なまいきざかり。

なまいきざかり。

バスケットボール部のマネージャーを務める町田由希と、生意気な後輩の成瀬翔の学校生活や恋愛模様を描いた青春ラブコメディ。白泉社「花とゆめ」2013年22号や「ザ花とゆめ」に連載されたのち、2014年3号より本格連載となり2022年2号まで連載。

正式名称
なまいきざかり。
ふりがな
なまいきざかり
作者
ジャンル
ラブコメ
レーベル
花とゆめコミックス(白泉社)
巻数
既刊23巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

生意気盛りの後輩男子

隆北高校男子バスケットボール部のマネージャーを務める町田由希は、何事にも動じないクールな敏腕マネージャーとして部員たちの部活動を支えていた。由希はひそかにキャプテンで先輩でもある木戸に思いを寄せ、バスケットボール部のマネージャーになったのも、彼の近くにいたいためだった。不純な動機と自覚しながらも、由希はマネージャーの仕事をまじめにこなし、部員たちからも厚い信頼を寄せられていた。そんなある日、木戸にかわいい彼女ができたことで由希は失恋してしまい、部室でこっそり泣いていると、その姿を偶然居合わせた後輩の成瀬翔に見られてしまう。ふだんから傍若無人で生意気な翔に弱みを握られてしまった由希は、大ピンチに陥る。なんとか口止めには成功するものの、極力翔には近づかないようにしていた由希だったが、のちの試合で熱烈な声援を送ったことですっかり気に入られてしまい、彼から強引なアプローチを受けるようになる。これ以来、どんな時でもクールで完璧に仕事をこなしていたはずの由希は感情の変化を抑えられなくなり、どんな時でも積極的にせまってくる彼に振り回される羽目になってしまう。それでも木戸への思いを引きずり、なるべく気にしないようにしていた由希だったが、気づかないうちに翔のことばかり考えるようになっていた。そんな由希は、部活やバレンタインの出来事をきっかけに、翔に恋心を抱いていることを自覚するのだった。

初めての休日デート

さまざまな出来事を経て、成瀬翔が好きだと気づいた町田由希は彼と両想いのような雰囲気になるが、それでも翔と付き合うのかははっきりしないままだった。ふだんの態度はいっさい変えずに、絡まれてもクールに振る舞う由希に対し、翔のアプローチは減るどころかさらに増えていく。そんなある日、翔からデートに誘われた由希は、休日に二人で出かけることになる。外出先でも目立つ翔は行く先々で女性に注目され、由希は慣れないデートで緊張を隠せずにいた。それでも翔と過ごす時間を素直に楽しむことができ、彼からクリスマスとホワイトデーのプレゼントをもらったことで、その日のデートは無事に終了する。新学期を迎えた由希は3年生に進級し、騒がしい弟妹に囲まれながらも、新たな目標を胸に登校する。翔も2年生となり、新入部員たちからも先輩として慕われるようになる。そんな中、新入部員たちに基礎指導を行う由希は、夜の公園でこっそりシュート練習をしていたところ、背の高い謎の少年と出会う。由希の前でシュートを決めた少年はすぐに去って行ったが、後日には彼の正体が翔のライバル、袴田静であったことが判明する。さらに静は、今日の練習試合の相手で三寿々学園のエースでもあった。翔に対抗心を燃やして努力を続けてきた静は試合で大活躍し、隆北高校はその猛攻の前に敗れてしまう。ほかの部員とは異なり冷静な翔に疑問を覚えた由希だったが、数日後には翔が置手紙を残して部活に出なくなってしまう。関東大会予選を控えている中、翔がどういうつもりなのかわからず困惑する由希だったが、彼は練習試合の敗北を悔やんでこっそり自主練をしていた。翔の復帰により、隆北高校は予選を勝ち進み、次の相手は因縁の三寿々学園に決まる。リベンジに燃える翔たちを必死に応援する由希だったが、試合は惜敗に終わる。由希は応援する中で、夢中でボールを追う翔の姿が好きだと実感するのだった。関東大会終了後、由希はマネージャーの仕事をよりスムーズにこなすために、スマートフォンに機種変更する。スマートフォンに慣れない由希に連絡先を教えてとせまる翔に対し、必要ないからと拒否する由希だったが、ほかの女子が彼の番号を知っているのを見るたびにもやもやとした気分に陥る。

波乱の強化合宿と夏休み

新入生の女子マネージャー、姫野妃美子が仲間に加わり、隆北高校バスケットボール部はインターハイ予選を順調に勝ち進み、因縁の三寿々学園との対決を控えていた。一方、ライバルの袴田静へのリベンジに燃える成瀬翔は、ますますやる気を見せながらも、町田由希に対しては甘えるような態度が多くなる。翔に翻弄されながらも、部活引退を控えた由希にとっては高校生活最後の忘れられない夏が始まり、翔の大活躍もあって隆北高校はついに三寿々学園を打ち破る。インターハイ終了後、夏休みに入ったことでバスケットボール部は2泊3日の強化合宿を行なう。練習に洗濯に食事作りと仕事が盛りだくさんの中で、いつものようにマイペースに絡んでくる翔に、由希は朝から晩まで振り回される羽目になる。星空が見えるベランダでこっそり二人で話したり、入浴中に脱衣所で翔とばったり会ったりと、由希の心臓は休まるヒマもない。さらに翔がほかの部員たちの前で、由希に真剣に思いを寄せていると爆弾発言をしたことで、彼女は部員たちと一気に気まずくなってしまう。みんなの前では気にしていないかのように振る舞う由希だったが、この合宿の一件以来、彼女と翔の関係は意外な方向に変化していく。合宿終了後、翔から妙に距離を置かれているような違和感を覚えていた由希は、プールで知り合った翔のガールフレンド、市井ありさの思いを知る。さらには教室でありさと翔がキスをしている姿まで目撃し、由希はますます困惑してしまう。そんな中、由希は友人に誘われて花火大会に訪れていたが、屋台で買い物をしているうちに翔に偶然遭遇する。気まずい空気の中で翔からは予想外の宣言が飛び出し、さらには先輩たちと来ていた静も参戦したことで、由希の夏休みはさらに混乱を増していく。いくつもの出来事をきっかけに変化していく由希と翔、そして周囲との関係が複雑になっていく中、彼女はとある決断をする。

