どろろと百鬼丸伝

どろろと百鬼丸伝

手塚治虫の『どろろ』のリメイク作品。死霊に肉体を奪われた少年の百鬼丸は泥棒の少女どろろと共に、自らの体を取り戻す旅に出る。戦国の世の無常と少年少女の成長を描く戦国バトルアクション。過去の名作を現代風に独自アレンジし、スタイリッシュな絵柄で描いているのが特徴。『チャンピオンRED』2018年12月号から連載の作品。

正式名称
どろろと百鬼丸伝
ふりがな
どろろとひゃっきまるでん
原作者
手塚 治虫
漫画
ジャンル
バトル
 
戦国
レーベル
チャンピオンREDコミックス(秋田書店)
巻数
既刊7巻
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作品誕生のいきさつ

士貴智志は『チャンピオンRED』で新連載をするにあたって、担当編集者との話し合いの中で好きな作品として手塚治虫の『どろろ』の名を挙げたことが、本作『どろろと百鬼丸伝』を描くきっかけとなったと語っている。また、士貴智志は本作の執筆にあたり、自身の作風や絵柄を生かした作品を作りたいと考えており、手塚プロダクションからも「自由にやってよい」と許可を得ている。そのため本作は、大まかなストーリーやキャラクターは原作を踏襲しつつも、現代の読者に読みやすくアレンジが加えられた内容となっている。

あらすじ

第1巻

時は戦乱の世、人心も荒れ果て、人々のあいだでは盗みや暴力が横行していた。そんな世にあって盗みをしながらなんとか食いつないでいたどろろは、ある日、奇妙な少年の百鬼丸と出会う。そして、死霊を打ち倒した百鬼丸の名刀に目をつけたどろろは、彼に刀をもらうと宣言して旅に同行。百鬼丸の旅の連れである琵琶法師も交え、三人で旅をすることとなった。その旅の途中、一行は見かけた金小僧に導かれるように、湖のほとりの村にたどり着く。その村は化け物に襲われており、どろろたちの一行は化け物の仲間だと疑われ、村のまとめ役である万代に幽閉されてしまう。そこを死霊に襲われるが、百鬼丸が死霊を撃退。そしてどろろたちは、同じく牢に囚われていた庄屋から、万代こそが村を襲う化け物だと教えられる。その後、百鬼丸とどろろは正体を現した万代を倒し、村を化け物の脅威から救う。しかし村人たちは彼らを不気味がり、村から追い出すのだった。

第2巻

万代を倒したことで百鬼丸は目を取り戻すが、そのせいで体調を崩してしまう。どろろは百鬼丸の看病をするうちに、百鬼丸の生い立ちと死霊との因縁を聞く。過酷な運命に翻弄された百鬼丸に心打たれたどろろは、あらためて彼についていくことを誓うのだった。この一件以来、どろろと百鬼丸はお互いを強く信頼するようになっていく。だがどろろはその直後、訪れたばんもんで処刑されそうになっていた百姓を見ていられずに暴れたことで、侍に囚われてしまう。一方、体調が万全ではない百鬼丸は、焦りながらもどろろを捜すために奔走する。そんな中、奇妙な男からどろろが多宝丸のもとにいると教えられた百鬼丸は、彼の屋敷を目指す。その頃、囚われの身となったどろろは、そこで百鬼丸の生き別れの弟、多宝丸と出会っていた。

登場人物・キャラクター

どろろ

盗人を生業とする少女。男勝りな勝気な性格をしており、侍やならず者から金目の物や食料を盗んで食いつないでいる。一人称は「おいら」で、男の子っぽい格好と言動をしているため、よく小僧とまちがえられる。死霊を殺した百鬼丸の持つ刀を目にし、その刀を手に入れるために彼の旅に同行する。卓越した剣技を持つ百鬼丸を兄貴分として慕う。当初はズタボロの服を身にまとっていたが、万代に着物を着せられてからは、それを着て過ごしている。生きるために盗みを行っていたが、根は面倒見がよく、悪態をつきつつも困っている人を見過ごせない性分。盗みをしなければ生きていけない戦乱の世を憎み、理不尽に踏みにじられる人々に心を痛めている。どろろに対しても彼と行動を共にすることで心情が変化し、強い信頼関係で結ばれていく。

