作品誕生のいきさつ
1990年に『怪奇警察PSY-POLICE』で第20回藤子不二雄賞を受賞し、その後1991年に「別冊コロコロコミックスペシャル」8月号、10月号に読切版『怪奇警察サイポリス』が掲載された。この読み切り版が本作『怪奇警察サイポリス』のパイロット版となっている。「人を呪い殺すと罪になるのか」という疑問から着想を得て、超常的な力を使った犯罪に対処する警察組織として怪奇警察サイポリスが考えられた。そのためコミックス第1巻の巻末に収録されている『怪奇警察PSY-POLICE』では、鬼塚勇気の父親が呪われるところから物語が始まっている。しかし人間の犯罪を主題にすると物語が陰湿になり、連載誌のターゲット層である児童に向かないという理由で、敵が妖怪に変更されたという経緯がある。
作品構成
物語は2部構成となっている。コミックス第1巻から第8巻3話目までは、鬼塚勇気が神和住京子たち怪奇警察サイポリスの仲間たちと出会いながら凶魎派の妖怪たちと戦いを繰り広げ、やがて舞台を魔界に移していく「第一部 魔界激闘編」、コミックス第8巻4話目からは、第9巻まで魔界で2年間の修行を終えた勇気が、世界中のサイポリスと協力しながら、メギド復活を目論む五皇神と戦いを繰り広げる「第二部」となっている。なお、第二部はアメリカでのケセフ戦を最後に未完となっており、第一部のようにサブタイトルも付いていない。
あらすじ
第一部 魔界激闘編
ごく普通の中学生として生活している少年・鬼塚勇気は、秘密裏に妖怪や悪霊の退治を行う怪奇警察サイポリスの戦士として戦っている。凶魎派と呼ばれる、人間世界の征服を企む妖怪たちとの戦いに備え、パートナーである神和住京子たちを仲間に加えながら死闘を繰り広げる。その中で勇気は、死んだとばかり思っていた父親の正体も知ることになる。
第二部
2年間の魔界修行を終えて人間世界に帰って来た鬼塚勇気のもとに、新たなパートナーとして三原千夏が着任する。絶望の虚無神と呼ばれるメギドの復活を阻止するため、勇気と千夏は世界中の怪奇警察サイポリスに協力を求めながら、五皇神との戦いに挑んでいく。
特殊設定
作中に登場する怪奇警察サイポリスは、1970年に金田邦重を中心に設立されているが、日本において「異世界からの攻撃に対する防衛組織」という存在は、飛鳥時代に聖徳太子が対魔防衛組織を設立して以降連綿と続いており、怪奇警察サイポリスの結成に至ったのは、その伝統があったからこそとされている。また第二部において、キリスト教の聖書に記載されている「ノアの大洪水」は、神の所業ではなくメギドによるものとの噂がある。
関連作品
本作『怪奇警察サイポリス』から25年後の世界として、鬼塚勇気の娘が主人公を務める『オニヒメ』がある。また、『怪奇警察サイポリス』と同じく「ヤングコミック」に連載された環望の『ウチのムスメに手を出すな! -母娘ヒロイン奮闘す-』の最終回において、「ヒーロー&ヴィラン募集」企画に、『怪奇警察サイポリス』に登場する神和住京子と葛丸をモデルに上山道郎本人が応募した、薬師如来の巫女「キョウコ」とロボットサムライ「カズラマル」が登場している。
登場人物・キャラクター
鬼塚 勇気 (おにづか ゆうき)
怪奇警察サイポリスに所属している14歳の男子中学生。父親は鬼である。自らの意思により、2本の角と隈取りがあり、犬歯と髪が伸びた鬼の姿に変化することができる。またその際に、金田邦重が開発した鎧、サイ・セイバーを身に着けていると、鬼塚勇気の霊力の高まりに応じて、赤鬼を思わせる「金剛具足」に変化する。 正義感が強く、母親思いで、また仲間を大切にする少年。普段は冷静で口数も多くはないが、自分が正しいと思うことは貫き通す熱血漢な面がある。常にけん玉形態の周天丸を所持している。中学では新聞部に所属して部長も務めている。しかし凶魎派の妖怪たちと戦うために中学を中退し、劉源信のもとで厳しい修行を行った。半分鬼の血が流れていることもあり、敵対している妖怪に対しても、極力命を奪う行為はしたくないと考えている。 魔界に行ってからその気持ちは強くなっており、特に蛮爪とは敵ながらも心を通わせた。怒りに我を忘れると、顔の骨格が獣のように変わる鬼獣形態になる。身長156cm、体重46kg、5月5日生まれ、血液型はO型。第二部では2年間の魔界修行を経ており、年齢は16歳、身長168cm、体重57kgとなっている。 炎を操る術を多く身につけたほか、自らの闘気によって鎧を形作ることができるようになり、天尊瑠璃光輪などの回復術も習得した。また鬼の姿の時は体型が変わり、身長177cm、体重68kgとなる。
神和住 京子 (かみわずみ きょうこ)
鬼塚勇気のパートナー。常に巫女服をまとっている17歳の少女。普段は黒髪だが、霊感覚を高めると髪色が白く変化する。容姿端麗で、関西弁で話すナニワっ子。芯が強く、言いたいことをはっきりと口に出すが、根は非常に優しい。霊感が強く、他人が心で思っていることが、ある程度読めてしまうため、人付き合いは苦手なところがある。しかし一度認めた相手には友情を貫き通す義理堅さを持っており、夜玖沙の孤独を理解した上で心を通わせた。 奈良サイポリス戦士養成所で瑠璃光姫によって葛丸に命を吹き込み、主君となってからは「姫」と呼ばれて付き従われている。身長162cm、体重49kg、4月2日生まれ、血液型はA型。また妹に神和住綾乃がいる。
葛丸 (かずらまる)
