あせとせっけん

あせとせっけん

化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」に勤めるOLの八重島麻子は、極度の汗っかきで、汗と匂いにコンプレックスを持っていた。そんな彼女が発する匂いに魅了された商品開発部プランナーの名取香太郎は、新商品開発のために匂いを嗅ぎたいと強引に麻子に迫る。引っ込み思案な汗っかきOLと、超絶嗅覚を持った人気プランナーの青年のラブラブな日常を描く、匂いフェチラブコメディ。「Dモーニング」2018年29号から掲載の作品。コミックス第1巻から第6巻には、それぞれ描き下ろしのエピソードも収録されている。

正式名称
あせとせっけん
ふりがな
あせとせっけん
作者
ジャンル
ラブコメ
 
日常
関連商品
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あらすじ

第1巻

女性に絶大な人気を誇る化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」に勤める地味系OLの八重島麻子は、極度の汗っかきがコンプレックスで、デオドラント製品が手放せない毎日を送っている。麻子はもともとリリアドロップのせっけんの大ファンで、さまざまな香りのせっけんを購入し、愛用していた。そんなある日、出社したばかりの麻子は、社内に、夏に発売が予定されている新商品のせっけんが展示されていることに気づき、かけよると期待で胸を膨らませ、幸福感に浸っていた。すると、見知らぬ男性に声を掛けられたと思った次の瞬間、男は麻子の首筋の匂いを嗅ごうとする。突然のことに驚く麻子だったが、同じ会社の商品開発部でプランナーを務める名取香太郎と名乗った彼は、新商品のせっけん開発のためにじっくり麻子の匂いを嗅がせてほしいと、わけのわからないお願いを始める。麻子は全力で拒否するものの強引に丸め込まれ、これから毎日香太郎に匂いを嗅がせる約束をさせられてしまう。汗っかきのせいで、体臭にも自信がなかった麻子だったが、香太郎から求められる毎日を過ごすうちに、香太郎から匂いを嗅がれることがそれほど嫌なことではないと感じている自分に気づく。

第2巻

汗っかきがコンプレックスの八重島麻子は、同じ会社に勤める超越した嗅覚の持ち主、名取香太郎と付き合い始めた。香太郎から日常的に匂いを嗅ぐことを求められ、大切にしてもらえることで、麻子は自分のコンプレックスと自信のなさに向き合えるようになっていく。そんな中、経理部で領収書の不備に気づいた麻子が商品開発部に連絡を取ると、そこに姿を現したのは、以前香太郎との親し気な姿を見て、麻子が嫉妬心を燃やした相手、一瀬こりすだった。こりすとのやり取りを経て、彼女から香太郎への恋心を感じ取った麻子は、二人が仕事上でつながりが深いことに、不安感を抱き始める。麻子は香太郎との関係をまだ誰にも打ち明けられないままでいたため、こりすの前では香太郎に面識がない体で振る舞うものの、こりすは麻子が香太郎と何かしらの関係を持っているのではないかと敏感に感じ取り、疑い始める。自分の中では自信がないながらも、香太郎の彼女として焦りを感じた麻子は、仕事帰りに香太郎と食事や酒を楽しんだのち、帰ろうとする香太郎を制止して、自分からホテルに誘う。二人だけの甘い時間を過ごして迎えた翌朝、出社して日常に戻った麻子は、昨日、いつもの自分では考えられないほど大胆な行動を起こしたことを改めて実感し、恥ずかしさに悶絶する。

