじめを、仮面の女は学校の裏へと連れて行く。(エピソード「ガッカリ祭り」)
はじめとスーパー銭湯に出掛けたさなえは、他人のシャンプーを勝手に使ってしまう。さなえが湯船に入ると猿山のボスのような女性から、静かに入れと怒鳴られる。一方、さなえが使ったシャンプーの持ち主は、また違う人のシャンプーを使っていた。すると猿山のボスは、自分のシャンプーが使われた事に気づき、入浴している女性たちを並ばせる。震え出したさなえともう一人の女は、猿山のボスにサウナに閉じ込められてしまう。(エピソード「戦闘銭湯」)
さなえの父は、さなえの母がフランスに行きフランス人と不倫していると、さなえとはじめに相談する。さなえの父は、二人に瓶に入った人形を見せ、昔さなえの母がフランス人のボーイフレンドからもらったものだという。それが不倫の理由だという父親とはじめは小競り合いになり、人形を壊してしまう。(エピソード「私の人形」)
さなえは同じ団地に住むキノコ狩り名人のおじいさんとひょんな事から親しくなり、はじめも交えいっしょにキノコ狩りに行く。そんな中、はじめはその名人の言動を怪しむ。後日、はじめはさなえの貞操を守るべく、名人からの誘いを断るのだが、マツタケ狩りと聞いて目の色を変える。そんなはじめは名人に、山奥に連れて行かれるのだった。(エピソード「キノコハンター」)
電気代をガチャガチャにつぎ込んでしまったはじめは、電気が止められた事をさなえに感づかれまいとあせっていた。一方、さなえは入籍記念日を当時のように二人で祝おうと、ロウソクの灯りで、ワインを飲もうと言い出した。さなえが寝たスキに、さなえの財布を盗み電気代を払いにいこうとしたはじめだが、さなえがブレーカーを下していただけだと知り、電気代を使い込んだと口を滑らせてしまう。(エピソード「乙女の灯火」)
洗濯機に入れたはじめのズボンから自分の写真を見つけたさなえ。自分もはじめの写真を持ち歩こうとするが写真嫌いのはじめの写真は一枚もない。隠し撮りしようと隠れていたさなえだったが、はじめはさなえのドレスに着替えうっとりしだす。(エピソード「秘密のブロマイド」)
302号室に住むさなえは、304号室に越して来た素敵な花園夫婦と挨拶を交わす。その後、はじめの悪戯により、ベランダに締め出されたさなえは、ベランダの仕切りを破り、303号室の渡辺家に醤油を借りに来たと言い訳し、渡辺家の玄関から家に戻る。あせったはじめはベランダから逃げ、304号室の花園家に辿りつく。追いかけたさなえが仕切りを蹴破ると、304号室では花園夫妻が夫婦生活を営んでいた。(エピソード「ベランダランナー」)
清十郎から結婚式に招待されたはじめとさなえだが、仏前式だったせいでほかの客は誰も来ず、さなえは花嫁に同情する。そんな中、清十郎から、こんな薄謝では式は挙げられないと言われたさなえは怒り心頭。さなえは式を自分が取り仕切ると言い出す。(エピソード「墓場の花嫁」)
地震の恐ろしさを体験して、危機管理能力の大切さに目覚めたはじめは、机の下で生活を始める。机の下から出られず、食料を調達できなかったはじめは、再びの地震でパニックに陥り、さなえの危機管理能力の高さを目の当たりにする。(エピソード「激震女房」)
さなえは素敵だと思っていた3万円の中古車をはじめといっしょに見に行き、二人ともその族車がほしくなる。そこで自分の車の査定額がゼロだった前川と遭遇、車の運転を練習をさせてくれるという。前川は二人から修理代をふんだくる魂胆だった。前川は運転が上達したさなえに、川に向かって猛スピードを出し止まる練習をさせるのだが、二人が乗った車は川に流される。(エピソード「カーライフ」)
はじめとさなえは、急激に目が悪くなったはじめのために眼鏡屋に行く。二人が買える金額から選んだ眼鏡はキテレツで、さなえは笑いをこらえるのに必死。しばらくするとさなえも目が悪くなり、再び眼鏡屋で似合わない眼鏡を買う事になる。その後、眼科に行った二人は栄養失調だと言われてしまう。(エピソード「眼ショック」)
第10巻
野田さなえから本当の事を言えばホメてあげると言われ、野田はじめはさなえの歯ブラシを愛犬・徳次郎の歯磨きに使ったと白状する。さなえに殴られたはじめは、今後は噓をつきまくってやると心に決める。愛してる、キレイだ、美しい、と言い続けたはじめは何が本当かわからなくなってきていた。一方、このままでははじめとのあいだに子供ができてしまうと思ったさなえは、今後の養育費を思い気が狂いそうになる。(エピソード「噓の楽園」)
ママレードの瓶を開けてとさなえに頼まれたはじめだが、開ける事ができず、「どうせ私なんか男らしくないわよ」と女言葉を使い出す。イラついたさなえは、サラシにフンドシ姿になり男になりきる。そんなさなえにはじめはママレードの瓶を開けてと頼むのだが、さなえはあっさり開けてしまう。(エピソード「ままれーどすとらいき」)
「オレがいなくなったらどうすんだ」とはじめに聞かれたさなえは、何も困らないと答える。傷ついたはじめは家出。困らせようと悪戯を仕掛けるはじめに、さなえは「この世からいなくなりなさい」と言ってしまう。本当に死んでしまうのではないかと心配になったさなえは、はじめを探しまわる。その様子を見ていたはじめだが、家に帰ってこないさなえが心配になり、さなえが死んだのではないかと、泣きながら探しまわる。(エピソード「踊り場逃避行」)
