森山中教習所

森山中教習所

彼女と別れて心機一転、今年の夏に教習所に通って、普通自動車運転免許を取ろうと森山中教習所に入所した佐藤清高と、彼を取り巻く一癖も二癖もある登場人物たちとの、一夏の日常を描いたヒューマンドラマ。「月刊!スピリッツ」2009年11月号から2010年9月号にかけて掲載された作品で、2016年7月には豊島圭介監督、野村周平と賀来賢人のW主演で実写映画化もされている。

正式名称
森山中教習所
ふりがな
もりやまちゅうきょうしゅうじょ
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
関連商品
Amazon 楽天 小学館eコミックストア

概要・あらすじ

ある夜、牛松家で彼女の松田に別れ話を切り出した佐藤清高は、今年の夏に車の免許を取りたいと語る。しかし、山と畑に囲まれた田舎町では近くに教習所はなく、教習所を決められぬまま、清高は松田と別れた。その後、ひとり自転車で暗い畦道を走っていた清高は、突然車にはねられてしまう。そのまま車のトランクに押し込められた清高は、見たこともない建物の前へと連れて来られる。

その建物は、木札に森山中教習所と書かれていた。清高を連れてきた男は、事故の慰謝料として、教習所に無料で入所させてやると語る。彼の口車に乗った清高の、一癖も二癖もある人々に囲まれた森山中教習所での生活が始まる。

登場人物・キャラクター

佐藤 清高 (さとう きよたか)

大学の文学部に所属する20歳の男性。黒髪の短髪で、前髪を右に流している。Tシャツに、ジーパンや短パンを着用することが多い。作家を目指しており、将来は車で旅をする作家になるのが夢。轟木とは高校の同級生で、同じクラスになったときに、一度だけ教室で会話をしたことがある。自転車に乗って帰宅しているときに車にはねられ、いつのまにか連れてこられた森山中教習所に、入所することになった。 あまり深く考えず、思ったことをそのまま口に出してしまう性格。

轟木 (とどろき)

20歳の男性。佐藤清高の高校の同級生。白髪で前髪を真っ直ぐに切りそろえた短髪。ワイシャツにスラックスという服装が多く、ときどきネクタイを締めている。物静かな性格から、清高に一度だけ声をかけられたことがあるだけ。他のクラスメイトからは、一度も声をかけられることがなかった。趣味は読書で、海外小説から護身術の実用書まで、幅広く読んでいる。 喧嘩が強く、高校時代に複数の高校生に絡まれたても、1人で全員返り討ちにした。そこをヤクザの社長に偶然目撃され、それがきっかけでヤクザになった。無免許運転中に、助手席にいた社長から、車の免許を取りにいくよう命令され、森山中教習所に入所することになる。

サキ

森山中教習所の教官。28歳の女性。黒髪の短髪で前髪を左右に分けており、ポロシャツやTシャツに、ジーパンやハーフパンツを着用することが多い。ときどき、日差し避けに帽子をかぶることもある。母親のトキと父親のイイチロー、息子のタカシと一緒に、森山中教習所で生活している。かつて夫に浮気され、それが原因で離婚している。 一時期は死ぬことも考えていた。しかし、既にお腹の中にタカシがおり、彼を出産した後は、生まれ変わったように、子育てを満喫している。

ヤクザの社長 (やくざのしゃちょう)

ヤクザの男性。部下からは「社長」と呼ばれている。白髪で前髪を左に流してセットし、眼鏡をかけている。基本的にスーツを着用しているが、半袖シャツにスラックスというときもある。両肩に刺青があり、シャツの下には防弾チョッキを着込んでいる。外見はごく一般的なサラリーマンに見えるが、極東会というヤクザ組織をまとめ上げる存在。 車を無免許運転させていた部下の轟木が、佐藤清高をはねてしまったため、清高をトランクに押し込んで森山中教習所に連れて行き、そのまま轟木と共に教習所に入所させた。

松田 (まつだ)