第3巻

八重島麻子は、カゼを引いた名取香太郎の看病をしたり、香太郎を弟の八重島桂太に紹介したりと順調な交際ぶりを見せていた。そんなある日、香太郎が3泊4日の関西出張に行くことになる。同行するのは後輩の一瀬こりす。香太郎は、3日以上麻子と離れたことがないため、麻子の匂いをなんとかして出張先に持って行こうと、麻子の匂いのついた物の獲得に必死になっていた。そして香太郎は、麻子の反感を買いつつも、汗の沁み込んだハンカチを強引にゲットして出張先へと向かう。一方の麻子は、香太郎との交際を唯一知っている大蔵仁に恋愛相談をするため、彼を誘って食事に出かける。恋愛経験の少ない麻子は、最近香太郎の過去の恋愛についてとても気になっており、過去の恋人たちとの交際期間や別れた理由を気にしては、今の自分と比較して不安になって落ち込むことを繰り返していたのである。大蔵はそれを知ると、初々しい悩みに悶絶しながらも、入社以来香太郎を知る者として、香太郎の変化を語り、女性的な目線で悩みに共感。同時に、今香太郎が好きなのは麻子であるという事実を大切にすること、そんな自分に自信を持たなければ香太郎がかわいそうだとアドバイスを送る。大蔵の言葉で、大切なことに気づかされた麻子は、まだ出張へ向かったばかりの香太郎への思いを募らせつつ、電話をかける。麻子からの電話を受け、香太郎が部屋の外に出て話し始めると、そこに外出していたこりすが戻り際に通りかかり、電話の内容を耳にしてしまう。そして、その相手が麻子であること、麻子と香太郎が交際していることを知る。翌日、いつもどおり香太郎との仕事を続けるこりすだったが、仕事終わりの打ち上げの席で酒に酔い、香太郎への思いを爆発させる。

第4巻

八重島麻子は、名取香太郎と順調に交際を続けていた。そんな中、香太郎の誕生日に合わせ、有給休暇を取得して北海道旅行に出かけた二人は、2日間の観光を楽しみ、二人だけの時間を満喫して東京へと戻って来た。そんな幸せいっぱいの麻子を待っていたのは、事情を察した経理部の仕事仲間たちだった。大蔵仁三好よりこ坂下たちから、女子会ランチに誘われた麻子は、とうとう交際相手が香太郎であることをカミングアウトする。三人からは予想以上に暖かい祝福を受け、結局ランチだけでは時間が足りず、退勤後も四人は恋バナに花を咲かせ、改めて親睦を深める。また後日、香太郎と仕事仲間の食事会の席に麻子が呼ばれ、彼女として紹介されることになる。いつになく緊張する麻子だったが、同席した鈴村悠二松苗沙織一瀬こりすの三人は、麻子を暖かく迎え入れ、二人を祝福する。そして各々が話し出したのは、最近の香太郎の浮かれぶりについてだった。麻子の知らない日常の香太郎を垣間見ると同時に、言葉の端々から、改めて香太郎が仕事仲間から慕われていることを実感する。11月に入り、香太郎のもとに一通の封書が届く。それは、今住んでいる部屋の更新通知だった。香太郎は更新を選択しようとするが、麻子と過ごす時間が増えたことで、この部屋を不便に感じることが多くなってきていたのだ。麻子といっしょの時間に思いを馳せた香太郎は、ひらめくと同時に麻子に電話をかけ、唐突にいっしょに暮らさないかと切り出すが、喜んでもらえるとばかり考えていた香太郎の期待を裏切るように、麻子から返って来た返事は、考えさせてほしいというもの。そのトーンは暗く、明らかに戸惑っている様子が窺えるものだった。

