あらすじ
第1巻
デリバリーヘルスを装った殺し屋組織「ぷるるん天然娘特急便」に所属する、腕利きの殺し屋、ケイ。彼女は暗殺や護衛などさまざまな任務を受けては、現場に車でデリバリーされ、仕事をこなしていた。ある時は、所属していたヤクザの組に家族を殺されたお医者さんの依頼を受けて一人で組を殲滅し、またある時は、テラノと名乗るインテリヤクザの依頼を受けてその護衛を見事に果たした。そしてまたある時は、みちたかくんと呼ばれる凄腕の用心棒に追われるおばちゃんを守り切り、みちたかくんを撃退した。
第2巻
ケイはスナイパーの少女、だりあが依頼した、深見への復讐のための暗殺をサポートする任務を引き受ける。だりあとケイは見事に暗殺を成功させ、意気投合しただりあは「ぷるるん天然娘特急便」に加入する事となり、ケイは新たな仲間兼友人を得る。その後、とあるヤクザの事務所が、「塾長」と呼ばれる男を筆頭とする謎の三人組に壊滅させられ、その三人組を囚人倉庫で迎撃する仕事を、ケイとだりあは依頼される。その依頼主はみちたかくんであった。みちたかくんとケイとだりあが守る囚人倉庫に、塾長ら三人組は丸太を括り付けたトラックで突入して来る。
第3巻
突入して来た三人組のうち、玲(れい)に対してはだりあが、玲(りん)に対してはみちたかくんが応戦するが、だりあもみちたかくんも敗北してしまう。囚人倉庫の責任者の安田は「塾長」に対して「降参」を宣言する。巌谷と名乗った塾長は、知り合いがいると称する監獄に案内させようとするが、実際にはそこには塾長の知り合いなどはいなかった。結局、ケイと塾長の戦闘になり、塾長は一瞬で腕をへし折られて無力化される。その後、息を吹き返したケイ達と残る敵二人の戦いが展開され、みちたかくんは再戦の末に玲(りん)を殴り倒す。その玲(りん)が塾長の仕掛けていた爆薬で遠隔殺害されたあと、それを見た玲(れい)は鬼の形相に変貌するが、ケイに不意を突かれてナイフで後頭部を貫かれ、命を落とすのだった。
第4巻
ケイは桑井という警察官を護衛する仕事のために、田舎の駐在所を訪れていた。しかし、大雨に降られたために風邪を引いていたケイは、桑井の命を狙ってやって来た数人の猟師からなる殺し屋集団に敗北して、増水した川に放り込まれてしまう。だが、その川の下流にはみちたかくんと、その舎弟になっていた「塾長」がいて、ケイを救助。その後、猟師達は新入りの仲間の一人であり、殺しの仕事に反対していた今岡という青年と仲間割れし、今岡は桑井を連れて脱走する。それを追った猟師達の一人はみちたかくんとケイと塾長の乗った車に急襲され、塾長はその猟師を素手での戦いの末に殴り倒すのだった。そして、みちたかくんは無線で猟師達に宣戦布告をする。
メディア化
実写映画化
2022年実写映画化。8月19日より公開。
スタッフ・キャスト
監督:瑠東東一郎
脚本:江良至、瑠東東一郎
出演:橋本環奈、杉野遥亮、鈴鹿央士、馬場ふみか、森崎ウィン、大東駿介、太田夢莉、佐藤二朗、城田優、高橋克典、岡村隆史 ほか
登場人物・キャラクター
ケイ
殺し屋組織「ぷるるん天然娘特急便」に所属する少女。凄腕の殺し屋。ナイフ、銃をはじめ、さまざまな武器の扱いに精通しており、徒手格闘にも長けている。日商簿記検定2級合格を目指しており、仕事の合間にも勉強を欠かさない。学校に通っており、クラスメイトの渡辺からは「菊野渓」と呼ばれているが、それが本名かは不明。
だりあ
フリーランスのスナイパーをしている少女。かつて悪人たちに家族もろとも皆殺しにされそうになった時、深見に見出されて命を救われ、スナイパーとしての技術を仕込まれた。しかしその後、深見に虐待を受けたために深い恨みを抱いており、暗殺を画策。そのサポートのためにケイを雇う。暗殺が成功した後は、殺し屋組織「ぷるるん天然娘特急便」に所属するようになる。
ヅラ
殺し屋組織「ぷるるん天然娘特急便」で送迎の運転手を務める中年男性。所属する殺し屋の少女たちの精神面のサポートも行っている。禿げているためカツラを被っているので、「ヅラ」と呼ばれている。実はカツラは防弾仕様で、職務上ちゃんと意味を成している。
店長
殺し屋組織「ぷるるん天然娘特急便」のリーダーを務める若い女性。常に組織のアジトであるラーメン屋にいて、「店長」と呼ばれている。アジトに来る人間にラーメンを作って食べさせたがるが、そのラーメンは非常にまずく、みんな敬遠している。
渡辺 (わたなべ)
ケイと同じ学校に通っている少年。ケイに恋愛感情を抱いているため、たまたま街で見かけたケイの後を付けた、その結果、殺し屋組織「ぷるるん天然娘特急便」のアジトであるラーメン屋に辿り着き、ケイの本業を知ってしまう。その後、「ぷるるん天然娘特急便」の下働きとして雇われた。
みちたかくん
ヤクザの用心棒をしている年齢不詳の男性。裏社会のルールや掟などを破った人間に対し、懲罰を加えることを生業としている。ヤクザの世界では、凄腕として崇敬の対象となっている。仕事がらみのトラブルでケイと戦い、敗北してナイフで滅多切りにされた。しかし一命は取り留め、のちに囚人倉庫絡みの事件が起こった際、今度は依頼人としてケイの前に現れる。
お医者さん (おいしゃさん)
