ぬばたまおろち、しらたまおろち 少女と妖魅の魔女学校

ぬばたまおろち、しらたまおろち 少女と妖魅の魔女学校

白鷺あおいの小説『ぬばたまおろち、しらたまおろち』のコミカライズ作品。事故で両親を失った14歳の少女の深瀬綾乃には、将来を約束した大蛇(おろち)のアロウという秘密の婚約者がいた。ある夜、ネッシーのような妖怪に襲われた綾乃は、箒に乗った魔女の大原由希恵に助けられ、そのことをきっかけに由希恵の紹介で妖怪たちといっしょに魔法学園「ディアーヌ学院」へ入学することになる。全寮制の魔法学園を舞台に展開される、魔法と冒険と恋の和風ファンタジー。「MAGCOMI」で2019年6月から配信の作品。

正式名称
ぬばたまおろち、しらたまおろち 少女と妖魅の魔女学校
ふりがな
ぬばたまおろちしらたまおろち しょうじょとようみのまじょがっこう
原作者
白鷺 あおい
漫画
ジャンル
和風ファンタジー
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

岡山県の田舎で暮らす14歳の少女、深瀬綾乃は4年前の交通事故で両親を亡くして以来、伯父の家に引き取られて暮らしている。優しい伯父と叔母に感謝しつつも、つねにいい子でいなければならないと、どこか息苦しさも感じていた。そんな綾乃が心を許せるのは、彼女が5歳の時に出会った、幼なじみにして親友の白い大蛇(おろち)のアロウだけだった。そんなある日、綾乃の従兄で大学の先輩でもある大原由希恵が、妖怪の研究のために村へやって来る。連日、由希恵に村を案内する綾乃は彼女との親交を深めていく。そんな中、人間の老人の姿に化けたネッシーが、綾乃をはらませようと襲ってくる。それを救ったのは、アロウと箒に乗って飛んできた由希恵だった。由希恵は、人間と妖怪たちがいっしょに魔法学園「ディアーヌ学院」を卒業した魔女だったのだ。ネッシーに襲われて行方不明扱いとなった綾乃に対し、由希恵はディアーヌ学院への入学を勧める。またアロウからの求婚を受け入れ、もっと妖怪たちのことを知る必要性を感じていた綾乃は、その提案を受け入れ、茨城県にある全寮制のディアーヌ学院での暮らしを始める。ルームメートとなったのっぺらぼうの市橋絵葉は、裏表のないさっぱりとした性格で、すぐに二人はなかよくなる。学院では妖怪のことを「妖魅(ようみ)」と呼び、さまざまな種族の妖魅たちと共同生活をしながら、綾乃は徐々に成長を遂げるのだった。

関連作品

小説

本作『ぬばたまおろち、しらたまおろち 少女と妖魅の魔女学校』は、白鷺あおいの小説『ぬばたまおろち、しらたまおろち』を原作としている。原作小説版は東京創元社 創元推理文庫から刊行されている。

登場人物・キャラクター

深瀬 綾乃 (ふかせ あやの)

岡山県の県北にある、大自然豊かな小村で暮らす少女。年齢は14歳。4年前の交通事故で両親を亡くし、それ以来伯父の家で育てられた。その事故で深瀬綾乃も左足を骨折し、今も少し足を引きずりながら歩いている。5歳の時に出会った白い大蛇(おろち)の妖怪アロウとは幼なじみの親友で、両親を失って絶望の淵にあった綾乃は、アロウの存在のおかげで立ち直ることができた。14歳でアロウから結婚を申し込まれ、そのプロポーズを受け入れた。妖怪研究のために村を訪れていた大原由希恵との出会いをきっかけに、人間と妖怪たちがいっしょに魔法を学ぶ、全寮制の魔法学園「ディアーヌ学院」へ入学することになる。ふつうの人間のため、最初は慣れない学院生活にとまどっていたが、優しいルームメートの市橋絵葉、読書好きで気が合う由希恵の弟の大原雪之丞との出会いもあり、学院での暮らしを楽しんでいる。