第5巻

八重島麻子は、社内恋愛中の彼氏、名取香太郎から突然同棲を切り出され、困惑しながらも二人で暮らすことを決める。年末に差し掛かり、新居を探し始める前に麻子の両親へ挨拶に行く話がとんとん拍子で進み、元旦に顔を見せることが決まる。元旦、大みそかから実家に戻っていた麻子と香太郎が合流。駅まで迎えに来ていた父親の八重島勝臣と笑顔で挨拶を済ませるも、実家に向かう車内は気まずい雰囲気となってしまう。全員が緊張気味ではあったものの、香太郎の到着後、母親の八重島ゆり子や弟の八重島桂太との顔合わせも済んで、食事や恒例の家族マージャンタイムなど、八重島家の面々は和やかな時間を過ごす。しかしその後、家族の空気は一変。ピリッとした雰囲気の中、香太郎と麻子は本題である同棲について話合いを始める。勝臣は、同棲に大きく反対することはしないながらも、なぜ結婚でなくて同棲なのか、麻子を待たせる理由はなんなのかと切り出す。答えに詰まる香太郎を横目に、話し始めたのは麻子の方だった。麻子は、待たせているのはむしろ自分の方であること、二人で今できることを精いっぱいすることの延長線に結婚があることなど、自分の思うことを必死に伝えようとし、香太郎はそれに大きくうなずく。そんな二人の様子を見たゆり子は、自分と夫の若かりし日の経験談を持ち出すことで空気を和らげ、二人にエールを送る。これにより、勝臣は自分の考え方を謝罪したうえで二人を認め、今後を応援する旨を伝えるのだった。こうして大仕事を終えた香太郎と麻子は、日常に戻り、ついに二人で暮らすための部屋探しを始める。

第6巻

3月末の日曜日。名取香太郎は、もうすぐ誕生日を迎える八重島麻子にプレゼントを贈るため、二人で香水の工房へと出かけることにした。襟の大きく開いたふんわりワンピースにおしゃれ眼鏡をかけ、麻子はいつもより気合が入っていた。そんな姿にドキドキしながら、香太郎は行きつけの香水工房「ヴォトラトリエ」へと向かう。たくさん用意された香りのサンプルから、麻子に似合うものをピックアップしていくが、そこは仕事柄、匂いに詳しい香太郎が本領を発揮。あまりの詳しさにお店のスタッフも困惑してしまうが、二人の意見が一致した香水をプレゼントしてもらった麻子は、せっかくだからとその香水をまとって帰ることにした。店を出て、駅に戻ったところで香太郎はレストランへ電話をするためにその場を離れ、麻子は一人になる。すると、そこを通りかかった外国人男性のヘンリック・コールセンがその匂いを感じ取り、突然麻子に声を掛けてきた。流暢な日本語で、食事かカフェに行こうと麻子を誘おうとする。困惑する麻子のもとへ戻って来た香太郎が状況に気づき、とっさに助けに入る。自分の恋人だと告げると、ヘンリックは残念そうに麻子を誘うのをあきらめる。しかし、デート中に恋人を一人きりにした香太郎に対し、チクリとそのミスを指摘したヘンリックは、麻子に自分の名刺を渡して去っていく。麻子はホッと胸をなでおろすと、渡された名刺をなんの気なしに鞄にしまい、香太郎にお礼を言って歩き始めるが、その後も香太郎の表情は晴れないままだった。その様子を感じ取った麻子は、しびれを切らし、香太郎の顔を曇らせている原因はなんなのかを尋ねる。

第7巻

念願の同棲生活を始めた八重島麻子名取香太郎は、初めての大ゲンカも乗り越え、穏やかな日常を送っていた。幸せいっぱいの毎日を堪能していた矢先、麻子に香太郎の実家へ挨拶に行くという過去最大の試練が訪れる。着て行く服選びから、手土産に至るまで、すべてに悩む一大事となった。そして当日、名取家の最寄り駅に到着したが、さっそくトイレにこもり、全力で汗ケアを済ませた麻子を待っていたのは、駅まで迎えに来てくれていた香太郎の妹の名取柚香だった。一瀬こりすに似た雰囲気を持つ柚香は、無邪気な笑顔と元気いっぱいの明るさを放ちながら、全身全霊で麻子を歓迎する。麻子は人懐っこい柚香にほっとしつつ、香太郎と共に柚香の車で名取家へと向かう。到着した麻子を出迎えたのは、香太郎の両親、名取真太郎名取奏だった。目の見えない奏との挨拶を前に、緊張で体を固くする麻子だったが、香太郎と奏の再会のハグと優しい笑顔で迎えられたことで、緊張は少しずつほぐれていく。その後、食事やお酒で大歓迎を受けた麻子は、香太郎のアルバムを見せてもらったり、柚香といっしょにお風呂に入ったりと、自分の実家に帰った時のようにリラックスした気持ちで過ごす。翌朝、奏とキッチンに立った麻子は、奏の過去の話を聞き、なんとなく自分の母親と重ねては、目の見えない奏の様子に例えようのない寂しさを感じてしまう。そして帰り際、奏から抱きしめてもいいかと問われた麻子の目には、涙が浮かんでいた。