ウィンターカップ予選

秋を迎え、町田由希たちは文化祭の準備で大忙しの日々を送っていた。由希のクラスでは校庭で巨大迷路を、バスケットボール部はフリースロー対決を、成瀬翔のクラスは男女逆転喫茶を開催することに決まる。文化祭準備でも由希のクラスはトラブルの連発で、不器用ながら恋愛も勉強も学校行事も部活もすべて両立しようと一生懸命な由希を見て、翔は複雑な感情を抱くと共に自分も変わらなければと、新たな決意を胸にする。何かと無理をしている由希を心配した翔は、彼氏として優しい言葉をかけるのだった。文化祭当日、由希のクラスの巨大迷路は大盛況だったが、遊びに来ていた由希の妹たちに、翔といっしょにいる場面を見られてしまう。適当にごまかそうとする由希をよそに、翔は堂々と由希と付き合っていると宣言。翔のように堂々と彼女だと名乗れない由希は、彼がほかの女子といっしょにいるのを見るたびに、嫉妬や無力感を覚えてしまう。文化祭終了後は中間試験が近づくと共に、バスケットボール部はウィンターカップ予選を控えていた。由希たち3年生の引退にも影響する大事な大会でもあったが、隆北高校は1回戦から長身選手が集まる強豪校と対戦することがわかり、部員たちは緊張と不安を隠せずにいた。試合当日、初戦はなんとか突破し、次の相手は袴田静がエースを務める三寿々学園に決定。今までとは違う気迫でせまってくる静の猛攻により、隆北高校は序盤からペースを握られ、大ピンチに陥る。不安そうな部員たちを見かねた由希の声かけで、翔たちは気合いを入れ直して後半に挑むのだった。ウィンターカップ終了後、引退が決まった3年生の部員たちは話し合いの末に、次の主将に翔を指名することになった。同じく引退が決まり部活最終日を終えた由希は、後輩部員たちからオーダーメイドのユニフォームをプレゼントされる。本格的に勉強に力を入れるようになった由希が受験生モードに入る一方、翔は京都へ修学旅行に行くことになり、学年が違う彼といっしょにいられる時間が以前よりも減っていた。そんな中、修学旅行から帰って来た翔に誘われた由希は、付き合い始めてから初めてのデートをすることになる。

大忙しの新生活

町田由希は入念に準備を整えて大学受験当日を迎えるも、朝から予想外のトラブルが続出し、受験会場遅刻の危機に陥ってしまう。駅で呆然(ぼうぜん)としていた由希は、たまたま遭遇した袴田静に助けられて無事に会場に到着する。試験終了後、志望校に受かっていた由希は、4月から央崎大学に通うことが決まり、さらに実家を離れてアパートで一人暮らしをすることになる。一人暮らしの準備に忙しい日々の中、卒業式を迎える。受験も卒業式も無事に終えた由希だったが、一つ年下の成瀬翔とは4月から離ればなれになってしまうことになり、寂しさや不安をお互いに抱いていた。さらに、大学受験の時に静に助けられていたことから、由希は翔との関係が少しぎくしゃくしていた。そんな由希は卒業式終了後にバスケットボール部の後輩たちに囲まれるが、翔から卒業祝いの花束を受け取った瞬間、彼に手を引かれてその場を抜け出すことになる。みんなから離れて二人きりになった由希と翔は、卒業を祝う言葉と共にある約束を交わす。引っ越しを完了した由希は大学の入学式を終え、家族とも恋人とも離れた新たな生活が始まる。しかし翔がアパートに遊びに来たことで、ご近所さん問題を抱えたりコンビニでアルバイトを始めたりと、由希は学業にも恋愛にも大忙しな日々を送っていた。さらに、大学入学前に花見で遭遇した謎の先輩・諏訪匠望が、アルバイトの同僚であることが判明。ミステリアスなイケメンである匠望は、央崎大学男子バスケットボール部のスタメンでもあった。一方、由希の卒業以来会える時間が減った翔は、彼女の大学生活や人間関係が気になって、嫉妬を見せることも増えていく。そんな中、人手が足りなくなった大学のバスケ部員から臨時マネージャーを頼まれた由希は、放っておけずに引き受けることになる。懸命にバスケットボール部を助けようとする由希だったが、慣れない新生活の忙しさや寝不足で疲れが溜(た)まっていき、臨時マネージャーの仕事中に過労で倒れてしまう。

高校最後のインターハイ

町田由希が大学での新生活にようやく慣れてきた頃、成瀬翔は高校最後のインターハイ予選の時期が近づいていた。過去最高に緊張感が高まる翔と袴田静の決戦がせまり、由希への思いを抱え込んだままだった静は一世一代の決意を胸にする。そんな中、由希は央崎大学の男子バスケットボール部にマネージャーを務めて欲しいと懇願され、しばらくのあいだはアルバイトとマネージャーの仕事をかけ持ちすることとなる。一方、複数の大学からスカウトが来ている静は、由希たちの通う央崎大学バスケットボール部の見学に訪れていた。その途中で由希に再会した静は、自分でも予想外の行動に出てしまい、それ以降は由希に会うたびに気まずくなってしまう。だが、いつまでも引きずったり逃げたりするのが嫌になった静は、翔たちが見ている前で由希に告白し、まぶしいほどの笑顔を見せる。そしてインターハイ予選が始まり、翔たちは順調に予選を勝ち進み、部活でも恋愛でもライバル同士の熱い夏が始まる。決勝リーグまで進んだ隆北高校は、全国行きを懸けて三寿々学園と戦うことになる。緊張と不安を抱える様子を隠し切れない翔を心配した由希は、彼の先輩として、そして彼女としてできることを自分なりに考え、試合会場に向かう彼に手作りのタオルを渡して見送る。試合開始早々、三寿々の猛攻と鉄壁の前に翔たちはピンチに陥るが、由希はほかのOBたちとインパクトのある応援で彼らに気合いを入れ直す。ギリギリの激闘の末に隆北高校が勝利し、翔たちは初の全国大会行きを決める。試合終了後に由希と勝利の喜びを分かち合った翔だったが、記者に囲まれた彼はみんなの前で由希が彼女だと暴露。この日以来、瞬く間に噂は広まっていき、翔と由希の関係は部活以外の人にも幅広く知られ、一時期はSNSで炎上するほどになっていた。そんな状況を気にもせず、翔は由希との関係を知った自分の家族に、由希のことを紹介したいと言い出す。心の準備どころか手土産すら用意できていなかった由希は、アルバイト帰りの格好でいきなり翔の家に招かれることになってしまう。緊張を隠せない由希を温かく迎えてくれたのは、翔の母親と姉の成瀬瞳だった。