神和住京子を主君と崇めるロボット。一見して鎧武者と分かる容姿をしている。名刀の修羅王斬・葛丸が本体で、ロボットのボディーは魂を持った刀、葛丸のために作られた体といえる。ロボットとしての名称は「学天則 葛丸一號」となっており、銀の閃光との対決時には、この名を名乗っている。身長は209cm、体重は195kgと非常に大柄。 ボディーに魂を入れ込むために、京子が瑠璃光姫を使用しており、その経緯から京子を主君と崇めて「姫」と呼んでいる。九龍とは京子を挟んで反目し合っている。葛丸には専用高機動ユニットIDA-10が用意されており、魔界での移動にはこれを利用していた。
九龍 (くりゅう)
実年齢64歳(人間でいえば16歳程度)少年で、小鈴の弟。竜人族、「九頭龍族」神官位の正当後継者である。プライドが高く正義感も強いが、考えるよりも体が先に動くタイプの単純バカ。そのため、姉の小鈴からはよく叱り飛ばされており、頭が上がらない。神和住京子に一目惚れした直後に結婚を申し込んだ。そのため、葛丸から反感を買い、反目し合っている。 竜人族であることに誇りを持っており、同じ竜人族の別族で、かつて神官を務めていた剴羅が、凶魎派に与するようになった経緯に同情している。しかし、その誇りを取り戻させるために全力で戦いを挑んだ。身長183cm、体重72kg、9月9日生まれ。細胞組織が人間とは違うため、血液型は不明となっている。
金田 邦重 (かねだ くにしげ)
年齢不詳だが、80歳は超えている男性。不思議な形のゴーグルをかけている怪奇警察サイポリスの技術者。27歳の頃、満州の日本人村で医者として働いていた。往診の帰路、蠱毒に襲われたところを、劉源信と小鈴に助けられ、小鈴の仇討ちを見届けた。それをきっかけに劉のもとで修行し、帰国後サイポリスを結成した。物語当初は老いた姿だったが、修業時代に竜眼儀礼法を習得し、強靱な肉体と、人間の4倍ともされる寿命を持つ竜人族の体を手に入れる資格を得ている。 袁翁の策略によって瀕死の重症になった際に、鬼獣形態となって怒り狂う勇気を止めるために発動し、若返った。普段かけていたゴーグルは、金田が人間としての天寿を全うするために、竜眼を封印する目的で作ったものと判明している。 身長168cm、体重51kg、12月25日生まれ、血液型はB型。第二部では小鈴と魔界で結婚式を挙げて、一緒に暮らし始めた様子が描かれている。
小鈴 (しょうりん)
実年齢115歳(人間でいえば28歳程度)の女性。九龍の姉。竜人族、「九頭龍族」神官位の血筋にある。責任感が強い性格で、向こう見ずな九龍を、一人前の神官として育てようと奮闘しているうちに、結婚の機を逃したとされる。金田邦重が満州で医者をしていた頃は、まだ60歳足らず(人間でいえば14~15歳)の少女だった。 劉源信の力を借りてではあるが、父親を毒殺して脳を食った蠱毒に、仇討ちを成した女傑。身長164cm、体重51kg、3月3日生まれ。細胞組織が人間とは違うため、血液型は不明となっている。第二部では金田と魔界で結婚式を挙げて、一緒に暮らし始めた様子が描かれている。
美虎 (みとら)
実年齢8歳(人間でいえば18歳程度)の狸精人の少女。普通の人間にヤマネコの耳と尾が付属した姿をしているが、鬼塚勇気の両手に乗るほど小さい。凶魎派の下っ端妖怪に追われているところを勇気に助けられて以降、勇気を非常に慕っている。明るく積極的な性格で、勇気に対してもはっきりしたアプローチを見せる。狸精人の特徴と同じく、好奇心が強く地獄耳。 身長26cm、体重1.2kg、12月5日生まれ。第二部では戦闘を有利にするためか、手足が獣の形状になっており、修行の結果、子猫の姿や人間大の姿に化けることができるようになっている。また人間大の姿の際は身長166cm、体重52kgとなっている。
三原 千夏 (みはら ちなつ)
13歳の女子中学生。身長155cm、体重43kg、9月15日生まれ、血液型はAB型。眼鏡をかけたショートボブヘアが特徴で、鬼塚勇気と同じ新聞部に所属している。非常に明るい性格で、物怖じせずに言いたいことや自分の考えを口にすることができる。好奇心旺盛で、気になったことは、とことん突き詰めて聞き出さないと気が済まない性格。 しかし、根は優しく、人に喜ばれることをやろうとする。実は勇気が中退した後、怪奇警察サイポリスの訓練生になっている。16歳になって第二部で再登場した際には、予知能力を持った正隊員として、勇気の新たなパートナーに指名された。また予知能力訓練の過程で近眼も治って裸眼となり、身長159cm、体重48kgに成長している。
劉 源信 (りゅう げんしん)
金田邦重が満州で医者をしていた頃、蠱毒に襲われていたところを助けた男性。長い黒髪と額につけたティラカが特徴で、若い青年にしか見えない。プロフィールとして身長179cm、体重64kgと公開されているが、生年月日や年齢、本名、血液型、細かい経歴などは一切不明な謎の人物。全世界に散らばる怪奇警察サイポリスの最高顧問を務めており、小鈴をはじめ鬼塚勇気など、多くの若者に修行をつけてきた師匠。 「老師」と呼ばれている。遁甲盤跳躍布陣によって、どこにでも瞬間移動することが可能。かつて袁翁が人間「袁」だった頃、ともに修行をした身であり、その身の上や妖怪に身を堕とした経緯も知っている。第二部では金田と小鈴の結婚式を取り仕切る祭司を務めた。 メギドと既知の仲であるような会話も見られ、その際には「ノア」と呼ばれていた。
メイノール・ワムパム (めいのーるわむぱむ)
