世界観
生まれつき霊に取り憑かれやすく、悪霊に負わされた借金に苦しむ少年・冬空コガラシ。彼が格安下宿「ゆらぎ荘」に入居し、入居者の幽霊や鬼、座敷童などといった人ならざる女性、あるいは忍者や猫神に憑かれた人間の少女、といった個性あふれる女性キャラクターたちとともに下宿生活を送る姿を描く。また、コガラシと美少女キャラクターたちが協力して悪霊や神霊と戦う、和風バトルアクションとしての側面もある。
あらすじ
15歳の少年霊能力者・冬空コガラシは、生まれつき霊に取り憑かれやすい特異体質。悪霊のせいで多額の借金を負わされ、貧乏暮らしを送るコガラシは、ある日、格安で入居できる下宿「ゆらぎ荘」の存在を知る。さらに、ゆらぎ荘にいる地縛霊を成仏させれば、家賃をタダにしてもらえると聞いたコガラシは、さっそく退治に乗り出すことになる。しかし、地縛霊の正体は、記憶をなくし、なぜ自分が成仏できないのかも思いだせない少女幽霊の湯ノ花幽奈だった。幽奈を案じたコガラシは無理に退治するのをやめ、幽奈の未練を晴らし、幽奈が納得して成仏できるようサポートすることを決める。
単行本の装丁
本作『ゆらぎ荘の幽奈さん』のコミックスは、本体表紙部分に、カバー表紙を飾っているヒロインキャラクターの服が脱げているなど、セクシーな別バージョンのイラストが描かれている。また、カバー裏表紙には、その巻のカバー表紙を飾るヒロインの自己紹介が記載されており、カバー表紙イラストを見てキャラクターに関心を持った場合、すぐに名前や素性がわかるという親切な作りになっている。
登場人物・キャラクター
冬空 コガラシ (ふゆぞら こがらし)
霊と戦う力を持つ「霊能力者」の少年。「ゆらぎ荘」の住人の1人で、部屋は204号室。湯煙高校1年4組に所属している。目が隠れるほど伸ばした前髪を左寄りの位置で分けて、肩につくほどの長さのセミロングヘアを、後ろで1つに結んでいる。三白眼が特徴。緋扇かるらからは、強力な霊的存在の家系「八咫鋼」の一員と認識されているため、「八咫鋼」と呼ばれている。 硬派で面倒見の良い、心優しい性格。しかし生まれつき霊に取り憑かれやすい特異体質で、周囲に迷惑をかけることが多く、施設を転々とする人生を送ってきた。さらにある時、憑依された悪霊のせいで多額の借金を負わされ、ホームレスになってしまった。そこで、霊に振り回される人生に終止符を打つため、霊能力者に弟子入りをし、どんなに強大な悪霊や神であっても、拳で撃退できるほどの力を手に入れる。 ある日、「ゆらぎ荘」に住む地縛霊を除霊した人間は、家賃ただで住んでいいという話を聞きつけ、入居を決意する。しかし除霊に挑んだところ、霊の正体である湯ノ花幽奈は、自分にどのような未練があるか思いだせず、成仏したくてもできなくて困っていることを知る。 そのため幽奈と協力して、幽奈の成仏を目指すことになる。さまざまな霊に取り憑かれた経験から、結果的に霊の特技を受け継いでおり、特に料理や卓球、イラストなどさまざまな分野でプロ級の技術を持つ。
湯ノ花 幽奈 (ゆのはな ゆうな)
地縛霊の少女。「ゆらぎ荘」の住人の1人。部屋は204号室。前髪を目の上で切り、腰まで伸ばした白いストレートロングヘアにしている。浴衣を着て頭に三角巾をつけ、幽霊であるため、いつも宙に浮いている。敬語で話す。容姿は亡くなった16歳の時のままだが、実際は「ゆらぎ荘」でも2番目に年上という、かなりの年長者。明るくおっとりとした性格で、人間に危害を加える意思もない善良な幽霊。 しかし生前の記憶がなく、自分がどのような未練から成仏できないのか、わからず困っている。そんな折、自分の住むゆらぎ荘204号室に冬空コガラシが入居し、コガラシの協力のもと、成仏を目指すことになる。コガラシと一緒に生活する過程で、その人柄に惹かれ、想いを寄せるようになっていく。
宮崎 千紗希 (みやざき ちさき)