新たなキャンパスライフ

ウィンターカップ終了後、部活引退が決まった成瀬翔は本格的に受験生モードに入っていた。翔の志望校は町田由希の通う央崎大学で、問題なく受験を終えた彼は彼女に誘われ、引退祝いを兼ねたデートに行くことになり、本来は騒がしい場所が苦手な翔の希望で遊園地に行くことが決まる。観覧車の中で由希はあらかじめ用意していたプレゼントのピアスを翔に渡し、彼からも誕生日プレゼントを兼ねたネックレスをもらう。そのまま由希の家に行くことになり、恋仲を深めた二人はますます強い絆(きずな)で結ばれる。予定どおり央崎大学への入学が決まった翔には、卒業の時期がせまっていた。翔の卒業式にダブルデート旅行と、楽しい行事が目白押しの春休みが始まり、由希は翔だけでなく友人たちとも友情を深めることができた。春休み終了後、央崎大学の入学式ではスーツ姿の翔が、早くも大学内で注目を集めていた。翔も加わってますますにぎやかな大学生活が始まると思いきや、彼は央崎大学に推薦入学していた袴田静とはち合わせになる。予想外のトラブルに巻き込まれながらも、翔と静をはじめとする新入部員が加わった央崎大学バスケットボール部は本格的に始動する。マネージャーを続けることになった由希は翔の様子を見守るが、彼は静とのケンカが絶えないうえに、大学レベルの部活についていけず焦っていた。一方、以前から諏訪匠望のことが気になっている宇佐見風香は、彼をあきらめ切れずに地道なアプローチを続けていた。そんな風香や由希の思いとは裏腹に、匠望は由希と距離を縮めようとしていた。匠望と由希の様子に苛立(いらだ)ちを隠せなくなった翔は、彼女に冷たい態度を取ってしまい、二人は小さなすれ違いを起こしてしまう。さらに匠望は由希に告白し、戸惑う由希はそのことを翔にも風香にも相談できず、一人で抱え込んでしまう。たとえケンカをしていても翔のことを見捨てられない由希は匠望の告白を断るが、複雑な未練を抱えたままの匠望は雨の中で酒に溺れているところを、偶然居合わせた風香に介抱される。酔ったままの匠望の口からこぼれた一言で、風香は彼の思いに気づいてしまい、由希の人間関係はさらに複雑になっていく。

春の練習合宿

央崎大学バスケットボール部への新入部員加入から早くも数週間が過ぎ、お互いに言いたいことを伝え合った町田由希成瀬翔のすれ違いは、ひとまず一件落着した。多少のいざこざがあったものの、目前には春の練習合宿もせまっていた。一方、諏訪匠望に思わずキスをしてしまった宇佐見風香は、後悔や混乱から抜け出せないまま切羽詰まっていたが、マネージャーの手伝いとして合宿に参加することが決まる。匠望と気まずい状態が続いていた風香は、翔の何気ない一言でまっすぐな自分を取り戻し、真正面からぶつかっていくことを決意。そして合宿1日目が始まり、レギュラーを目指すことを決めた翔は、袴田静との睨(にら)み合いがさらに増えていく。由希と翔にとっては付き合い始めてから初めての合宿でもあったが、浮かれずにマネージャーの仕事に集中しようと決意する彼女には、いくつものハプニングが待ち受けていた。一方、由希への片思いを引きずりながらも余計なことを考えずに集中しようと決めていた静は、由希との予想外のシチュエーションの連続の中で、思わぬ行動を取ってしまう。悩んだ由希は風香に止められながらも、静との出来事を翔に打ち明ける。由希が大学生になって初めての合宿は、練習や試合以外の場でもいろいろな出来事あったものの、厳しい練習の前にリタイア者が出ることもなく最終日を迎える。練習終了後、由希たちは近くの河原で打ち上げを兼ねて花火をすることになる。みんなが楽しそうにはしゃぐ一方、風香はわざわざ合宿に参加したのに匠望とこれといった進展もなかったことにがっかりしていた。そんな風香のことが気になった匠望は彼女の手を引いて、みんなのもとから離れて二人きりになる。

