ぼくは麻理のなか

ぼくは麻理のなか

引きこもりの大学生、小森功の意識が女子高校生の吉崎麻理の身体に宿ってしまった事から始まる、さまざまな出来事を描く青春ストーリー。「漫画アクション」2012年3月20日号から2016年9月20日号にかけて掲載された作品。

正式名称
ぼくは麻理のなか
ふりがな
ぼくはまりのなか
作者
ジャンル
青春
レーベル
アクション・コミックス(双葉社)
巻数
全9巻
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あらすじ

 第1巻

 ある朝、女子高校生の吉崎麻理が目を覚ますと、その意識は小森功という大学生のものになっていた。小森は大学になじむ事ができず、アパートに引きこもってゲームとオナニーの日々を送っている自堕落な男だった。小森と麻理の中身が入れ替わってしまったと思われたが、小森はいつものようにコンビニで立ち読みをしていて、ふだんとまったく変わりがない姿だった。小森の中に麻理はいない。では、麻理の意識はどこに行ってしまったのか。麻理の中の小森は困惑しながらも麻理として学校に通うが、いつもと様子が違う事に気づいたクラスメイトの柿口依に詰め寄られ、自分は麻理ではないと白状してしまう。彼は依を納得させるため、彼女を連れて小森のアパートに忍び込む。そこにはエロ動画を見てオナニーにいそしむ本物の小森の姿があった。こんな男が麻理の中にいるのかとショックを受けた依は、消えてしまった麻理の意識を探すと麻理の中の小森に宣言する。

第2巻

 吉崎麻理の中の小森功柿口依といっしょに、消えてしまった麻理の意識を探し始める。二人は麻理の部屋で何冊もの男性向けエロ漫画を発見。それらは麻理の中の小森も読んだ事があるもので、自分がいつもエロ漫画を買っていた書店「みらい堂」に麻理も通い詰めていた事を知る。麻理も小森を知っていた可能性がある事に彼は喜びを覚えるが、早く麻理の中から出ていってほしい依は複雑であった。その夜、麻理の家に泊まった依は、深夜密かに麻理のベットに潜り込む。クラスで孤立している依と人気者グループに属する麻理。まったく接点がないように見える二人だったが、実は依が精神的に追い詰められて保健室に逃げ込んだ時、麻理に癒してもらったという過去があった。そんな依にどぎまぎしながらも、麻理の中の小森は麻理の意識探しを続けるが、同時に麻理の立場を守るため、学校ではクラスの人気者として振る舞い続けていた。ところが、依といっしょのところを麻理の親友のももかに見られた際、友人達に嫌われる事を恐れるあまり、思わず依の事を気持ち悪いと言って突き放してしまう。 

第3巻

 小森功の意識を持つ吉崎麻理柿口依を露骨に拒絶した事で、逆に女子グループの中で浮き始める。どうにか取り繕おうとするが、ももかの彼氏である坂本ヒロキに好意を持たれてしまった事から完全にグループ内で孤立。さらに、自宅にやって来たヒロキに強引にキスされてしまう。麻理の中の小森は、ついに麻理でい続ける事に耐えられなくなり、母親の吉崎絵里子に自分は麻理ではなく小森だと暴露。そのまま不登校となってしまうが、絵里子は信じようとはせず、すぐに治ると言うだけであった。追い詰められた麻理の中の小森は、深夜家を抜け出し、小森のアパートに向かう。そして、近くのマンションの非常階段からゲームに興じる小森を覗き見るが、突然依に呼びかけられて驚く。依は小森の事をずっと観察し続けており、非常階段の踊り場で、麻理が小森について書いたメモを見つけていた。麻理はここから小森の事をずっと見ていたのである。本当の麻理を見つけるには自分に向き合わなければならない。そう考えた麻理の中の小森は、意を決して依と共に小森のアパートの呼び鈴を押す。だが、小森は突然女子高生に押しかけられ、当惑するだけだった。

第4巻

 吉崎麻理の中の小森功は麻理の意識を見つけるため、学校をさぼって柿口依といっしょに小森のアパートに通っていた。当初はとまどうだけの小森だったが、やがて彼は女子高生が自分の家にいるという状況に喜びを覚え始める。一方その頃、担任の山口が麻理の家を訪問していた。麻理が学校に行っていない事を知った両親は、当人そっちのけで口論を始める。麻理の中の小森は麻理の事を理解しようとしない両親にキレてしまい、学校なんかくそくらえだと言い放つ。そしてその夜、ついに彼は秘めていた欲望を解放。鏡の中の麻理にキスし、全裸になり、そのまま麻理の身体で自慰行為にふける。だが、そこに麻理を名乗る者から電話がかかって来る。我に返った麻理の中の小森は、驚きと罪悪感で凍り付いてしまうのだった。翌日、彼は依にうながされて学校に向かうが、ももか達にまたも精神的に追い詰められてしまう。しかし、そんな彼女を助けようとする依を見て、自分の友達は依だけだと、ももか達にはっきり言い切るのであった。