登場人物・キャラクター

八重島 麻子 (やえしま あさこ)

化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」の経理部に所属する女性。年齢は26歳。極度の汗っかきで、子供の頃は「汗子」と呼ばれていたことがあり、汗が最大のコンプレックスとなっている。自分の体臭を過剰に気にするところがあり、一日に何度もトイレに入っては、ボディシートで全身を拭いたり、汗じみがないかのチェックなど、汗ケアに余念がない。せっけん集めが趣味で、特に自社製品のせっけんの大ファン。さまざまな商品を購入しては、日替わりで愛用している。匂いをきっかけに名取香太郎と出会い、新商品の開発に協力するために自分の匂いを香太郎に嗅がせることになった。その後、香太郎と恋人同士となるが、恋愛経験が乏しいこともあり、自分に自信が持てずに有能なプランナーである香太郎と釣り合わないことを気に病んでいる。また、その自信のなさから、特に恋愛にかかわることはネットで下調べし予習する、頭でっかちなところがある。彼女の体臭は、せっけんやデオドラント製品の助けもあって基本的にいつもよい匂いだが、精神的なものが影響しやすく、悲しい時にはごくわずかに匂いにとげがある。しかし、この匂いを感じ取れるのは超越した嗅覚を持つ香太郎だけ。身長156センチ、体重51キロ。Gカップの巨乳。3月28日生まれの牡羊座で、血液型はO型。

名取 香太郎 (なとり こうたろう)

化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」の商品開発部でプランナーを務める男性。年齢は29歳。第一線で活躍するカリスマプランナーで、卓越した嗅覚の持ち主。最近自社から発売しているせっけんはすべて名取香太郎が中心となって、一瀬こりす、松苗沙織、鈴村悠二とチームを組んでプランニングしたものでヒットを連発しており、社内では非常に有名な存在。明るい性格でファッションや匂いにも敏感で、女性からの人気も高い。恋愛に対しては、来る者は拒まずなところがあり、経験もそこそこ豊富。しかし、いろいろな面でゆるい性格が仇となり、過去に付き合った女性とはすべて長くは続かなかった。ある時、匂いがきっかけで八重島麻子と出会い、新商品の開発のために協力してもらうため、麻子の匂いを嗅がせてもらうことになった。その後、麻子と恋人同士となる。基本的にいつもいい匂いをまとっている麻子だが、感情によって匂いの状態が変わることを知り、彼女の精神状態の変化を匂いによって感じ取ることができる。麻子の匂いが大好きで、彼女の匂いを嗅げない時間が長いと、どんどん気持ちが落ち込んでいく。実は極端な運動音痴でもある。身長175センチ、体重63キロ。10月1日生まれのてんびん座で、血液型はB型。実家は埼玉県の狭山で茶園を営んでいる。視力を失った母親がいることで、以前付き合っていた女性から実家の家族に紹介することを拒絶された経験があるため、未だにそのことを引きずっている。

大蔵 仁 (おおくら じん)

化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」の経理部で部長を務める男性。八重島麻子の直属の上司にあたる。いつもあごひげを尖らせ、太いもみあげにリーゼントヘアで決めている。男らしい見た目に反して、中身は女性的でオネェ口調でしゃべる。週2回のジム通いが欠かせないムキムキマッチョで、濃い目の外見と乙女チックな内面のギャップが激しい。人に対して女性的な気遣いができ、部下からの信頼も厚い。社員旅行に行った際、酔いつぶれて寝てしまった名取香太郎と、麻子がいっしょにいるところに偶然遭遇。二人の関係を察し、口外しないことを約束した。それからは、麻子の恋愛相談を受けたり、時にはいっしょに食事に行ったりして、女性的な視点で香太郎に関するアドバイスをした。基本、部署内の女子会には一女子として参加している。