ペアリングで女子力アップ

トラブル続きのバスケットボール部の合宿を経て、町田由希への気持ちに火がついた袴田静は、部活だけでなく恋も一気に攻めの姿勢に変わっていた。一方、合宿中に気まずかった宇佐見風香諏訪匠望の仲にもわずかな進展があり、由希を取り巻く人々の関係性は大きく変化していく。合宿終了後はいつもの大学生活に戻れるとほっとする由希だったが、唐突にアパートに押しかけて来た町田光史郎の家出騒ぎに巻き込まれたり、風香の新たな悩みの相談に乗ったりと、相変わらず騒がしい日々を送っていた。そんな中、由希は成瀬翔を交えて風香と匠望を食事に誘うことになるが、舞い上がった風香は階段から転げ落ちてしまう。心配した匠望は、病院に向って風香に素直な気持ちを告げ、二人は晴れて付き合うことになった。一方、静のレギュラー入りに焦りを感じた翔は自主練に打ち込むようになり、疲れが出ている彼を心配した由希は、久しぶりにデートに誘う。そのデートの中で翔は、以前から気になっていたペアリングを由希にプレゼントする。由希は受け取ったペアリングに見合うような女性を目指し、髪型も変えておしゃれをして登校する。由希の唐突な変化に男性陣が見惚(ほ)れる中、練習の疲れが溜まっていた翔は体調を崩して寝込んでしまう。由希の看病で2日後には元気を取り戻した翔の携帯電話には、女性にふられて意気消沈した庄司から連絡が入り、由希はアルバイト先の先輩を彼に紹介することになる。庄司の新たな出会いと恋を見守った由希たちだったが、次の日にはSNSで話題になっていた静の写真が原因で、体育館に大勢の女性が押し寄せていた。写真騒動が落ちついてすぐには新人戦もせまり、試合には静だけでなく翔も出場することになる。衝突の絶えない翔と静には強豪校のライバルも増え、バスケットボール部には新たな波乱が訪れようとしていた。

ハワイで結婚式

梅雨の中、町田由希は勉強会をきっかけに、成瀬翔の父親と初対面することになった。翔の家族の中で父親だけには会っておらず、翔との会話の中から厳しいイメージを抱き緊張と不安が押し寄せる由希だったが、翔の父は予想外の人物だった。成瀬家に温かさを感じる由希は、翔の母親と姉の成瀬瞳とも再会。以前から由希をすっかり気に入っている瞳からは、2週間後にハワイで結婚式を挙げるから来て欲しいと、とんでもないお誘いを受ける。翔たちにも寝耳に水な話だったが、断るスキも与えられず、由希は誘われるままに成瀬家に混じってハワイに行くことになる。初めてのハワイで成瀬家の親戚や友人ばかりの場に肩身の狭さや心細さを感じていた由希は、浜辺で謎の紳士と出会うが、その人は翔の祖父であった。翔の祖父にときめいたり、クルージング中に酔った外国人に絡まれたりと、前日からハプニング続きの由希だったが、結婚式当日の朝には瞳の結婚相手、アレックスがマリッジブルーに陥ってしまう。翔の言葉に感動したアレックスはあっさり復活し、家族や友人たちも見守る中で瞳の結婚式は無事に終了する。帰国から1週間後には7月に入り、翔の誕生日がせまっていた。19歳を迎える翔へのプレゼントは、彼の好きな人気キャラクター「コケ麻呂」のグッズに決まるが、レアグッズのためになかなか入手できず、由希はあちこちの店をさまよう羽目になる。宇佐見風香袴田静の助けも借りながらコケ麻呂を入手し、準備万端で臨もうとした由希だったが、誕生日当日に些細(ささい)な意地の張り合いで翔とケンカしてしまう。重い空気を感じ取った風香は、由希と翔を諏訪匠望の家に誘い、四人で焼肉パーティーをしたことで二人はなんとか仲直りすることができた。夏休みに入った央崎大学バスケットボール部は、来月のリーグ戦に向けて猛特訓が始まり、翔は先輩たちと共に軽井沢へリフレッシュ旅行に行くことになる。翔に誘われた由希、風香、匠望の三人も参加することになり、以前の合宿とは違うとてもにぎやかな旅行が始まる。合宿ではないとわかりつつもいつものマネージャー気分が抜けない由希は、翔に連れ出されてみんなで川遊びをすることになる。

後輩たちの恋模様

4年生の引退も懸かったリーグ戦を経て、央崎大学バスケットボール部はリーグ昇格を決める。袴田静と共にチームのピンチを救った成瀬翔は、数々の激闘を通して自分が高校時代よりも確実に成長していると実感することができた。一方、リーグ戦が終わるまでは自分の誕生日のことを先送りにしていた町田由希は、翔との約束の前日に宇佐見風香に誘われ、初めての飲酒を体験。実はかなり酒に弱かった由希は、明日が待ちきれずにやって来た翔の前で、リーグ戦の時から感じていた本音をうっかり漏らしてしまう。由希の意外な本音と酒癖の悪さが判明する中、彼女と翔の母校である隆北高校では、文化祭の時期がせまっていた。由希と翔はバスケットボール部の後輩たちに会うために、久しぶりに隆北高校に遊びに行くことになる。3年生になった姫野妃美子がマネージャーを務める隆北高校バスケットボール部では、例年どおり客とのフリースロー対決が行われていた。だが、ちょっとした手違いにより景品がなくなってしまい、妃美子たちは大赤字のピンチに陥る。駆けつけた由希と翔の協力により赤字の危機は免れ、後輩たちの活躍と恋模様を見守った由希たちは安心し、文化祭も無事に終了となった。後日、バスケットボール部のコーチから用事を頼まれた由希は、初めて静の家を訪問することになる。由希は体調を崩して寝込んでいる静に書類を渡すためにやって来たが、家には彼の兄弟が帰って来ていた。

