概要・あらすじ
菌が肉眼で見える主人公沢木惣右衛門直保は農大の一年生として、樹慶蔵教授の指導のもと長谷川遥、美里薫、川浜拓馬及川葉月武藤葵結城蛍らとともに、菌の力で酒や味噌などを作る発酵蔵を運営し始め、チームワークを高める。
秋の農大開催のイベント収穫祭への参加を経て、突然退学届を出した遥を連れ戻すために沢木、 美里、川浜たちはフランスへ渡航し、旅先にて蛍 と瓜二つのマリーと出会う。
登場人物・キャラクター
沢木 惣右衛門 直保 (さわき そうえもん ただやす)
の主人公。農大の一年生。麹を製造する種麹屋(もやし屋)の次男で、菌のA・オリゼーがいつも肩に乗っている。金髪に染めており小柄。菌が肉眼でかわいらしい姿で見え、意思の疎通もある程度できるが、本人はこの能力をあまり気に入っていなかった。 ひどく驚くとこの能力が消えることもある。周りのペースに巻き込まれやすい性質。結城蛍とは幼馴染。樹慶蔵の指導する発酵蔵のメンバーとなり、同じメンバーで院生の長谷川遥を連れ戻すためにフランスへ向かう。
長谷川 遥 (はせがわ はるか)
農大農学部の大学院生で樹慶蔵の教え子。沢木惣右衛門直保 と同じく発酵蔵のメンバーであり、仕切るリーダー的存在でもある。黒髪のショートカットで妖艶な雰囲気を持つ。ボンテージファッションに身を包み、気が強く女王様体質で時に鞭も振るう。 酒癖が悪く、酔うと血を見たがる猟奇的な言動で周囲を恐怖に陥れる。実家は大金持ちで、本人の意志に反して父親が退学届を農大3年生の武藤葵に預け、許嫁とともにフランスへ向かう。
菌 (きん)
『もやしもん』に登場する、実在する微生物。実際には肉眼で見えない存在だが、沢木惣右衛門直保の目には特徴がディフォルメされたかわいらしい姿で見えている。作中にてあちこちに登場し、食物や人間にかかわろうとして「かもすぞ」と発言する様子などが描写されている。 また、発酵における自らの役割について解説することもある。
及川 葉月 (おいかわ はづき)
農大農学部の1年生で沢木惣右衛門直保の同級生。潔癖症で除菌を熱心に行う金髪の女子。バイクで通学している。ゼミは決まっていないが沢木とともに、樹慶蔵が指導する発酵蔵のメンバーとなる。 発酵蔵の地下の穴に興味を持ち、沢木たちを巻き込んで調べようとする。隠し事をされるのを嫌う性分だが、発酵蔵のメンバーでは唯一沢木の菌が見える能力を知らず、挙動を怪しむ。
農大 (のうだい)
沢木惣右衛門直保らが通う農業大学。「自給自足」がモットーとされており、樹慶蔵による菌・微生物の研究ほか、野菜の生産などを行う農業や、動物も飼育され畜産なども研究している。秋には収穫祭が行われ、野菜の無料配布では近隣の主婦が殺到する。
樹 慶蔵 (いつき けいぞう)
農大の老教授。眼鏡をかけており、目の表情が読めない。学内では白衣を着用している。沢木惣右衛門直保の祖父と古い友人で、沢木の菌が見える能力を入学時から知っており、その能力に期待している。 微生物、発酵食品の権威で、それらについて語りだすと非常に長くなる。戦時中にも研究を行っていたと噂され、政財界にも人脈がある様子を垣間見せるなど、謎の多い人物である。農大内に日本酒をはじめ、あらゆる発酵食品を生産研究できる研究室「発酵蔵」を建設し、参加メンバーを指導している。
川浜 拓馬 (かわはま たくま)