一瀬 こりす (いちせ こりす)

化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」の商品開発部に所属する女性。年齢は25歳。ショートヘアの快活な性格で、ちょこまかと元気に動き回るリスのようだといわれている。名取香太郎とは、入社1年目に育成担当として直接指導を受けた関係で深い信頼関係を築いており、OJT期間が終わったあとも、アシスタントについていっしょに行動することで、勉強させてもらっている。装丁やラッピングをすることが趣味で、ヒマさえあればペーパーショップやラッピング用品店に出向いている。提出した領収書に不備があり、説明を求められたことがきっかけで、八重島麻子と知り合った。その際、香太郎についての話となり、麻子と香太郎のあいだには何かあるのではないかと疑い始めた。実は一瀬こりす自身が香太郎に対して恋心を抱いているが、同僚としてただ見ていることしかできないでいた。しかし、香太郎と二人で3泊4日の出張に行った際、香太郎と麻子が交際していることを知り、自分の気持ちも香太郎に知られることとなった。紆余曲折の末に光太郎への気持ちを吹っ切り、同時に麻子との関係も良好になって二人の今後を応援する立場となる。身長152センチ、体重42キロ。5月10日生まれの牡牛座で、血液型はB型。

八重島 桂太 (やえしま けいた)

八重島麻子の弟。年齢は24歳。都内で一人暮らしをしながら、イタリアンレストラン「trattoria KURATA」でコックを務めている。まだ一人前ではないが、ディナーで出す料理を一品提案させてもらうなど、信頼されている。口数は少ないが、なんに対しても感性が鋭く、半年ぶりに帰省した際に会った姉の変化を敏感に感じ取った。のちに、麻子から彼氏ができたことを打ち明けられ、名取香太郎と直接会うことになる。しかし、香太郎の見た目から、女慣れしていそうな彼を警戒した。姉を心配するあまり、初めてレストランにやってきた香太郎に左手で握手を求めたり、イタリア語だけで書かれたメニューを渡すなど、彼を試すような意地悪な態度を取った。実は、これは幼い頃から汗っかきのことでいじめられていた姉を心配する思いが影響している。姉を大切に思うあまり、香太郎を認められないでいたが、時間を重ねるごとに香太郎への誤解を解き、不本意ながらも自然に認めるようになっていく。身長171センチ、体重57キロ。7月25日生まれの獅子座で、血液型はAB型。

八重島 ゆり子 (やえしま ゆりこ)

八重島麻子、八重島桂太の母親。年齢は52歳。千葉の自宅で夫の八重島勝臣と二人で暮らしている。年の割にとてもかわいらしく、優しい雰囲気を漂わせている。半年ぶりに帰省した麻子から、付き合っている人がいることを打ち明けられ、動揺しつつも暖かく受け入れて祝福した。その話を受け、自分が麻子を産んだのが26歳の時だったと思い出し、麻子がいつ嫁にいってもおかしくない年頃になったのだと実感する。家族四人で過ごすことが、この先もう何度もないのではないかと、少し寂しさを感じるようになった。麻子が同棲前の挨拶をするために名取香太郎を連れてきた時には暖かい笑顔でもてなし、母親らしい気配りで固くなりがちな空気を和らげた。

八重島 勝臣

八重島麻子、八重島桂太の父親。年齢は51歳。千葉の自宅で妻の八重島ゆり子と二人で暮らしている。娘を溺愛しており、東京で一人暮らしをしていることを心配している。麻子が帰省するたびに、いつでも帰って来ていいよとのセリフを発するのがお決まりのパターンとなっている。マージャンが大好きで、家族が四人揃うとマージャン大会が始まる。麻子が同棲前の挨拶をするために名取香太郎を連れてきた時には、暖かくて父親らしい威厳をもって迎え、二人の考えを確認したのち、祝福した。麻子と似た汗っかき体質の持ち主。