はじめの奇行のせいで、さなえは体の不調を感じる。更に髪が抜けだしたさなえは、はじめを押し入れに閉じ込める。はじめはさなえの髪が抜けて化け物になるのではと恐れ、押し入れに入り続ける事を決意。はじめがいない事でリフレッシュしたさなえだが、再び体調不良になる。一方、はじめは気が狂った猿のように自分の手を嚙んで、押し入れの中で我慢し続けていた。(エピソード「抑圧ガラパゴス」)
さなえはリサイクルクラブに入会する。はじめは壊れたラジカセを持って行き、さなえは鍋を持って行く。だがサイクリングクラブの間違いであり、サイクリングクラブの連中に馬鹿にされたはじめは、連中より先に到着してやろうと、彼らの自転車をパンクさせる。追いかけて来た連中を引き離したさなえは、はじめと鍋とラジカセを下し、自分がおとりになると言い残し、自転車で走り始める。(エピソード「再利用クラブ」)
いきなりトイレを借りに来た大木コースケは、となりの棟に越して来た小学生で、はじめにジュースを飲ませてくれと言う。次の日もやって来たコースケは、「本当は淋しいんでしょ」とはじめの核心を突く。次の日も訪れた彼は、野田家の子供のように振舞うのだが、さなえたちに子供がいない事を知り、驚いて帰ってしまう。(エピソード「淋人愛」)
法事への出席を拒否したはじめは、さなえに生協の受取りを頼まれる。大人の集まりが苦手なはじめだったが、生協に行くと、そこにはジャージ姿の女の子しかいなかった。女の子をからかったはじめはムッとされてしまい、後日彼女に謝りに行き、「大人になんか相談してみろ」と大人ぶる。女の子は「パパが毎晩求めてくるのがキツい」と言うと、荷が重すぎる相談内容に、はじめは泣きだしてしまう。(エピソード「完熟ジャージ」)
面倒くさがりのはじめに、全部お前が決めろと言われたさなえは、はじめのスケジュールを決め、この通りに動かないと布団叩きで引っぱたく事を決めた。買い物に出かけたはじめは、犬に嚙まれても笑っているやさしいおじさんに出会う。自由だからルンペンになったという彼の小屋には、壁一面に絵が描かれていた。ルンペンとは妖精の事だと思ったはじめは、早速家の壁に落書きを始める。(エピソード「妖精の家」)
貯金箱を買ってきたさなえは、毎日100円貯めると言い出し、はじめと何日貯めたら何を買いたいと希望を語り合う。だがお互いのプランが気に入らずケンカになる。いっその事、10年間貯めたとして36万円で何を買おうかという話になるものの、二人とも欲しい物が思いつかない。(エピソード「富豪プラン」)
若い頃のさなえの父は、プロのミュージシャン志望だった。ギターを手に取り、さなえに歌を聞かすべく野田家を訪れるが、相手にされない。度胸がないにもかかわらず、路上ライブをやると出て行った父親の前に、はじめが観客として現れた。(エピソード「父の歌」)
はじめはさなえが作った料理に愛がないと嘆く。はじめの母はもっと手際よく作っていたとはじめは言い、さなえはその味を超えようと奮闘。だが、はじめに料理をダメ出しされたさなえは、忙しかったはじめの母は超スピード手抜き料理を作っていたのではないかと推測、煮込み足りないカレーを食卓に出してみる。(エピソード「おいしい記憶」)
第11巻
野田はじめのとなりの住民・清水けんじは妻の清水ようこをイタコに見立て、降霊させる商売を始めた。ようこが妻を亡くしたロマンスグレーの男性客とねんごろになった事を知り、けんじはイタコ商売を辞めると言い出した。だがようこは、けんじが恐れるじいちゃんを降霊させ、けんじを怯えさせる。(エピソード「ナイトメア憑依」)
楽しみにしていた通販の服をはじめに汚された野田さなえは、怒って家を出て行ってしまう。積み木にさなえと自分の顔を描きながら待っていたはじめだが、待ちくたびれ、積み木を窓から投げ捨ててさなえを探しに出掛ける。だがさなえは見つからず、途中でさっき投げ捨てた積み木を見つけたはじめは、途方に暮れ人形遊びをはじめる。(エピソード「宵待男」)
古タイヤの下にいるザリガニのマッカチンを釣ろうとしていたはじめに、悩み多き中3男子が、「お兄さんは仕事をしないで大丈夫なんですか」と話かけてきた。「オレは仕事をするために生まれてきたんじゃねぇ」というはじめの言葉に感動した男子。彼は恋に悩んでおり、意気投合したはじめに恋愛相談。男子ははじめに「マッカチンもメスには強気で行く」と言われ、意中の彼女を追いかける事にする。(エピソード「ザリガニ説法」)
さなえははじめとケンカしなかった日はチョコボールを買ってあげる事にした。それを知ったはじめとさなえの仲はしばらくよかったが、次第にさなえはチョコボール欲しさにはじめが我慢している事に耐えられなくなる。(エピソード「仲良しボウル」)
新聞の勧誘でもらうビール券で、普通に買い物ができると知ったさなえの悔しさは尋常ではなかった。強面の新聞勧誘員の営業マン相手に強気で対抗する事にしたさなえは、しこたまサービス品をせしめ、契約する事にする。だが既に月末であり、1か月無料購読がほとんどできない事に気づく。(エピソード「新聞テクニシャン」)