アロウ

深瀬綾乃が5歳の時に初めて出会った白い大蛇(おろち)の妖怪。それ以来親友関係が続いているが、村人たちには秘密にしている。綾乃と出会った頃はふつうサイズの蛇だったが、脱皮を繰り返した今は3メートル37センチまで成長している。人間の言葉を話すことができ、綾乃とはふつうに会話している。長髪のイケメン男子の人間に化けることできる。綾乃のことを愛しており、結婚を申し込んで、綾乃もそのプロポーズを受け入れる。綾乃が魔法学園「ディアーヌ学院」に入学後は村に残り、離れて暮らしている。10月頃から半年ほど冬眠する。名前は「雨太郎」で、綾乃から「アロウ」と呼ばれている。また、綾乃に「しろたまおろち」という愛称も付けられた。

大原 由希恵 (おおはら ゆきえ)

民俗学専門で妖怪の研究をしている学者の女性。深瀬綾乃の従兄の健介と同じ大学に通う、健介の1年先輩にあたる美女。妖怪の伝承が多数残っている綾乃の地元へ研究のためにやって来た。滞在中は、村を案内してくれた綾乃との親交を深める。実は人間と妖怪たちがいっしょに学んでいる魔法学園「ディアーヌ学院」の卒業生であり、箒で空を飛ぶことができる魔女。綾乃がネッシーに襲われた際、箒に乗って現れ、閃光手りゅう弾や拳銃を使ってネッシーと戦った。大原家の長女であり、母親は雪女で父親は山入道。雪女は冬ごとに新しい恋人を探すため、妹や弟はみんな父親が異なり、二女のほのかは天狗、三女の香帆は青鬼、弟の大原雪之丞は大蛇を父親に持つ。両親の種族が異なる場合、生まれる子供は基本的に母親の種族となるが、子供が男の子の場合はハーフになることもある。大原家の女性は全員雪女だが、雪之丞だけは大蛇と雪女のハーフとなる。実家は貿易会社を営んでおり、そこで輸出している竹箒は、世界中の魔女に人気がある。

大原 雪之丞 (おおはら ゆきのじょう)

魔法学園「ディアーヌ学院」に通う男子で、大原由希恵の弟。雪女の母親と、大蛇の父親を持つ妖怪のハーフ。初めて対面した深瀬綾乃が「キレイな女の子」という印象を抱いたほどの美形。読書が大好きで、学院の図書室でいつも綾乃と新刊の奪い合いをする関係だったため、お互い第一印象はあまりよくなかった。美形なうえに、成績は学年トップのために学院のアイドル的な存在で、女子生徒に人気が高い。しかし愛想がまったくなく、バレンタインのチョコを受け取らずに断るほど素っ気ない。由希恵をはじめ、姉が三人いる。ハーフであるため、雪女の能力と大蛇の能力を持つものの中途半端で、大原雪之丞自身もそのことにコンプレックスを抱いている。変身能力も持つが、幼稚園の頃にちょっとした事故があり、雪之丞の父によって、その変身能力をブロックされていた。最近になってブロックを解いてもらうものの、変身能力をうまく使い切れていない。黒い大蛇の姿になったのを見た綾乃からは、「ぬばたまおろち」という愛称を付けてもらった。

ネッシー

深瀬綾乃の地元の川や、池に棲息しているネッシーの仲間と思われる生物。銀色の巨大な体を持つ首長竜。人間の老齢な男性を丸呑みにして、その姿を完全にコピーし、擬態している。綾乃に目をつけ、無理やりはらませようと襲い掛かるが、アロウによって倒される。

市橋 絵葉 (いちはし えば)

魔法学園「ディアーヌ学院」に通う女子で、種族はのっぺらぼう。大食漢で背が非常に高い。裏表のないさっぱりとした明るい性格で、よくしゃべる。深瀬綾乃のルームメートで、学院で最初の親友となる。東京生まれの東京育ちで、両親と弟二人がいる。びっくりしたときや、眠たいときなどは、うっかりのっぺらぼうの姿になることがある。去年、ルームメートだった生徒は、それが気持ち悪いと嫌い、別の部屋に移った。「絵葉」の名前の由来は、アダムとイブの「イブ(エバ)」で、市橋絵葉自身もエバは知恵の木の実を食べて人間を堕落させた由緒正しい魔女として、この名前を気に入っている。学院ではスペイン舞踏部に所属している。好きなものは人形焼き、嫌いなものは数学。