三好 よりこ (みよし よりこ)

化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」の経理部に所属する女性。おでこ全開のショートヘアで、大蔵仁とは同性のように仲がよく、八重島麻子の先輩にあたる。麻子から、名取香太郎との交際をカミングアウトされた際には、最近麻子がキレイになったことを実感していたと漏らし、「恋愛っていいわ」と涙して喜んだ。

橋谷 修 (はしたに おさむ)

化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」の経理部に所属する男性。八重島麻子の同僚で、もともと彼女のことは個性的な地味でまじめな子という印象を持っていた。しかし、いつもと違う雰囲気のワンピースで出社した麻子を見て以来、彼女のことを気にするようになり、近づくチャンスを窺っている。

鈴村 悠二 (すずむら ゆうじ)

化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」の商品開発部に所属する男性。名取香太郎、一瀬こりす、松苗沙織とはチームを組んで仕事をしている仲間。眼鏡をかけていることから表情がわかりづらく、怖そうに見られることもあるが、実はかなりクセが強めの面白い人物。香太郎を仕事仲間としてリスペクトしている。香太郎から彼女として八重島麻子を紹介された時には、麻子と付き合い始めてからの香太郎の浮かれぶりを率先して話した。その後は、香太郎から恋愛相談を受けることも増え、冷静に理論立ててアドバイスを送る。

松苗 沙織 (まつなえ さおり)

化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」の商品開発部に所属する女性。ふんわりとした暖かい笑顔で、優しい雰囲気を漂わせたお姉さんタイプ。名取香太郎や一瀬こりす、鈴村悠二とはチームを組んで仕事をしている仲間。こりすが香太郎に思いを寄せていることをうすうす感じていたため、香太郎から彼女として八重島麻子を紹介された時にはこりすを気遣った。

坂下 (さかした)

化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」の経理部に所属する女性。八重島麻子の同僚。明るい性格で、ショートボブヘアにしている。ちょっとミーハーなところがあり、名取香太郎との交際を知ってからは、恋愛相談にも乗っている。現在彼氏と同棲中。かなりのゲーム好きで、同じゲーマーの彼氏とはオンラインゲームで遊ぶことが多いため、いっしょに住むことになった。

立石 (たていし)

化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」の営業部に所属する男性。名取香太郎とは同期入社だが、すぐに頭角を現し、商品開発のエリートとなった香太郎にちょっとしたジェラシーを感じている。3年間付き合った彼女がおり、交際1年目から同棲していた。しかし、家庭に入りたいという強い願望を持つ彼女から、子供がほしいと求められたことでプレッシャーを抱くようになる。仕事面で不安があったため、立石自身が誇れる何かを手に入れてからプロポーズしたいと考え、仕事に邁進した結果、待ちくたびれた彼女から別れを切り出され、フラれることとなった。別れてすぐに、彼女との同棲に悩みを抱えていた香太郎から、相談に乗ってほしいと求められ、鈴村悠二と三人でリリアドロップ男子会を開催。同棲のメリットやデメリットを分析する鈴村に対して、好きな女性との同棲にデメリットはないと熱く語った。

浦沢 (うらさわ)

スズキ不動産駒澤大学店に勤める男性。二人で同棲するための部屋を探しに来た八重島麻子と名取香太郎を担当することになった。営業成績優秀で、麻子と香太郎から契約を取ることができれば、20か月連続契約件数1位となるため、二人の様子をつぶさに観察し、どんなアプローチをすれば契約につながるかを考えている。その結果、このカップルはチョロいと侮り始めるが、内見を繰り返すうちに予想を超える真剣ぶりに圧倒され、次第に本気になってとっておきの物件を紹介することになる。