はじめとさなえは、土手で腰痛に聞くカミツレを探していた。四葉のクローバーを見つけた小説家志望の山村桜は、はじめに「きれいじゃねえか」とつぶやかれ、恋に落ちたような気になる。小説家にはトゥルーラブが必要だと思っていた桜は、はじめをスキンヘッドのラッパーだと美化してしまう。そんな中、桜は公園の木馬に乗っているはじめに話しかける。(エピソード「現実ロマンス」)
はじめが網戸を破ったので、寝苦しい夏の夜を締め切った部屋で寝なければいけなくなった野田夫婦。はじめは布団を水で濡らし、余計に蒸し暑くなる。仕方なく裸で寝る事にしたさなえの姿にはじめは照れ、余計にムンムンしてしまう。(エピソード「ムンムンムーン」)
尊敬し合う夫婦には平和が訪れるという新聞記事を見たさなえは、「あなたは私を尊敬してる?」と尋ねる。お互い尊敬していない事が判明し、ムッとしたさなえは新聞で華麗な手品を披露、はじめに尊敬される。次々に手品を披露したさなえのネタは尽き、鳩の手品をねだられたさなえは、苦し紛れに買い物に出掛ける。(エピソード「尊敬ポッポ」)
はじめは、寝る前に日記をつけて楽しんでいるさなえが気に入らない。対抗して自分も日記をつけると宣言したはじめだが、書く事がまったくない。はじめは自分の日記をさなえが見るよう誘導し、さなえが日記を見るや否や、自分もさなえの日記を見る事に成功する。(エピソード「秘部日記」)
空き巣に目をつけられた前川は、番犬に徳次郎を貸してくれと野田家に頼みに来る。泣く泣く徳次郎を貸したはじめとさなえだが、はじめは徳次郎が心配でこっそり前川宅に忍び込み、前川に泥棒と間違えられる。(エピソード「軟弱ハウス」)
第12巻
ヨレヨレのTシャツがみっともないと野田さなえ怒られた野田はじめは、自分と同じようにヨレヨレのTシャツを着て、ガチャガチャをする沢田という女性を思わずひっぱたいてしまう。さなえに謝ってこいと言われたはじめは、沢田の家を訪ねる。沢田の部屋はゴミであふれていたが、一部屋のみ綺麗に片付いていた。交通事故で旦那と子供を亡くした沢田は、すべてがどうでもよくなったと泣くのだった。(エピソード「弛緩妻」)
出産時50万円、育児費用3万円を公約に掲げている徳永えいじろうが市長になれば、自分も赤ちゃんを産めるとさなえは希望を持つ。さなえは選挙権を持つはじめに、選挙へ行かせるが、はじめは投票券を風船にくくりつけ飛ばしてしまう。「あんたの子供は絶対産まない」とさなえは号泣、理由を知ったはじめも号泣する。(エピソード「落選ベビー」)
新しいグラスを買ってきたさなえは上機嫌。はじめもそのグラスに、その日一番綺麗だと思うモノをこっそり入れていた。グラスにカタツムリのタマゴを入れていた事がさなえにバレてしまったはじめは、さなえが投げつけたぞうきんが、昔担任の吉田先生からもらった大切なハンカチだと激怒する。(エピソード「偏愛グラス」)
新しく団地にやって来た管理人は、道具を使わずに、はじめ宅のドアの蝶番を一瞬で直した。「超能力ですから」という彼は、ほかにもドミノ倒しのように倒れた自転車を一瞬で元に戻したりと、不思議な能力を持っていた。感化されたはじめは、超能力を得ようと試行錯誤する。ある日、はじめは川に仕掛けた自分の罠を触っている子供を怒鳴りつけたのだが、その後、その子供が行方不明になったと団地では大騒ぎになる。(エピソード「超老力」)
冬布団をはじめがダメにしてしまい、夏布団で寝ていた野田夫婦。さなえは結婚時にさなえの父が持たせてくれた避難袋を発見、防寒ブランケットを見つける。喜んだはじめは、避難袋を持ち防災マップの公民館を確かめにさなえと出かける。その道中、非常食を平らげた二人はお腹の調子が悪くなる。(エピソード「災難袋」)
さなえの母が不在中、さなえは高熱が出たさなえの父の看病に行く事になった。だが、はじめはさなえが父の看病をするのが面白くなくだだをこねる。はじめへの対抗心から、さなえの父はもっと弱ってやると自ら水をかぶり、さなえは解熱剤を買いに行く。はじめへの憤りが最高潮に達したさなえの父は倒れてしまう。(エピソード「パパパラダイス」)
さなえははじめをおだてあげ、自治会の団地パトロール隊に入らせる。はじめがペアで回る事になっていた相手は欠席し、さなえははじめを探しに行く。だが二人は得体のしれない変質者と包丁を持った女にそれぞれ追われ、空き家に逃げ込む。(エピソード「少年ジャスティス」)
冬に節約して浮かしたお金で春物をショッピングするというさなえは、ウキウキ気分で、はじめを連れデパートに出掛ける。だが、はじめがさなえの気分を害する行動ばかりするので、さなえははじめに小遣いを渡し、屋上へ行かせる。屋上はガランとしており、淋しくなったはじめはデパートをうろつくが、さなえを一向に見つけられない。(エピソード「ボヘミアンデパート」)
はじめとさなえは、スーパーのレジ係の小池という中年女性に、「栄養が足りてないからケンカするんだ」と叱られる。その女性ははじめが幼稚園の頃の渡辺先生であり、嫌われる事を承知で人のために物を言う先生だった。以降、小池に言われた事を守るようになった二人は仲よくなり、小池を尊敬するようになる。ある日、小池に勧められた山芋を購入しようとした二人だが、何故か小池にぶち切れられる。(エピソード「スーパー大先生」)