徳田 氷見子 (とくだ ひみこ)

魔法学園「ディアーヌ学院」に通う女子で、種族はつらら女。ツインテールの髪型をしている。大原雪之丞ファンクラブの一員で、親衛隊と呼ばれる中心メンバーの一人。雪之丞と仲のいい深瀬綾乃を敵対視し、嫌がらせをしたり、ちょっかいを出したりしている。雪之丞と綾乃が付き合っているとカンぐり、綾乃に一分間トリュフを食べさせた。

広畑 純夏 (ひろはた すみか)

魔法学園「ディアーヌ学院」に通う女子で、種族はヤマンバ。太った体型をしている。大原雪之丞ファンクラブの一員で、親衛隊と呼ばれる中心メンバーの一人。

栗和田 結衣 (くりわだ ゆい)

魔法学園「ディアーヌ学院」に通う女子で、種族は人間。お団子ヘアの髪型をしている。大原雪之丞ファンクラブの一員で、親衛隊と呼ばれる中心メンバーの一人。

下村先生 (しもむらせんせい)

魔法学園「ディアーヌ学院」で、深瀬綾乃が在籍する2年1組の担任を務める初老の女性。おっとりとした性格で上品そうに見えるが、薬草学の授業では凄まじい勢いで教鞭をとる。

高村 柚月 (たかむら ゆづき)

魔法学園「ディアーヌ学院」に通う女子で、種族は人間。クラスメートである人狼の堀口に思いを寄せているが、照れくさいのか認めようとしない。

金子 沙耶 (かねこ さや)

魔法学園「ディアーヌ学院」に通う女子で、種族は小豆洗い。少しぽっちゃりした体型で、おっとりとした性格の持ち主。深瀬綾乃、市橋絵葉、高村柚月と仲がいい。

三船 美冬 (みふね みふゆ)

魔法学園「ディアーヌ学院」の教師を務める女性。丸眼鏡を掛けており、生徒たちからは「ミフミフ」の愛称で慕われている。箒で空をなかなか飛べるようにならない深瀬綾乃のことを気にかけている。

青滝 真奈 (あおたき まな)

魔法学園「ディアーヌ学院」に通う女子で、種族は赤鬼。体が大きく、力も非常に強い。伊織という双子の弟がおり、種族は青鬼。

西澤先生 (にしざわせんせい)

魔法学園「ディアーヌ学院」の教師を務める女性で、種族は白虎。生物学担当で、生徒たちには変身について教えている。白虎にとって「変身」は存在意義そのものと言っていいほど、大切なものとされている。セクシーな美女だが、大原由希恵が入学した時にはすでに教壇に立っていたらしく、年齢不詳。

堀口 (ほりぐち)

魔法学園「ディアーヌ学院」に通う男子。種族は人狼で、ドイツ生まれの祖父を持つ。学院内では基本的に人間の姿で過ごしているが、うっかり狼の姿になってしまうことが多い。狼の姿といっても、かわいい大型犬のような見た目で、深瀬綾乃からはこっそり「ワンちゃん」と呼ばれている。

雪之丞の父 (ゆきのじょうのちち)

大原雪之丞の父親で、種族は三輪山系統の大蛇。人間の姿のときは、髭を生やした立派な体軀を誇る。雪之丞いわく「どうしようもない風来坊」。環境保護の団体で働いており、ここ10年ほどはアマゾンで暮らしている。雪之丞を溺愛している。

山元 猛 (やまもと たける)

魔法学園「ディアーヌ学院」に通う男子で、種族は塗壁。おっとりとした性格で、眼鏡を掛けている。大原雪之丞とはルームメート。爬虫類が好きで、先生には内緒で亀を飼っている。以前、ドラゴン(ツチノコ寄り)をこっそり飼おうとして、ひと騒動起こした前科がある。

