ぼくの動物園日記

ぼくの動物園日記

動物園の飼育係を志望する家出少年西山としおが、ベテラン飼育係やさまざまな動物たちとの出会い、別れを通して、成長していく姿が描かれる。「カバ園長」の愛称で知られる西山登志雄の半生記。

正式名称
ぼくの動物園日記
ふりがな
ぼくのどうぶつえんにっき
作者
ジャンル
自伝・伝記
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概要・あらすじ

主人公の西山としおは、動物好きの少年。家出して恩賜上野動物園園長に、両親、兄弟は戦争で死亡したとウソをつき、飼育係になりたいと飛び込みで直談判する。園長は、ベテラン飼育係の吉岡清十郎、通称「清さん」に西山少年の教育係を任せる。失敗を重ねながら清さんの厳しい指導で懸命に働く主人公。

ある時父親に見つかり、連れ戻されそうになるが、母を失ったサルの子供の命を救い、中学卒業後にあらためて正式に動物園に就職することになる。一人前の飼育係になるまでが描かれる。

登場人物・キャラクター

西山 としお (にしやま としお)

動物好きのあまり家出し、飼育係になりたいと動物園を訪ねる。昭和22年、旧制中学を卒業し、正式に恩賜上野動物園に就職する。過酷な仕事も一生懸命頑張る努力家。就職して3年間は掃除や雑用を担当。5年目に初めてラクダを担当する。

園長 (えんちょう)

恩賜上野動物園の園長。突然訪ねてきて飼育係を志す西山としおに困惑し、清さんに教育係を託す。就職後は、主人公の熱意や仕事ぶりに一目置き、何かと助けてくれる頼りになる存在になる。

吉岡 清十郎 (よしおか せいじゅうろう)

通称、清さん。恩賜上野動物園のベテラン飼育係。新人には動物の糞を素手で処理させる「クソさらい」など、厳しい指導をすることで有名。西山としおの教育係。

とうちゃん

西山としおの父親。近所の人の知らせで、家出した息子が動物園で働いていることを知り、連れ戻しにくる。主人公の「飼育係になりたい」という熱意に折れ、中学卒業後に動物園に就職することを許す。

かあちゃん

西山としおの母親。ライオンの世話をしていると知り、味噌汁の椀をひっくり返すほど驚いた。何ヶ月も動物園に泊まり込む主人公の制服を、汚れて臭いときれいに洗うものの、洗ったことで動物に警戒される原因を作ってしまう。

宍戸 (ししど)

恩賜上野動物園で飼育係として勤めている。年寄りラクダの「オヤジ」を担当していたが、主人公に引き継ぐ。

オヤジ

恩賜上野動物園で飼育されているオスのラクダで人間の年齢では90歳近い高齢。目が悪い。主人公が動物園勤務5年目にして初めて担当した動物。気に入らないことがあると、飼育員の頭に口から吐いた臭い「ヘド」をかける。西山としおに心を通わせるほどに慣れるが、老衰で亡くなる。

ディック・クレメンツ

アメリカ人の男性。恩賜上野動物園の創立70周年記念祭に、催されたライオン・ショーの座長。8頭のライオンを飼育しており、西山としおに飼育助手を任せる。世界でも5本の指に入る猛獣使い。助手がミスをすると人間にもムチをふるう。西山としおのことは、「ニシヤマ」と発音できず「ニチ」と呼ぶ。

ボンゴ

恩賜上野動物園で飼育されている出産直後のメスイヌ。乳の出ない母親に代わって3匹のトラの子を我が子のように育てた。

篠原 (しのはら)

恩賜上野動物園で飼育係として勤めている。お酒が好きなお人良し。掃除中に戦前のふらん器を燃やそうとしていたが、探究心のある西山としおに取られてしまう。その後、としおはふらん器を修理し、卵300個近くの失敗を重ねつつも、数十羽のひなをふ化させることに成功する。

源じいさん (げんじいさん)

群馬県にある谷川岳の近くのゆびそから徒歩2時間ほどの山中で猟師をしている年配の男性。狩猟中にクマの子をつかまえ、動物園に寄付をしたいと園長の知り合いに連絡してきた。西山としおは、飼育員の篠原と共にクマの子を引き取りに向かう。

ベン

恩賜上野動物園で飼育されているクマ。群馬県に住む猟師に捕まえられ、西山としおによって、動物園に引き取られた。動物の輸送許可証を無くしたとしおによって、汽車の便所に匿われたことがきっかけで「ベン」と名付けられる。としおに教えられ、芸を披露するようになるが、客の大声に興奮しとしおにけがを負わせ、その後、としおの入院中にO市の動物園に引き取られる。 引き取られて1年もたたないうちに、脳腫瘍ができ、凶暴化。カギを破って逃げたため銃殺される。としおに真実を告げるのは辛いと、「芸の訓練の過労でノイローゼになり、飼育員の葉山にけがをさせ、薬殺された」と説明されていた。

葉山 (はやま)

O市の動物園の飼育員でベンの担当。自分のせいでベンが亡くなったと主人公に説明した。

ヤスベエ

『ぼくの動物園日記』の主人公西山としおが実家で飼っているイヌ。動物の死で、飼育員の仕事がいやになった主人公により近所に譲られそうになるが、鉛中毒になっていることがわかり、家に残る。主人公の手厚い看病で中毒はよくなる。

場所

恩賜上野動物園 (おんしうえのどうぶつえん)

主人公の西山としおが働いている。昭和27年に創立70周年を迎えた。東京都台東区上野公園内に実在する東京都立の動物園をモデルに描かれている。

その他キーワード

ドカチン

『ぼくの動物園日記』の舞台となる恩賜上野動物園で飼育されているサイ。血液疾患で運動場の真ん中で倒れる。治療は難しく、主人公の西山としおや吉岡、獣医、他の飼育員たちに見守られながら死んでしまう。

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