数年前に妻が出て行ってから、物欲が止まらない万光寺住職は高級車オロチを購入する。ローン会社からの電話に心がすさんだ住職は、ツバメの卵を孵化させようとはじめに教えを乞う。オロチをローン会社に回収された住職は、本気でツバメの卵を育てようと、コタツにもぐりこみ暖め続ける。(エピソード「さえずり聖人」)
第13巻
鉄棒が得意だった野田さなえは、公園で野田はじめと鉄棒で勝負し完敗する。さなえは竹馬でも負け、女子の遊びであるあやとりでもはじめに負けてしまう。子供ができたらいい父親になるのではと胸をときめかせたさなえだが、はじめは結婚してから子供の遊びができるようになったといばるのだった。(エピソード「チャイルドゲーム」)
野田夫妻のとなりに住む清水けんじ夫婦が、自宅でスナック「団地妻」をオープンさせる。スナックで働くと言い出した清水ようこの浮気を防止するため、けんじが考えた苦肉の策だった。だが、ようこは毎日来ていたロマンスグレーの男性客と浮気し、家を出て行ってしまう。(エピソード「妻とバーボン」)
さなえがあこがれる豆腐屋夫婦は、お互いを思いやる素敵な夫婦だった。さなえは、夢を持ち妻に優しい豆腐屋の主人と、はじめの違いに納得がいかず泣き出してしまう。そんなさなえにはじめは「人の事もうらやましくないし、何度生まれ変わっても今と同じがいい」と泣き出し、二人は和解する。(エピソード「憧れバーブー」)
主婦が発明で年商10億円になったという書籍の影響で、さなえは発明に挑む。だが扇風機と掃除機を壊してしまう。落ち込むさなえに、自分も発明のために、納豆を吸い込んだ掃除機を洗濯機で洗いどちらも壊したとはじめが打ち明ける。(エピソード「発明デストロイ」)
さなえのパート先の給食センターは夏休みで仕事がない。暇を持て余すさなえの心はすさんでいたが、そんな自分を恥じ、はじめの自由研究に付き合う事にした。星空を見ながら川原でビールを飲む二人だったが、はじめは星空ではなく、お前を見に来たと意味深な事を言う。(エピソード「憂鬱(ブルー)プラネット」)
さなえに相手にされず、土手にやって来たはじめは、ルンペンのやさしいおじさんが倒れているのを発見する。腹痛がひどいという彼は、河原に横たわっていると悩みや痛みを川が流してくれる気がするという。おじさんとかくれんぼしたはじめだったが、隠れるのがうまいおじさんを見つけられず、降参。翌日、はじめはおじさんのために薬と食べ物を持って行く。(エピソード「漂流かくれんぼ」)
はじめの家にカニを手土産に二人の外国人女性が訪ねて来る。彼女たちは清水けんじが外国人パブに紹介する事になっていた姉妹だった。はじめをボスだと思ったアーニャはお姉ちゃんにはじめをもてなすよう指図する。アーニャの態度に腹を立てたお姉ちゃんは、アーニャと乱闘。そんな中、さなえが帰宅し外国人パブの場所を二人に教える。(エピソード「露ふたしづく」)
野田家の階下に越して来た川上夫婦はガラが悪いヤンキー夫婦だった。早速、はじめとさなえは川上夫婦にからまれる。翌日、前川が川上宅に文句を言いに行くのをこっそり見ていた二人だが、前川は川上の妻とガチンコの殴り合いになり、勝負は引き分けとなる。(エピソード「近隣虎武竜(トラブル)」)
ある日、はじめは大木コースケと河原で再会する。コースケは足が遅い事で悩んでいるという。はじめは自然界で弱者が生き残るには必死で走る事だとコースケを指導し、素振りをしている川上の夫を激怒させるよう仕向ける。(エピソード「バッタランナー」)
さなえの父はさなえを騙し、得意先の息子・山辺清彦とお見合いをさせる。さなえは、相手に嫌われようと失礼な行動に出る。それに対抗するかのように、清彦は更に奇妙な行動に出る。となりの部屋では、自分の子供が可愛いさなえの父と清彦の母が大喧嘩になっていた。(エピソード「お見合い大作戦」)
第14巻
暖をとろうと、服を唐辛子水につけてしまった野田はじめに怒った野田さなえは、窓ガラスを割ってしまう。寒がるはじめは、さなえのセーターを着ようとするが、唐辛子のせいで敏感肌になったはじめはチクチクして着る事ができない。すると突然の強風で、ガムテープで補強した窓ガラスのビニールが飛んでしまい、補強しようにもガムテープもない。仕方なく裸で温めあう二人だったが、はじめは緊張してしまい意識が飛んでしまう。(エピソード「灼熱フリーズ」)
昼にラーメンを作って食べてといわれたはじめは、さなえが隠していたカップラーメンを食べてしまう。そうとは知らず、ラーメンを作れたはじめの成長を喜んださなえは、特別の日に食べる事にしていたカップラーメンを食べようと決める。だが、そのラーメンをはじめが食べてしまった事に気づき、号泣する。気の毒に思ったはじめは、さなえのためにラーメンを作るが、台所は地獄絵図と化す。(エピソード「セルフヌードル」)
ボーナスで食洗機を購入し優雅に紅茶を飲んでいる、近所の主婦が羨ましくてたまらないさなえ。一方、はじめは砂場でマグカップを使い3段の塔を作ろうとしていたが達成できない。さなえがボーナスの話をすると、はじめはいつまでもうまく行かない自分が情けないとくやしがる。そんな中、遂に三段の塔を完成したはじめは、さなえのために皿を洗う事にするのだが、砂遊びも皿洗いもすぐに飽きてしまう。(エピソード「ツンドラの皿」)