第5巻 

吉崎麻理の中の小森功は、麻理の身体でオナニーをしたと柿口依に告白。自分の汚い部分をあえてさらけ出し、いっしょに麻理の意識を探そうと改めて頼む。ところが、依の家に立ち寄った際、彼女の姉の柿口茉里に出会った事から、二人のあいだに亀裂が生じてしまう。依は自分とは正反対の快活で社交的な姉にコンプレックスを抱いており、その事を誰にも知られたくなかったのである。依を傷つけてしまった麻理の中の小森は、深夜に一人で小森のアパートを訪ねるが、小森は麻理の姿に欲情してしまい、トイレでオナニーを始める。彼がなにをしているか察した麻理の中の小森は、続けるようにうながし、さらには手で抜いてやる。それはあえて自らを辱めているようであった。翌日、依が訪ねて来て彼女と和解するが、その時、以前に麻理が依に掛けた言葉を麻理の中の小森も知っていた事が明らかになる。それは麻理と依の二人だけが知っているもので、小森は知らないはずだった。本物の麻理が今も彼女の身体の中にいるのではないか。麻理の中の小森は動揺するが、そんな中、小森から電話がかかって来る。彼は完全に小森の意識を持つ麻理の虜になっていた。

第6巻

 小森功に告白された吉崎麻理の中の小森は、気持ち悪いと言って突き放すが、自分に向けて言ったように感じ、自身もまた傷つく。一方、今も本物の麻理が彼女の中にいると確信した柿口依は、学校でも積極的に話し掛けて来るようになる。そんな時、またも麻理を名乗る電話がかかって来るが、麻理の中の小森は会話の内容から、本物の小森の仕業だと見抜く。小森が自分の声をパソコンで加工し、麻理からの電話のように見せかけていたのである。依といっしょに小森のアパートに向かった麻理の中の小森は、怒りのあまり彼を激しく殴打。小森は麻理を好きだと思うあまりにした事だと言い訳するが、思わず手コキをしてもらった事を依の前で漏らしてしまう。混乱する依は思わず汚いと叫ぶが、麻理の中の小森はそんな彼女を押し倒し、そのまま唇を重ねるのだった。その晩、彼は麻理の弟の吉崎伸二から、観覧車に乗っている幼い頃の麻理の写真を見せられ、彼女が「ふみこ」と呼ばれていた事を思い出す。これは麻理の記憶なのか。麻理の中の小森は依に相談しようとするが、彼女は昨夜から家に戻っていなかった。 

第7巻

 柿口依を見つけた吉崎麻理の中の小森功は、彼女に好きだと告白する。自分にキスをした彼を依は泣きながら何度も殴るが、どこか吹っ切れたのか、家に戻って姉の柿口茉里に心配かけた事を謝るのだった。再び本物の麻理の精神を探し始めた二人は、手掛かりの写真と同じように観覧車に乗ってみる事にする。依と遊園地でのひと時を楽んだ麻理の中の小森は、意を決して観覧車に乗るが、そんな彼の脳裏に幼い麻理が祖母と思われる女性と観覧車に乗っている光景が浮かんで来る。祖母に洋服を買ってもらい喜ぶ麻理。彼女を「ふみこ」と呼んで笑う麻理の父と祖母。父親を怒鳴りつけ、怒りの形相で麻理をどこかへ連れて行こうとする母親の吉崎絵里子。お前はヨシザキマリだと麻理に言い聞かせる母親。次々に浮かんで来る映像を見た麻理の中の小森は、そのまま放心状態になってしまう。彼は依に助けられて、どうにか家に戻るが、母親の顔を見て嘔吐。そのまま寝込んでしまい、目を覚ました時には依や母親の呼び掛けに、まったく反応しなくなっていた。麻理の中から小森の意識が消えてしまった事を悟り、依はショックを受ける。一方、本物の小森は社会復帰すべくバイトを探し始めていた。