過去と今と未来

町田由希のアルバイトの後輩、春原結奈は、成瀬翔と中学時代に付き合っていた元彼女だった。以前から翔に彼女がいたことを知っていた由希はあまり気にしないようにしていたが、初詣の時に翔と結奈が二人きりで会っていたことを聞いてしまう。年の瀬の些細な勘違いからすれ違ってしまった由希は翔とケンカし、しばらく彼と会わない日々が続く。悩みを抱え込んだままで由希は高校時代の友人と同窓会に参加するが、酔って忘れようとしてもいつものように酔うことができなかった。しかし由希は電車内で急に酔いが回ってしまい、酔ったままで翔に電話したつもりが、間違えて袴田静にかけてしまう。心配した静はすぐに駅まで由希を迎えに行き、酔っぱらった彼女を放っておけず、アパートまで連れて行ったうえであとのことを宇佐見風香に託す。翌朝、昨夜の記憶がほとんど消えていた由希は風香から詳細を聞き、静への申し訳ない気持ちから精一杯のお詫(わ)びを渡そうとするも、彼からは1日だけデートをして欲しいと頼まれる。静と過ごしたことで気持ちが落ちついた由希だったが、翔とはまだケンカをしたままだった。後日、晴れ姿で成人式に向かった由希は、あることを報告しに会場までやって来た翔と再会し、本音を伝え合って無事に仲直りすることができた。お互いにしっかりと話し合うことで、より絆を深められた由希と翔は春休みを迎え、運転免許を取得したばかりの彼の運転で初のドライブデートに行くことになる。きちんと安全運転ができるのかと心配する由希をよそに、翔はスムーズに運転をこなすが、急な大雨で安全に帰るのが難しくなる。日帰りだったはずが急遽(きゅうきょ)予定を変更し、買い物中に当てたペア宿泊券を使って、近くのホテルに泊まることとなる。二人きりでの宿泊は初めてで緊張する由希だったが、急ぎで替えの下着をそろえたはずが、間違えて派手な下着を買ってしまったことに気づく。

登場人物・キャラクター

町田 由希 (まちだ ゆき)

隆北高校に通う女子。男子バスケットボール部の敏腕マネージャー。茶髪のロングヘアで、部活中などは髪をポニーテールにまとめている。ポーカーフェイスでめったなことでは動じず、クールかつ完璧に仕事をこなしている。自分にも他人にも厳しい生真面目な性格で、どんな時でも頼りになることから、部員や顧問からの信頼は厚い。もともとは先輩の木戸への片思いが入部のきっかけで、不純な動機だと自覚しながらも部活には真剣に向き合っている。五人弟妹の長女に生まれ、幼少期から弟妹の面倒を任されていたため、面倒見が非常にいい。幼少期からおばあちゃんっ子だったが、祖母はすでに亡くなっている。努力家で責任感も強いが、努力しているところや弱みを他人に見せないようにしている。賑(にぎ)やかな大家族の家庭で育ったため、人並外れた冷静さと忍耐力を持つ一方、幼少期の体験から誰にも頼らずにあきらめることで自分を守るという、臆病さを隠し持っている。料理や家事を含め大半のことは器用にこなすが、恋愛には奥手で鈍感なところがある。木戸に彼女ができたことで失恋し、ひそかに部室で泣いていたところを後輩の成瀬翔に見られて興味を持たれ、試合で熱烈な応援をしたことで翔に好意を寄せられるようになる。当初は翔にかかわらないようにしていたが、落ち込んでいた時に助けられたり、心の弱い部分に触れられたりするうちに彼に思いを寄せるようになる。しかし生意気な翔に、一方的にせまられて心を乱されているのを認めたくないため、当初は意地を張って素直になれずにいた。その後、翔とのさまざまな出来事を経て付き合うようになり、すれ違いやケンカをしながらも彼と共に成長していく。犬に吠(ほ)えられやすい体質で、翔の家で飼っている犬にもよく吠えられている。バスケットボール部を引退した後は、マネージャーの経験を生かしてスポーツ科学部を目指すようになり、卒業後は央崎大学に進学する。実はかなり寝相が悪い。酒に酔うと性格が変貌するうえに、酔っていた時の記憶をまったく覚えていない。誕生日は9月12日で、血液型はA型。

成瀬 翔 (なるせ しょう)

隆北高校に通う男子。バスケットボール部のエースを務める。ふわふわした猫っ毛の茶髪のショートヘアで、両耳にピアスをしている。敬語をまったく使わないなど生意気な性格で、かなりマイペースな自由人。身長185センチを超えるイケメンで、モデルやアイドルに間違われることもあり、非常に女性にモテる。町田由希とは入学式で、不可抗力ながら彼女の胸に触ってしまうという衝撃的な出会いをした。陰で努力をしている由希のことがなんとなく気になっていたが、失恋して彼女が泣いているところを偶然見かけて興味を持ち、一方的に付きまとうようになる。試合で応援されたのをきっかけに彼女に好意を寄せるようになり、積極的にアプローチを繰り返し、のちに付き合うようになる。ふだんは無表情で感情表現に乏しいが、親しい人の前では笑顔を浮かべることもある。由希に対しては、拗(す)ねたり甘えたり嫉妬したりと、さまざまな表情を見せており、彼女にほかの男子が近寄るたびに嫌悪感をあらわにしている。基本的にやる気がなく、不愛想な態度やチャラい見た目から誤解されやすいが、由希のことは真剣に考えており、彼女以外の相手にも自分なりの優しさや気遣いを見せる。幼少期からバスケットボールが得意で、ほとんどゲームのような感覚でプレイしていた。しかし由希との交流や、ライバルの袴田静との勝負を経て敗北の悔しさを知り、部活にも本気で打ち込むようになった。まったく勉強していないように見えるが、成績優秀で受験も問題なくクリアした。高校卒業後は由希と同じ央崎大学に進学し、バスケットボール部でも活躍している。家族は両親と七つ年上の姉・成瀬瞳がいる。「家康」という名の犬を飼っている。幼少期は姉に女の子の格好をさせられるなど、昔は姉に甘える素直で甘えん坊な少年だった。素朴な両親にはあまり似ていないが、ダンディな祖父からは女性を虜(とりこ)にする美貌だけを受け継いだ。好きなタイプは清楚(せいそ)系。誕生日は7月25日で、血液型はB型。

袴田 静 (はかまだ しずか)