佐藤清高の元彼女。黒髪のおかっぱ頭で、前髪を眉毛の上で切りそろえており、ボーダーのシャツにジーパンをあわせたり、ワンピースを着用している。牛松家で清高に振られてしまい、顔中を涙と鼻水まみれにしていた。清高から、教習所に通い始めたというメールが届いたとき、免許が取れたらドライブに行きたいと返信した。別れた後に偶然町で会ったときにも、牛松屋で一緒に食事をしたりと、その後も清高への未練を残している。

トキ

森山中教習所の教官の女性。サキの母親。長い黒髪にパーマをかけており、前髪は目の上で切りそろえている。森山中教習所の教官で夫のイイチローと、娘のサキ、孫のタカシと共に、森山中教習所で生活している。教習の予定がない日は、裏山で農作業をしたり、ダンス教室に通ったりしている。

タカシ

森山中教習所に住んでいる少年。サキの息子。短髪で、ランニングシャツに短パンという服装でいることが多い。森山教習所で、祖父母のイイチローとトキ、母親のサキと共に生活をしている。実技講習中の車の中に隠れ、運転中に突然声を出して驚かせたりするイタズラ好き。昆虫が大好きで、皆で山に行くことになったときは、クワガタを取ると言って、虫籠と虫捕り網を手に張り切っていた。

イイチロー

サキの父親。上唇の上と顎に髭を生やし、黒髪の長髪で、キツめのパーマをかけてモジャモジャにしている。普段はタクシーの運転手として働いているが、ときどき森山中教習所の教官として講習を行うこともある。お得意先であるヤクザの社長とは30年来の付き合い。当時命を狙われていた彼を、タクシーに乗せて助けたことがきっかけで、命の恩人として恩義を受けている。 現在の住まいである森山中教習所には、ヤクザの社長の計らいで住まわせてもらっている。

清高の母親 (きよたかのははおや)

専業主婦の女性。佐藤清高の母親。中肉中背で長い黒髪にパーマをかけている。佐藤家の家事全般をこなしている。清高の父親が、今年の春に会社をリストラされて以来、清高の母親に対して暴力を振るうようになった。そのせいで手首に包帯を巻いたり、顔や腕に痣を作っている。

清高の父親 (きよたかのちちおや)

無職の男性。佐藤清高の父親。恰幅が良く、五分刈りの頭をしている。不況のあおりを受けて、今年の春から大手企業のリストラを余儀なくされ、職安に通う日々が続いている。自宅では何をするでもなくテレビゲームをしており、家族からは腫れ物に触るように扱われている。時折癇癪を起こし、物や清高の母親にあたることがある。

集団・組織

極東会 (きょくとうかい)

ヤクザの社長がまとめているヤクザの組織。轟木もこの組織の一員。30年前、ヤクザの社長を中心に、現在の組織が結成された。主に金貸しの業務を行っており、定期的に組の定例会が行われている。

場所

森山中教習所 (もりやまちゅうきょうしゅうじょ)

普通自動車免許の教習所。以前は私立校で民間人が経営していたが、その後、経営が上手くいかなくなって破綻。当時の経営者に金を貸していたヤクザの社長が、借金のカタに学校を手に入れた。その後、得意先のタクシー運転手であるイイチローが家族と共に住まわせてもらうことになった。現在は非公認教習所として、トキとサキが教官として講習を行っている。 建物には、森山中教習所と書かれた木札の看板が下がっている。ラジオ体操の出席カードを、手書きで書き換えて教習カードとして使用している。建物は以前の私立校のときのままを使用。実技講習は、建物の前の校庭に三角コーンを立て、ラインを引いて講習を行っている。週に一度は、公認中央自動車教習所に遠征に行かせている。

牛松家 (うしまつや)

牛丼屋。佐藤清高が松田に別れ話をしていた場所。2人が食事に行くのは決まってここ。24時間営業で、280円の牛丼の並盛り以外に、豚丼、カレーといったメニューもある。レンガ造りの建物で、店員は襟付きのユニフォームと、牛松家と胸元に大きく書かれたエプロンを着用している。親切、安心、うまい、をモットーにしていると、店内アナウンスで宣伝している。

書誌情報

森山中教習所 小学館〈ビッグ コミックス〉

(2010-08-30発行、 978-4091833808)

SHARE
EC
Amazon
logo