世界観
高校まであまり友人もできず、人見知りの西川ひよりと、彼女と同じ学校で人気者の広瀬結心との恋愛を描いている。身長や性格、生い立ちがまったく真逆の2人が惹かれあう物語。作品全体が明るくポジティブな雰囲気に包まれており、登場人物に悪役が1人も存在しないのも大きな特徴。
あらすじ
高校生の西川ひよりは高校の入学前日に交通事故に遭い、長期間学校を休むことを余儀なくされた。その8か月後の12月になって、ようやく初登校をしたものの、人見知りな性格と学校生活のスタートが遅れたことで、クラスでは浮いた存在になってしまう。しかし、隣の席のクラスの人気者、広瀬結心の計らいで、徐々にクラスに馴染んでいく。そんななか、ひよりは結心に感謝しながらも、徐々に彼に惹かれている自分に気付く。
メディアミックス
OVA
2010年夏に東京、大阪、名古屋で開催されたイベント「夏ドキッ★りぼんっ子パーティー55」にてOVAが上映された。監督は長沼範裕で、キャラクターデザイン・作画監督は柴田由香、音楽は山本姫子が担当している。主なキャストは西川ひより役を竹達彩奈、広瀬結心を鈴村健一が演じている。このOVAはのちに、「りぼん」2010年11月号の付録としてDVD化された。
小説
松田朱夏による同名小説が、集英社みらい文庫より発売されている。『ひよ恋1 ひより、好きな人ができました!』『ひよ恋2 ライバルにハラハラ!』『ひよ恋3 ドキドキの告白』『ひよ恋4 両想いってタイヘン!?』『ひよ恋5 ずっと、いっしょに』の全5巻。イラストは、原作である漫画版『ひよ恋』の作者、雪丸もえが担当している。
登場人物・キャラクター
西山 ひより (にしやま ひより)
高校1年生の女子。高校入学を目前に交通事故に遭い、全身を複雑骨折して8か月の入院生活の末に初登校した。自分に自信がなく、引っ込み思案で人見知りのため、最初はクラスに溶け込めずにいた。しかし、広瀬結心の気配りのおかげでクラスに馴染むことができた。140センチ前半と低い身長のため、周りからは「可愛い」といわれることが多い。 長い間学校を欠席していたものの、療養中も勉強はしていたため成績は良い。愛称は「ひよりん」。
広瀬 結心 (ひろせ ゆうしん)
西山ひよりと同じ高校に通う男子。1、2年次はひよりのクラスメイトだったが、3年次は別クラスとなった。身長が非常に高く、高校1年生にして190センチを超えている。人懐っこく明るい社交的な性格で、クラスではもちろん、学校中の人気者。女子にもモテる目立つ存在で、バレンタインデーには多くの女子からチョコレートをもらい、持ち帰るのに困るほど。 スポーツ万能だが、勉強は不得意。友人たちから「画伯」とからかわかれるほどに絵が下手。
中野 律花 (なかの りつか)
西山ひよりと同じ高校に通う女子。ひよりの幼なじみ。1年次はクラスメイトで2年次に一度別クラスとなったが、3年次にまたクラスメイトとなる。弓道部に所属しており、好きなタイプは「矢で射ぬかれても死なない人」。「りっちゃん」の愛称で呼ばれている。昔から引っ込み思案なひよりを知っているため、ひよりを保護者目線で見ており、何かと相談を受けている。 普段は明るく人当たりが良くて優しいが、ひよりがあまりにも弱気になった時には、男勝りの相沢夏輝も驚くほど厳しい言葉をかけることもある。
相沢 夏輝 (あいざわ なつき)
西川ひよりと同じ高校に通う女子。1、2年次はクラスメイトだったが、3年次は別クラスとなった。広瀬結心とは幼なじみで仲もいいが、お互いに恋愛感情はなく、良い友人関係となっている。男勝りな性格で、ひよりに何かと頼られることが多い。そんな性格からか、女性からの人気が非常に高く、バレンタインデーには女子から多くのチョコレートをもらっている。 欠点は勉強ができないことと、歌が絶望的に下手なこと。
田中 弘司 (たなか ひろし)