百鬼丸 (ひゃっきまる)

死霊と戦う少年。一見すると長く伸ばした黒い髪を一つまとめにした美丈夫だが、手や足、目を含めて全身が作り物の体。目も見えず、耳も聞こえないが、それゆえに鋭敏な感覚を持っており、それを生かして人のしゃべる内容を感じ取っている。生まれてすぐに47の死霊と一匹の魔神にそれぞれ体の一部を奪われており、現在の体は体の大部分を失って捨てられた状態の百鬼丸を不憫に思った寿海が作り出した、絡繰り仕掛けの肉体。ただ、寿海が作ったのはあくまで人の体をした入れ物にしか過ぎず、それを自分の体のように自由自在に動かしているのは百鬼丸がもともと持っていた力によるものだと、寿海は考えている。百鬼丸が死霊と戦う運命にあることを知った寿海が、せめてもの助けになればと体中に武器を仕込んでおり、死霊との戦いではそれらを駆使して戦う。特に両腕の中に仕込んだ二刀の刀は強力で、死霊を打ち倒す呪いが込められている。もともと名はなかったが、その数奇な運命を知った寿海に、「百鬼丸」と名づけられた。旅に出てからは一人で過ごしてきたが、どろろと出会い、彼女から兄のように慕われるようになる。死霊に勝利するたびに体の一部を取り戻すが、同時にそれによって今まで頼ってきた鋭敏な感覚が鈍ってしまう。

琵琶法師 (びわほうし)

盲目の男性。琵琶を持つ初老の僧侶で、百鬼丸の旅に同行している。死霊と因縁深い存在で彼らと同じくすでに死人ながら、彼らから百鬼丸を守り、百鬼丸と死霊の戦いの行く末を見守る。死霊たちからは「晴明」の名で呼ばれる。かつて死霊が百鬼丸の存在に気づいたのに呼応して墓よりよみがえり、百鬼丸が過酷な運命に身を置かれていることを教える。すご腕の法師で、百鬼丸の持つ刀に死霊を打ち倒す呪い(まじない)を込めたのも琵琶法師だった。百鬼丸が体を取り戻すためには彼自身が死霊を打ち倒さなければいけないため、基本的に死霊との戦いには手を出さない。ただし百鬼丸が弱っている際には人知れず死霊と戦い、彼を守っている。どろろの在り様を気に入っており、どろろとの交流で百鬼丸が少しずつ変わっていくことを期待している。

多宝丸 (たほうまる)

百鬼丸の弟。上等な着物を羽織った少年で、捨てられた百鬼丸と違い、醍醐家の嫡男として大事に育てられた。なんらかの理由で右半身を失っており、百鬼丸と同じく寿海の作った絡繰り仕掛けの体となっている。狐の姿をした死霊に取り憑かれており、その力を使ってばんもんの守護を担当する。

寿海 (じゅかい)

百鬼丸のかりそめの体を作った医者。ヒゲを生やした中年男性で、赤子の百鬼丸を拾った百姓の夫婦といっしょに百鬼丸を育てた。ばんもんができて夫婦が来られなくなったあとも百鬼丸の面倒を見て、次第に百鬼丸を自分の息子のように思うようになる。人間の体と遜色ない絡繰りの体を作っているが、それを自由自在に動かすのは至難の業。しかし、百鬼丸がまるで本当の自分の体のように絡繰りの体を動かす姿を見て、薄々だが彼が不思議な力を持つことに気づく。そのため死霊に襲われた際にも、百鬼丸の不思議な力が狙いだとすぐに気づいた。琵琶法師によって百鬼丸の運命を聞かされたあと、彼に「百鬼丸」の名と、特別にあつらえた絡繰りの体を与えて彼を旅に送り出した。それから百鬼丸とは会わずに過ごし、数年後、多宝丸の主治医となる。現在は病に蝕まれており、時々病気の発作で苦しんでいる。また病気のせいで、百鬼丸と過ごしていた時よりも瘦せ細った姿となっている。

万代 (ばんだい)

