ぶらっとバニー

ぶらっとバニー

人間を中心とする、あらゆる生き物の妄想や願望をテーマとしたコメディ。妄想を実体化することでさまざまな悩みを解消する「妄想ヘルパー」のバニーとブラックの活躍や日常を描く。「月刊コミックリュウ」1979年9月号から1980年12月号にかけて連載された作品。

正式名称
ぶらっとバニー
ふりがな
ぶらっとばにー
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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あらすじ

第1巻

クラスメートの久美に片思いする少年の小林は、久美への思いが強すぎるあまり不調が続き、テストの結果も悪くなっていた。しかし、小林はクラスのマドンナでもある久美に話し掛ける勇気すらなく、悶々とする日々を過ごしていた。そんな小林の前に、「妄想管理局」の「妄想ヘルパー」を名乗る謎の白ウサギ、バニーが現れる。思い描いた妄想を実体化できるバニーの不思議な力を見た小林は、勇気を出して久美に話し掛けるものの、軽くあしらわれてしまう。自暴自棄になった小林は、目の前の久美が理想の女性ではないと現実逃避。さらに小林は、自分の理想と妄想から生まれた久美を引っ張り出すようにバニーに頼むが、バニーによって出されたのは本物の久美と大きく異なる性格の少女だった。後日、今度は久美の悩みを感知したバニーは、部屋で鏡の前に立つ彼女のもとへ向かう。女優にあこがれている久美は、もっと胸を大きくして女性らしいスタイルになりたいと願っていた。バニーはそんな久美の妄想にある美少女を次々と引っ張り出すが、知的美少女から王女まで妄想の美少女はどんどん増えてしまい、彼女の部屋は大混乱に陥る。

第2巻

妄想に困っている人の前に現れては、妄想を実体化して悩みや欲求不満を解決する妄想ヘルパーバニーは、その知名度を上げ、悩みを抱える人から依頼を受けるようになっていた。そんなある日、バニーは崖っぷち雑誌編集者の岡田の妄想を感知し、さっそく事情を聞くために彼のもとへ向かう。岡田は売上が落ちている雑誌「ウィーク・エンドレス」を立て直すため、編集長に命令されて松原順子のヌード写真を撮ることになっていた。しかし、順子の大ファンでもある岡田は、彼女のヌードを見たいと思いつつも、実際に撮るのは大きなためらいがあった。悶々とする岡田の悩みを悟ったバニーは、彼の脳内から妄想の順子を引っ張り出す。それでも岡田は罪悪感から順子のヌードを撮ることができず、順子は一人でジェット機に乗ってどこかへ行ってしまう。せめて順子のスクープを持ち帰るべきだと、バニーにうながされた岡田は急いで彼女を追うが、行き先は国内のラーメン屋だった。実は、理想の味のラーメンを探し求めるラーメンマニアでもある順子は、なかなか理想のラーメンに出合えないと悩んでいた。順子の意外な悩みを知ったバニーは、彼女の妄想から理想のラーメンを引っ張り出そうとする。

登場人物・キャラクター

バニー

妄想管理局で妄想ヘルパーとして働く、白いオスのウサギのような姿をした謎の生物。腕と手はなく、二本足で歩いたり跳ねたりするが、大きな両耳の先端が手のような形状になっているため、物をつかむこともできる。妄想が膨らみすぎている人間や生き物の頭の上に突如現れては、頭の中から妄想を引っ張り出して現実にすることで、さまざまな悩みを解決している。小林や久美の前に現れて以来、人々のあいだで少しずつ知名度が上がっていき、妄想に関する悩みを持つ人から依頼を受けて仕事をすることもある。バニー自身は人助けのつもりでやっているが、破天荒な性格が災いし、かえって混乱を招いて相手を困らせたり、暴走した依頼人に酷い目に遭わされたりすることがある。口が悪く少々強引な性格だが、やっかい事に巻き込まれることを嫌い、基本的に仕事は手早く済ませようとする。妄想ヘルパーとしてはベテランで、新人妄想ヘルパーの講師を務めたこともある。しかし、仕事で失敗したりトラブルを招いたりすることが多いため、同僚のブラックに叱られたり、上司の課長からたびたび減給を言い渡されたりしている。基本的には一人で仕事をしているが、ブラックとコンビで行動することもある。妄想管理局の「私欲で妄想を実体化してはいけない」という規約を律儀に守り続けていたが、大森に指摘されたのをきっかけに、能力を自由に使えず縛られていることを自覚し、勢いで規約を破って私欲のために能力を使ったことがある。