西山ひよりと3年連続クラスメイトの男子。常に学級委員長を務めている。勉強以外にもスポーツや教室の手配など、何でも器用にそつなくこなすことができる。かなりの堅物のように見えて、条件次第では色々な頼みごとを聞いてくれる人物。普段は眼鏡をかけているが、眼鏡を外すと、かなりのイケメン。
ゆっこ
西山ひよりと同じ高校に通う女子。広瀬結心が拾った猫を飼うことに名乗りをあげた。家にはすでに4匹の猫がいるため、1匹くらいなら増えても変わらない、ということで引き取ろうとした。
美沙 (みさ)
西川ひよりと1年次にクラスメイトだった女子。2年次以降は別クラス。身長が147センチと低く、ひよりとは「ちっちゃい同盟」を結成している。オーストラリアとオーストリアが同じ国だと思っているなど、少々おバカなところがある。明るく積極的な性格で、バレンタインデーに広瀬結心にチョコレートをあげるかどうか迷っているひよりに対して、結果よりもチョコレートをあげることに意味がある、と背中を押した。
平井 淳平 (ひらい じゅんぺい)
西川ひよりと同じ高校に通う男子。1、2年次はクラスメイトだったが、3年次は別クラスとなった。広瀬結心の友人。富永妃と一緒に歩いていたというだけで、彼女を結心の恋人だと勘違いするなど、少々そそっかしい。明るく賑やかな性格で、馬鹿っぽい発言を連発している。パーカーが好きで、かなりの数のパーカーを所持している。
恭介 (きょうすけ)
西川ひよりと同じ高校に通う男子。1、2年次はクラスメイトだったが、3年次は別クラスとなった。広瀬結心の友人で、平井淳平とも親交がある。大人っぽく、落ち着いた性格。彼女がいることもあって、実体験に裏付けされた、女性に関するさまざまなデータを持っている。
柊 (しゅう)
西川ひよりと同じ高校に通う男子。1年次のクラスメイトで、2、3年次は別クラスとなった。クリスマス会の時には、他の女子とはサイズの異なるひよりのために、わざわざぴったりなサンタ服を手配するなど、気の利く性格。ちなみにそのサンタ服は、小学4年生の妹のもの。
松島 礼奈 (まつしま れいな)
2年に進級した西川ひよりと新たにクラスメイトとなった女子。3年次は別クラスとなった。1年間アメリカに留学していた関係で1つ年上だが、学年はひよりたちと同じ。フレンドリーな性格で、自己紹介の時には、クラスメイト全員に対し、自分の年齢を気にせずタメ口で話すことと、「礼奈」と呼び捨てすることを提案した。ハッキリとした物言いで、1年生の時にはそれが仇となり、クラスの女子から無視された過去がある。 実はアメリカに彼氏がいる。
仁戸部 コウ (にとべ こう)
2年に進級した西川ひよりと新たにクラスメイトとなった男子。3年次もクラスメイトとなった。身長が159センチと低いため、1年生の時には、クラスメイトから「ひよりとお似合い」とからかわれていた。その経緯もあり、当初はひよりのことも快く思っていなかったが、彼女と関わりを持つうちに徐々に惹かれていく。女装がよく似合う、整った顔立ち。 好きなものはメカ系全般で、ロボットも作れる。
乃坂 秋穂 (のさか あきほ)
3年に進級した西川ひよりと新たにクラスメイトとなった女子。美人で男子からも密かに人気があるが、人とコミュニケーションを取ることが苦手。これまで他の生徒とはまったくといっていいほど関わりあいを持たず、孤高を貫いている。実は広瀬結心、富永妃と同じ中学校の出身で、当時は同性ながら妃に想いを寄せ、恋人になりたいと思っていた。 高校入学前に顔を整形している。
富永 妃 (とみなが きさき)
名門女子高の聖セリーヌ女子に通う女子。学校には主席で入学しており、抜群のルックスも手伝って、他校にもその存在を知られている有名人。特に周辺の男子校ではアイドル的な人気を誇っており、その画像までもが出回っている。自信家で、思ったことは何でも口にするタイプ。広瀬結心とは幼なじみで、中学までは同じ学校に通っており、密かに好意を抱いている。
三谷 美代子 (みたに みよこ)