湯煙高校1年4組に所属する女子。冬空コガラシの友人。前髪を右寄りの位置でヘアピンで留めて分け、顎の下まで伸ばしたオレンジ色のボブヘアにしている。明るく分け隔てない心優しい性格だが、やや妄想癖な一面がある。非常にかわいらしく、モデル事務所などから頻繁にスカウトを受けるほどの容姿を持つが、すべて断っている。高校入学前後から、心霊現象に悩まされており、コガラシに相談したのがきっかけで、親しくなる。 また、同時期に湯ノ花幽奈の存在を知り、幽奈と友人になる。当初は人ならざる者の存在におびえていたが、「ゆらぎ荘」の面々と親しく接するうちに慣れ、「ゆらぎ荘」に出入りするようになる。やがて、自分をいつも助けてくれるコガラシに、想いを寄せるようになっていく。
雨野 狭霧 (あまの さぎり)
忍者の少女。「ゆらぎ荘」の住人の1人。部屋は202号室。湯煙高校1年3組に所属している。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、腰まで伸ばした紫色のロングヘアを左側に集めてサイドテールにしている。荒覇吐呑子からは「さぎっちゃん」と呼ばれている。人々に危害を加える妖怪を倒す霊能忍者集団「誅魔忍軍(ちゅうまにんぐん)」の1人であり、高校に通いながら、日夜妖怪と戦っている。 生真面目で責任感の強いお堅い性格で、男性のような口調で話す。また、高校まではずっと女子校に通っていたため男性が苦手で、極度の照れ屋。そのため、女性らしいふるまいに憧れつつ、うまくできずにいる。冬空コガラシのことは、「ゆらぎ荘」唯一の男性入居者ということで最初は警戒していた。 霊への対抗手段を持つもの同士で一緒に霊を倒すことが多く、次第に信頼を寄せるようになっていく。
伏黒 夜々 (ふしぐろ やや)
猫神に憑かれている人間の少女。「ゆらぎ荘」の住人の1人。部屋は203号室。前髪を眉上で短く切った、青緑色の、癖のある前下がりボブヘアにしている。また、猫神に憑かれているため、猫の耳としっぽが生えている。マイペースでのんびりとした、猫のような性格。猫神とは非常に仲が良く、猫神に取り憑かれていることにより、危機から身を守ってもらうなど、さまざまな恩恵を得ている。 冬空コガラシとは、コガラシの料理を食べて以来信頼を寄せて親しくなった。
荒覇吐 呑子 (あらはばき のんこ)
鬼の末裔の23歳の女性。「ゆらぎ荘」の住人の1人。部屋は201号室。前髪を真ん中で分け、腰まで伸ばした癖のある外はねロングヘアにして、眼鏡をかけている。額にひし形の傷跡のようなものがあり、普段は隠しているが、ここから鬼の角が飛び出すことがある。巳虎神マトラからは、実家の苗字である「宵ノ坂」と呼ばれている。おおらかでセクシーなお酒好きで、「ゆらぎ荘」内でもたいてい酔っぱらっている。 職業は漫画家で、少女漫画雑誌「月刊少女マーマレード」に連載を持ち、在宅で働いている。かつては雨野狭霧のように霊を退治する仕事をしていた。一度、仕事中に大けがを負って以来、自分のやりたいことをして生きよう、と考えるようになり、漫画家という職業を選んだ。 冬空コガラシとは親しく、一度アシスタントとして手伝わせた際に、コガラシのイラストの技量を知って以来、時々ヘルプアシスタントとして働いてもらっている関係。
仲居 ちとせ (なかい ちとせ)
仲居を務める座敷童の女性。「ゆらぎ荘」の住人の1人。部屋は信楽こゆずと同室の管理人室。前髪を目の上で切りそろえ、耳の下で切り揃えたボブヘアで、割烹着を着ている。容姿は幼く、13歳程度に見えるが、実際は「ゆらぎ荘」でもっとも年上。穏やかで落ち着いた性格で、「ゆらぎ荘」では母親的存在。一方で、中学生にしか見えない容姿を活かして、友人の勉が校長を務める中学校に、隠れて通っている。 街の温泉組合の人間や「ゆらぎ荘」のオーナー、といった一部の人間には正体を知られているが、温かく迎えられている。特に勉からは「ちとせ姉」と呼ばれて慕われている。座敷童としては、対象の運勢を漠然と左右する「運勢操作」の能力を持つ。しかし、操作後は、ちとせが幸運を与えた場合は不運が、不運を与えた場合は幸運が、といった形で必ず反動があるため、安易に能力を使わないようにしている。 冬空コガラシの誠実で心優しい人柄を好ましく思っており、入居者と従業員という形で知り合えたことを幸運に思っている。