第二部から登場したアメリカンインディアンのカイオワ族で、10歳の少女。アメリカン・サイポリスに所属しており、同組織で最強の戦士に与えられる称号「大天使(アークエンジェル)」を持つ。一族の守護霊、酋長を操ることのできる唯一の巫女。自然界に存在するすべての精霊と話をすることができ、風を起こしたり、草木を動かしたりすることもできる。 公開プロフィールは身長138cm、体重31kg、5月4日生まれとなっている。
酋長 (ちーふ)
メイノール・ワムパムの一族を守護している守護霊。ネイティブアメリカンの装束をまとった、牛頭の成人男性のような姿をしている。もともとはメイノールの母親が使役していた。メイノールの母親が死亡してからは、メイノールの命令しか聞かなくなったとされる。酋長の胃袋は超空間に繋がっており、中は大人が複数人入っても充分余裕があるほど広い。 妖怪を飲み込んで捕獲するほか、絶対安全のシェルターとしても機能する。酋長に善悪を判断する能力はなく、メイノールの命令に忠実に従っている。
ウォルフガング・シルバーマン (うぉるふがんぐしるばーまん)
第二部から登場した人狼で、銀髪銀目の17歳の少年。アメリカン・サイポリスに所属しており、同組織で最強の戦士に与えられる称号「大天使(アークエンジェル)」を持つ。自分の意思で人狼の能力を使用でき、人狼形態の際は、頭部が完全に狼に変わっている。ドイツ系アメリカ人で、両親はともに普通の人間だが、母方の祖先が人狼の血統だった。 けんかっ早く、サボり癖がある。公開プロフィールは身長176cm、体重64kg、8月12日生まれとなっている。
鬼塚 君枝 (おにづか きみえ)
鬼塚勇気の母親で、38歳の女性。インテリアデザイナーで、東京のインテリアデザイン事務所に勤務している。勇気の父親である「鬼塚勇馬」が妖怪たちに殺されて以降、強い意志で自分と息子の運命を受け入れ、勇気を逞しく育ててきた。勇気にとって非常に大きな心の支えであり、迷いがある時には必ず、厳しくも優しい言葉で元気付けられている。 身長167cm、体重54kg、7月7日生まれ、血液型はA型。第二部では凶魎派の総帥として生きていた夫と、魔界で2年間の修行に出ていた息子を心配しながらも、自宅で2人の無事を祈っていた。
慈運法師 (じうんほうし)
鬼塚勇気の通う中学校のある地方の言い伝えに登場する僧。戦国時代、蜘蛛綱翁を退治したとされるが、殺害には至れず、大岩に封じたとされる。しかし中学校が新館の建設工事を行う場所にその大岩があることを知り、警告をするため亡霊となって勇気たちの前に現れた。
三原 良太 (みはら りょうた)
三原千夏の弟で、小学生の少年。カブトムシの幼虫採取のため山に入っていたところ、崖崩れで大岩が外れ、洞穴が開いていることに気づいて近づいた。しかしその中に隻眼蛟と瑪拗が封じられていたため、瑪拗に取り憑かれてしまう。救出されてからは怪奇警察サイポリスの存在も認識しており、姉の千夏が贋夢によって岩に変えられていることに気づいて、助けを求めに来たこともある。
ケンジ
三原良太の友人。小太りで、少し臆病な性格の少年。良太とともにカブトムシの幼虫採取のため山に入ったが、崖崩れでむき出しになった洞穴に近づいた良太が、隻眼蛟と瑪拗に攫われたのを目にし、三原千夏に助けを求めるため、鬼塚勇気の通う中学校へとやって来た。また、良太救出の際に同行していないので、怪奇警察サイポリスのことは知らない。
紅蘭 (こうらん)
実年齢26歳(人間でいえば6歳程度)の竜人族「九頭龍族」の少女。九龍のいとこにあたる。修行に明け暮れる九龍に遊んでほしい一心で、劉源信に修行の手伝いを申し出た。その結果、紅蘭の体に幽体離脱した劉が乗り移って操り、九龍と戦うという荒技をやってみせた。
飛鳥路 雅巳 (あすかじ まさみ)
神和住京子の師匠にあたる33歳の女性。以前は最前線に立って戦っていたが、21歳の時に視力を失ったのをきっかけに、育成員となった。鋭敏な霊感覚の持ち主だが、戦闘技術は京子が上回っている。奈良サイポリス戦士養成所でも京子に修行をつけていた。
ロム=山乃辺 (ろむやまのべ)
怪奇警察サイポリスの技術部主任。24歳の男性で、金髪で眼鏡をかけている。独創的で型破りな研究姿勢を買われ、サイポリスにスカウトされたとされる。金田邦重とともにサイ・ビークルやサイクルーザーを開発した人物。奈良サイポリス戦士養成所では、葛丸のボディ「学天則 葛丸一號」を製作した。
神和住 綾乃 (かみわずみ あやの)
神和住京子の妹で、女子高生。明るく押しの強い性格で、霊感覚も戦闘技術もないようだが、高校卒業後は、姉である京子を手助けするために、事務や情報整理要員として怪奇警察サイポリスに加入しようと考えている。
瑠璃光姫の心 (るりこうきのこころ)
霊槍とされる瑠璃光姫に宿っている心そのもの。神和住京子が霊感覚を極限まで高めた結果、天女のように羽衣をまとった着物姿の女性として現れた。京子が瑠璃光姫の持つ力を得るにふさわしいか問答し、結果、京子が自分の心に素直である限り、力を貸すことを約束した。
六部 奈子 (むつべ なこ)
鬼塚君枝と同じインテリアデザイン事務所に勤めている19歳の女性。長い黒髪に、カチューシャのように額に巻いたリボンを後頭部で蝶結びにしている。主にお茶くみで登場しているが、鬼塚勇気のこともよく知っている様子が窺える。身長154cm。文鳥をペットにしており、「継母」という名前を付けている。
金田 正重 (かねだ まさしげ)
