概要・あらすじ
華果山の大岩から生まれた石ざる孫悟空は、サルの王となり、さらに仙術を身につけるが、増長して天上界で大暴れしたため、おシャカ様によって五行山に封印されてしまう。500年後、ありがたいお経をもとめて天竺へ向かう三蔵法師に封印を解かれ、そのお供となり、猪八戒、沙悟浄、竜王の娘という仲間とともに旅を続け、途中、様々なバケモノたちに襲われつつも、14年後、無事に天竺へたどり着く。
三蔵法師は、天国の人として背中に羽根が生え、悟空、八戒、沙悟浄は人間となり、天竺にあこがれて旅をしてきた竜王の娘タツ子と別れ、唐の国へ帰っていく。
登場人物・キャラクター
孫 悟空 (そん ごくう)
華果山の大岩から生まれた石ざる。霊台山(れいだいざん)の仙人について7年修行し、天地陰陽72通りの仙術を身につけるも、増長して天上界で大暴れしたため、おシャカ様によって五行山(ごぎょうざん)に封印される。天竺へ向かう三蔵法師に封印を解かれ、ともに天竺を目指す。
三蔵法師 (さんぞうほうし)
唐の僧侶。おシャカ様と観音様に「ほんとうのありがたいお経は天竺にある」と言われ、天竺への旅に出る。僧侶の肉をたべると3千年の寿命を得られるとするバケモノたちから、たびたび襲われて食べられそうになる。
タツ子 (たつこ)
東海竜王の末娘。三蔵法師の馬を食べてしまい、悟空に成敗され、そうなったところを三蔵法師に助けられ、以来、馬の姿になって三蔵法師を乗せて旅を続ける。
猪 八戒 (ちょ はっかい)
もとは天の川の大将軍。食べ物に気を取られ、天の川から転落、豚小屋の中に落ちて豚の腹の中におさまってしまう。それ以来、豚の姿となって天上界に帰れる日を待つ。人間の娘にむりやり結婚をせまり、花嫁の父に助けを請われた悟空と三蔵法師に捕まる。その後、お供の一人として天竺への旅に同行する。 好物はイモのしっぽ。嫌いなものはハム、ソーセージ。「8つのものを口にしない」という意味で「八戒」の名を三蔵法師から授けられる。
沙 悟浄 (さ ごじょう)
砂が川のように流れている流沙河(りゅうさが)に住む魔物。いい着物が着たくてたまらず、川を渡る旅人の着物を奪う。悟空に砂をセメントで固められて降参し、天竺への旅に同行する。
混世魔王 (こんせいまおう)
悟空を水蓮洞から追い出し、毎日やってきては残ったサルたちをエサとして片端から食べてしまう一角獣。
二郎真君 (じろうしんくん)
天上界の武将・金平糖将軍の息子。天上界で反乱を起こした悟空を追いつめる。
黄風大王 (こうふうだいおう)
黄風山に住む魔物。三蔵法師と猪八戒を捉えて食べようとする。もとは霊吉ボサツが飼っていた黄ネズミ。
ラセツ女
天上界での戦の飛び火で山火事になった火焔山の火を消すために降りてきた天女だが、牛魔王と結託し火事を利用して人々から貢ぎ物や生け贄を要求する。
牛魔王 (ぎゅうまおう)
天上界の戦から落ちてきた火が燃え続ける火焔山の近くに住む魔物。風を呼び雨を降らす魔力を持った扇バショウセンを持つラセツ女と手を組み、焼け出された人や動物に火を消してやる代わりに貢ぎ物や生け贄を要求する。悟空に懲らしめられ、牛の姿に戻って土地を元通りにするために働く。
金角銀角 (きんかくぎんかく)
レンゲ洞にすむ二人のバケモノ。コウコロというヒョウタンに、三蔵法師を吸い込んで溶かし、それを飲んで寿命を3千年延ばそうとする。悟空の計略で、自分たちがコウコロに吸い込まれてしまうが、二人の友情を愛でた三蔵法師の慈悲により救われる。
場所
水蓮洞 (すいれんどう)
『ぼくの孫悟空』に登場する屋敷。悟空が住む山に滝壺があり、その水の底が抜けたところにある屋敷。サルの王となった悟空の住処となる。
その他キーワード
ニョイ棒 (にょいぼう)
『ぼくの孫悟空』に登場する武器。または金ソウ棒。天上界の金平糖将軍から悟空が奪い、得意の武器となる。伸び縮みが自在で、伸ばせば1千里の彼方まで伸びてゆき、縮めば耳の中へ隠せるほどになる。
ニンジンカ
『ぼくの孫悟空』に登場する果実。三千年に一度、赤ん坊そっくりの実をつける木。その実を食べると100年寿命が延びるという。ニンジンカの実を独り占めしようとする男を悟空と猪八戒が懲らしめる。
バショウセン
『ぼくの孫悟空』に登場する扇。天上界の戦から落ちてきた火が燃え続ける火焔山の火を消すために、天界からやってきた天女・ラセツ女が持つ魔力を持った扇。ひとあおぎで雲を呼び、ふたあおぎで風を起こし、三つあおぐと雨を降らすという。
コウコロ
『ぼくの孫悟空』に登場するヒョウタン。レンゲ洞にすむ二人のバケモノ金角銀角がもつヒョウタン。コウコロを持つ者に名を呼ばれ、それに応えるとヒョウタンの中に吸い込まれて溶かされてしまう。悟空は吸い込まれた後、自分の分身が溶けたように見せかけ、自らは小さな羽虫になってヒョウタンから抜け出す。
金輪 (かなわ)
『ぼくの孫悟空』に登場する装具。悟空が暴れた時のために、観音様が三蔵法師に授けたもの。悟空が頭にはめると取れなくなり、三蔵法師が『オサルノカゴヤ』の歌を唱えると輪が悟空の頭を締め付ける。
アニメ
悟空の大冒険
石から生まれた猿の孫悟空は、天上界の方々も手を焼くほどの乱暴者。あまりの傍若無人さにお釈迦様は悟空を五行山の岩の中に閉じ込てしまった。悟空の手下がみんなでかかっても割ることのできない五行山の岩だったが... 関連ページ:悟空の大冒険
手塚治虫物語 ぼくは孫悟空
太平洋戦争直前の宝塚に、空想好きな少年手塚治虫がいた。ある日、手塚治虫の母と観に行った中国のアニメ映画「西遊記 鉄扇公主の巻」にすっかり夢中になった手塚治虫は、その主人公孫悟空を主人公にしたアニメ映画... 関連ページ:手塚治虫物語 ぼくは孫悟空
書誌情報
ぼくの孫悟空 3巻 講談社コミッククリエイト〈手塚治虫文庫全集〉
第1巻
(2010-11-12発行、 978-4063737905)
第2巻
(2010-12-10発行、 978-4063737912)
第3巻
(2011-01-12発行、 978-4063737929)