概要・あらすじ
チエちゃんこと竹本チエは、ろくに働きもせずケンカとバクチに明け暮れる父・テツと、そんなテツに愛想を尽かして家を出てってしまった母・ヨシ江に代わり、ホルモン屋「チエちゃん」を切り盛りしている小学5年生の女の子。己の境遇を嘆きながらも、飼い猫の小鉄や仲良しのヒラメちゃん、そして個性豊かな西萩の住人たちと共に、今日も強くたくましく生きていくチエであった。
登場人物・キャラクター
竹本 チエ (たけもと ちえ)
小学5年生。1人称は「ウチ」。赤い髪留めがチャームポイント。基本的に勉強は苦手だが、体育と算数は成績が良く、特にソロバンは得意で、テストで100点を取ったこともある。外出する時は下駄を履いており、ケンカの時には武器としても役立っている。両親譲りの足の速さが自慢。ホルモン屋「チエちゃん」を一人で切り盛りしている。 父親のテツが巻き起こす騒動にいつも悩まされており、口癖は「ウチは世界一○○な少女や」。
竹本 テツ (たけもと てつ)
チエの父親。ホルモン屋を経営していたが、店のことをチエに任せっきりでケンカとバクチに明け暮れており、ほとんど無職の状態。腹巻きに黒のVネックTシャツを愛用している。ケンカとバクチが3度の飯より大好きで、問題を起こすきっかけとなっている。煙草は吸わず酒も飲まない。特に酒はちょっと口にしただけでもすぐに気分が悪くなってしまうほどの下戸。 少年期に鑑別所にいたことがあり、その時の仲間達からは慕われている。奥さんのヨシ江の前に出ると緊張してコチコチになってしまう一面も。実母・菊と小学校時代の恩師・花井拳骨には頭が上がらない。いつもはお好み焼き屋やラーメン屋「カルメラ亭」でくだを巻いている。
竹本 ヨシ江 (たけもと よしえ)
チエの母親。当初はテツに愛想を尽かし家を出ていたが、後に戻ってきている。洋裁教室の講師を務めている。おしとやかで物静かな淑女だが、芯の強さもあり、トラブル解決の切り札として活躍することも多い。足が速く、学生時代、地区対抗リレーでテツに勝っており、そのことがきっかけで交際を始めることとなった。
小鉄 (こてつ)
『じゃりン子チエ』に登場する猫。額に三日月の傷がある。チエに拾われて竹本家で飼われることとなった。実は「月の輪の雷蔵」という通り名を持ち、数々の武勇伝で知られる猫界の伝説的存在。相手のキンタマをかすめ取る必殺技「タマつぶし」を得意とする。「チエちゃん」では掃除や会計をしたり、ホルモンを焼いたりするなど様々な仕事をこなす。 また、ある程度の文字を読むことができ、芸術も理解できる。アントニオの死の遠因が自分にあると知っているため、アントニオの息子のアントニオJr.に対しては、保護者のような態度で接している。
竹本 菊 (たけもと きく)
テツの母親でチエの祖母にあたる。「チエちゃん」の近くでホルモン屋を営んでおり、「チエちゃん」の仕入れも同時に行っている。性格は短気でケンカっぱやい。空手道場で名誉師範の肩書きを持ち、素手で椅子の板をぶち抜いてしまうほどの腕を持つ。テツには厳しくチエやヨシ江には甘い。
おジィ
テツの父親でチエの祖父。竹本家の婿養子。本名は不明。気が小さく、いつも妻の尻に敷かれっぱなしである。テツにも小遣いやうどんをせびられており、父親の威厳はまったく感じられない。体も弱く、テツが騒動を起こす度に寝込んでしまう。
花井 拳骨 (はない けんこつ)
テツとミツルの小学校時代の担任。小学校教諭を定年退職した後は、中国文学の研究者として活躍している。竹本家とは家族ぐるみの付き合いをしており、テツとヨシ江の仲人も務めた。テツが頭が上がらない人物の一人。チエの担任の花井渉の父親でもある。
花井 渉 (はない わたる)
チエの担任教師。花井拳骨の息子。おおらかな性格の父とは違い、生真面目で模範的。母を早くに亡くしたため、しばらく東京の親戚の家で生活しており、登場人物の中では珍しく標準語を話す。
花井 朝子 (はない あさこ)
花井渉の婚約者で、後に結婚する。渉同様、標準語で話す。あっけらかんとした性格で、芯の強さもありテツに対してもまったく臆することがない。ラグビー経験者で、府警のラグビーチームのコーチをしており、テツ率いる西萩ラグビーチームと対戦する。