第二部になって登場した、金田邦重の実弟。81歳の快活な老人で、日本有数の財閥「金田グループ」の会長。怪奇警察サイポリス最大のスポンサーであり、鬼塚勇気たちの戦いや能力のこともよく知っている。
蜘蛛綱翁 (いかきおう)
蜘蛛の妖怪。鬼塚勇気が通っている中学校の新館建築工事現場に置かれていた、大岩の中に封じられていた。全長3.6m、体重2.5tという巨躯で、慈運法師によって500年にわたって封印されていた。工事の邪魔になる位置に大岩があったため、岩が割られて解き放たれた。歳を経た蜘蛛が土着の悪霊と融合して生まれたとされる。また封印されていた恨みから、他の物体と同化、融合する能力を得た。
隻眼蛟 (せきがんこう)
山中の洞穴に封じられていた蛇の妖怪。三原良太を攫った2匹のうち1匹。顔の中央にある1つ目と、常に剥き出しになっている鋭い牙が特徴。全長4.6kmという長い胴体が特徴で、人間に近い腕を持っている。本来は魔界の水辺に住んでおり、知能が低く、強い妖怪の手下として生きていることが多いとされる。
瑪拗 (めのう)
山中の洞穴に封じられていた妖怪。三原良太を攫った2匹のうち1匹。長い4本の足が特徴で、足を広げた全長は3.1mあるとされる。顔の造形はカマキリに近い。他の生物の子どもに寄生し、生命力を吸収して生きている。また、寄生した子どもとは内臓まで癒着しているため、無理に引き離したり、瑪拗が死んだ場合は、寄生された子どもも死んでしまう。 しかし、瑪拗が寄生できるのは子どもが意識を失っている間だけであり、意識のある子どもに寄生し続けることはできない。
比連鳥 (ひれんちょう)
京都の寺に封印されていた鳥の妖怪。神和住京子が東京まで追って来た。オスとメスのつがいが1体の妖怪となって行動している。それぞれに足が1本しかなく、合体した状態で2本の足となるため、その事実に気付きにくい。自分の周囲の光線を曲げる能力があり、姿を消すことができる。
堊魏蚪 (あぎと)
肉を食べることが好きな大食いの妖怪。胴体に目があり、本来頭部がある場所には首二つが生えていて、それには強靱な顎を持つ口しか備わっていない。300年前にも魔界から来ていたらしく、その際に10人しか食べられず、追い返されたのを恨みに思っていた。
斬験 (ざんげん)
全長2.1m、重量54kgという巨大な剣の姿をしている妖怪。その姿に反し、遠隔からの呪殺を主に用いる。鬼塚勇気が鬼として覚醒する以前、鬼塚君枝を呪殺しようと呪いをかけていた。また勇気の父親を殺したと自称しているが、その真偽は疑わしいとされている。
蠱毒 (こどく)
満州で医者をしていた頃の金田邦重を襲った妖怪。本来は墓場に土葬された死体の脳を食べるだけの下等妖怪だった。小鈴の父親を毒殺し、その脳を食べたため知能や能力を高め、生きた人間を襲うようになった。また、この蠱毒に毒殺などの知恵を授けたのは、凶魎派の総帥だとされる。
贋夢 (がんむ)
三原千夏の夢に入り込み、眠らせたまま石化させようとしていた妖怪。鳥のくちばしを持ったピエロのオモチャを思わせる外見で、慇懃無礼な態度を見せる。夢の中では体長や重さも感じさせないが、実際は体長6.7m、重量5.5tと非常に大きい。夢を狩り場として500年以上も戦いを続けており、鬼塚勇気たちに苦戦を強いた。
駢角 (べんがく)
凶魎派四柱王の1人で、剴羅に仕える妖怪。鬼塚勇気を凶魎派に引き入れるために、蛮爪とともに人間の世界にやって来た。クワガタムシを思わせる大きな2本の角と、全身を覆う鎧を身に着けている。この鎧は駢角自身の皮膚が変化したものとされる。正々堂々とした性格で、蛮爪とは友人同士だった。
蛮爪 (ばんそー)
凶魎派四柱王の1人で、剴羅に仕える妖怪。鬼塚勇気を凶魎派に引き入れるために、駢角とともに人間の世界にやって来た。人虎と呼ばれるネコ科の亜人で、ネコが二足歩行に進化を遂げたような姿をしている。駢角とは友人同士で、駢角が倒された後は、仇討ちのため再度勇気に挑戦している。しかしその際には、袁翁の魔術によって改造されており、全力で戦うと肉体が崩壊していく状況にあった。
醍矛 (だいむ)
変身能力や隠密行動に長けた妖怪。凶魎派の暗殺者として奈良サイポリス戦士養成所で修行していた神和住京子を狙った。人間の姿をして人間世界で行動したり、人質に取った神和住綾乃の体に潜んで操ることもできる。本来の姿は、禿頭の男性に恐竜の足が4本生えたような姿をしている。
岩傑 (がんけつ)
凶魎派四柱王の1人で、剴羅に仕える妖怪。修行を終えて怪奇警察サイポリス本部に向かう神和住京子、葛丸を襲った。全身が岩で構成されているような見た目をしており、ダイヤモンドでも、傷一つつけることができない硬さを自負している。頭に血が上りやすく、猪突猛進な性格。仲間からもあまり信頼されていないとされる。
流怨 (るおん)
凶魎派四柱王の1人で、剴羅に仕える妖怪。修行を終えて怪奇警察サイポリス本部に向かう神和住京子、葛丸を襲った。液体で作られた人体で、顔は牛に似ている。すべての細胞が液体のように変幻自在で、物理的な攻撃を無効化する。また他の生き物から水分を吸収することができる。
剴羅 (がいら)
凶魎派の幹部で、四神招来器を所持する四柱王にして南の将。翔雷刃を所持している。登場当初はワニのようなマスクを被っていたが、実は魔界の南方の村に暮らす竜人族、「黒皇龍族」の神官だった。身長235cm、体重157kgという恰幅のいい男性で、年齢は177歳(人間でいえば44歳程度)。かつては優しい妻、幼い息子とともに暮らしていた。 村の近くでチンピラ妖怪に襲われていた霞凜を助けた際、犯人に制裁を加えて逃がしたが、逆恨みされて村を焼かれた結果、妻子を失った。そのため、優しさや正義などは必要ない、と考えるようになった。