三寿々学園に通う男子。バスケットボール部のエースを務める。長身のイケメンで、非常に女性にモテる。しかし、男兄弟に囲まれて高校も男子校のため、女性を苦手としており、ファンの女性から声をかけられても小動物のように逃げ出す。誠実な性格で親切ながら、少々ドジで鈍くさい一面がある。恋愛に奥手で生真面目過ぎるところは、町田由希と似ている。成瀬翔とは幼なじみで昔は同じチームだったが、現在はライバル関係となっている。翔との再会をきっかけに由希と出会い、応援の仕方が奇妙な彼女のことが気になっている。当初は自覚がなかったが、彼女が翔と付き合うのを直感的に嫌悪しており、いくつかの出来事を経て彼女への思いが恋だと自覚する。もともと女性が苦手なため、由希に対しても緊張から挙動不審になることが多く、時おり周囲を驚かせている。翔とは犬猿の仲で会うたびにケンカに発展し、バスケだけでなく由希を巡って争うことも多い。幼少期はバスケで翔に勝てず、当時は背も低かったため試合でも活躍できずにいた。一度はバスケをやめようとしたが、翔の言葉でやる気を取り戻し、いつかいっしょにインターハイに出場しようと約束を交わしていた。中学からは翔と別々の学校になり、地道な努力で実力を伸ばしていき、試合で翔を打ち負かすほどに成長している。翔と由希が付き合っていると知ったあとも彼女をあきらめ切れず、彼やほかのバスケ部員の前で告白した。ふられたあとはバスケに打ち込もうとしたが、由希のことが忘れられず、片思いを引きずっている。2年生の冬からは先輩に指名されて主将を任され、全国大会を目指すようになる。部活一直線に突き進んでいるが、由希が相手だと思春期の男子らしい一面を見せることもあり、周囲から「ムッツリ」呼ばわりされることもある。高校卒業後は央崎大学の文学部に推薦で入学し、翔と同様にバスケットボール部で活躍している。家族は両親と兄の袴田隼、弟の袴田歩がいる。動物好きで、家では猫を複数飼っている。

木戸 (きど)

隆北高校に通う男子。町田由希たちの先輩で、バスケットボール部の主将を務める。明るく優しくて面倒見のいい性格で、部員たちからも慕われている。引退後や高校卒業後もバスケットボール部のことを気にかけ、OBとして時おり顔を出している。橋野リナと付き合っている。爽やかな笑顔のイケメンで、卒業式では多くの女子から告白されていた。

殿村 肇 (とのむら はじめ)

隆北高校に通う男子。町田由希の同級生で、バスケットボール部に所属している。長身で爽やかなイケメンで女子にモテているが、天然でのんびり屋な一面がある。眼鏡を外すと、さらにイケメンになる。あだ名は「殿」。同級生の五十嵐と付き合っている。3年生に進級後は、バスケットボール部の主将を務めるようになる。由希たちとは異なる大学に進学したが、五十嵐とは交際を続けている。母親は会計士をしている。

橋野 リナ (はしの りな)

隆北高校に通う女子。町田由希たちの先輩で、木戸と付き合っている。髪をツインテールにまとめており、ウサギのようなかわいい容姿と明るく天真爛漫(らんまん)な性格の持ち主。華奢(きゃしゃ)で小柄な体型ながらよく食べる。自分だけではなく周囲を冷静に観察しており、笑顔で毒舌な言葉を言い放つ。面倒見がよく、色恋沙汰に慣れていない町田由希を優しく見守り、時には相談相手になっている。

吉良 誠一 (きら せいいち)

三寿々学園に通う男子。バスケットボール部の主将を務める。愛想のいい糸目のイケメン。後輩の袴田静をからかっているが、悩み多き彼を気にかけて面倒を見ている。いつも笑顔を浮かべて優しそうに見えるが、意外と厳しい一面がある。真摯にバスケに取組んでおり、負けず嫌いな静には入部時から期待を寄せ、彼をキャプテンに指名した。引退・卒業後も後輩たちの活躍を見守り、時おり相談にも乗っている。高校卒業後は征南大学に進学し、バスケットボール部で活躍している。

姫野 妃美子 (ひめの ひみこ)

隆北高校に通う女子。男子バスケットボール部の新しいマネージャーとして入部した。黒のロングヘアを二つのおさげにまとめ、眼鏡をかけている。敏腕マネージャーとして知られる町田由希にあこがれており、マネージャーの仕事を通して、内気で鈍くさい自分自身を変えたいと思っている。愛称は「姫ちゃん」。昔から男性が苦手で、成瀬翔のことはさらに苦手としている。おとなしく見た目も地味だが、責任感が強くがんばり屋なことから、男子に人気がある。いつも号令を嚙んでしまうほどの上がり症で失敗も多いが、由希を見習いながら懸命に努力を重ねている。

市井 ありさ (いちい ありさ)

隆北高校に通う女子。成瀬翔の中学生時代からの同級生。サイドテールの髪型で、性格は快活で明るく、思ったことははっきりと言うタイプ。昔から翔に一途な思いを寄せており、彼と町田由希の噂(うわさ)が気になっている。由希とは夏休みのプールで知り合ったが、時おり彼女に対抗心を燃やして大胆な行動に出ることがある。中学生時代に翔にさりげなく告白してあっさりふられているが、高校生になった今も彼をあきらめきれず、自分の気持ちをまっすぐに持ち続けている。

庄司 (しょうじ)

隆北高校に通う男子。バスケットボール部の副キャプテンを務める。町田由希の同級生。黒髪のショートヘアで厳(いか)つい顔立ちをしている。大柄な体型で周囲から「ゴリラ」呼ばわりされることがある。イワトビペンギンにも似ている。女子から人気のある成瀬翔や、殿村肇をいつも羨ましく眺めていたが、バスケットボール部を引退後に女子からラブレターをもらった。高校卒業後には彼女もできたが、1年と経たずにふられてしまう。

阿部 (あべ)

隆北高校に通う男子。バスケットボール部に所属している。明るい茶髪をショートヘアにしている。成瀬翔とは同じクラスの友人でもあり、修学旅行でもいっしょに行動していた。天真爛漫な性格のお調子者で、先輩たちからもかわいがられている。女子に人気のある翔のことをいつも羨ましく眺めている。部活中によく鼻血を出す。何かと空回りがちで成績もあまりよくないが、高校卒業後は奇跡的に央崎大学に合格し進学した。体力に自信が持てずにバスケットボール部には入部せず、先輩の雨宮と共にサークルで活動しながら、翔を応援している。