ヘンリック・コールセン

フローリストの外国人男性。代官山の駅前で、一人佇んでいた八重島麻子からとてもいい匂いがすることに気づき、声を掛けた。長めの髪を後ろでひとまとめにしたイケメンで、流暢な日本語を扱う。麻子に食事かカフェに行かないかと誘ったところ、場を外していた名取香太郎が現れたため、口説くことを断念した。こんなにいい香りをした、魅力的な女性に恋人がいないわけがないと、残念な思いをにじませつつ、自分だったらデート中に恋人を一人にしないと香太郎に注意をうながしたうえで、麻子に名刺を渡してその場を去った。その後、リリアドロップの新商品プレス発表会の会場の装花を担当したことで、香太郎と再会を果たす。その際、香太郎から飾り付けられた花の匂いについての指摘や提案に感銘を受け、仕事相手として香太郎に興味を持つ。

椿 嶺花 (つばき れいか)

化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」の商品開発部に所属する女性。コスメ部門のカリスマ的な存在で、女性社員からの信頼も厚く、ルールに厳しくストイックな性格の持ち主。美人ながら人当たりがきつく、少々高圧的なところがある。特に規範意識が低い、名取香太郎を目の敵にしているところがある。ただし、彼が会社のために必要不可欠な人材であることを理解しているため、気に入らないながらも良好な関係づくりに尽力している。ファッション誌にコラムを書くなどファッションに精通しており、ネクタイのコーディネートに悩んでいた香太郎にアドバイスしたこともある。ランチタイムで偶然八重島麻子と隣席した際には、麻子の肌が綺麗なことに気づいた。汗っかきだからと謙遜する麻子に、肌の代謝がいいからだと褒めた。

名取 真太郎 (なとり しんたろう)

名取香太郎の父親。年齢は58歳。埼玉県の狭山で茶園を営んでいる。言葉数は少なく、堅物で厳しそうな印象だが、妻の名取奏には非常に優しい。どうやっても立ち上がってしまう前髪が、香太郎と同じ遺伝子を感じさせる。また、表情が乏しいことから、悪だくみをしている時の香太郎とそっくりだといわれている。子供たちにはあまり干渉しない考えの持ち主。茶葉を使った料理にこだわりを持ち、同棲の挨拶にきた八重島麻子を自前の茶葉を使った茶飯や、手作り茶葉ふりかけでもてなした。

名取 奏 (なとり かなで)

名取香太郎の母親。年齢は54歳。埼玉県の狭山で茶園を営んでいる。優しい性格で、ショートヘアにしている。夫の名取真太郎には一目惚れで、押しかけ女房となって結婚したという経緯があり、未だに関係は良好。結婚後に視力を失い、現在は盲目となったが、家事をはじめできることはすべて自ら行っている。その姿はなんら違和感がなく、視力を失っていることを忘れさせてしまうほど。視力を失ったばかりの頃は、真太郎が仕事を休んで介護しようとしたが、気持ちはありがたく思いながらも、その申し出を強く拒絶した。同棲の挨拶に来た八重島麻子を明るく優しい笑顔で歓迎し、実の娘のように接した。そして帰り際には、麻子を抱きしめて見送った。

名取 柚香 (なとり ゆずか)

名取香太郎の妹。大学4年生で、年齢は21歳。本命のアパレル系企業の就職が決まっている。埼玉県の狭山で茶園を営む両親の名取真太郎、名取奏と共に暮らしている。一瀬こりすに似た雰囲気を漂わせており、いつもテンションが高めで人懐っこい性格をしている。姉という存在にあこがれを抱いており、初対面の八重島麻子を歓迎して抱きつき、その際に麻子の胸の大きさを体感して、静かに感動をかみしめていた。その後も麻子といっしょに風呂に入りたがったり、風呂場で兄のどんなところに惹かれたのかと質問責めにした。麻子の話が最終的にのろけ話になってしまったことで、彼女の人の好さを実感してなかよくなった。

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