霞凜 (かりん)
剴羅に仕えている、半人半獣の女性。戦闘能力はないが、「虚空蔵眼」と呼ばれる水晶球を用いて行う予知は、的中率100%とされる。かつて家族とはぐれて彷徨っていたところをチンピラ妖怪に襲われ、剴羅に助けられた。それ以来剴羅と行動をともにしている。剴羅の本来の優しい性格を知っているため、凶魎派として残酷に振る舞おうとする剴羅の姿に胸を痛めている。
袁翁 (えんおう)
凶魎派の幹部で、四神招来器を所持する四柱王にして東の将。龍哭を所持している。魔界屈指の大魔導士で、身長121cm、体重33kgと作中に登場する妖怪の中では小さい。詳しい素性を知っている者は凶魎派の中にもおらず、その得体の知れなさから恐れられている。実は元人間で「袁」という名であり、劉源信とは知古の仲。 かつて、ともに修行した仲間でもある。しかし天災によって村が壊滅したことにより、人間のままで得られる力の限界を感じ、妖怪へと転生した。鬼の潜在能力を高く評価しており、裏切り者として瀕死の重傷を負った「鬼塚勇馬」に魔醒角を施し、凶魎派の総帥として導いた。
偃鬼童 (えんきどう)
袁翁が製作した戦闘用の機械生命体。蟬を思わせる外見で、足はなく、異常に長い腕を持つロボット。全長197cm、重量88kg。意識や感情は持たず、命令だけを忠実にこなす。パワーだけなら四柱王に匹敵するとされ、袁翁が鬼塚勇気に敗北した後は金田邦重が改造を施し、美虎が乗り込んで操縦できるようにした。
夜玖沙 (やくしゃ)
凶魎派の幹部で、四神招来器を所持する四柱王にして西の将。弦吼を所持している。身長174cm、体重59kgの若い女性の姿をしている。額の左側に角が1本生えており、推定年齢は2000歳を超える。人間の里親に育てられたため出生は不明だが、種族としては鬼か、その突然変異種とされている。無傷の細胞が1つでもあれば、無限に再生する肉体を持っている。 さらに、妖神錬金術によって武器だけでなく、黄金なども自在に作り出せる。そのため人間として暮らしていた頃は、個人として愛された記憶が乏しい。自分を殺すことができる力を持つ凶魎派総帥に従い、四柱王としての役目を務め上げて、殺してもらうことを願っていた。
寧瑠 (ねいる)
夜玖沙に仕えている、爬虫類を思わせる外見の妖怪。あまり女性を思わせる外見ではないが、れっきとした女性。夜玖沙のいる西の砦内部に、女性しか立ち入ることのできない「女性結界」を張っている術士で、夜玖沙を心から慕っている。
銀の閃光 (しるばーらいとにんぐ)
凶魎派の幹部で、四神招来器を所持する四柱王にして北の将。甲神殻を所持している。身長213cm、体重130kgと大柄で、西洋の騎士を思わせる甲冑姿をしており、右腕だけが異常に長く発達している。かつてはヨーロッパの小国に仕える円卓の騎士の1人だった。主人もろともに卑怯な手段で暗殺された結果、魂が昇天できず妖怪となった。 本来の名前も忘れてしまったため、所持しているランスの攻撃時の煌めきから、銀の閃光と呼ばれている。
総帥 (そうすい)
凶魎派をまとめ上げる男性。四柱王が100人いても敵わないほどの力の持ち主とされる。天鬼城を覆う結界「天鬼制極界」は、総帥の強大な力が漏れ出して、魔界の地形を変えてしまわないようにするためとされる。蠱毒を唆して九龍の父親を毒殺させた人物ではあるが、正体は袁翁によって魔醒角を施された鬼塚勇気の父親、「鬼塚勇馬」。 鬼塚君枝と愛し合って家庭を持ったため、魔界の裏切り者として瀕死の重傷を負いつつ逃亡していた。そこへ、鬼の潜在能力に興味を持っていた袁翁によって魔醒角を施され、良心を抑制された。魔醒角から解放された後は、自らの行いを非常に後悔し、このままでは鬼塚君枝のもとには戻れないと、魔界での償いの旅を始めた。 また、この旅には勇気も同行している。
ゾフィエル
第二部に登場する悪魔。十二獄将の「巳(スネーク)」であり、密偵。厚みのない「二次元化」ができる能力を持っており、ものの表面にぴったりと張り付くことができる。またこの能力によって、バチカンの大聖堂にも気づかず忍び込むことができるとされており、潜入と脱出のスペシャリストとされている。
ファランクス
第二部に登場する悪魔。十二獄将の「亥(ボァー)」。グランドキャニオンの大岩を怒濤の勢いで投げつけてきた。鬼化した鬼塚勇気の正拳を受け止められるほどのパワーの持ち主で、パワーだけならケセフにも引けを取らないと自負している。
ケセフ
五皇神の中で「炎」と「憤怒」を司る悪徳の魔神。アメリカのネバダ砂漠にある核実験場跡の大クレーター内に神次元を構えている。普段は友好的かつ紳士的な言動を見せるが、一度自分が泥をつけられると、極めて粗暴な態度に変貌する。作中で大人気のアーケードゲーム「VRトルーパーズ2」の3年連続全米チャンピオン「クリストファー・アイアンサイド」に憑依しており、神次元での勝負もこのゲームを用いる。 本来の姿は巨大な竜に似ている。
メギド
