概要・あらすじ
オンラインゲームの『ドラゴンクエストⅩ』にどっぷりはまっていたオタク男性のパウダーは、ある日チームのフレンドであるゴローが、リアル生活でアパートの引っ越し先を探していることを知る。祖父の一軒家で一人暮らしをしていたパウダーは、ゴローに対し自宅でのルームシェアを提案。それを承諾したゴローを迎えるため待ち合わせ場所へと向かうことになった。
しかし、待ち合わせ場所となる駅前でパウダーが見たのは、キラキラしたリア充の風貌をしたギャル系女子。なんと、ゴローは女性であり、今の今まで互いに相手の性別を勘違いしていたのだ。予想外の出来事に混乱するパウダーをよそに、ゴローは冷静にパウダー宅までの案内を要求。こうして実生活では接点のなかったオタク男子とギャルによる、ひとつ屋根の下での暮らしが始まるのだった。
登場人物・キャラクター
パウダー
23歳のオタクで、ヒョロ長い姿をした専門書店員の男性。本名は「さつきたくみ」。「俺はゲームがないと会話ができない」と人に公言し、特に女性との会話はからっきし駄目という、ややコミュ障なタイプではあるが、基本的には温厚な性格をした草食系。可愛いもの好き。オンラインゲームのドラゴンクエストⅩに夢中になり、「プリクポ」という可愛らしい種族にパウダーという名前を付けて自分のキャラクターとし、連日ログインしていた。 おっとりとした雰囲気と物腰から入ったチームにもすぐに馴染むことができ、ネカマを公言してゲームの世界を満喫していたが、ある日ゲーム内のフレンドであるゴローがリアルでアパートを探していることを知る。それまでのプレイ経験から、ゴローの人となりを真面目なサラリーマンであると推察していたパウダーは、ゴローに対し自宅のルームシェアを提案。 約束を取り交わした後日、待ち合わせ場所に出むいたパウダーは、実はゴローがギャル系女子であるという衝撃の事実を知ることになる。予想外の出来事に軽いパニックに陥ったパウダーとは裏腹に、終始冷静だったゴローに言われるがまま、結局当初の予定通りにルームシェアをすることになってしまう。 自分とは世界の異なる、いかにもリア充といった風貌のゴローとの共同生活に最初は戸惑っていたパウダーだったが、共通の話題であるドラゴンクエストⅩを軸にして、徐々にだが互いの心を通わせていくことになる。ドラゴンクエストシリーズのモンスターを愛しており、お気に入りはクラゲのような姿をしたホイミスライム。 また、本人いわく「オタク特有の妄想癖」があるとのこと。
ゴロー
ネイリストをしている可愛い女性。本名は「おかもとみやこ」。盛り髪にカラーコンタクト、つけ眉毛などでメイクアップした、いかにもリア充といった風貌をしているさばさばした性格のギャル。ゲーム好きだった兄の影響で自身もかなりのゲーム好き。オンラインゲームのドラゴンクエストⅩでは、「オーガ」といういかつい種族の男性キャラクターにゴローと名付け、ゲームを楽しんでいた。 ゴツいキャラクターの容姿と多くを語らない落ち着いた物腰のせいで、ゲーム内のフレンドたちからは紳士的な男性と勘違いされており、アパート探しをしていた際に、同じ男性であると誤解したパウダーからルームシェアを提案されることになる。ネカマを公言していたパウダーをずっと女性と勘違いしていたが、それはゴローがネカマという単語の意味を知らなかったため。 待ち合わせの場所に現れたパウダーが男性であることにはさすがに驚いたものの、結局そのままパウダーの自宅の一室に住むことになった。物言いは多少キツいが、基本的には付き合いがよく、気遣いもできる大人な性格をしている。当初はパウダーのことを男性としてまるで意識しておらず、「アタシの好みじゃないから」とまで断言していたが、共通の話題はドラゴンクエストⅩのみという奇妙な共同生活を続ける中で、彼女の心にも少しずつ変化が表れていく。 なお、ゴローという名前は飼い犬からとったもの。
マリオ
パウダーのドラゴンクエストⅩ内でのフレンド。関西出身の大学生男子。年齢は20歳で、本名は「山木」。少々チャラいところはあるが、とてもフレンドリーな性格をしており、ゲーム内ではウェディの女性を使い、チクチクの妹でなおかつ兄が大好きという、可愛げのある妹キャラ設定で通している。オフ会で会う際に、本当の性別を知らなかったパウダーに淡い期待を抱かせていた。
チクチク
マリオの実姉で、パウダーのフレンド。東京在住。ドラゴンクエストⅩ内ではエルフの男性を使い、マリオの兄という設定で遊んでいる。大人の雰囲気が漂う女性で、オフ会に参加したパウダーは彼女をマリオであると勘違いしていた。
おおにた
パウダーが勤めている専門書店の上司で、店長を務めている男性。大阪出身のバイタリティあふれる性格で、ややコミュ障気味のパウダーに対し、笑顔を意識した接客の重要性を説いていた。パウダーがドラゴンクエストⅩ内で知り合ったゴローとルームシェアをしているという話を羨み、自身もオンラインゲームデビューをするかどうかを悩んでいた。 のちに別の店舗へと転勤になる。
たなか
おおにたと入れ替わりにパウダーの勤める店舗の店長となった男性。褒めて人を伸ばす温厚な性格をした人物。彼の過去に関して「元プロ雀士」や「元極道」といった、なぜかハードボイルドな噂が店員のあいだでは流布している。
その他キーワード
ドラゴンクエストⅩ (どらごんくえすとてん)
インターネット回線を介して複数のプレイヤーと同時に遊ぶことができる大規模なオンラインゲーム。緻密に作りこまれた世界観とゲームシステムにより中毒性が非常に高く、パウダーはすでに1年半の長きに渡ってこのゲームを遊んでいる。キャラクターメイクで選択できる種族は「オーガ」「ウェディ」「エルフ」「プリクポ」「ドワーフ」の5種類で、可愛いもの好きのパウダーは小さくて丸っこいプリクポの女性を使い、チームメンバーを和ませていた。
ネカマ
オンライン上で女性のふりをしている男性の総称。パウダーはチームメンバーに自身がネカマであることを公言していたが、ゴローの方はネカマの意味を知らなかったため、実際に会うその瞬間まで互いの性別を勘違いすることになった。
書誌情報
ゆうべはお楽しみでしたね 11巻 スクウェア・エニックス〈ヤングガンガンコミックス〉
第9巻
(2022-06-23発行、 978-4757579811)
第10巻
(2023-09-25発行、 978-4757588080)
第11巻
(2024-10-25発行、 978-4757594814)