世界観
兎歩村役場に勤める柏原宏志と、彼に好意を寄せる小学5年生の桜庭ちとせの2人をメインに、面白おかしい日常が描かれている。基本的に登場人物は、この2人と、2人に関わる知人のみなので、ちとせの通う小学校と兎歩村役場だけで、物語の世界観がまとまっている。なお、季節が移り、年中行事も描かれているものの、作中の登場人物の年齢は一切変わらない方式となっている。
あらすじ
桜庭ちとせは恋に恋する小学5年生。想い人である兎歩村役場に勤める柏原宏志のもとへ通いつめては、担任教師である藤麻子に怒られるという日々を送っている。ちとせの目標は、もちろん宏志との結婚だが、まだ結婚のできる歳ではないので、宏志に待ってほしいと伝えていた。しかし、ある日持ち込まれたお見合い話から、宏志は麻子にも惚れられてしまう。こうして、小学校と兎歩村役場の日常は、さらに騒がしいものとなっていく。
メディアミックス
TVアニメ
2012年7月から同年12月まで、佐野隆雄監督によるTVアニメ版が放送された。監督である佐野隆雄は、TVアニメ版の脚本から演出、作画監督までさまざまな工程を担当しており、1人で原画を担当している回も多い。キャストは桜庭ちとせ役を仲谷明香、柏原宏志役を羽多野渉が演じている。
ドラマCD
本作『ちとせげっちゅ!!』はドラマCD化もされており、チェンバースレコーズから2005年に第1巻、2006年に第2巻が発売されている。各巻のライナーノートには、描き下ろしの4コマ漫画2本と、ラフスケッチのカット絵が収録されている。キャストは桜庭ちとせ役を堀江由衣、柏原宏志役を伊藤健太郎が演じている。
登場人物・キャラクター
桜庭 ちとせ (さくらば ちとせ)
5年2組に在籍する小学生女子。兎歩村役場に勤める柏原宏志のことが好きで好きでたまらない元気娘。学校がある日は、休み時間ごとに兎歩村役場に顔を出しては、宏志に執拗なアタックを繰り返している。さらに学校がない夏休みともなると、毎日兎歩村役場にいるため、友人や両親からの連絡も、兎歩村役場に行くようになっている。その破天荒さから小学校の中ではちょっとした有名人。 教師はもちろん、学年を問わず生徒の間にも、その名は知れ渡っている。勉強は不得意だが運動はかなり得意で、その身体能力は小学生離れしている。ちなみに宏志のことを名前で呼ぶのを恥ずかしがり、「お兄ちゃん」と呼んでいる。
柏原 宏志 (かしわばら ひろし)
兎歩村役場に勤める男性。桜庭ちとせから好意を寄せられ続けている。ちとせの執拗なアタックにも、まったく怒らない温厚な人物で、その人柄は兎歩村の中でも有名。ちとせのことは恋愛対象ではないものの、可愛い妹のような存在として見ている。しかし、それでもちとせには毎日のように振り回されており、その度にとばっちりを受けている不運な人物。 年齢は不明だが、藤麻子よりも年下であることは判明している。
みさき
桜庭ちとせの友達。5年2組に在籍する小学生女子。ちとせの親友だが、ちとせに振り回されることも多い苦労人。自分の父親のことが好きで、将来は本気でお父さんと結婚したい、と考えているほどの「パパっ子」。そのため、柊雛子からは「絶滅危惧種」と珍しがられている。性格は大人しく控えめだが、お父さんに関連して気に入らないことを言われると、かなりの迫力で怒ることもある。 普段着はズボンよりスカート派。
柊 雛子 (ひいらぎ ひなこ)
桜庭ちとせの友達。5年2組に在籍する小学生女子。みさきと同様にちとせの親友だが、要領がよく、ちとせのとばっちりを受けることは少ない。無表情で、ミステリアスな雰囲気を醸し出している不思議っ子。しかし、基本的にボケたがりで、変な着ぐるみを着用して人前に出てくることも多い。好きなものはダジャレで、苦手なものは水泳。 運動以外の成績はオール5で、勉学は完璧にこなす。