ヒーローになりたいと願うはじめは、木に引っかかったタコを見上げていた子供たちに、自分が取ってやるとTシャツに石を包み投げるのだが、木に引っかかってしまう。あせったはじめは子供たちからバットやグローブを奪い木に投げるのだが、すべて引っかかってしまう。仕方なく木に登ったはじめだが、枝が折れてしまい、降りられなくなる。日が暮れ、心配したさなえが脚立を抱え、駆けつける。(エピソード「勇者の木」)
春になり、はじめは眠ってばかりいた。さなえは家にいるから眠くなると、はじめを外に追い出した。外でも日向を求めて眠りをむさぼったはじめは、帰宅しても晩御飯を食べずに眠り、早朝に起き出し自分で卵ご飯を作って食べる日々が続く。そんなはじめの成長に、さなえは感動する。(エピソード「春眠寝太郎」)
ある日、はじめとさなえは道端で写真を撮っている夫婦に出会う。夫である素敵なおじいさんに心でシャッターを押せばいいと教えられたはじめとさなえは、美しい風景を心に焼き付けようと同調、さなえは二人の歩幅がそろった気になる。ある日、二人はおじいさんに再会。さなえは、妻の不在中、おじいさんが女性のセクシーショットばかりを狙っていることに気づく。(エピソード「貧乏フレーム」)
今年の夏こそセミの孵化を最後まで見届けるとはじめは意気込む。孵化を見ればお前もバージョンアップできると、さなえは明け方にはじめに起こされる。いっしょにセミの孵化を見て感動したさなえは「あなたは孵化できそう?」とはじめに尋ねるのだった。(エピソード「幼虫クライマー」)
はじめは公園でバカの女に再会する。女は保険外交員をしており、はじめを「カリブ海保険」という怪しい保険に勧誘。保険に入った事をさなえに伝えたはじめだが、バカの女は、はじめから巻き上げた1000円で弁当を買って食べていた。女は責める二人に会社から給料が振り込まれていないというのだった。(エピソード「バカの夢」)
さなえは、はじめのために編んだマフラーと編みかけのセーターを見つける。はじめをあきらめたように感じていた最近の自分と、編みかけのセーターを重ね合わせたさなえは、セーターを完成させようと必死になる。(エピソード「運命セーター」)
防火訓練に出る事になったはじめとさなえだが、防火管理者の前川が優秀だった人物を来年の管理者に指名するとの噂が流れた。だが、はじめは防火に燃えていた。そんな中、川上夫婦が実際に火をつけてしまい、はじめはそれを防火頭巾ではたくのだが、熱くなり前川の家に投げ入れてしまう。はじめと前川がパニックになる中、さなえが抜群の動きで消火する。(エピソード「全力メラメラ」)
登場人物・キャラクター
野田 はじめ (のだ はじめ)
幸福台団地7号棟302号室に住む無職の男性で、野田さなえの夫。幼少の頃から貧乏で、はじめの母は既に他界している。初登場時の年齢は21歳。坊主頭で、基本家の中では全裸で過ごしており、外出時は冬でもTシャツに短パン。性格は子供っぽく、時にナイーブで、突如正義感に燃える事がある。働く気がまったくなく、さなえに生活の面倒をすべて見てもらい、自由気ままに暮らしている。 お絵かきや虫、ガチャガチャが好きで、履物は雪駄を愛用。カミソリを使い自分で坊主頭にしているが、新婚当時は普通のヘアスタイルをしていた。さなえとは幼なじみであり、自身の初恋の相手でもある。自転車に乗れない。
野田 さなえ (のだ さなえ)
幸福台団地7号棟302号室に住む女性。野田はじめの妻で、初登場時の年齢は18歳。給食のパート従業員をしている。働き者で、働かないダメ夫のすべての世話を一手に引き受けている。貧乳にコンプレックスを持っている。化粧をすると、はじめがデレデレするほど美人になるが、あえて化粧はしない。母性本能が強く、はじめの子供のような純真さを傷つけまいとする優しい性格。 怒るとはじめを張り倒す事も多々あるが、はじめがピンチの時は助けに駆けつけるたくましい良妻。生協に加入し、団地の主婦たちと交流を持っている。遠出する際は、自分が自転車を漕ぎ、はじめを後ろに乗せている。
徳次郎 (とくじろう)
幸福台団地7号棟302号室に住む野田はじめと野田さなえの飼い犬。不要犬ポストに入れられていたのをはじめが家に連れて帰り、室内で飼っている。「ひぃー」と泣く貧相な犬だが、忠犬で意外に勇敢なところがある。歯が抜け落ちた事から、老犬だと思われていたが、抜けたのは乳歯で実は子供だった。
さなえの父 (さなえのちち)
エピソード「ダニ三昧」「ハッピーモンキー」他に登場する。野田さなえの父親。さなえを溺愛しており、働かない野田はじめを忌み嫌っている。はじめが家の前に置いて帰った台湾ざるをジョージと名付け、猫可愛がりするようになる。プロのミュージシャン志望だった過去があるが、度胸がなくレコード会社にテープを送れなかった。 さなえに構ってもらおうといつも必死。
さなえの母 (さなえのはは)
エピソード「ダニ三昧」「ハッピーモンキー」他に登場する。野田さなえの母親。良妻賢母で常識人。女子大のフランス語科出身で、さなえの父とは見合い結婚。当時フランス人のボーイフレンドがいるとさなえの父に噓をついていた事から、のちにフランス人との不倫をさなえの父に疑われてしまう。
ジョージ
エピソード「ダニ三昧」「ハッピーモンキー」他に登場する。野田はじめがさなえの父に贈った台湾ザル。ダニを取るのが得意。さなえの父に溺愛されており、超わがままで凶暴。さなえの母の不在時には凶暴化する。
はじめの母 (はじめのはは)