百合根 光三 (ゆりね こうぞう)
博打場「遊興倶楽部」を経営していたが、愛猫アントニオの死をきっかけにヤクザ稼業から足を洗い、お好み焼き屋「堅気屋」を開くことになる。アントニオの息子・アントニオJr.と暮らしている。酒好きで1升以上飲むとガラリと性格が変わり、テツでも手に負えないほどの乱暴者になる。 離婚した妻との間に一人息子・カオルがいる。
アントニオ
『じゃりン子チエ』に登場する猫。百合根光三の飼い猫。非常に強く、遊興倶楽部では用心棒のような存在だったが、小鉄と闘った時に、小鉄の「玉つぶし」で片方のキンタマを失い敗北。それ以来すっかり弱気になり、ついには近所の犬にかみ殺されてしまう。死後、光三によって剥製となり、堅気屋に飾られている。
アントニオJr. (あんとにおじゅにあ)
『じゃりン子チエ』に登場する猫。アントニオの息子。赤いスカーフが特徴。長らく放浪の旅に出ていたが、嵐の夜にひょっこり帰ってくる。テツの企みにより小鉄と闘うが、壮絶な死闘の果てに小鉄と和解。以後は小鉄を慕うようになる。毎年、春先になるとノイローゼとなり、空をぼうっと見上げキザなセリフや哲学めいた言葉を吐くようになる。
平山 ヒラメ (ひらやま ひらめ)
チエのクラスメイトで親友。いつも一緒に帰っている。相撲が得意で、相撲大会では多彩な技で活躍した。また、絵の才能もあり、ボクシングするテツの姿を描いた絵でコンクールでは金賞を受賞した。なお、本人は「どんくさい」ことをひそかに気にしている。
平山 丸太 (ひらやま まるた)
平山ヒラメの兄。中学生。坊主頭をしている。顔だけでなくどんくささも妹によく似ている。吹奏楽部でトランペットを吹くが、あまりの下手さに聞く者は悶絶してしまう。テツには気に入られており、しばしば根性をつけるための鍛錬をさせられている。
丸山 ミツル (まるやま みつる)
西萩の交番に勤務する警察官。テツの幼馴染みで、子分のような存在。昔はテツと共に悪さをしていたが、一念発起して警察官となる。ただ、警察官となってもテツには頭が上がらず、いろいろと振り回されている。同僚のノブ子と結婚することとなり、式ではテツとヨシ江が仲人を務めた。
小林 マサル (こばやし まさる)
チエのクラスメイト。イヤミな優等生で、チエやヒラメをよくからかうが、実はヘタレで逆にすぐ泣かされてしまう。チエへの悪口を何十冊もの「悪口ノート」に書きためている。教育ママである母親には頭が上がらない。取り巻きのタカシといつも一緒にいる。
マサルの母 (まさるのはは)
小林マサルの母親。息子をエリートに育てるためならなんでもする、典型的な教育ママ。見栄っ張りでたびたび騒動の発端となる。テツによくちょっかいを出され、その都度ヒステリーを起こしている。
タカシ
チエのクラスメイト。小林マサルの取り巻きとして、いつも付き従っている気の弱い少年。チエたちには「腰ぎんちゃく」と呼ばれからかわれることも多い。たまにマサルからの独立を考えたりもするが、なかなか独り立ちできない。
菊崎 健二 (きくさき けんじ)
かつて弟分の山下勘一と共にカルメラ焼きの屋台を引いていたため、テツから「カルメラ兄」と呼ばれるようになった。後にラーメン屋「カルメラ亭」を始める。「アラクラン菊崎」というリングネームで、キックボクシングの西日本新人王に輝いた過去を持つ。
山下 勘一 (やました かんいち)
カルメラ兄を「兄貴」と慕い、いつも付き従っている。かつてはカルメラ兄と共に屋台を引いていたが、今はラーメン屋「カルメラ亭」を営む。キックボクサー時代のカルメラ兄のトレーナー。後にカルメラ兄の妻・良子の姉である恵子と結婚し、義理の兄弟となる。
レイモンド 飛田 (れいもんど とびた)
かつては「地獄組」というヤクザの親分だったが、テツのせいで組が解散に追い込まれたことを恨み、あの手この手で仕返ししようとする。ボクシングジムを経営してテツをプロボクサーにしようと試みたが、失敗した。
天野 勘九郎 (あまの かんくろう)