信楽 こゆず (しがらき こゆず)
化け狸の少女。「ゆらぎ荘」の住人の1人。部屋は仲居ちとせと同室の管理人室。タヌキの耳としっぽが生えた、10歳ほどの人間の少女の姿をしている。前髪を真ん中で分けて額を見せ、肩につくほどの長さのセミロングヘアをツインテールにしている。一人称は「ボク」。容姿は幼いが、化け狸としてはすでに成人しているため、里を離れて人間に化け、人間として生きていた。 しかし化けるのが苦手で困っており、ある日、偶然見かけた宮崎千紗希に憧れ、千紗希を理想の容姿の参考例として一方的に研究していた。しかし、結果的に悪気なく千紗希を困らせてしまい、トラブルを起こしてしまう。そこを冬空コガラシに保護され、「ゆらぎ荘」で暮らすことになった。千紗希とは事件後仲良くなり、千紗希の母親の宮崎日和とも親しい。 千紗希や日和のような、胸の大きな女性に憧れており、女性の胸そのものも大好き。
朧 (おぼろ)
龍雅玄士郎の護り刀「神刀(しんとう)」の少女。「ゆらぎ荘」の住人の1人。部屋は205号室。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、銀色の癖のあるショートカットヘアにしている。左目に眼帯をし、男装している。また、正体は刀であるため、普段は普通の人間と変わらない姿をしているが、腕をそのまま刀に変えることもできる。クールな性格で、常に無表情で淡々としている。 しかし人間の常識には疎いため、天然気味な一面もある。信濃にある湖「龍雅湖(りゅうがこ)」で、神霊である玄士郎に仕えていた。ある日、玄士郎が無理やり湯ノ花幽奈を誘拐した件で、幽奈を助けに来た冬空コガラシと出会う。そこでコガラシの人間離れした強さを知り、龍雅家のために自分とコガラシの子供を作ることを思いつく。 そのためゆらぎ荘に押しかけ、新たな住人となる。子作りが目的であるため、時と場合を選ばず、コガラシにセクシーなアプローチをすることが多く、周囲を困らせている。
雨野 雲雀 (あまの ひばり)
湯煙高校1年4組に所属する女子。雨野狭霧の従妹で、「ゆらぎ荘」の住人の1人。部屋は206号室。狭霧、浦方うらら同様「誅魔忍軍(ちゅうまにんぐん)」の1人として、妖怪を倒す活動をしている。素直でピュアだが、狭霧を一方的にライバル視する負けず嫌いな性格。恋愛ごとには疎い、ウブな一面もある。夏休みに、狭霧が誅魔の里に帰省した際、狭霧に一歩リードするため、偶然出会った冬空コガラシに、恋人のふりをしてほしいと頼みこむ。 しかし、その過程でコガラシを本当に好きになってしまい、誅魔の里から引っ越して「ゆらぎ荘」の住人となる。いつも真剣だが、空回りすることが多い。また、自分の体型にコンプレックスを抱いており、スタイル抜群の女性が多い「ゆらぎ荘」では、自分は劣っているのでは、と不安を感じている。
龍雅 玄士郎 (りゅうが げんしろう)
信濃にある湖「龍雅湖(りゅうがこ)」を統べる神霊「黒龍神(こくりゅうじん)」。前髪を目が隠れるほど伸ばし、肩につくほどの長さの、癖のあるセミロングヘアにした色黒の青年の姿をしている。神霊の名にふさわしい強大な力を持ち、雨野狭霧ら「誅魔忍軍(ちゅうまにんぐん)」でも、太刀打ちできないほどの実力者。しかし、性格はやや子供っぽく強引で、さらに女性を見ると、声をかけずにはいられないほどの女好き。 ある日、自分の妻にふさわしい女性を探していたところ、偶然見かけた湯ノ花幽奈に一目惚れをする。そして、自分の妻にするべく、幽奈を無理やり連れ去ろうとする。
浦方 うらら (うらかた うらら)
雨野狭霧とともに「誅魔忍軍(ちゅうまにんぐん)」として妖怪を倒している少女。「誅魔忍軍」では主に狭霧の補佐を担当しており、一緒に湯煙高校1年3組に所属している。前髪を左寄りの位置で斜めに分けた、顎の下まで伸ばした外はねボブヘアにしている。関西弁で話し、三白眼で八重歯がある。明るくノリのいい性格。冬空コガラシの強い戦闘能力に関心を持っており、可能であれば、「誅魔忍軍」との協力関係を築きたいと考えている。