エピソード「カラスのカァちゃん」「おいしい記憶」他に登場する。今は亡き、野田はじめの母親。優しい女性で、はじめにいい思い出だけを残してこの世を去った。朝から晩まで働き詰めだったので、はじめに作る料理は超スピード手抜き料理だったが、はじめはその味を忘れられない。亡くなる半年前、「たとえ死んでも鳥さんになってお空からはじめを見守っている」と言ったせいで、はじめはカラスを母親だと思っていた。 はじめには「母ちゃん」と呼ばれていた。
清水 ようこ
エピソード「さそり妻」他に登場する。幸福台団地7号棟301号室の住人。野田はじめのとなりに住む危険な香りのする美人妻。夫は清水けんじ。夫に隠れて自由な性生活を満喫しており、ロマンスグレーの男性が好み。
清水 けんじ
エピソード「たこ地獄」他に登場する。幸福台団地7号棟301号室の住人。野田はじめのとなりに住む男性で妻は清水ようこ。さそりの養殖業者だが、色々な商売に手を出している。マッチョで強面だが、ようこには滅法甘く、浮気をされると泣いてしまう。はじめを召使のように扱っている。
塚田 弘
エピソード「珍客商売」他に登場する。36歳の独身男性。野田はじめが掲示板に貼った「お友達募集」のポスターを見て、野田家を訪れたコンドームの営業マン。はじめに「ヒロポン」と呼ぶ事を自ら許可した。のちにアミと結婚する。変態だが、妻には気を使って生活している。
前川
エピソード「カメムシ戦争」他に登場する。幸福台団地に住む中年女性で、野田はじめの天敵。団地を牛耳っており、団地一の美人妻を、主婦売春の噂を流し追い出した過去がある。キツイ性格だが、時に人情に厚い面も見せる。川上夫婦の妻とのタイマン勝負で引き分けるなど、剛腕でもある。
六田 治
エピソード「たこ地獄」に登場する。清水たかしが昔世話になった整体師の男性で、現在無職。若い女性の関節を外し動けなくしてから、診察していたので警察に摘発された過去がある。女子トイレで盗撮をしていた際、野田はじめを覗いてしまう。
大山
エピソード「脂肪美人」に登場する。幸福台団地の住人で、野田はじめの上の階に住む主婦。元は美人だったのだが、食欲の鬼と化し、今は醜く太っている。夫と息子に出て行かれてしまったのだが、はじめにダイエットを強いられ、半ば調教する格好で痩せさせられる。
大久保
エピソード「アダルトベイビー」に登場する。幸福台団地の住人で、野田さなえの生協仲間の主婦。自分の子供を亡くして精神不安定になったため、ベビー用品をさなえにもらってもらおうと、野田はじめ宅を訪れた。そこで、ベビー服を着ていた徳次郎を思わず盗んでしまう。
清十郎 (せいじゅうろう)
エピソード「ダルマ侍」「墓場の花嫁」他に登場する。賽銭泥棒だが、いつも堂々たる風情で、侍姿をしている。万光寺住職の息子だが、親子関係は悪い。結婚願望が強く、各地を放浪し赤の他人にプロポーズをしては断られている。また、結婚資金を貯めるべく色々な商売に手を出している。
アミ
エピソード「愛妻弁当」に登場する。塚田弘と結婚した女性。ぽっちゃりとした体型で、異様に長い髪をしており、眼鏡をかけている。不美人でおおざっぱな性格。
万光寺住職 (まんこうじじゅうしょく)
エピソード「極楽ちょんぼ」「さえずり聖人」他に登場する。万光寺の住職を務めている男性。鼻から下の部分が異様に長い顔立ちをしている。清十郎の父親だが、親子関係は悪く、まったく似ていない。仏に仕える身でありながら、欲深い守銭奴。「戒めよ、愚か者」というのが口癖。妻のかずえは数年前に出て行き、愛されない淋しさから物欲に走るようになった。
土門 光 (どもん ひかり)
エピソード「ドモンホルム先生」に登場する。ナチスの軍服のようなファッションをした小型船の艦長。野田はじめや清水けんじたちを船に乗せたが、サービスを無視された腹いせに、小島に上陸させみんなを支配しようとした独裁者的な性格。
米吉 (こめきち)
エピソード「妻の寝言」に登場する。近所の野良猫。野田はじめとは顔見知りで、いつもゴミばかり食べている。交通事故で足が一本ない。はじめが呼んでもこないが、野田さなえが呼ぶとすり寄ってくる。
めめちゃん
エピソード「めめちゃんの鍵」に登場する。両親が共働きの小学生の女の子で、鍵っ子。野田はじめの家を覗いていた時に、はじめと出会う。台風の季節に、鍵を亡くしたので、窓伝いに家に入ろうとし、転落死した。毎年同じ季節になると団地内で、目が飛び出て骨がぐにゃぐにゃの少女がポストから部屋を覗き込む姿が目撃されている。
重兵衛
エピソード「ミートボール」に登場する。金持ちの家に飼われている大きくたくましい犬。その家のお嬢様が徳次郎を気に入り、野田はじめが交換した。小心者で、高い肉しか食べない。結果的には背中に乗せるくらい野田夫婦に懐いた。
質屋の親父 (しちやのおやじ)
エピソード「貧者のマーチ」に登場する。質屋の主で持ってきた品を鑑定する高齢男性。髪の毛がなく、瓶底眼鏡をかけている。機嫌が悪いと鑑定額を下げ、お涙頂戴の話を聞くと高値をつける。
鈴木
エピソード「タカシ君を待ちながら」に登場する。野田はじめが留守番をしている時に、いきなり家を訪ねて来た若い女性で、タカシの担任だと名乗る女性教師。ロングヘアを二つに縛り、黒眼鏡をかけている。汗っかきな体質で、教育熱心だがおっちょこちょいな性格。