湖のほとりにある村の庄屋の娘。鋭い顔つきをした女性で、裕福な家の娘として何不自由なく育ち、かつては村人たちを手厚く保護したために人望にも恵まれていた。しかし欲と名声に溺れ、死霊に取り込まれ、化け物へと変わり果ててしまう。現在は表では庄屋の娘として村人たちに手厚い施しをしつつ、裏では化け物の姿となって村人たちから金を巻き上げる自作自演の悪事を働き、村の支配を盤石なものにしている。身も心も化け物へと変わり果てたが、肉親への情からか父親の庄屋の命は奪わず、幽閉するにとどめている。金小僧に導かれた百鬼丸とどろろを危険視し、彼らを幽閉する。また自らの後継者を求めており、どろろを己の子にしようともくろむ。しかし百鬼丸に返り討ちに遭い、死霊ごと百鬼丸に切り伏せられて死亡した。死霊は百鬼丸の「目」を奪っており、万代を倒したことで百鬼丸は目を取り戻した。

庄屋 (しょうや)

湖のほとりにある村で庄屋を務める男性。瘦せた老人で、万代の父親。かつては裕福な村をおさめていたが、化け物へと変わり果てた万代にその地位を追いやられ、牢に幽閉されてしまう。表向きは万代によって葬儀まで行われ、死んだ者として扱われている。牢で死ぬのを目前にし、同じく万代によって閉じ込められた百鬼丸とどろろに事情を話し、助力を乞う。腰の低い態度で百鬼丸たちに頼み込んだが、実は彼らを利用して万代を殺し、再び権力の座に返り咲くことをもくろんでいる。

金小僧 (かねこぞう)

巨大な頭を持つ男性のような姿をした金の精。右手に持った鈴を鳴らしながら歩く。湖のほとりにある村の周辺に現れ、通りかかる人に何かを伝えていた。村では不吉な存在と思われており、金小僧を見た人間は万代のもとに引っ立てる決まりとなっている。実は万代が奪った金に宿った精霊で、使われることなく死蔵されていることに耐えられず、「外に出たい」という金の希望を叶えようとしている。そのため人々に万代が隠した金の在り処を教えていたが、彼から金の在り処を教えられた人間は万代に口封じに殺されている。村の近くを通りかかった百鬼丸にも金の在り処を教え、彼が隠し場所である竹林にやって来たのを見届けたあと、満足して消え去った。

場所

ばんもん

醍醐家が管理する国境の壁。もともとは十数年前、富樫家が自領の鉱山を守るために作り出した物だったが、その後、醍醐家が勢力を強め、富樫家がその配下に加わったことで醍醐家の管理下となった。かつては大きな壁が延々と続いていたが、近隣の領土争いに何度も巻き込まれたため、ほとんどが朽ち果て、現在は壁の残骸がその名残として残るだけとなっている。しかし、未だに周辺の家々はその残骸を目印にして領土争いを行っているため、争いの絶えない地となっている。また、ばんもんができて以降、周辺の領民には「ばんもんを絶対に越えてはならぬ」という掟が布告されている。

その他キーワード

死霊 (しりょう)

百鬼丸の体を奪った怪物。実体のない化け物で、人間や物品に取り憑き、各地で暗躍している。百鬼丸の父親である醍醐景光と約定を交わし、百鬼丸の体を得るのを代償に彼が戦国の世で生き抜く力を与えた。死霊の総数は全部で47匹、それぞれが生まれたばかりの百鬼丸から体の一部を奪っており、百鬼丸に倒されるたび、それぞれが奪った体の一部が百鬼丸へと戻っている。琵琶法師とは因縁があり、彼を「晴明」と呼ぶ。また、ふつうの武器では死霊の本体を滅することはできないが、琵琶法師の法力が込められた刀は唯一通用する。

クレジット

原作

ベース

どろろ

48の魔神に体の48カ所を奪われた少年、百鬼丸と、親を無くしたどろろが、妖怪たちと戦いながら乱世を生き抜いていく物語。 関連ページ:どろろ

書誌情報

どろろと百鬼丸伝 7巻 秋田書店〈チャンピオンREDコミックス〉

第7巻

(2022-09-20発行、 978-4253236997)

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