五皇神が王と崇める存在にして、「絶望の虚無神」と呼ばれる存在。現在は南極の氷の下で眠りについているとされる。髪および衣装も黒と白で構成されており、うろんな目をした青年に見える。生まれてから何万年も経っているらしく、その年月は本人も覚えていない。本体は眠りについた状態のまま、分身だけでも絶大な力を持っており、核爆発と同程度のエネルギーで作られた炎の竜を、一瞬で凍りつかせるほど。 キリスト教における「ノアの大洪水」を起こしたのも神ではなく、メギドだったという説もある。また劉源信とは既知の仲であるらしい会話も見られ、その中では劉のことを「ノア」と呼んでいる。
餓凰 (がおう)
恨みを持って死んだ鳥の霊が集合した妖怪。他の生物などと融合すると力を増すことができる。物語開始当初は猫と融合した「翼猫」として登場した。のちに車と融合し、翼の生えた車となった。
集団・組織
怪奇警察サイポリス (かいきけいさつさいぽりす)
呪いや悪霊、妖怪など怪奇とされる存在が起こす事件を解決するための警察組織。原則として秘密裏に活動しているが、医師などにはその存在を知られている様子が見られる。1970年に金田邦重を中心に設立された。また劉源信を最高顧問として、日本各地のみならず、アメリカン・サイポリスなど世界中に系列組織がある。
凶魎派 (きょうりょうは)
人間界の征服を目論んでいる妖怪組織。総帥を筆頭に、四天衆、四柱王を幹部として、数多の妖怪がこの傘下に入っている。しかし組織外との抗争は、主に三下妖怪と四柱王が担っており、四天衆は研鑽も積んでいないため、名前負けした存在となっている。
四柱王 (しちゅうおう)
剴羅、袁翁、夜玖沙、銀の閃光の4人の幹部。凶魎派総帥の居城である天鬼城を覆う結界、「天鬼制極界」を破るための4つの道具、四神招来器をそれぞれ守っている。それぞれ天鬼城を中心とした東西南北に砦を構え、凶魎派に反抗する者を天鬼城に入らせない役目を担っている。
四天衆 (してんしゅう)
凶魎派総帥の居城である天鬼城の中で、侵入者を撃退する役目を担う4人の妖怪。それぞれ「悪持国天・俄双蛇」、「殺増長天・牛醐」、「闇広目天・女蓮華」、「裏多聞天・尖螳螂」という肩書きと名前がある。総帥直属の親衛隊を自称しているが、研鑽を積んでおらず、その実力は常時最前線に身を置いていた四柱王に遠く及ばない。
アメリカン・サイポリス (あめりかんさいぽりす)
アメリカを中心に活動している怪奇警察サイポリス。アメリカン・サイポリスでは所属している戦士を階級付けており、魔物の監視や調査を行う第4階級「神父・尼僧(ファーザー・シスター)」、自力で悪魔払いを行える第3階級「道士(グル)」、1人で複数の悪魔と戦える第2階級「聖者(セイント)」、最上級の力を持つ第1階級「大天使(アークエンジェル)」に分けられている。 メイノール・ワムパムとウォルフガング・シルバーマンは「大天使」に属し、全米でも5人といない存在。また日本のサイポリスが主に妖怪を対象として活動しているのに対し、アメリカン・サイポリスは主に悪魔を対象として活動している。
十二獄将 (じゅうにごくしょう)
五皇神が引き連れている使役魔(サーバント)。上級悪魔の命令で動く下級の悪魔とされているが、その実力はおのおの、「下級悪魔」という言葉のイメージとはかけ離れて突出したものを持っている。ゾフィエルとファランクスがこれに当たるが、なぜ十二支に関係しているかなどは明かされていない。
五皇神 (ごこうしん)
悪徳の魔神と呼ばれる5柱の神。メギドを王と崇めている。アメリカの憤怒神ケセフのほか、オーストラリアには憎悪神ライム、ネパールには疑惑神ピュートーン、イギリスには悲嘆神レヴィアタン、エジプトには嫉妬神リリスが存在する。世界中の人々が持つ悪の心を集約し、南極の氷の下で眠っているメギドを復活させようと企んでいる。
場所
魔界 (まかい)
妖怪たちが暮らしている世界。人間たちの住む世界のすぐ隣にあるとされている異次元。人間の世界では迷信とされている神秘、魔法、妖怪たちが息づいているとされる。しかし空は青、木々は緑、雲は白など人間世界と共通点が多く、妖怪たちも悪逆の徒ばかりではなく、独自の信仰や集落なども存在する。そのため、寿命や生活習慣などを除けば、人間世界と非常に酷似している。
奈良サイポリス戦士養成所 (ならさいぽりすせんしようせいじょ)
凶魎派との戦いに備え、神和住京子が修行を行った場所。最終修行蔵「剣山房」と呼ばれる蔵があり、その中心には、足先で直立するのがやっとという足場が据えられ、周囲には無数の剣が突き立てられている。霊槍である瑠璃光姫の心を感知するために、この蔵の中に籠もった京子は、無事に瑠璃光姫の心を感知して、力を借りることに成功している。 またその際、京子は葛丸のボディーに魂を吹き込んでおり、以来、葛丸の主君となった。
天鬼城 (てんきじょう)
凶魎派の総帥が暮らしている居城。魔女の帽子を2つ合せたような形をした巨大な岩でできている。「天鬼制極界」と呼ばれる結界に覆われており、この結界のエネルギーによって宙に浮いている。四神招来器によってこの結界を破らなければ、中に入ることも敵わない。また総帥の部屋の中には、強力な空間歪曲術がかけられており、城の一室とは思えないほど広大な土地、そして空までが納められている。
ケセフの神次元 (けせふのでぃめんしょん)
五皇神の中で「炎」と「憤怒」を司る悪徳の魔神ケセフの神次元。アメリカのネバダ砂漠にある核実験場跡の大クレーター内に入り口がある。中はテレビゲームの筐体が並ぶゲームセンターとなっており、人気のアーケードゲーム「VRトルーパーズ2」で戦って勝利すると、ケセフを現実世界に引きずり出すことができる。
イベント・出来事
ノアの大洪水 (のあのだいこうずい)
