概要・あらすじ
新人時代は失敗ばかりだった大原笑介だが、いまでは無数の取引先から頼りにされる有能な商社マンに成長。係長に昇進後は、部下を持つという新たなテーマに体あたりで打ち込む。披露宴会場のホテルが直前に倒産するなどトラブル続きだった結婚式は、取引先や上司に助けられて無事終了。新婚早々のアメリカ駐在でも、ドライな現地ビジネスマンたちの心を次々につかんでいった。
バブル崩壊、平成不況、グローバル化、IT化とビジネス環境が急変するなか、入社以来の泥臭い営業で取引先の要望に応え続ける笑介。やがて上司・花園課長が立ち上げに携わったバイオ事業部の新設にともない、食品事業部食品3課の課長に昇進する。
登場人物・キャラクター
大原 笑介 (おおはら しょうすけ)
五井物産で食品事業部食品3課係長を務める。三条文彦ら複数の部下を任され、それまで以上のハードワークに明け暮れることに。泉今日子との結婚式は予約したホテルの倒産や大雨に見舞われるが、機転と人間関係で切り抜けた。結婚後は自由が丘の社宅で暮らす。1年のニューヨーク駐在では日本式営業でニュージャージー州知事にも見込まれるなど、泥臭い笑介流ビジネスがドライなアメリカ人たちに新風を吹き込んだ。 花園課長が新設のバイオ事業部部長に昇進するのを受け、後任の食品3課課長となる。
高山 時也 (たかやま ときや)
五井物産・食品事業部次長で、大原笑介の入社時からの上司にあたる。一人称が「あたち」。おネェ言葉で喋るが、妻子持ち。笑介から仲人を頼まれ引き受けるが、式当日に外せない出張が入って森川取締役に代理を頼んだ。笑介がアメリカ駐在から戻って間もなく、食品事業部部長に昇進。 さらにバイオ事業部新設にともない、取締役に就任した。
花園 (はなぞの)
五井物産で食品事業部食品3課課長を務める女性管理職。大原笑介の先輩にあたり、笑介に部下を持つ心得についてよくアドバイスする。四星商事の青山課長に言い寄られるが、天明食品への納入で青山を出し抜いて実力を思い知らせた。自ら立ち上げを仕掛けたバイオ事業部の新設にともない、その部長に就任する。
泉 今日子 (いずみ きょうこ)
五井物産人事課に勤めていたが、結婚後は総務課へ異動する。大原笑介の妻。徹夜続きで休日も仕事三昧の笑介を、黙って支え続ける。ニューヨークでの仕事を終えた笑介を迎えに行き、休暇として2週間ロサンゼルスをともに旅した。五井物産・宣伝部の黒木から盛んにアプローチされる。
三条 文彦 (さんじょう ふみひこ)
五井物産・食品事業部食品3課に所属する大原笑介の部下。どこよりも安く仕入れることを営業哲学にしている。相手のことを考えない一方的な態度で取引先や恋人にもひんしゅくを買うが、笑介らのアドバイスで次第に成長していった。バイオ事業部の新設にともない、笑介の後任として食品3課係長に昇進。
伊藤 孝一 (いとう こういち)
五井物産・食品事業部食品3課に所属する大原笑介の部下。がむしゃらなタイプでしばしば衝突を起こすが、笑介ら先輩の姿を見て徐々に成長していく。食品2課の池内かおりと社内恋愛を経て結婚した。後にニューヨークの米国五井に転勤する。
中島 史絵 (なかじま ふみえ)
五井物産・食品事業部食品3課に所属する女性総合職社員で、大原笑介の部下。当初は引き継ぎを受けた案件で次々とトラブルに見舞われるが、自力で乗り越える実力を身につけていった。仕事に行き詰まって転職か結婚かと悩んでいたが、笑介に任されたアンナ食品の案件を1人で乗り切ったことで自信を得る。 のちに新設されたバイオ事業部へ異動。
広田 賢二 (ひろた けんじ)
五井物産・食品事業部食品3課に所属する大原笑介の部下。大柄で肥満体型をしている。気に入っていた暦応食品の担当を伊藤孝一と交替させた花園課長に恨みを持ち、結婚できない腹いせで八つあたりしていると思い込んだ。だが誤解が解け、少しずつ営業マンとして成長していく。のちに新設されたバイオ事業部へ異動。
板垣 太郎 (いたがき たろう)
五井物産・食品事業部食品3課に所属する大原笑介の部下。同期の女性社員と社内恋愛しており、無理をして会う時間を作るため神経性急性胃炎になった。新人時代の笑介がよく叱られた応仁食品の国見社長からシゴかれるが、成長してかわいがられるように。
集団・組織
室町食品 (むろまちしょくひん)
『だから笑介』に登場する企業。大原笑介が担当する取引先で、即席麺で有名な食品メーカー。笑介を頼りにしている竹下取締役が、米法人・室町アメリカの社長に就任する。竹下は現地工場建設と販路拡大にあたり、室町アメリカの担当として笑介を渡米させるよう五井物産に頼み込む。竹下は後に帰国して室町食品の専務に就任した。
五井物産 (いついぶっさん)
『なぜか笑介』に登場する企業。大原笑介らが勤める物語の舞台。東大卒も大勢いる大手総合商社で、一以貫之を社訓に掲げる。1988年、社長が石田から大山に交替した。ライバルは四星商事。バイオ事業部が新設される。
前作
なぜか笑介 (なぜかしょうすけ)
長期連載となった聖日出夫の代表作。三流私大卒の大原笑介は、大手商社・五井物産食品事業部の若手営業マン。当初はマイペースな性格で上司に叱られてばかりだったが、地道かつ粘り強い営業で取引先や上司の信頼を勝... 関連ページ:なぜか笑介