ながたんと青と-いちかの料理帖-

ながたんと青と-いちかの料理帖-

磯谷友紀の代表作。昭和26年の京都を舞台に、戦争で夫を亡くした老舗料亭「桑乃木」の長女、いち日が、経営危機に瀕した料亭を救うために15歳年下の大学生、周と政略結婚し、夫婦で料亭再建に挑む物語。34歳のいち日と19歳の周という年齢差による価値観の違いから、当初は衝突を繰り返す二人だったが、料亭の経営再建という共通の目標に向かって協力する過程で絆を深めていく。本作は、年の差婚という恋愛要素と老舗料亭の経営再建というビジネス要素を、詳細な料理描写で有機的に融合させた恋愛料理漫画で、戦後復興期の社会背景がリアルに描かれている。世界観は戦後京都の料亭文化を基盤に、食材調達から調理、接客に至るまでの料亭経営の制度や仕組み、戦災からの復興を目指す社会背景、さらに四季折々の京野菜や伝統料理を扱う食文化が構築されている。また、作中では京都の四季折々の食材を活かした料理のレシピも詳しく紹介されている。講談社「Kiss」2017年12月号から連載。テレビドラマ第1期が2023年3月から、第2期が2026年にそれぞれWOWWOWで放送された。

正式名称
ながたんと青と-いちかの料理帖-
ふりがな
ながたんとあおと いちかのりょうりちょう
作者
ジャンル
夫婦
 
料理人
レーベル
KC KISS(講談社)
巻数
既刊14巻
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作品の概要

基本情報

磯谷友紀の代表作。

要旨と舞台設定

昭和26年の京都を舞台に、戦争で夫を亡くした老舗料亭「桑乃木」の長女、桑乃木いち日が、経営危機に瀕した料亭を救うために15歳年下の大学生、山口周と政略結婚し、夫婦で料亭再建に挑む物語。戦後間もない京都の東山地区において、伝統的な料亭文化と西洋料理の技術を融合させながら、復興期の社会情勢を反映した人間関係が描かれる。

ストーリー展開

34歳のいち日と19歳の周は、年齢差による価値観の違いから当初は衝突を繰り返していたが、料亭の経営再建という共通の目標に向かって協力する過程で絆を深めていく。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、年の差婚という恋愛要素と老舗料亭の経営再建というビジネス要素を、詳細な料理描写を通じて有機的に融合させた恋愛料理漫画で、戦後復興期のリアルな社会情勢が背景となっている。

作品固有の表現技法と特徴

物語は、各話ごとに独立した料理のエピソードで構成されており、料理シーンの緻密な描写と登場人物の心理描写を組み合わせた表現手法が用いられている。いち日のプロとしての料理技術と人間的な成長、そして周の若さゆえのひたむきさと迷いが対比的に描かれる。また、京都の四季折々の食材を活かした料理のレシピも詳しく紹介されている。

世界観の構築と設定

世界観は戦後の京都における料亭文化を基盤に、食材調達から調理、接客に至るまでの料亭経営の制度や仕組み、戦災からの復興を目指す社会背景、さらに四季折々の京野菜や伝統料理を扱う食文化が構築されている。特に「桑乃木」の調理場や座敷の描写においては、当時の料亭の伝統的な制度や運営方法が緻密に再現されている。

連載状況

講談社「Kiss」2017年12月号から連載。

メディアミックス情報

テレビドラマ

第1期:2023年3月から5月までWOWWOWで放送。主人公の桑乃木いち日を門脇麦、桑乃木周(山口周)を作間龍斗が演じる。

第2期『ながたんと青と-いちかの料理帖-2』:2026年にWOWWOWで放送。

あらすじ

第二次世界大戦が終戦して6年後の1951年。京都の老舗料亭「桑乃木」に生まれた桑乃木いち日は、実家近くの京都ヴェーリャホテルで西洋料理人として働いてた。仕事が終わって自宅で一息ついていると、妹のふた葉に大阪の資産家の息子とのお見合い話が来ている事を聞かされる。ふた葉は、物資不足により満足な料理が出せない現状と、婿入りしてくれるうえに相手の実家が支援してくれる事でお見合いを受け入れる。しかしお見合いしてすぐに、「桑乃木」の料理人である慎太郎と駆け落ちをしてしまう。結婚話はなくなるかと思われたが、桑乃木家の長子の丸川町子がふた葉の代役としていち日を指名。相手がそれを受け入れたため、いち日は桑乃木周と結婚し、二人は夫婦となる。