テツの鑑別所時代の仲間。出所後も息子の天野コケザルとともに強請を働いていたが、うっかりチエの家で強請を試みたため、テツにどやされて改心する。現在はチエの家の近くに住んでいる。
天野 コケザル (あまの こけざる)
天野勘九郎の息子。小学4年生で、チエの隣の学校に通う。小学生ながら煙草やパチンコにも手を出す悪ガキ。ずる賢さではテツより一枚上で、悪巧みを画策してはテツを手玉に取っている。ただ、度が過ぎて痛い目に遭うこともしばしば。チエに惚れている。
周 (しゅう)
西萩で鍼灸院を経営している鍼師。花井拳骨とは大学時代からの友人。見た目通りの穏やかな性格で、鍼師としての腕も確かだが、オイチョカブに目が無く、花井拳骨を心配させている。
米谷 里子 (よねたに さとこ)
チエのクラスの転校生。スポーツ万能、成績優秀の優等生。当初は、飼い猫のロックと小鉄とのトラブルのせいでチエとは仲が悪かったが、後に和解して親友となる。
里子の父 (さとこのちち)
米谷里子の父親。銀行員だったが、西萩に引っ越した時に、突然、銀行を辞めてカルメラ兄弟のラーメン屋でアルバイトを始める。その後、祖母の住む岡山に引っ越すと、そこでカルメラ兄弟と同じ屋号の「カルメラ亭」というラーメン屋を経営する。
ロック
『じゃりン子チエ』に登場する猫。米谷里子に飼われている。小鉄とは古くから因縁の仲。秋田に住んでいた時に、小鉄に「ウンコ丸」と名付けられたことを恨みに思っており、いつか復讐せんと機会をうかがっていた。
場所
チエちゃん【店】
『じゃりン子チエ』に登場するホルモン屋。かつては「テッちゃん」という名だったが、テツが仕事をしないので、チエが看板を「チエちゃん」に掛け替えてしまった。実質的にチエが一人で切り盛りしているが、小鉄が手伝う時もある。
堅気屋 (かたぎや)
『じゃりン子チエ』に登場するお好み焼き屋。以前は「遊興倶楽部」という名の賭博場だったが、経営していた百合根光三がヤクザ稼業から足を洗ったことを機に、お好み焼き屋に生まれ変わり、店名も堅気屋に変更した。店内にはアントニオの剥製がある。テツのたまり場にもなっている。
ひょうたん池 (ひょうたんいけ)
『じゃりン子チエ』に登場する池。チエの家からほど近いところにあるが、あまり人気がなく静か。そのため、内緒の話をする時に池のボートを使うこともある。また、誰にも邪魔されにくいということから、ケンカなどの舞台としてもよく使われている。
アニメ
アニメDEマンザイ じゃりン子チエ
吉本興行の芸人・西川のりおは、大阪の下町で、ガラは悪いが愛嬌のある男と知り合いになる。その男・竹本テツは自分が店舗経営をしている社長だと言い、西川を店まで連れていく。店には、まだ小学生の女の子がたった... 関連ページ:アニメDEマンザイ じゃりン子チエ
じゃりン子チエ
大阪は西成区の西荻町。母は家出し、父のテツは働かない。そんな中、ホルモン焼き屋の経営を自らする少女チエ。売り上げをくすねようとする父や周囲のバカな大人たちや学校でのトラブル、ペットの猫同士の抗争等々、... 関連ページ:じゃりン子チエ
チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ
小学生の女の子竹本チエは、賭け事と遊びにかまけて働かない父・竹本テツに代わって家業のホルモン焼き屋を日々せっせと営んでいる。自分は日本一不幸な少女だと嘆きながらも、アクの強い大人たちに負けず持ち前の度... 関連ページ:チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ
書誌情報
じゃりン子チエ 34巻 双葉社〈双葉文庫〉
第29巻
(2022-06-16発行、 978-4575728286)
第30巻
(2022-07-14発行、 978-4575728293)
第31巻
(2022-08-04発行、 978-4575728309)
第32巻
(2022-10-13発行、 978-4575728323)
第33巻
(2023-01-12発行、 978-4575728361)
第34巻
(2023-07-12発行、 978-4575728392)