農大の2年生で、虫への興味の高さを樹慶蔵に評価され、沢木惣右衛門直保と同じく発酵蔵のメンバーとなる。頭が大きく丸っこい体型。美里薫とは大学寮のルームメイトで、よくコンビで行動し金儲けに協力するが、それ以上に虫を好み、虫にまつわる知識も豊富。 虫の飼育だけでなく食用とすることにも熱心である。メキシコからの帰国子女で、農大の収穫祭では在住時の知識を生かしてプルケという酒を作って販売した。 沢木、美里とともに長谷川遥を追ってフランスへ渡った。
美里 薫 (みさと かおる)
農大の2年生で、酒への興味の高さを樹慶蔵に評価され、沢木惣右衛門直保と同じく発酵蔵のメンバーとなる。やせ形の長髪で髭を生やし、関西弁をしゃべる。川浜拓馬とは大学寮のルームメイトで、よくコンビで行動し、金儲けに奔走している。 農大の収穫祭ではともに大学内のリュウゼツランからプルケという酒を作って販売した。沢木、川浜とともに長谷川遥を追ってフランスへ渡り、遥を連れ戻すため奮闘した。
マリー
沢木惣右衛門直保、美里薫、川浜拓馬がフランスへ長谷川遥を連れ戻しに行った時に、グラン・クリュ街道でのふとした事件により出会った現地の女性。日本語が堪能。沢木の幼馴染である結城蛍に瓜二つだが服装は白いゴスロリ姿。 ブルゴーニュのブドウ畑を持つワイン生産者の家に生まれ、祖父からワイン造りを仕込まれ、造詣が深く愛着もあるが、家業を継いだ父との間に溝がある。
武藤 葵 (むとう あおい)
農大農学部3年生で樹慶蔵の研究室唯一のゼミ生。沢木惣右衛門直保と同じく発酵蔵のメンバー。元「ミス農大」でもある美女だが、発酵蔵ではジャージ姿で酒を飲んでいることが多い。農大の収穫祭では「ミス農大」の肩書を生かして、本人の知らないところで出展された「葵‘Sバー」の店主に担ぎ出された。 先輩である長谷川遥の退学届を父親から渡され、困惑している。
結城 蛍 (ゆうき けい)
農大の1年生で、沢木惣右衛門直保の幼なじみ。沢木とともに農大へ入学するが、すぐに休学届を出す。中性的な顔立ち。休学以降、黒いゴスロリ服の女装姿で行動することも多い。造り酒屋の息子で日本酒に思い入れがあり、樹慶蔵の通う酒店「日吉酒店」を自分の理想通りに改装して働きながら、樹慶蔵が指導する発酵蔵のメンバーとしても参加し酒造りに尽力する。
A・オリゼー (あすぺるぎるすおりぜー)
『もやしもんリターンズ』登場するキャラクター。菌たちの代表格。本来は酒や味噌、醤油などを造る際に発酵過程で働く黄麹菌だが、沢木惣右衛門直保には二頭身で顔のまわりに5本の房を付けた愛嬌のある姿に見えている。 沢木の肩や頭に乗っていることが多く、なにかと彼を元気づけたり、時には行動にツッコミを入れたりしている。
場所
発酵蔵 (はっこうぐら)
『もやしもんリターンズ』に登場する舞台であり、組織の名称でもある。農大の老教授樹慶蔵の主導のもと作られた、ありとあらゆる発酵食品を研究する施設で、蔵米から酒を造ったり、大豆から味噌や醤油などを造ったりしている。 農大の授業には直接関係ないが、沢木惣右衛門直保、美里薫、川浜拓馬、武藤葵、及川葉月、長谷川遥、休学中だが結城蛍が参加している。農大の使われていない校舎を建て替えたもので、地下に謎の穴がある。
イベント・出来事
収穫祭 (しゅうかくさい)
『もやしもんリターンズ』において開催されるイベントの名称。において、農大で秋に行なわれ、外向けは地域との交流で、主婦が殺到する野菜の無料配布や、人気アイドルを招いたショーなどが開催される。研究室やサークルによる出店もあり、人気投票と売り上げで決まる出店賞では賞金も出される。 夜には公式の後夜祭だけでなく、「夜の収穫祭」と称するイベントも極秘で行われる。