国の役人が京都に駐屯する外国人を接待するために桑乃木いち日の実家である料亭「桑乃木」が使われ、いろいろとイレギュラーな出来事があったものの接待は無事に終わる。接待後、モーガンから紹介された外国人から「桑乃木」に予約が殺到し、40人の交流会の予約が入る。そんな中、料理長の戸川が外国人嫌いを理由に「桑乃木」をいきなり辞め、戸川が連れて来た料理人も辞めてしまったために、「桑乃木」から料理人が一人もいなくなってしまう。急いで新しい料理人を探すものの都合よく見つかるはずもなく、桑乃木周からの提案もあり、いち日は40人分の料理を自分一人で作る事にする。

登場人物・キャラクター

桑乃木 いち日 (くわのき いちか)

京都ヴェーリャホテルで西洋料理人として働く女性。年齢は34歳。実家は京都で200年続く老舗料亭「桑乃木」を営んでいる。戦前は夫の高行と共に「桑乃木」を盛り立てていたが、高行が徴兵されて戦死した事で、店の将来を妹のふた葉に託す。そして桑乃木いち日自身は、和食の料理人と違って女性でも受け入れてくれる洋食の料理人となる。ふた葉が結婚したら実家を出るつもりでいたが、ふた葉がお見合い後に別の男性と駆け落ちしたため、「桑乃木」をつぶさないためにふた葉のお見合い相手であった桑乃木周と再婚する。周とは歳の差や、「桑乃木」への物言いに最初は距離を感じていたが、周なりに「桑乃木」再建のために尽力している事がわかると、少しずつ信頼するようになる。

桑乃木 周 (くわのき あまね)

京都の老舗料亭「桑乃木」に婿入りした大学生の男性。年齢は19歳。大阪でホテル経営をしている資産家の三男で、旧姓は「山口」。京都進出の足がかりがほしい父親の厳命で29歳のふた葉とお見合いするが、ふた葉が駆け落ちしたため、ふた葉の姉である桑乃木いち日と結婚する。父親や兄の経営手腕を嫌悪しており、早く実家を出ようとしていたため、婿入りする事はまったく気にしていない。時代の流れに敏感で、経営破綻寸前の「桑乃木」を時代に沿った形で再建しようとするが、歯に衣着せぬ物言いなため反発をまねく事が多い。それでも「桑乃木」がいずれは父親に乗っ取られると思っているため、今自分にできる事をまっとうしようとしている。

ふた葉 (ふたば)

京都で200年続く老舗料亭で、実家でもある「桑乃木」で働く女性。桑乃木いち日の妹で、年齢は29歳。母親から「桑乃木」の女将を継ぐ身として、経営破綻寸前の「桑乃木」を立て直すために大阪の資産家を婿にする政略結婚を受け入れる。しかしお見合い後、「桑乃木」の料理人である慎太郎と駆け落ちする。

丸川 町子 (まるかわ まちこ)

桑乃木いち日の父方の伯母。丸川家に嫁いでいるが、桑乃木家の長子として老舗料亭「桑乃木」の経営の陣頭指揮を取っている。ふた葉のお見合い話や、ふた葉の駆け落ち後にいち日を代役とするなど手段は強引だが、すべては「桑乃木」を思っての事。今までの伝統を重視するあまり、時代の変化についていけないでいる。

戸川 (とがわ)

京都で200年続く老舗料亭「桑乃木」で料理長を務める男性。料理の腕は確かで、特にハモ料理は絶品。今までの伝統に執着するあまり、新しい料理や考え方を真っ向から否定し、外国人を非常に嫌っている。外国人を受け入れるなど「桑乃木」の経営方針を変えようとする桑乃木周に反発し、さらに周の考えに同調する桑乃木いち日にも我慢の限界が越え、「桑乃木」を辞めてしまう。

モーガン

GHQ京都軍政部の物資調達部に配属されている軍人の女性。日本に駐屯して6年になるが、アメリカに帰国したいと思っている。桑乃木いち日が勤める京都ヴェーリャホテルで食事をしているものの、日本人が作った料理は食べず、アメリカから呼び寄せた料理人が焼いたパンだけを食べている。日本の役人からの接待でいち日が作ったアイスクリームを食べ、いち日の心遣いもあって考えを改める。

書誌情報

ながたんと青と-いちかの料理帖- 14巻 講談社〈KC KISS〉

第1巻

(2018-07-13発行、978-4065121603)

第2巻

(2018-12-13発行、978-4065139011)

第3巻

(2019-07-12発行、978-4065162538)

第4巻

(2020-02-13発行、978-4065186220)

第5巻

(2020-09-11発行、978-4065207512)

第6巻

(2021-03-12発行、978-4065227831)

第7巻

(2021-10-13発行、978-4065256916)

第8巻

(2022-04-13発行、978-4065274330)

第9巻

(2022-10-13発行、978-4065292891)

第10巻

(2023-05-12発行、978-4065314425)

第11巻

(2023-12-13発行、978-4065335529)

第12巻

(2024-06-13発行、978-4065358894)

第13巻

(2025-01-10発行、978-4065381571)

第14巻

(2025-09-12発行、978-4065408049)

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