藤 麻子 (ふじ あさこ)
桜木ちとせの所属する5年2組の担任を務める女性教師。日常的に兎歩村役場に通いつめるちとせに手を焼いている。歳は20代後半で、未だ独身。本人も周囲もそのことを気にしており、お見合いを繰り返して結婚相手を探しているが、今のところ結果はふるわない。ただ、6回目のお見合い相手が柏原宏志だったことをきっかけに宏志に惹かれ、ちとせと同じく密かに宏志のことを狙っている。 教師になったきっかけは、12歳の時に行った算数のテストで17点をとってしまい、親から「晩ご飯抜き、テレビと漫画禁止、お小遣いなし」の罰を与えられた反動によるもの。自分が教師となって、難しいテストを生徒にたくさん出したい、と考えたため。
後輩先生 (こうはいせんせい)
藤麻子の同僚。2年生の担任を務める女性教師。常に笑顔で麻子と仲が良い。しかし、趣味であるアニメや、それに関係する玩具への出費の多さから常に金欠。麻子の家に行って食べ物を恵んでもらったり、お金を貸してもらうことも日常茶飯事。酒癖が非常に悪く、酔っ払うとハイテンションになる。
校長先生 (こうちょうせんせい)
桜木ちとせの通う小学校で校長を務める男性。毎週月曜日には全校生徒の前で朝礼をするが、話が長く、生徒だけでなく教師まで眠気を覚えるほど。ちとせのことを気にかけており、一度朝礼で「兎歩村役場に遊びに行かないように」と、冗談交じりで話したこともある。
シゲ
柏原宏志の上司を務める45歳の男性。温厚で面倒見のいい性格で、桜庭ちとせが役場に来ても、嫌な顔ひとつせずに対応する。既婚者で小学生の娘を溺愛している。しかし、家庭内では娘から邪険にされており、父親のことが好きすぎて結婚したいとまで考えているみさきを見て、内心羨ましがっている。パソコンが苦手で、未だに覚えようとせず、アナログな手法で仕事をこなしている。
桜庭ちとせの母 (さくらばちとせのはは)
桜庭ちとせの母親。子持ちの女性とは思えないほどのプロポーションをしており、その美貌は現在も衰え知らず。昔はかなりモテており、ラブレターは数えられないほどもらっていた。実はかなりの変態で、隙があれば何かとエッチな話題に持っていき、人をおちょくる傾向がある。その性格ゆえに、いつもは人前でボケるちとせでさえも、ツッコミに回らざるを得なくなることが多い。
桜庭ちとせの父 (さくらばちとせのちち)
桜庭ちとせの父親。桜庭ちとせの母に異様なほどに愛されており、それに困っている節がある。そのため、わざと帰りを遅くしたり、ちとせを間に挟んで難を逃れようとしている。妻とは幼なじみで、もとは妻をからかっていた立場だったが、今では立場が完全に逆転している。また、妻に首に縄をかけられて結婚した、という逸話もある。
柏原 千沙 (かしわばら ちさ)
柏原宏志の妹。柏原一家の中では、唯一宏志のことを拒絶している人物。宏志からの電話を受けただけで、あいさつ代わりに罵詈雑言を浴びせている。柏原美香の母のことも嫌っており、自分の母親のブラコンぶりを宏志から教えられた時には「気持ち悪い」と一蹴する。
柏原 美香 (かしわばら みか)
柏原宏志の8歳の姪。イギリスからの帰国子女で、英語が堪能なバイリンガル。宏志のことが好きで、「どうせ結婚するから」という理由で、宏志のことを呼び捨てにしている。高飛車でプライドが高く、英語を駆使して相手に分からないように暴言を吐くなど、腹黒い一面もある。桜庭ちとせやみさき、柊雛子らとは仲が良く、何かとツッコミ役に回っているが、基本的に振り回されることが多い。
柏原美香の母 (かしわばらみかのはは)
柏原宏志と柏原千沙の姉。柏原美香の母親。宏志のことが好きなブラコン。学生時代は本気で「宏志は一生姉さんのモノ」と言っていた。現在もそのブラコンぶりは変わらず、会えば宏志に抱き着いてキスをせがんでいる。かなりの美人。