キリスト教の聖書に描かれる大洪水。ただ1人清い心を持っていた人物「ノア」とその家族、そしてノアが選別した1つがいの動物たちだけを遺して、世界を押し流したとされる出来事。作中においては、この大洪水を引き起こしたのは神ではなくメギドだった、という説が噂されており、五皇神によってメギドが復活した場合は、再度この大洪水が起こるといわれている。
その他キーワード
周天丸 (しゅうてんまる)
怪奇警察サイポリスが所有し、鬼塚勇気が常に携帯している霊剣。普段はオモチャのけん玉の形をしているが、使用者の思念や気力に応じて、その姿を自在に変えることができる。ヒヒイロカネ(別称オリハルコン)という物質と賢者の石で構成されている。もともとは劉源信の持ち物だったが、のちに金田邦重が譲り受け、勇気へと渡っている。 主に大剣の形を取ることが多いが、第二部に入ってからは、弓の形になるなど、より自在に変化するようになっている。
修羅王斬・葛丸 (しゅらおうざんかずらまる)
名刀と呼ばれる日本刀。怪奇警察サイポリスが所有している。葛丸の魂そのものであり、本体。もともとは戦国時代に武田信玄のために鍛えられた刀とされているが、完成直前に信玄が病死したため、以来400年以上も関西の寺院に封印されていた。金田邦重によって発見され葛丸としてのボディーを得、怪奇警察サイポリスの戦士として復活した。
瑠璃光姫 (るりこうき)
瑠璃光如来の霊験を持つ聖なる杖。怪奇警察サイポリスが所有している。霊槍と表記されることもままある。生命力を大気中から創り出し、あらゆる生物の病気や怪我を治す力がある。柄の部分は30~180cmの間で伸縮が可能となっており、上部には摩尼車が備えられている。最上部には鈷宝珠と呼ばれる水晶球がはめ込まれており、使用者の「気」を触媒として生命力を発射する。
心波銃 (はーとがん)
人の想いをエネルギーとして装填、射出する銃。怪奇警察サイポリスが所有している。自動拳銃のデザートイーグルを思わせる外見をしているが、銃口はない。瑪瑙に囚われた三原良太を救うために三原千夏が使用し、また袁翁との戦いで鬼獣形態となった鬼塚勇気を救うために、美虎が使用した。
霊波感知アンテナ (れいはかんちあんてな)
怪奇警察サイポリスが所有し、神和住京子が常に装着しているアンテナ。空に向かって高く伸びている2本の軟らかいアンテナは、ウサギの耳のようにも見える。霊感覚を強化するためのアンテナだが、チャンネルを調整すると、特定の電波を探ることもできるとされる。また通信機能も内蔵しており、衛星回線を利用して地球上のどこからでも、サイポリス本部や金田邦重などに連絡を行うことができる。
サイ・ビークル (さいびーくる)
怪奇警察サイポリスが所有している専用車両。霊柩車にしか見えないが、内部には空間歪曲術が施されているため、見かけの20倍以上の容積を持っている。サイポリスの所持している霊波アンテナや医療設備なども備えているほか、音声認識可能な人工知能による自動運転機能も有している。低公害、低燃費のガスタービンエンジンを採用しており、最高速度は時速210kmといわれている。
サイ・セイバー (さいせいばー)
怪奇警察サイポリスが所有している鎧。鬼塚勇気が戦闘時に装備するもので、物語開始当初は戦闘に至るまでの間は金田邦重が背負っていた。金田が周天丸を参考に製作した物。勇気が鬼の姿になると、その闘気に反応して「金剛具足」と呼ばれる形態に変化する。
サイクルーザー
技術を総結集して作り上げられた万能戦闘艇。怪奇警察サイポリスが所有している。魔術によって霊力を吹き込まれた水晶、「聖霊石」が動力源となっており、重力を制御して反重力推進装置で飛行する。全長6.2m、全高3.9mとなっているが、内部には空間歪曲術が施されており、見かけの30倍以上の容積があるとされる。
IDA-10 (いだてん)
葛丸専用の高機動ユニット。怪奇警察サイポリスが所有している。サイクルーザーと同じく、反重力推進装置で飛行する。最高速度はマッハ1.2とあまり速くはないとされるが、その代わり旋回性能に優れており、超低空での戦闘に強い。二門のプラズマキャノンを備えており、瞬間的に数万度のプラズマを発生させて、敵の肉体を蒸発させることができる。 また葛丸以外に、神和住京子が乗り込めるコックピットも存在する。
龍哭 (りゅうこく)
四神招来器の1つ。青龍の矢と呼ばれているもの。東の砦で袁翁が所持していた。鏃に青龍の頭部が彫刻された矢で、1つの金属から削り出されている。天鬼城を覆う結界「天鬼制極界」を破る際には、弦吼を用いて射ち出して穴を開ける役目を担った。
弦吼 (げんこう)
四神招来器の1つ。白虎の弓と呼ばれているもの。西の砦で夜玖沙が所持していた。矢をつがえる部分に白虎の頭部が彫刻されており、全体的に流線型の装飾が施されている。天鬼城を覆う結界「天鬼制極界」を破る際には、龍哭を射ち出して穴を開ける役目を担った。
翔雷刃 (しょうらいじん)
四神招来器の1つ。朱雀の剣と呼ばれているもの。南の砦で剴羅が所持していた。柄に朱雀の頭部が彫刻されている両刃の剣で、長さは日本刀でいうと脇差程度。天鬼城を覆う結界「天鬼制極界」を破る際には、龍哭によって穴が開き、視覚化した結界を斬り裂く役目を担った。
甲神殻 (こうしんかく)
四神招来器の1つ。玄武の盾と呼ばれているもの。北の砦で銀の閃光が所持していた。亀の甲羅を思わせるデザインで、中央に宝石がはめ込まれており、盾の上部には亀の頭部、盾の下部には蛇が彫刻されている。天鬼城を覆う結界「天鬼制極界」を破る際には、結界の崩壊と同時に放出される膨大なエネルギーから鬼塚勇気たちを守る役目を担った。