由希の母 (ゆきのはは)

町田由希の母親。堅物な夫や娘の由希とは異なり、大らかで奔放な性格をしている。ふだんは仕事で忙しく、家事や子供たちの世話は由希に任せがち。ミーハーな一面があり、年末に町田家を訪れた成瀬翔のことを歓迎し、好感を抱いた。幼少期から苦労をかけているため、五人きょうだいの中では由希に一番幸せになって欲しいと願っている。

由希の父 (ゆきのちち)

町田由希の父親。ふだんは海外出張ばかりのサラリーマンで、家にはあまり帰って来ない。黒髪のショートヘアで眼鏡をかけている。見た目どおりの堅物で生真面目な性格は、娘の由希とよく似ている。久しぶりに帰った際に由希に彼氏ができたことを知り、年末に成瀬翔を町田家に招待するが、初めて翔を見た時は卒倒して倒れてしまう。あまり態度には出さないが、おばあちゃんっ子だった由希の祖母が亡くなって以来、騒がしい弟妹に囲まれ無理をしている由希のことを心配していた。久しぶりに会った由希が成長していることに驚いていたが、それが翔のおかげだと知って感謝した。また、幼少期から年上好みだった由希が年下の翔と付き合っているのにも驚いていたが、翔の人柄を知ってからは良好な関係を築いている。

町田 光史郎 (まちだ こうしろう)

町田由希の弟。由希の一つ年下で、三つ子の長男。成瀬翔と同い年の高校生。黒髪のショートヘアで耳にピアスをしており、ナルシスト気味でかっこつけたがりなところがある。三つ子の中ではもっともクールで大人っぽい。実は昔から隠れシスコンなため、由希に彼氏ができたと知った時は若干ショックを受けていた。無人島に持って行きたい物はグラビア雑誌で、グラビアアイドルのマイカの大ファン。由希が大学生になったあとにマイカの抱き枕を巡って町田晋太郎とケンカになり、家出をして彼女のアパートに押しかけていた。

町田 晋太郎 (まちだ しんたろう)

町田由希の弟。由希の一つ年下で、三つ子の次男。成瀬翔と同い年の高校生。明るい茶髪のショートヘアで、快活な性格で元気いっぱい。スポーツ全般が大好きで、サッカー部に所属している。小学生の頃に使っていたバスケットボールは由希に譲った。

町田 健児郎 (まちだ けんたろう)

町田由希の弟。由希の一つ年下で、三つ子の三男。成瀬翔と同い年の高校生。明るい茶髪のショートヘアで、明るく優しい性格をしている。偏差値は低めだが、由希から見ればおバカでかわいい弟ながら、たまに何を考えているか理解できないことがあり、町田光史郎や町田晋太郎たちよりもどこか達観している。

町田 凛 (まちだ りん)

町田由希の妹。町田家の次女で、双子の妹の町田冴と瓜二つ。茶髪のロングヘアをツインテールにまとめている。甘えん坊な性格で男子に人気が高い。イケメン好きで成瀬翔を気に入っており、彼が家に来るたびにはしゃいでいる。学校でのあだ名は「りんりん」。犬が大好きで、つねに犬を飼いたがっている。由希よりも恋愛やファッションに明るく、彼女のデートのコーディネートやバレンタインのチョコレート作りを手伝っていた。

町田 冴 (まちだ さえ)

町田由希の妹。町田家の次女で、双子の姉の町田凛と瓜二つ。茶髪のロングヘアをツインテールにまとめている。明るい性格で、1日1回は兄とケンカしている。非常に足が速く、よくしゃべる。成瀬翔を気に入っており、彼が家に来るたびにはしゃいでいる。由希よりも恋愛やファッションに明るく、彼女のデートのコーディネートやバレンタインのチョコレート作りを手伝っていた。

うさみん

隆北高校に通う男子。バスケットボール部の新入部員。先輩の成瀬翔と同じくらいの長身で、前髪の一部をヘアゴムでまとめている。明るく楽天的な性格ながら、軽い言動で物覚えが悪い。しかしバスケットボールの実力と体力に恵まれ、入部早々スタメン入りして活躍している。イケメンで社交的なことから女子にモテるが、壊滅的に空気を読めない無神経な一面が災いして、これまで付き合ってきた女子とは長続きしたことがない。気配りや緊張の概念がないことから、どんな時でもテンションが高いため誤解されがちだが、試合に負けた時は驚くほどに悔しがっている。私服は奇抜なデザインのマイナーブランドを愛用するなど、ファッションセンスが個性的。宇佐見風香の弟で、姉弟仲はあまりよくない。健気に部活に励んでいる姫野妃美子に思いを寄せており、文化祭で彼女に告白した。

諏訪 匠望 (すわ たくみ)

町田由希が花見中に遭遇した謎の青年。由希が入学した央崎大学に通っている先輩で、彼女がアルバイトを始めたコンビニでアルバイトをしている。黒髪のショートヘアでミステリアスな雰囲気を漂わせており、長身のイケメンで口下にホクロがある。勉強中は時おり眼鏡をかけている。大らかな性格で、誰に対しても親切で面倒見もいいため女性に非常にモテる。しかし女性にビンタされていたり、大学の倉庫で女性といっしょにいたりと、女性関係は謎が多い。バスケットボール部に所属しており、高校バスケ界隈で有名な成瀬翔や袴田静のことも知っていた。博多出身のため怒った時や酔った時など、素が出ると博多弁でしゃべる。当初は由希に思いを寄せて告白するが、春の強化合宿をきっかっけに宇佐見風香と距離が縮まり、付き合うようになった。誰にでも優しく接する一方で、誰とのあいだにも見えない壁を作り、あえて悪い男のフリをしたり本音を隠したりと、相手と自分を傷つけないように振る舞っている。その癖を見抜いた風香にだけは本当の自分を見せるようになり、彼女に対しては素で接している。父親とはたまに会っているが、離婚した母親とは疎遠で、16年以上も会っていない。家族をはじめ秘密主義で隠し事が多いが、繊細で甘えん坊な一面を秘めている。