ブラック

妄想管理局で妄想ヘルパーとして働く少女。緑色のふわふわしたボブヘアで、ウサギのような耳が生えている。当初は破天荒でトラブルを招きがちなバニーを牽制するために、バニーの行く先々に現れることが多かったが、バニーとコンビで仕事をすることも多い。妄想ヘルパーとしてはベテランで、バニーと共に新人妄想ヘルパーの講師を務めたこともある。まじめでしっかり者に見えるが、お調子者でおちゃめな一面もあり、時折バニーのことを振り回している。アイドル歌手の零あるもの大ファンで、直接会って告白もしたが、彼の妄想から生まれた白いウサギ耳を持つ美少女の前に失恋した。

小林 (こばやし)

クラスメートの久美に片思いしている少年。久美への片思いに悩み、彼女の妄想ばかりして不調が続いていたところでバニーと出会った。バニーの力で励まされて久美に話し掛けるものの「貧困なイメージ」と言われて自暴自棄になり、現実逃避して妄想から生まれた別人のような久美に夢中になってしまう。

久美 (くみ)

小林のクラスメートの少女。黒髪のショートカットの可憐な美少女で、クラスのマドンナ的な存在だが、久美自身はもっと女優のような女性らしい体形にあこがれている。鏡の前で理想の自分を妄想していたところで、バニーと出会う。バニーの力で次々と妄想の自分を生み出してしまい、混乱に陥る。

課長 (かちょう)

妄想管理局の課長を務めるウサギの男性で、バニーとブラックの上司にあたる。メガネをかけ、首元にネクタイを巻いている。破天荒な部下のバニーには少々手を焼いており、彼が仕事でミスやトラブルを起こすたびに減給を言い渡している。

童話作家 (どうわさっか)

貧しい童話作家である男性。仕事中に寒さと空腹で苦しんでいたところでバニーと出会い、バニーの力で生み出された、童話作家自身の童話作品に登場する太陽で寒さを凌ぐようになった。太陽のおかげで順調な生活を送っていたが、私欲から次々と生み出した太陽に髪を焼かれてしまう。

太郎 (たろう)

何に対しても無気力で無関心な少年。唯一勉強のみには熱心だが、頭の中が勉強のことばかりなため、両親から心配されている。両親の依頼を受けたバニーと共に妄想銀行に訪れ、銀行員に童話『牛若丸』の妄想力カセットを頭に入れられる。これにより、別人のように元気な少年に変貌するが、以降は童話やおとぎ話に没頭するようになった。

ゆうこ

パン屋で働くパンが大好きな少女。おしとやかで働き者の美少女だが、父親の教育の影響で重度な男性恐怖症に育ってしまい、パン屋の看板には「男性お断り」と書いて男性を避けている。バニーの働きで男性恐怖症を克服するものの、男性を焼きたてのパンだと思い込むようになった。

佳麗 (かれい)

黒髪ロングヘアの美少女で、学校では生徒会長を務めている。非常に運動神経がよくオリンピック強化選手となり、さらには小説や漫画で新人賞を取ったり女優にスカウトされたりと、いくつもの才能を誇り、周囲からの人望も厚い。あまりにも多くの才能と美貌を持ち合わせているため、進むべき道に悩んでいたところで、バニーとブラックに出会う。好奇心旺盛で、バニーたちに興味を持って解剖しようとした。バニーたちの力で自分の未来を体験するが、幸せそうな未来を捨てて妄想ヘルパーの仕事に強い関心を持つようになる。

麻仁阿 (まにあ)

アニメ「未来少女ランジェ」の登場キャラクター、ランジェに片思いするオタク少年。見た目はふつうの少年ながら美少女に告白されるなどそこそこモテるが、ランジェと付き合うために告白はすべて断っている。ランジェのあらゆるグッズを部屋に飾っているが、彼女が二次元の遠い存在であることに悩んでいたところでバニーと出会う。バニーの力で生まれた妄想のランジェに夢中になるものの、ランジェの予想外の行動に振り回される羽目になる。

岡田 (おかだ)

雑誌「ウィーク・エンドレス」の編集者をしている青年。アイドルの松原順子の大ファンで、ファンクラブにも入会している。仕事ができるタイプではなく、過去にいくつもの会社をクビになっている。売上が落ちている雑誌を立て直すべく、編集長から順子のヌード写真を撮ってくるように命令されるが、ファンとして順子のヌードを撮れずに悩んでいたところでバニーと出会う。バニーの力で妄想から生まれた順子に頼んでヌードを撮ろうとするものの、結局罪悪感から撮ることができず、失敗に終わる。会社はクビになったものの、ラーメンマニアの順子に理想のラーメンを提供したことで、彼女と結ばれた。