第8巻

 吉崎麻理の中の小森功が消えて以来、麻理は自我を失ったように何事にも反応しない状態が続いていた。途方に暮れる柿口依は、どうにかしようと小森のアパートを訪ねるが、すでに小森は自分を変えようとコンビニでバイトを始めていた。小森自身が変わってしまったら、麻理の中の小森はどうなってしまうのかと心配する依は激しく動揺するが、姉の柿口茉里に励まされ、自分が麻理の中の小森を助けるのだと決意。麻理の母親、吉崎絵里子と対峙し、麻理が幼い時に史子から麻理に改名した事、史子と名付けたのが亡くなった祖母だった事を知る。依は絵里子が麻理を追い詰めてしまったのではないかと彼女を責めるが、その時、麻理の中の小森が目覚めた。二人はお互いの存在を確かめ合うように強く抱き合う。ところが、今度は絵里子が書置きを残して姿を消してしまう。

第9巻 

吉崎麻理の中の小森功は、夢の中で麻理から小森の日記を見たと聞かされるが、自分には日記を書いた覚えはまったくなかった。彼は麻理の言葉に引っかかりを感じ、その日記を読んでみる事を思い立つ。しかし、麻理の中の小森がまた失われる事を恐れる柿口依は、強く反対するのだった。翌日、麻理の携帯に小森から実家に戻る事を告げるメールが届く。小森はずっと大学に行っていない事が彼の母親にばれてしまったのである。小森からのメールで、彼が日記をつけていたと知った麻理の中の小森は、ついにその日記を読む事を決意。依と二人で小森の実家を訪ね、意を決して彼の日記のページをめくる。すべての出来事が意識の中でつながっていく。気がつくと目の前には泣きじゃくりながら小森の名を呼ぶ依がいた。麻理は依に自分と友達になってくれるかと訊ねる。そんな麻理を見て、依は安心したように笑うのだった。

メディアミックス

 TVドラマ

 2017年にフジテレビの動画配信サービス、FODにてドラマ化。のちに地上波でも放映された。ドラマ版では吉崎麻理を池田エライザ、小森功を吉沢亮、柿口依を中村ゆりかが演じた。

登場人物・キャラクター

小森 功

楽しい大学生活を夢見て群馬から上京して来た男性。しかし友達を作る事ができず、アパートに引きこもってゲームとオナニーを繰り返す、自堕落な生活を続けている。夜のコンビニで出会った女子高生の吉崎麻理に恋しており、密かにコンビニの天使と呼び、自宅まで彼女を尾行する事を唯一の楽しみとしていた。ところがある日、振り返った麻理と視線が合い、そのまま意識を喪失。目を覚ました時、小森功自身の意識は麻理の中に入ってしまっていた。混乱しつつも、ひとまず麻理として生活し始めるが、麻理のクラスメイトの柿口依に別人だと気づかれ、自分に起きた出来事をすべて告白。彼女と二人で失われた本来の麻理の意識を探す事になる。一方で本来の小森は当人の意識のまま存在しており、こちらは相変わらず引きこもり生活を続けていた。しかし、小森の意識を持つ麻理との出会いをきっかけに社会への復帰を決意。コンビニでアルバイトを始めるが、大学に通っていない事を母親に知られてしまい、アパートを引き払って実家に戻る。

吉崎 麻理

高校2年生の女子。クラスの人気者で、親友のももかをはじめ友達が多く、男子生徒からも非常に人気がある。しかし、これまで告白して来た男子はすべてふっている。よく夜の9時頃まで外出していて、その際にコンビニで小森功と出会っていた。吉崎麻理自身の身体に小森の意識が宿って以降、当人の意識は不明となり、麻理の中の小森はクラスメイトの柿口依と協力して、失われた彼女の精神を探し求める事になる。その過程で、麻理が夜な夜な書店「みらい堂」でエロ漫画を買いあさっていたという事実が判明。さらに、彼女が以前から小森の事を知っていて、彼の生活をのぞき見ていた事、幼少期は「史子」という名で、物心がつくかつかないかの頃に母親の吉崎絵里子の意向で「麻理」と改名した事がわかるなど、彼女の知られざる一面が明らかになっていく。

柿口 依

高校2年生の女子。吉崎麻理のクラスメイト。柿口茉里という姉がいる。メガネをかけた地味な少女で、人気者の麻理とほとんどつながりはなかったが、かつて保健室で麻理に抱きしめられた事があり、以来彼女の事を密かに信奉するようになった。そのため、麻理の中に小森功の精神が宿った際、彼女の異変に真っ先に気づき、本来の麻理の意識を探すと決意する事になる。麻理の中の小森にメイクの仕方や身だしなみなどを教えるが、あくまで本来の麻理を守るためで、当初は小森の事を露骨に嫌悪していた。だが、いっしょに麻理の精神を探す過程で、少しずつ麻理の中の小森への意識が変化。やがて彼に特別な感情を抱くようになる。自分とは正反対の明るい性格の姉に強いコンプレックスを抱いており、その事を誰にも知られなくないと思っている。