どこかの任侠団体に属し、拷問を生業としていた男性医師。仕事の内容は非常にえげつないものであるが、妻子持ちで、家族のことは大切にしていた。ある日、拷問の末に殺した相手が「間違い」であったため、その責任を取らされて、家族を短髪のヤクザに殺されてしまう。その復讐のため、殺し屋組織「ぷるるん天然娘特急便」に仕事を依頼する。
短髪のヤクザ (たんぱつのやくざ)
お医者さんに仕事を依頼していたヤクザ者の若い男性。彼の家族を皆殺しにした犯人。お医者さんの依頼を受けたケイの手によって、短髪のヤクザ以外の組員は皆殺しとなった。この時、短髪のヤクザ自身は生け捕りにされ、その後、お医者さんの手で長時間かけて拷問を加えられ続けた。
テラノ
任侠団体に所属していたインテリヤクザの若い男性。任侠団体の金を横領していたため、殺し屋としてケイを差し向けられた。ケイに殺される直前、依頼人が殺し方について話し合いを始めたため、その間、日商簿記検定の勉強を始めたケイに経理のイロハを教えた。その、後依頼人がケイへの依頼をキャンセルしてしまったため、その場でケイを雇い、ケイの代わりにやって来た新たな刺客を皆殺しにさせた。
おばちゃん
任侠団体に雇われていた中年女性。組の金を持ち逃げし、みちたかくんに追われている。「ひろき」という夫がいたが、既にみちたかくんによって殺されている。殺し屋組織「ぷるるん天然娘特急便」に護衛を依頼し、これによりケイとみちたかくんが戦うこととなった。
深見 (ふかみ)
だりあのスナイパーとしての育ての親であり、また怨敵でもある年齢不詳の男性。「フカ」という通称を持ち、周囲にも自らそう呼ぶように言っている。奥多摩の山林部に広大な土地を所有し、麻薬の栽培を手がけている。だりあが襲撃して来ることを予測しており、対戦車ロケット砲をはじめとする、さまざまな武器を準備して待ち構えていた。
塾長
任侠団体「伝馬組」を壊滅させた謎の三人組の1人。眼鏡をかけた年齢不詳の男性で、リーダー格。「伝馬組」を襲った目的は、囚人倉庫の在り処を知るためであった。その後、玲(りん)と玲(れい)を率いて、大事な友達を助け出しに行くと称して、ケイ、だりあ、みちたかくんらが守る囚人倉庫に攻め込む。
玲(りん) (りん)
任侠団体「伝馬組」を壊滅させた謎の三人組の1人。背の低い少女であるが、人間の首を素手でへし折る怪力の持ち主。塾長に褒められた時には無邪気そうな笑顔を見せ、ニコニコして喜んでいる。ケイ、だりあ、みちたかくんらが守る囚人倉庫への襲撃に、塾長の指揮のもとに参加する。
玲(れい) (れい)
任侠団体「伝馬組」を壊滅させた謎の三人組の1人。背が高く髪が長いが、フードを深く被って顔を隠しており、年齢・性別は不詳である。怪力の持ち主であり、コートの中にボウガンを隠し持っている。ケイ、だりあ、みちたかくんらが守る囚人倉庫への襲撃に、塾長の指揮のもとに参加する。
集団・組織
ぷるるん天然娘特急便
デリバリーヘルスを装った殺し屋の集団。デリヘルらしく見せかけたホームページも公開しているが、実際に性的なサービスを行っているわけではない。金次第でほとんどの依頼を引き受けるため、近隣の任侠団体などからは、味方である場合もあれば敵になる場合もある存在と認識されている。
場所
ラーメン屋 (らーめんや)
外見をラーメン屋に偽装した「ぷるるん天然娘特急便」の本拠地。表に「らーめん」「会員制」と書いてあるが、ラーメン屋として実際に営業しているわけではない。ちなみに、店長が実際にラーメンを作ることもあるが、そのラーメンは非常にまずい。
囚人倉庫 (しなーすとれーじ)
ヤクザが管理する、ヤクザのための刑務所。約二畳ほどのスペースに、人間を寝かせた状態で幽閉する構造になっている。ヤクザの関係者や、何かしくじった者を、戸籍を取り上げたうえで入居させ、生活保護費を巻き上げている。警護を担当しているヤクザ者たちのためのスペースも存在する。なお、施設としての機密性はそれほど高いわけではなく、下っ端ヤクザでも所在地を知っている。
その他キーワード
クギ撃ち器
みちたかくんが使用している武器。本人は「クギ撃ち器」と呼んでいるが、「ネイルガン」と呼ぶ者もいる。その名の通り、短い釘を射出するもので、殺傷能力はさほど高いわけではない。相手に苦痛を与えることを主目的とした拷問用の道具である。
クレジット
- 原作
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沢田 新
書誌情報
バイオレンスアクション 7巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2017-03-10発行、 978-4091894496)
第2巻
(2017-07-12発行、 978-4091895936)
第3巻
(2017-10-12発行、 978-4091896773)
第4巻
(2018-05-11発行、 978-4098600083)
第5巻
(2019-11-12発行、 978-4098605088)
第6巻
(2020-07-10発行、 978-4098606627)
第7巻
(2022-08-12発行、 978-4098614332)