概要・あらすじ
大手商社・五井物産の食品事業部食品3課に勤める若手営業マン、大原笑介。新人時代は失敗ばかりで、食品3課の叱られ役と称される。だが三流私大卒の彼を採用した人事部長の木下は、商社マンとしての資質を見抜いていた。タフで会社に忠実、泥臭い営業にすすんで体あたりする笑介は、やがて木下の期待通りに年配の取引先担当者から信頼を獲得。
森川課長、高山係長ら上司のサポートに助けられ、商社マンとして成長していく。後輩は指示待ち社員、マザコン、おたく族、ファジー君など問題児ばかりだが、笑介は親身にフォローしてチームワークにも貢献。笑介は係長昇進をひかえたある日、意中の人である人事課の泉今日子にプロポーズする。
登場人物・キャラクター
大原 笑介 (おおはら しょうすけ)
大学進学にあたって地方から上京、東京の三流私大・城南大学へ。劣等生だった大学時代、後楽園球場で売り子のバイトをしていた。1982年に五井物産入社、以後一貫して食品事業部食品3課に所属。室町食品をはじめ60社近い取引先を担当し、食品メーカーへの原料納入や製品の販売などを手がける。 入社当初は間の抜けた言動が社の内外でひんしゅくを買った。字が汚くて文章力は皆無、一般教養も社会人の水準に至っていない。だが我欲や虚栄心がなく、自然体の気配り、打たれ強さ、連日の徹夜や体育会系の汗臭い営業をいとわないタフさが強み。木下人事部長、森川課長、得意先・室町食品の竹下部長など年配の人たちに見込まれ、地道に実績を積み重ねる。
森川 勇人 (もりかわ ゆうと)
五井物産で食品事業部食品3課課長を務める。妻・小百合、息子・正彦。大原笑介の上司にあたり、部下には厳しいが有能・公正で人望がある。読売ジャイアンツのファン。ライバルだった食品1課の矢沢課長が型落ち製造機械の納入問題で失脚、食品事業部次長に昇進する。 さらに1990年、部長に昇進。もともと下戸だったが、仕事を通じて十数年がかりで飲めるようになったという。
高山 時也 (たかやま ときや)
五井物産で食品事業部食品3課係長を務める。息子・健一、娘・康子。大原笑介の上司で、一人称は「あたち」。さらにおネェ言葉で喋る。口は悪いが、食品3課をまとめる中間管理職として欠かせない存在。大原笑介からも信頼を寄せられている。読売ジャイアンツのファン。 千葉県出身。森川勇人の次長昇進にともなって課長代理、1989年に課長に昇進した。
泉 今日子 (いずみ きょうこ)
五井物産・人事課に所属する。早くから大原笑介がその憎めない人柄で大成すると確信し、思いを寄せるように。ただし2人の関係はあまり進展せず、笑介とのデートはたいてい仕事の急用ですっぽかされる。広告代理店の土屋、広報2課の真木龍一など無数の男性がアプローチしてきたが、全く相手にしなかった。 昇進を控えた笑介の突然のプロポーズを受け入れる。
長谷 伸子 (はせ のぶこ)
五井物産・経理課に所属する。泉今日子の親友。将来有望な男性社員との結婚を狙い、いつも給湯室で噂話をしている。小柄でやや肥満型、容姿には恵まれない。かわいく生まれていたら入社半年で寿退社できたと自己分析している。
花園 (はなぞの)
五井物産・食品事業部食品3課に所属する女性総合職社員。大原笑介の先輩にあたる。給料日前の笑介たちに金を貸すなど、若い社員の母親的ポジション。入社当初はキャリアウーマンを目指したが、6年の勤務を経て日本の企業が男性社会であることに諦めを感じていた。外資系航空会社からのヘッドハンティングを受けるが、新しいプロジェクトチームに選ばれたことで五井物産に残る。 1989年に食品3課課長への昇進を打診されるが、自分が先に出世すると同僚で男性社員の岩田の立場がないとして固辞。だが岩田が食品2課課長となったことで、ようやく昇進の辞令を受け入れた。
岩田 (いわた)
五井物産・食品事業部食品3課に所属する。大原笑介の先輩。名古屋市出身で、中日ドラゴンズのファン。大柄なスポーツマン風体型だが、ケチで見栄っ張りな性格をしている。1989年、食品2課課長に昇進。後輩・小川ひとみと社内恋愛を経て1990年に結婚した。
木下 (きのした)
五井物産・人事部長。三流私大の城南大学出身だった大原笑介の資質を見抜き、採用を決めた。自分が採用した社員が社外で問題を起こすたび、自らも一緒に頭を下げに回っている。社の内外で人格者として知られ、人望があつい。五井物産社員行きつけのバー・スピリッツで、よく笑介と語り合っている。 後に取締役に就任した。
吉村 (よしむら)
五井物産・食品事業部食品3課に所属する。大原笑介、加藤とともに同期入社3人組の1人。当初はダメ社員のはずの笑介が高い評価を受けるのが不満で、しばしばいざこざを起こした。後に五井物産アメリカへ出向。帰国後、1991年に食品1課係長に昇進する。
加藤 (かとう)
五井物産・食品事業部食品3課に所属する。大原笑介、吉村とともに同期入社3人組の1人。笑介と同じく、入社から一貫して食品3課に勤務。入社当初、ボーナスが自分より10円多かった笑介に嫌がらせをした。火災を起こしたベビーホテルから幼児5人を救出し、新聞記事になったことも。 なお、ファーストネームは単行本第1巻ではカツヒコ、単行本27巻では剛一となっている。
集団・組織
室町食品 (むろまちしょくひん)
『なぜか笑介』に登場する企業。大原笑介が担当する取引先企業で、即席麺で有名な食品メーカー。笑介らの活躍で、五井物産の扱い高が大幅に拡大している。五井物産・食品事業部食品3課と親睦野球大会を開いたことも。笑介との交渉窓口である竹下部長は、後に取締役に昇進した。
五井物産 (いついぶっさん)
『なぜか笑介』に登場する企業。大原笑介らが勤める物語の舞台で、東大卒も大勢いる大手総合商社。社訓は「一以貫之」。1988年、社長が石田から大山に交替した。ライバル企業は四星商事。
続編
だから笑介 (だからしょうすけ)
聖日出夫の代表作『なぜか笑介』の続編。入社当初は上司に叱られてばかりだった五井物産社員・大原笑介は、誠実さと粘り強いハードワークが認められて係長に昇進。泉今日子との結婚を経て、アメリカ駐在でさらにひと... 関連ページ:だから笑介