柿口 茉里

柿口依の姉。ロングの髪の毛を染めた、明るい性格のヤンキー系の女性。柿口依はよく目立つ彼女と自分を比較し、コンプレックスを感じて、距離を置いている。

ももか

吉崎麻理の学校での親友。小森功が中に入ったことで挙動不審になってしまった吉崎麻理を心配し、相談に乗ろうとする。その後も行動がブレていく麻理を見て、焦りを隠せなくなる。柿口依といるところを見て以降、距離を置くようになる。その後麻理姿の小森功が、彼氏の坂本ヒロキの相談を受けていたことが決定打になり、絶縁関係になる。

吉崎 伸二

吉崎麻理の弟。よく麻理の部屋に忍び込んで、彼女が隠し持っていたエロ漫画をこっそり持ち出していた。麻理とはほとんど話さなくなっていたが、様子のおかしくなった姉の事を内心では心配をしており、小森功の意識を持った麻理といっしょにゲームをしたのを機に、再びコミュニケーションを取るようになる。

吉崎 絵里子

吉崎麻理の母親。上品な出で立ちで、麻理の中の小森功が柿口依を家に連れて来た際、料理を振る舞って歓待するなど、一見理解のある優しい母親に見える。だが、実はかなり情緒不安定で、小森の意識を宿した麻理がその事を明かしてからは、娘が思うようにならない事からイライラを募らせ、ついにはノイローゼ状態になってしまう。激しやすい性格で、若い時は夫の母親である麻理の祖母の事を快く思っておらず、母親に言いなりの夫にも強い怒りを覚えていた。夫の母親が娘に名付けた「史子」という名も嫌っており、彼女が他界したあと、娘の名を自身が希望していた麻理に改めさせる。これらの出来事が幼い麻理の心を傷つけてしまったのだが、その事実に気づいていない。

麻理の父

吉崎麻理の父親。メガネをかけ、無精髭を生やしている。温厚な性格で、麻理の中の小森功が柿口依を家に連れて来た時にも親切に接した。麻理との関係は悪くなかったようだが、気弱で事なかれ主義なところがある。そのため、娘の不登校が発覚した際、厳しく言ってやってほしいと妻の吉崎絵里子に頼まれていながら、なあなあで済ませようとして、絵里子の怒りを買った。麻理が幼い時にも、孫に会うために頻繁に家にやって来る母親に対する妻の不満を聞き流して、彼女がその怒りを麻理にぶつける結果となるなど、母娘の関係がいびつになった一因となっている。

坂本 ヒロキ

高校生の男子。吉崎麻理の属する女子高生グループと、よくいっしょに遊んでいる。ももかの彼氏。ももかが麻理と一番仲がよいと知ったうえで、小森功の入った麻理に、自分とももかの仲について相談を持ち掛ける。さらに、ももかと麻理の中の小森がその事で絶縁関係になると、ももかと別れて彼にキスしようと迫った。ももかと付き合う前、まだ小森の入っていない麻理に告白し、断られた事がある。

山口

吉崎麻理や柿口依のクラスの担任をしている薄毛の男性教師。麻理の中の小森功が、本来の麻理の意識を探すため、学校に来なくなった事から麻理の家を訪問。麻理の母親の吉崎絵里子に娘が学校に来ていない事を明かした。特に厳格というわけではなく、学校に来るようになった麻理をふつうに迎える。

場所

みらい堂

『ぼくは麻理のなか』に登場する書店。吉崎麻理がいつもエロ漫画を買っている。店員は普段は女子高生だと知っていても、普段着であれば見なかったことにして売っていたが、制服で柿口依たちが調べに入った時は注意に出てきた。吉崎麻理がこの店で買っていたエロ漫画は、全て小森功が買っていたものと同じ。

書誌情報

ぼくは麻理のなか =I'm in the Mari 全9巻 双葉社〈アクション・コミックス〉 完結

第1巻

(2012年12月発行、 978-4575841701)

第2巻

(2013年8月発行、 978-4575842685)

第3巻

(2014年6月発行、 978-4575844191)

第4巻

(2014年11月発行、 978-4575845389)

第5巻

(2015年3月27日発行、 978-4575845969)

第6巻

(2015年8月10日発行、 978-4575846669)

第7巻

(2015年12月9日発行、 978-4575847260)

第8巻

(2016年5月9日発行、 978-4575847956)

第9巻

(2016年9月28日発行、 978-4575848564)

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