セーラー服の女の子 (せーらーふくのおんなのこ)
エピソード「飛ぶ女」に登場する。野田はじめの住む幸福台団地の屋上から飛び降りようとしていたセーラー服姿の女の子。自分の容姿や性格に自信が持てず、好きな人に告白できない事で悩んでいた。はじめに「やる前から結果を出すんじゃねえ」と怒鳴られた事から、自殺を思いとどまり、好きな人に告白する道を選ぶ。
バカの女 (ばかのおんな)
エピソード「バカの部屋」「バカの罪」「バカの夢」に登場する。ロングヘアの若い女性。メイクが濃い目で口紅がはみ出している。「ドキッ」「メソメソ」など擬音語や擬態語を口にしないと行動できない。バカなので不動産会社、万引きGメン、保険外交員と職を転々としている。野田はじめをバカだと思っている。
さなえの祖母 (さなえのそぼ)
エピソード「生前葬」「河童伝説」に登場する。野田さなえの祖母で、さなえの父の母親。顔と身体がしわくちゃな高齢女性。さなえの父の生前葬に出席し、息子が本当に死んだと思い込み、息子の幼かった頃の感動エピソードを語り出す。また、その席で昔河童を見た事があると野田はじめに言い、更に調子に乗り、天狗伝説までもはじめに語ってしまう。
峰岸 (みねぎし)
エピソード「峰岸くんのナス」「やさしいやさい」他に登場する。幸福台団地に住む17歳の美少年。5人兄弟の長男であり、家庭菜園でできた野菜を売って家計を助けている。親切でさわやかな事から、団地の主婦たちに大人気。だが、のちに主婦に受けるように、わざと卑猥な形の野菜を作っている事が判明する。
ゴルファー
エピソード「モグラスイング」に登場する。土手で練習しているゴルファーの男性。野田はじめからゴルフボールがモグラの穴を塞いでいるとクレームを受け、自分がどれだけ下手くそかをアピールする貧相で弱々しい人物。
少年 (しょうねん)
エピソード「虫けら先生」に登場する。近所の子供たちからダンゴムシを救った野田はじめを慕うようになった小学生。はじめの虫への愛情がストイックである事から、彼を慕うようになり、先生と呼ぶようになる。実は女の子で、それが判った途端にはじめが虫へのストイックさを捨て去ったため、はじめを軽蔑してスコップで殴り、去って行った。
職場の班長 (しょくばのはんちょう)
エピソード「ロンリーエスカルゴ」に登場する。野田さなえがパート勤めしている給食センターの班長を務める女性。電話ボックスで座り込んでいたさなえを家に連れて帰り休ませるなど親切。その後、カタツムリにまみれた野田はじめに妻を拉致した犯人だとからまれた事から、職場でさなえの夫は変人だとの噂を流す。
知らないおじさん (しらないおじさん)
エピソード「覗キッチン」に登場する。野田はじめ宅に侵入して来た泥棒の男性。野田さなえのへそくり10万円を盗み、さなえがが帰宅した際にはじめが隠れていたキッチンの戸棚のとなりに隠れる。さなえの悲惨な現状を目の当たりにし、またはじめが窃盗を見逃してくれた事もあり、色をつけて金を返す優しい一面がある。
喫茶店のおばさん (きっさてんのおばさん)
エピソード「ホットケーキ愛」に登場する。野田はじめの近所の喫茶店の店主の中年女性。亭主に浮気され、自分も浮気してやろうと思っていた矢先、はじめの家でホットケーキを作る事になる。はじめを誘惑するつもりだったが、はじめの食べっぷりを見て、一生懸命料理を作ったら浮気されなかったかもと改心する素直な性格。
おじいさん
エピソード「my老人」に登場する。幸福台団地7号棟に住む小さな高齢男性。火事で焼け出され、集会所で暮らしていたところ、同情した野田はじめが家に連れて帰る。見た目も性格もはじめに少し似ている。4年前に離婚したおばあさんが野田家を訪ねて来た際には穏やかだった態度が急変、恐ろしい形相になる。
おばあさん
エピソード「my老人」に登場する。おじいさんの元嫁で、4年前に離婚している。野田はじめがおじいさんを連れ帰ったと人づてに聞き、夜中に訪ねて来た。おじいさんの面倒をみようとしていたらしく、彼が人様に迷惑をかけた事に腹を立てている。怒った顔は鬼婆のようになる。
お面の女 (おめんのおんな)
エピソード「ガッカリ祭り」に登場する。野田はじめと祭りの時に出会った、浴衣姿にお面をかぶっている女性。実は小学校の頃、はじめからセミの抜け殻を渡された事から、はじめが自分を好きだと勘違いし続けていた人物。お面を外すと、ひどく不美人。
猿山のボス (さるやまのぼす)
エピソード「戦闘銭湯」に登場する。野田はじめと野田さなえが行ったスーパー銭湯の常連の中年女性。偉そうな態度で女湯を仕切っており、みんなに嫌われている。自分が持参したシャンプーを使われた事から、銭湯にいた女性たちに詰め寄った。
キノコ狩り名人 (きのこがりめいじん)
エピソード「キノコハンター」に登場する。幸福団地に住む老人。キノコに詳しく、野田さなえに食べられるキノコを教えた事から、キノコ狩りに行く仲になる。実は女性であり、野田はじめを襲おうと狙っていた。
花園
エピソード「ベランダランナー」に登場する。幸福台団地7号棟304号室に越して来た夫婦。妻は山の手育ちであるため、下町の醤油の貸し借りにあこがれている。インテリ風の素敵な夫婦だが、ベランダの仕切りを蹴破り、野田はじめを追いかけていた野田さなえに夫婦生活を覗かれてしまう。