魔醒角 (ませいかく)
袁翁が「鬼塚勇馬」を凶魎派の総帥に仕立て上げた秘術。禍々しい形をした角。「魔醒角、是れ即ち心中の魔を呼び覚ます角也」と伝えられており、この角を植え付けられた者は良心を抑制され、邪心を目覚めさせられる。
V-MARNA (ぶいまーな)
アメリカン・サイポリスが所有している高速飛行艇。形状はステルス戦闘機に似ているが、全体的に流線型のフォルムをしている。太陽エネルギーを主動力とする超音速飛行機で、地球の引力圏を脱出して衛星軌道上を航行することができる。またその性能は、地球上のいかなる場所にも8時間以内に到達できるとされる。
鬼 (おに)
鬼塚勇気が属する種族。もともとは地獄の治安を守る神の一族だったとされているためか、どの妖怪も一様に、鬼という種族に対して畏怖の感情を抱いている描写がある。一般的な鬼の力は上級妖怪程度だが、それは「優しさ」があるためだとされる。また魔醒角によって「優しさ」を抑制した結果、「鬼塚勇馬」は総帥として驚異的な力を振るうようになっている。
竜人族 (りゅうじんぞく)
九龍、小鈴、剴羅が属する種族。竜神を守護神として、竜の能力を持つ人類とされている。竜人の持つ道徳や生活習慣などは、この竜神に対する信仰に根ざしたもの。竜神と心を通わせることのできる神官位の一族が、各部族で最も強い権力を持っている。九龍と小鈴は「九頭龍族」、剴羅は「黒皇龍族」という部族の神官位の一族。
狸精人 (りせいじん)
魔界に居住する種族の1つ。美虎もその1人。好奇心が強く、地獄耳という特徴を持っている。「狸」はタヌキではなくヤマネコを意味しており、狸精人はヤマネコの性質を持った亜人類。ごく普通の人間に、ヤマネコの耳と尾が付いているような見た目をしている。
四神招来器 (ししんしょうらいぎ)
凶魎派の総帥が住む天鬼城を覆う結界、「天鬼制極界」を破るために必要な神器。もともとは古代中国の方術師が造った伝説の武器で、使用できるようになるためには、持ち主を自分1人の実力だけで倒さなければならないとされる。龍哭、弦吼、翔雷刃、甲神殻がこれに当たり、天鬼城を中心とした東西南北に砦を構える四柱王が、それぞれ所持している。
神次元 (でぃめんしょん)
魔神の意思が造り、支配する空間の総称。魔神の見ている夢のようなもので、この中に入った者は物理攻撃で他者を傷つけることはできない。ただし魔神は人間に戦いを挑まれると受けて立たなければならない。ケセフの場合は、中がテレビゲームの筐体が並ぶゲームセンターとなっており、作中で大人気のアーケードゲーム「VRトルーパーズ2」で戦うことになっていた。
鬼獣形態 (きじゅうけいたい)
鬼が怒りに我を忘れた時に変化する姿。顔面の骨格もイヌ科の獣のように変化し、角の形状も通常時の円錐型から屈折した形に変化する。ほぼ理性がなく、言葉を理解することはできるが、話すことができなくなっており、四足歩行となる。第二部では鬼塚勇気が怒りの力を制御できるようになっており、自らの意思でこの鬼獣形態になることができる。
空間歪曲術 (くうかんわいきょくじゅつ)
古代中国の仙法。空間を歪めて、見た目の大きさより実際の広さを広げてしまう術。サイ・ビークルやサイクルーザー、天鬼城など、作中の多くの場所で活用されている。またこの術は製作者の能力によって広さが変化する。
遁甲盤跳躍布陣 (とんこうばんちょうやくふじん)
劉源信が使用する仙術で、遁甲盤と呼ばれる、羅針盤のような形の魔方陣を用いる。術者が存在する次元であれば、どこにでも瞬間移動することができる。また、遁甲盤が描かれている場所に立った人物なら、何人でも運ぶことができる。
瑠璃光波弾 (るりこうはだん)
神和住京子が瑠璃光姫を用いて使う技の1つ。生き物の生命力を高める力を持つ瑠璃光姫から射出するエネルギーを注ぎ込むことにより、正常な細胞を癌化、腐食させる。指先から癌化させたものでも、十数秒で全身を癌化させることができる。
竜眼儀礼法 (りゅうがんぎれいほう)
高次元空間に住む竜の神々から「竜眼」を授かり、人間が竜人族と同じ肉体を得るための秘儀。これを成功させると、高い知能、強靱な肉体、自在な変身能力とともに、人間の4倍という長い寿命を得ることができる。しかし周囲の人間が先立ってもなお生き続ける孤独を鑑み、金田邦重は竜眼を封印するゴーグルを開発。人間としての天寿を全うする道を選んだ。
妖神錬金術 (ようしんれんきんじゅつ)
夜玖沙が生まれながらに持っている能力。妖気を触媒にして大気の元素を転換・固定し、あらゆる物質、物体を自在に作り出すことができる。本来の錬金術よりもはるかに高度で、神の力に近いため、妖神錬金術と呼ばれるようになった。
瑠璃光滅破弾 (るりこうめっぱだん)
神和住京子が瑠璃光姫を用いて夜玖沙に仕掛けた技。夜玖沙に刺されたナイフに付着した京子の細胞に、生命エネルギーを限界まで圧縮、蓄積し、夜玖沙の心臓に刺し返したもの。夜玖沙の血液に乗って京子の細胞が全身に行き渡った頃、細胞に圧縮されたエネルギーが放出され、再生する間もなく全身の細胞が破壊される。
天尊瑠璃光輪 (てんそんるりこうりん)
第二部で鬼塚勇気が使用した技。全身の霊気を鎧の翼で共振・増幅させ、癒しの光「瑠璃光」を造り出す。死に瀕している者の魂を五分の確率で連れ戻すことができるが、術者本人も命がけで行わなければならないとされる。