柏原美香の父 (かしわばらみかのちち)
柏原美香の父親。建築デザイナーの職に就いている。顔つきが柏原宏志に瓜二つ。柏原美香の母からは、それこそが結婚した理由だと告げられているが、本人はそれを許容している。また、妻のブラコンも気に留めていないなど、非常に寛容な性格の持ち主。
柊雛子の父 (ひいらぎひなこのちち)
柊雛子の父親。会社の社長を務めるかなりの金持ち。桜庭ちとせとみさきの抱いている「社長」のイメージに合わせ、わざわざ付けひげに葉巻をくわえて現れるなど、ノリのいい人物。また、雛子の奇行にも付き合ってあげている。
みさきの父 (みさきのちち)
みさきの父親。みさきからは「結婚したい」とまで言われており、未だに一緒にお風呂に入っているなど、その親子関係は非常に親密な状態にある。しかし、その一方で、成長すればみさきの考え方も変わってしまうのではないか、と不安を覚えており、みさきに対しては「大人にならないでほしい」と考えているところもある。
ポチ
柏原宏志が飼っている、全身が真っ白な日本犬。知能が高く、危機を察する能力に長けている。そのため、宏志にまとわりつく桜庭ちとせのことを危険人物と認識しており、宏志がちとせのいるところへ出かける時には、吠えて制止しようとすることもある。
コタロー
藤麻子の飼っているトラネコ。子猫の時に道端で捨てられていたのを桜庭ちとせが発見し、学校に連れてきた。それを麻子が引き取ったもの。当初、麻子は「噛む動物」が苦手だったが、甘噛みをする姿に可愛さを見出し、大家さんに頼み込んで家で飼う許可をもらった、という経緯がある。
藤麻子の母 (ふじあさこのはは)
藤麻子の母親。麻子が一人暮らしをしているアパートの近くに住んでいる。未だに結婚しない麻子のことを気にかけており、早く結婚をして落ち着くよう何度も話をしている。麻子に「お見合いがしたい」と言われると、お見合い相手から式場の予約まで、すぐに手配できるという特殊技能を持つ。
巫女さん (みこさん)
兎歩村にある神社で巫女をしている女性。親の手伝いで巫女のアルバイトをしており、男性から非常にモテる。優しい性格で、神社の鈴を桜庭ちとせに壊されても、怒らない温厚さと寛容さを持ち合わせている。
しのぶ
高校時代の藤麻子と同級生だった女性。顔を合わせるたびに、麻子のブラジャーのホックを外すというクセがあり、制服の上からでも一瞬でホックを外すことができる。当時は同級生の稲田のことが好きだったが、稲田が麻子に想いを寄せていたことを知って、ヤキモキしていた。苦手なものは牛乳。
稲田 (いなだ)
高校時代の藤麻子と同級生だった男性。高校の時は麻子のことで頭がいっぱいになるほどに好きで、アタックを繰り返し告白もした。しかし、教師になるために勉強が忙しいことや、興味がないということを理由に、あっさり振られている。その後、しのぶから「振られたなら私と付き合ってみないか」と提案されたが、「そんなのはオマエに失礼」という理由で断っている。 のちに東京大学に進学する。
新聞屋さん (しんぶんやさん)
兎歩村に1社だけある新聞社に勤める男性。お得意様の藤麻子にはサービスとして、いろいろな品物をプレゼントしている。後輩先生の家に訪れた時には、「TV欄や4コマや占いもある」などと、本来新聞が売りにするようなものではない部分でアピールし、新聞を購読させようとしていた。
集団・組織
小学生戦隊ジョジレンジャー (しょうがくせいせんたいじょじれんじゃー)
世界の平和のために命がけで悪と戦う小学生で組織された戦隊。桜庭ちとせがレッド、みさきがブルー、柊雛子がブラックを務めている。レッドは「最強」、ブルーは「テクニカル」、ブラックは「知的」と、それぞれ異なったテーマが設定されている。
場所