大木 コースケ
エピソード「淋人愛」「バッタランナー」に登場する。幸福台団地に越して来た小学生。野田はじめの家を自分の家と間違って入って来た事から、自分の家のようにずうずうしく振る舞うようになる。実は、母親が出て行き、父親の帰りが遅い家で淋しい思いをしている。はじめたちの子供が亡くなったと勘違いし、励まそうとしていた優しい性格。
ジャージ姿の女の子 (じゃーじすがたのおんなのこ)
エピソード「完熟ジャージ」に登場する。幸福台団地の住人で、ジャージ姿におさげ髪の女性。童顔でジャージ姿のため、野田はじめに中学生だと思われている。実は35歳で子供が二人おり、一番上の娘のお古のジャージを愛用している。
やさしいおじさん
エピソード「妖精の家」「漂流かくれんぼ」に登場する。自由を愛するホームレスの中年男性で、犬に嚙まれても怒らない優しい性格。自分もルンペンになりたいという野田はじめに対し、絵は心を自由にすると語り、壁全体に絵が描かれた自分の小屋を見せる。
中3男子 (ちゅうさんだんし)
エピソード「ザリガニ説法」に登場する。悩み多き中学3年生の男子。野田はじめが狙っているザリガニがいる場所に佇んでいた事から、はじめと言葉を交わすようになる。「生きるために生きている」というはじめの言葉に感動し、はじめに恋愛相談をする。
営業マン (えいぎょうまん)
エピソード「新聞テクニシャン」に登場する。幸福台団地をまわっている新聞の営業マンの男性。強面であり、最初はヤクザ風に強気で出てみたり、難病の子供がいる優しい人になってみたりと、色々な営業テクニックで野田さなえを勧誘する。
山村 桜 (やまむら さくら)
エピソード「現実ロマンス」に登場する。小説家を目指している16歳の女子高生。トゥルーラブを探している。絶妙なタイミングで野田はじめに出会い、恋に落ちたと錯覚する。
沢田
エピソード「弛緩妻」に登場する。幸福台団地8号棟に住む女性。半年前旦那と子供を交通事故で亡くし、すべてがどうでもよくなってしまった。ヨレヨレのTシャツを着て、ガチャガチャをしていた事から野田はじめと知り合う事になる。「どうでもいいじゃない」が口癖。
管理人 (かんりにん)
エピソード「超老力」「少年ジャスティス」他に登場する。前任者に代わり、幸福台団地にやって来た謎の管理人の男性。不気味なルックスをしており、気味が悪い。野田はじめ宅の壊れた蝶番を一瞬で直すなど不思議な能力を持つ。「超能力ですから」というのが口癖で、実は心温かい性格。
変質者 (へんしつしゃ)
エピソード「少年ジャスティス」に登場する。夜中に全裸で団地の外を歩いていた男性。パトロールに出掛けた野田はじめと野田さなえが遭遇する。実は、事業に失敗し空き家に隠れて住んでいた人物。包丁を持ってうろついていた女性が妻で、洋一という小さい息子がいる。ちなみに、管理人はこの家族を黙認している。
小池
エピソード「スーパー大先生」に登場する。スーパー「カメヨシ」のレジ係の中年女性。滋養強壮には山芋が一番だと思っている。野田はじめに、自分が嫌われても人のために物を言っていた幼稚園の時の渡辺先生だと勘違いされ、尊敬されていた。だが、実は単に口が悪く、結婚できない女性だった事が発覚する。
豆腐屋夫婦 (とうふやふうふ)
エピソード「憧れパープー」に登場する。幸福台団地に豆腐を売りに来る夫婦。二人で働き店を持つ事が夢で、お互いをいたわりあって生きている。夫は男気があり、妻は美人で、野田さなえは理想の夫婦としてあこがれている。
アーニャ
エピソード「露ふたしづく」に登場する。ロシア人の若い女性で、お姉ちゃんの妹。清水けんじ宅と間違えて、野田はじめ宅を訪れる。クールで頭がよく、お姉ちゃんに指図する参謀タイプ。子供の頃からお姉ちゃんの尻拭いをしてきたという自負がある。
お姉ちゃん (おねえちゃん)
エピソード「露ふたしづく」に登場する。ロシア人女性で、アーニャの姉。清水けんじ宅と間違えて、野田はじめ宅を訪れる。金髪ロングヘアで恰幅のいい人物であり、ダンスが得意。妹のアーニャの人を見下した冷たい目を嫌っている。
川上夫婦
エピソード「近隣虎武竜(トラブル)」に登場する。野田はじめの階下である、幸福台団地7号棟202号室に越して来たヤンキー夫婦。ガラが悪く攻撃的で、夫婦揃って眉毛がなく目つきが悪い。いつもマスコット柄のスウェットをペアで着ており、ウサギを飼っている。
山辺 清彦
エピソード「お見合い大作戦」に登場する。さなえの父の得意先の部長の息子で、野田さなえとお見合いする事になる。地味な若い男性で、母親が連れて来た人と結婚したくないと、さなえに失礼な言動を繰り返す。
清彦の母
エピソード「お見合い大作戦」に登場する。野田さなえとお見合いした山辺清彦の母親。息子を溺愛している。さなえを「枯れ果てたお嬢さん」と言った事から、さなえの父の反感を買い、最後には「ウチの娘はすでに結婚しておるわ」とさなえの父に言われ、激怒する。
素敵なおじいさん (すてきなおじいさん)
エピソード「貧乏フレーム」に登場する。野田はじめ夫婦が道端で出会った高齢男性。美しい光景を見たら心でシャッターを切って記憶を残すようにと二人に教えた。芸術を愛し、物言いが高尚だが、実は妻がいない時には女性のセクシーショットばかりを撮っている。