松原 順子 (まつばら じゅんこ)

岡田が夢中になっている、人気アイドルの女性。可憐でスタイル抜群の美女だが、実は大のラーメンマニアで、ふつうのラーメンではまったく満足できない。あちこちのラーメン店を回っては、自分の理想のラーメンを探し求めている。

零 あるも (ぜろ あるも)

ブラックが夢中になっている、人気アイドル歌手の青年。美青年で女性にモテるが、理想の女性になかなか出会うことができずに、告白はすべて断ってきた。ブラックからの告白も最初は断っていたが、彼女のウサギ耳を見た途端に付き合おうとした。しかし実際は、ウサギ耳の美女であれば誰でも好きになるただのウサギ耳マニアで、妄想から生まれた別のウサギ耳の少女にも夢中になっていた。

別田 (べつだ)

科学者志望の青年で、「マッド・サイエンティスト大学」の進学を目指して予備校に通っている。平凡な機械しか発明できず、先生や両親の期待に応えられないことを悩んでいたところで、新入生の久呂てす子に出会い、片思いするようになる。グロテスクなモンスターにしか興味がないてす子の趣味を知り、振り向かせるためにグロテスクなモンスターを作り出すなど奮闘するが、最終的に失恋。失恋のエネルギーを熱意に変え、マッド・サイエンティスト大学への入学を果たす。

久呂 てす子 (くろ てすこ)

別田が通っている予備校の新入生の少女。一見おしとやかな美少女だが、グロテスクな見た目の生き物が大好きで、自作のモンスターの怖さやおぞましさを競う「モンスターコンテスト」の審査員となる。一番グロテスクなモンスターを作った優勝者と交際すると宣言していたが、別田の作り出したモンスターに夢中になり、肝心の別田のことは無視していた。

(きし)

プロ野球チーム「シッポナイオンズ」に所属する、野球選手の青年。チームではピッチャーを務め、芽が出ずに二軍止まりでいることを悩んでいたところで、バニーとブラックに出会う。バニーたちの力で強力な魔球を生み出し、試合への出場を果たすが、常識破りの魔球ばかりで試合を台無しにしてしまう。これでプロ野球界を永久追放されるが、魔球をアレンジした技を生かして角界に華々しくデビューした。

大森 (おおもり)

大学生の青年で、アパートで一人暮らしをしている。貧乏なうえにモテないため、女性と縁がない。自分がモテている妄想をしていたところでバニーと出会い、欲望のままに妄想の美女を引っ張り出してもらい、ハーレムを作って楽しむ。バニーが妄想管理局の規約に縛られていることを哀れに思い、バニー自身のために能力を使えないのは不自由でむごいことだと指摘し、その後のバニーの人生に大きな影響を与えた。

場所

妄想管理局 (もうそうかんりきょく)

「妄想界」と呼ばれる異世界にあるバニーとブラックの職場で、人間や動植物を含むすべての生き物の妄想を管理している。一見ふつうの会社のように見えるが、社員の大半はウサギの姿をしており、建物はボロボロな状態。妄想が膨らみ過ぎて困っている者や、欲求不満になっている者を特殊な装置で感知しては、妄想ヘルパーを派遣している。

妄想銀行 (もうそうぎんこう)

バニーたちが住む「妄想界」にある、あらゆる生き物の妄想を管理、保管している銀行。妄想管理局と同様、銀行員はウサギの姿をしている。預金のように預けられた妄想を特殊な金庫で厳重保管し、妄想力カセットを使った妄想の融資や、妄想の自動振り込みなども受け付けている。

その他キーワード

妄想ヘルパー (もうそうへるぱー)

人間を中心にあらゆる生き物の妄想を管理、サポートする職業。「妄想管理局員」とも呼ばれることがある。頭に思い描かれた妄想を脳内から引っ張り出して、実体化させて現実にする不思議な力を持つ。主に妄想が膨らみ過ぎて困っている者のもとへ駆けつけ、欲求不満や悩みを解決する仕事をしている。人々の役に立って奉仕するための職業であり、私欲のために能力を使って妄想を実体化させることは、妄想管理局の規約で固く禁じられている。

妄想力カセット (もうそうりょくかせっと)

ビデオテープのような見た目の特殊なカセット。金や女、食べ物からおとぎ話まであらゆる妄想や欲望が記録されている。全人類の妄想を管理する「妄想銀行」で保管されており、融資という形で貸し出しも行われている。妄想力カセットを脳内にセットすることで、カセットに記録された妄想を現実にできる。

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