宇佐見 風香 (うさみ ふうか)

央崎大学の商学部に通う女子。黒髪をボブヘアにしている。同じ大学の町田由希とは同じアパートで、となりの部屋に住んでいる。明るい性格ながら浮き沈みが激しく感情豊かで、由希からは不思議な女性という印象を持たれている。おしゃべりなために思わぬトラブルを招くこともあるが、立ち直りが異様に早い。大人っぽくて容姿端麗のため、大学内では高嶺の花としても知られている。先輩の諏訪匠望のことが気になっており、由希に紹介してもらったが、実際に会ってみると女性関係がいい加減という悪い印象を抱いた。それでも匠望のことがあきらめ切れず、花火大会に誘ったりバレンタインにチョコレートを渡したりと、地道なアプローチを続けている。由希とは、恋愛を中心に幅広く相談し合えるいい関係を築いている。町田凛や町田冴とは話が合い、意気投合している。気になる相手には積極的な一方で、周囲に根回しを依頼するなど慎重な手段を取ることもある。成瀬翔の後輩でもある弟のうさみんは、隆北高校バスケットボール部で活躍しているが、弟にあまり興味がないためバスケにも詳しくない。由希の手伝いで、バスケットボール部の合宿に参加したのをきっかけに匠望との距離が縮まり、彼女と翔の応援もあって合宿後には彼と付き合うようになった。お互いに社交的でモテるためにすれ違いも多いが、幸せな日々を送っている。基本的には由希と翔の恋仲を応援しているが、片思いに悩む袴田静にはシンパシーを感じており、傷心状態の由希と二人きりになっても手を出さなかった静の誠実さを高く評価している。鈍感な由希のことを恋愛オンチ扱いして的確な助言を与える一方で、イケメンを次々と落としていく彼女を覇王のような存在だと思っている。

成瀬 瞳 (なるせ ひとみ)

成瀬翔の七つ上の姉。茶髪のロングヘアで、弟の翔によく似た顔立ちの美人。サバサバした性格でミステリアスな一面があり、翔以上にマイペースで鋼のメンタルの持ち主。町田由希が初めて家に来た時から彼女を気に入り、歓迎している。行動範囲が広く旅行好きで、海外や沖縄などによく行っている。アレックスと結婚してハワイで結婚式を挙げることになり、由希を招待する。のちにアレックスとのあいだに子供をもうける。

袴田 隼 (はかまだ はやと)

袴田静の兄。袴田家の長男で美容師。短髪でピアスをしている。弟の静と同様に長身だが、スポーツは特に何もしていない。高校時代の友人とバンドを組んでいるが、あまり活動していない。静よりも女慣れしているが、なぜかふられることが多い。静には厳しく、袴田歩には優しい。

袴田 歩 (はかまだ あゆむ)

袴田静の弟。袴田家の三男で高校生。兄たちのように背は伸びなかったが、特に気にしてはいない。黒の短髪で表情に乏しく、見た目も性格も静には似ていないが、よくガールフレンドを家に連れて来ている。人間観察を趣味にしており、好きなタイプは年上の女性。

アレックス

スペイン人の男性。成瀬瞳の結婚相手で、職業はモデルとチェロ奏者。黒髪の爽やかな美青年で、優しくてシャイな性格をしている。日本が大好きで、日本語はペラペラ。瞳とはハワイで結婚式を挙げることになるが、当日の朝に謎のマリッジブルーで部屋にこもってしまう。それは義弟になるはずの成瀬翔が自分に対して冷たいという理由だったが、翔の言葉で元気を取り戻し、無事に結婚式を挙げた。のちに瞳とのあいだに子供をもうける。

春原 結奈 (すのはら ゆな)

専門学校に通う女子。町田由希と同じコンビニで新人アルバイトとして働いている。まじめなしっかり者で勘も鋭く、気配り上手な働き者。先輩の由希のことを慕っている。成瀬翔とは同じ年齢で、実は彼と中学生時代に付き合っていた元彼女。家は貧乏で屋根が壊れかけたボロアパートに住んでおり、少々浪費癖のある母親と二人暮らしをしている。生活がギリギリで頼れる人がいないことに悩んでいる。のちに引っ越し資金を貯金していた母親と共に、別のアパートに引っ越した。

書誌情報

なまいきざかり。 23巻 白泉社〈花とゆめコミックス〉

第1巻

(2014-05-20発行、 978-4592213314)

第2巻

(2014-08-20発行、 978-4592213321)

第3巻

(2014-12-19発行、 978-4592213338)

第4巻

(2015-05-20発行、 978-4592213345)

第5巻

(2015-09-18発行、 978-4592213352)

第6巻

(2016-02-19発行、 978-4592213369)

第7巻

(2016-06-20発行、 978-4592213376)

第8巻

(2016-09-20発行、 978-4592213383)

第9巻

(2017-02-20発行、 978-4592213390)

第10巻

(2017-07-20発行、 978-4592213406)

第11巻

(2017-11-20発行、 978-4592213413)

第12巻

(2018-02-20発行、 978-4592213420)

第13巻

(2018-06-20発行、 978-4592213437)

第14巻

(2018-10-19発行、 978-4592213444)

第15巻

(2019-02-20発行、 978-4592213451)

第16巻

(2019-06-20発行、 978-4592216865)

第17巻

(2019-10-18発行、 978-4592216872)

第18巻

(2020-02-20発行、 978-4592216889)

第19巻

(2020-07-20発行、 978-4592216896)

第20巻

(2020-12-18発行、 978-4592216902)

第21巻

(2021-05-20発行、 978-4592224013)

第22巻

(2021-10-20発行、 978-4592224020)

第23巻

(2022-03-18発行、 978-4592224037)

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