華乃子 (かのこ)

魔法学園「ディアーヌ学院」に通う女子で、種族は座敷童。おかっぱ頭の寡黙な性格で、深瀬綾乃がよく図書室で見かけている。生徒の誰もが知っている女子だと思っていたため、特に注意を払っていない影の薄い存在。華乃子自身は自由気ままに授業に出席しては、学院生活を楽しんでいる。

マリー・ショーソン

魔法学園「ディアーヌ学院」を創設した女性。フランスはボルドーの魔女の一族に生まれた。明治24年(1891年)に夫を亡くし、その遺産で世界一周の旅をしており、兄が滞在する日本へ立ち寄った。そこで兄の共同経営者であったデルジュモンと結婚。五人の子供を授かるが全員男であったため、当時は魔女として育てることができなかった。日本の若い女子にフランス語やピアノを教えていたが、生徒の数が増えたことでディアーヌ学院の前身である横浜女子仏語塾を創った。

お初さん (おはつさん)

明治時代、創設時の魔法学園「ディアーヌ学院」の運営を手伝っていた女性。植物を扱う天性の才能があり、もともとはマリー・ショーソンの庭の手入れを担当していた。縁談で決まった婚約者が日露戦争で戦死すると、悲しみのあまり鬱となり、マリーの勧めで転地療養していた。その際、マリーから魔女であることを打ち明けられ、悲しみを乗り越えた彼女は魔女になることを決意。薬草についてさらに深く学び、マリーを助けて学校運営を手伝うこととなる。

千枝 (ちえ)

マリー・ショーソンが山姥から託された娘。住む場所をなくした山姥は、命からがらマリーを尋ねてくると、幼い千枝をマリーの学校に通わせてくれと頼み、息を引き取った。マリーによって自分の娘として迎え入れられる。

マルグリット

マリー・ショーソンの六人目の子供で、初めての女の子。年の近い千枝といっしょに育ち、魔女として空も飛べるようになった。

ジャンヌ・デュフォール

魔法学園「ディアーヌ学院」の現在の校長を務める女性。上品な雰囲気を漂わせている。学院の創設者であるマリー・ショーソンの子孫。生徒たちからは「マドモアゼル」と呼ばれている。紅茶よりもコーヒーが好き。

場所

ディアーヌ学院 (でぃあーぬがくいん)

人間と妖怪がいっしょに魔法を学ぶ、全寮制の魔法学園。男女共学だが、教師は魔女の女性ばかり。創設者は、フランスから来日した魔女のマリー・ショーソン。明治30年代、マリーは潰れかけた女学校を買い取り、横浜女子仏語塾という私塾を始める。やがて、マリーは日本の妖怪たちが人間から虐げられている厳しい実情を知ると、種族を問わず妖怪の娘たちが安全に暮らせる場所をつくりたいという思いを強くする。同時に貧困や暴力、偏見などに苦しみ、魔女にならなければ生きていけないような人間の娘たちの身も案じ、人間と妖怪が安全に学べる学校づくりを進める。昭和の初めには、政府の認可を受けて月華高等女学校となる。終戦後は、茨城県に広大な土地を購入し、横浜から移転。この頃からディアーヌ女学院という名前が使われるようになり、共学になった際に「ディアーヌ学院」へと変更した。ディアーヌとは、月の女神ディアヌを意味する。魔女学校のため、カリキュラムに薬草学や飛行術、変身術などの授業はあるが、ふつうの学校と大差はない。学院内では、妖怪も基本的に人間の姿で過ごしている。なお、学院では妖怪のことを「妖魅(ようみ)」と呼ぶ。

その他キーワード

一分間トリュフ (いっぷんかんとりゅふ)

食べてから30秒経過すると、1分間だけ本当のことしか言えなくなるトリュフ。深瀬綾乃が大原雪之丞と付き合っていると因縁をつける徳田氷見子が、雪之丞と恋人ではないと言い張る綾乃に、証明させるために食べさせた。

クレジット

原作

白鷺 あおい

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