西山ひよりのクラス担任で、28歳の女性教諭。生徒たちからは「みったん」と呼ばれて親しまれている。未だに独身で、結婚をするために頻繁に合コンに参加しているが、いつも失敗している。その理由として、理想が高いことや、酒癖が悪いことなどが挙げられる。同じ教員の森勇太郎のことが、少し気になっている。
森 勇太郎 (もり ゆうたろう)
西山ひよりの通う高校の男性教諭。週一のペースで合コンに参加しているが、理想が高すぎて彼女ができない。そのため、生徒たちからは三谷美代子と「似た者同士」と見なされている。女子生徒からは友達感覚で親しまれており、よくからかわれている。
黒田 (くろだ)
西山ひよりの通う高校で生活指導を務める男性教諭。広瀬結心が猫を拾った時に声をかけたが、結心が土足で校内に入ったことに気を取られたため、懐に入れていた猫は見つからずに難を逃れた。校則に非常に厳しく、ひよりは「捕まったら絶対つまみ出される」と話していた。
ヨーコ
西山ひよりの通う高校で養護教諭を務める女性。高校生の時の三谷美代子とも面識があり、何かと仮病を使って授業をサボっていた美代子とよく話す仲だった。美代子が教師になってから再会したが、当時と容姿がまったく変わらず、美代子からは「生徒の血を吸っている」といわれている。
西山ひよりの母 (にしやまひよりのはは)
西山ひよりの母親。厳しくも優しい女性。ひよりが猫のぷいぷいを飼おうとした時は、ひよりがペットロスになることを心配して反対していたが、最終的には理解を示した。中野律花ともよく顔を合わせているため、仲が良い。
西山ひよりの父 (にしやまひよりのちち)
西山ひよりの父親。親子仲は良く、バレンタインデーには、毎年ひよりからチョコレートをもらっていた。しかし、高校生になったひよりが、バレンタインデーに自分以外の男性にチョコレートを作っている姿を見て、ショックを受けていた。
ぷいぷい
西山ひよりが飼うことになった猫。もともとは広瀬結心が拾ってきた猫だったが、結心の家では飼えないということでひよりが引き取った。名前の由来は、ひよりにあまり懐かず、すぐに顔を「ぷいっ」と反らしてしまうことから。普段は「ぷー」と呼んでいる。
広瀬結心の母 (ひろせゆうしんのはは)
広瀬結心の母親。結心とは違って身長はそれほど高くない。結心の身長は、180センチ以上ある父親からの遺伝と考えられる。初めて西川ひよりを見た時には、結心とのサイズ感の違いから同級生とは思わず、中学生と勘違いしていた。
ラッキー
広瀬結心の家で飼われている犬。性別はメスだが、女の子が大好きで、すぐに飛びついてしまう。非常に大きな犬で、初めて結心の家に来た西川ひよりが飛びつかれて倒れてしまったほど。
中野 蒼葉 (なかの あおば)
中野律花の弟。律花と同じく明るい性格をしている。昔から律花にべったりで、色々と頼っていたこともあり、現在も姉のことは大好き。そのため、仁戸部コウからはシスコンと思われていた。
仁戸部コウの姉 (にとべこうのあね)
仁戸部コウの姉。顔は女装した時のコウによく似ており、かなりの美形。普段はコウに対して茶化したり、強い口調で接することが多いが、将来のことを考えてコウの預金口座を作るなど、弟想いな一面もある。
大城 奏多 (おおしろ かなた)
一人暮らしをしている男子学生。スーパー「ピヨマーケット」の近くに住んでおり、「ピヨマーケット」にもよく買い物に来て、いつも同じパンを買っている。そこで見かけたアルバイトの相沢夏輝に好意を抱き、店内で突然告白する。
白田 (しろた)
相沢夏輝の中学時代の担任を務めていた男性教諭。女子生徒からは「シロちゃん」と呼ばれ、友達感覚で親しまれている。夏輝が密かに想いを寄せていた相手だったが、夏輝が15歳の時に結婚してしまった。特技は生徒の誕生日を覚えること。
高木 (たかぎ)
中野律花と同じ中学に通っていた同級生の男子。当時は律花に好意を持っており、メールアドレスを記載した手紙を律花の下駄箱に入れていた。その後は、一緒に花火大会に行くまでの仲に進展したが、悪意はなかったものの西山ひよりのことを悪く言ったため、殴られて振られてしまう。ちなみに、律花を好きになった理由は、顔が好みだったから。