兎歩村 (とあるむら)
桜庭ちとせが暮らす村。車がないと不便な田舎だが、人と人のつながりは密接。さまざまな逸話が残されており、特にシゲさんが若い頃に100本のろうそくを使って百物語を行った際、そのろうそくの火で村が半焼したという話は有名。
兎歩村役場 (とあるむらやくば)
柏原宏志の勤める役場。桜庭ちとせの通う小学校の隣にあり、避難訓練などは合同で行っている。また、小学校の校内放送が聞こえたり、ちとせの教室から役場まで1分以内で行くことができるなど、その距離はかなり近い。
秘密基地 (ひみつきち)
桜庭ちとせが思いつきで作った秘密の基地。木の上に作るにあたって設計図から書いたという意欲作で、シゲさんや柏原宏志の意見も取り入れられている。中に入るための合言葉も存在するが、設定段階で「イヤーン」「バカーン」か「アハーン」「ウフーン」のどちらのパターンにするかで悩んでおり、最終的にどのように決まったかは不明。
イベント・出来事
フリーマーケット
桜庭ちとせの通う小学校で開かれたイベント。兎歩村の住人が家で不要となった物を持ち寄り、数多くの人が売買を楽しんでいた。兎歩村役場の面々もこのイベントに参加しており、柏原宏志は間違って2着買ってしまった服を出品し、藤麻子に購入されていた。
麻子先生の手作りチョコ教室 (あさこせんせいのてづくりちょこきょうしつ)
藤麻子が自宅で開催したイベント。桜庭ちとせが柏原宏志に贈るバレンタインデーのチョコレートを作るにあたり、麻子がチョコ作りをレクチャーした。参加者は他にみさきと柊雛子がいる。作るチョコレートはキルシュやラム・ブランデーの入った、少し大人の味付けとなっている。
ソフトボール大会 (そふとぼーるたいかい)
兎歩村役場で定期的に開催されているソフトボールの大会。兎歩村の地域交流も兼ねているイベント。桜庭ちとせを追いかけまわす藤麻子を見た柏原宏志とシゲさんが、麻子の脚力を見込んでチームに誘い、見事大活躍を果たした。なお、麻子は宏志にお弁当を作ってきたが、結局渡せずに終わっている。
ミス夏祭りコンテスト (みすなつまつりこんてすと)
兎歩村で行われたミスコン。審査内容は特技と水着とスピーチで、優勝者には一日村長の権利と金一封が贈られる。村長秘書として柏原宏志がもれなくついてくるということで、桜庭ちとせや藤麻子なども参加した。
その他キーワード
有閑マダムの夫婦生活 (ゆうかんまだむのふうふせいかつ)
インターネット上に存在する、夫婦の日常を赤裸々に綴ったウェブサイト。インターネットを始めて間もないシゲさんが見つけたサイトで、その運営者は桜庭ちとせの母。顔や名前こそ出していないが、その内容とサイトにアップした身体が分かる写真で、すぐにバレていた。
ちとせげっちゅ!!お兄ちゃんと結婚せよ!! (ちとせげっちゅおにいちゃんとけっこんせよ)
桜庭ちとせが作ったゲーム。主人公は柏原宏志で固定されており、ヒロインはちとせしかいない。内容はちとせから結婚をせがまれて選択肢を選ぶというものだが、どんな選択肢を選んでも最終的に結婚するルートしかない。このゲームをプレイした柊雛子は「クソゲー」と評していた。
ダイショウガクセー
小学生戦隊ジョジレンジャーが乗り込む巨大ロボット。レッドの桜庭ちとせ、ブルーのみさき、ブラックの柊雛子の3人が一緒に乗れる設計となっている。巨大で重厚で、とても強そうに見えるロボットだが、巨大アッサーコに惨敗してしまう。
巨大アッサーコ (きょだいあっさーこ)
藤麻子扮する巨大怪人。小学生戦隊ジョジレンジャーの敵。武力に優れており、レッドの桜庭ちとせとブルーのみさきは何もできないまま倒された。また、巨大ロボットのダイショウガクセーも寄せ付けない強さを誇る。しかし、「カラーページの残りの都合」ということで、あっさりと倒されてしまった。