牧村 (まきむら)
三谷美代子と同じ高校に通っていた男子の先輩。当時は顔も良く、頭脳明晰でスポーツ万能という学校中の憧れの的で、「王子」の通称で知られていた。美代子も彼に想いを寄せていたが、とても美人の大学生の彼女がいた。牧村によれば、彼女は「しっかり自分を持っていて、夢に向かって努力している尊敬できる人」とのこと。
ぴより
本作『ひよ恋』のイメージキャラクターとなっているひよこ。性別はメス。作中の要所に登場し、西川ひよりの頭に乗っている姿が、よく描かれている。ひよりからは姿や声を確認できないので、その存在自体を知られていないが、いつでもひよりのことを見守っている。
横田 (よこた)
スーパー「ピヨマーケット」で働いている女性。多くのアルバイトやパートを取りまとめるリーダーを務める。試食コーナーの担当となった西川ひよりを、初日から厳しく指導していた。ひよりが仕事に慣れて客の呼び込みなどもできるように成長してくると、彼女を認めるようになった。
場所
あおぞら動物園 (あおぞらどうぶつえん)
西山ひよりと広瀬結心の関係が芳しくなかった時期に、中野律花と仁戸部コウを加えた4人で行った動物園。キリンやライオンはもちろん、国内では珍しくパンダも見ることができ、休日になると多くの人で賑わうレジャースポットとなっている。
ピヨマーケット
西山ひよりがアルバイトをしたスーパー。広瀬結心へのクリスマスプレゼント代を稼ぐためだった。ひよりは試食コーナーの担当となったが、最初はあまりうまくいかなかった。一方、一緒に働いていた相沢夏輝は、持ち前の腕力を活かして、荷物を運んだりする業務で初日から大活躍していた。
イベント・出来事
クリスマス会 (くりすますかい)
広瀬結心が学校内で催したイベント。最初は西山ひよりやその友人たちだけの小規模なものだったが、口コミで評判が広がり、他のクラスの生徒も参加する大イベントとなった。場所は視聴覚室で、1人500円のプレゼントを持参することが参加条件となっている。
遠足 (えんそく)
西山ひよりの高校で、親睦を深めるために4月に催されるイベント。行先はクラスによって違い、生徒の希望が一番多かった場所に決まる。ひよりは1年生の時には事故の療養のため参加できなかったが、2年生の時は参加することができ、遊園地へ行った。
花火大会 (はなびたいかい)
西山ひよりの住んでいる街で、毎年夏に開催されるイベント。ひよりが勇気を出して広瀬結心を誘い、2人で初めてデートをした。出店も多く出ておりかなりの人であふれている。
文化祭 (ぶんかさい)
西山ひよりの高校で秋に催されるイベント。3年に1回に開催され、それ以外の年には体育祭が行われる。校内だけに留まらず、一般公開もされているので、かなり盛りあるイベントとなっている。ひよりは2年生の時、くじ引きで仁戸部コウとともに、この文化祭の実行委員会を務めることとなった。
修学旅行 (しゅうがくりょこう)
西山ひよりの高校で行われる2泊3日の旅行。行き先は京都と奈良で、班は同性同士でも男女混合でもよいとされている。また、別クラスの班と行動をともにすることも許されており、その自由度は高い。
その他キーワード
ゴーストカフェ
仁戸部コウが文化祭の時に発案した、西山ひよりのクラスの出し物。もともとはお化け屋敷の予定だったが、他のクラスと同じ出し物になったため、コウが機転を利かせて提案した。男女ともにお化け屋敷の雰囲気に準じた衣装が用意されており、お客は食事だけではなく、お化け屋敷の恐怖体験も同時に楽しむことができる。特にカップルで入ると、三谷美代子扮する「血まみれの女」が、その仲を引き裂こうとする。 その姿が非常に怖いと評判になった。
まるまるぴよちゃん
ひよこのストラップ。大城奏多がパンに付いていたシールの点数を集めて手に入れたもので、相沢夏輝にプレゼントした。夏輝は「好きだけど似合わないから」という理由で、一度は西山ひよりにあげようとしたが、ひよりが受け取らなかったことで結局、夏輝が持つようになった。