柳沢 芹 (やなざわ せり)
湯煙高校1年4組に所属する女子。宮崎千紗希の友人で、冬空コガラシのクラスメイトの女子。前髪を左寄りの位置で分け、腰まで伸ばしたストレートロングヘアにしている。三白眼が特徴。凛とした落ち着いた雰囲気だが、けんかっ早い。男性のような口調で話すのも手伝い、スケバンのような雰囲気がある。千紗希を大切に想っており、千紗希の話を信じて、冬空コガラシが霊能力者であり、そのそばには幽霊の湯ノ花幽奈がいるという事実についても、受け入れている。
兵藤 聡 (ひょうどう さとし)
湯煙高校1年4組に所属する男子。冬空コガラシの友人。前髪を上げて額を全開にしたオールバックの髪型をしている。明るくお調子者で図太く、細かいことを気にしない性格。そのため、自らを霊能力者と名乗ったコガラシに対しても、普通の友人のように接している。女性が大好きだが、アプローチしてもいつもうまく行かず、失敗に終わることが多い。
葦田 (あしだ)
湯煙高校1年4組に所属する男子。冬空コガラシのクラスメイト。前髪を真ん中で分けた癖のあるショートカットヘアにしている。霊的な存在には懐疑的で、「霊能力者」と公言するコガラシの話も、信じずに軽視している。しかし、臨海学校でコガラシに霊から守ってもらったのを機に、その存在を信じ、コガラシに一目置くようになった。
白露 蓮華 (しらつゆ れんか)
ラフィーネ女学院に通う2年生の女子。前髪を左寄りの位置で分け、腰まで伸ばしたストレートロングヘアにしている。校内では生徒会長を務めており、生徒たちの憧れの的。そのため、一見真面目で厳しそうだが、実際は恋愛などに興味津々の年相応な性格。しかし、白露グループの令嬢として生まれ、周囲の期待を背負いながら生きてきたことにより、友人の森野古湖乃の前でも、素の自分を見せられずに悩んでいる。 ある日出来心から、校内で流行中の降霊術を行ってしまう。その後、校内で心霊現象が頻発し始め、自分の責任ではないかと不安を感じている。しかし誰にも言いだせずにいた折、古湖乃の紹介で冬空コガラシと知り合う。
森野 古湖乃 (もりの ここの)
ラフィーネ女学院に通う1年生の女子。宮崎千紗希の友人。前髪を左寄りの位置で分けたショートカットヘアにしている。ある時期から校内で頻発している怪奇現象を不安に感じており、千紗希の紹介で冬空コガラシに除霊依頼をする。白露蓮華に憧れており、コガラシに依頼をしたのも、蓮華の身に危険があってはいけないと考えたため。
愛海 (あみ)
とある岬で地縛霊になってしまっている少女。30年ほど前に亡くなっているが、亡くなった当時と同じく、前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、顎の下まで伸ばしたボブヘアで、ワンピースを着た色黒の少女の姿をしている。普段はおっとりとした雰囲気だが、怒ると非常に怖く、別人のようになる。生前は地元の名士の娘で、恋人の泰久との交際を周囲に反対されていた。 そのため、泰久と駆け落ちをしようとするが、その途中で、事故に遭って海に転落した泰久を助けようとして亡くなった。現在は泰久とともに地縛霊となっている。お互いに非常に近い位置で幽霊になっているが、地縛霊であるため動けず、もどかしい思いをしている。
泰久 (やすひさ)
とある岬で地縛霊になってしまっている少年。30年ほど前に亡くなっているが、亡くなった当時と同じく、前髪を右寄りの位置で分けて撫でつけ、革ジャンを着た色黒の少年の姿をしている。見た目は派手だが、気弱でおとなしい性格をしている。生前、恋人の愛海との交際を周囲に反対されており、愛海とともに駆け落ちを決意する。しかし、愛海の目の前でバイク事故に遭って、海に転落。 助けようとした愛海とともに亡くなった。自分のせいで愛海が死んだと考えており、「地縛霊であっても本当に移動したいと願えば愛海のもとに移動できる」と知りつつも、愛海に合わせる顔がなく、悩んでいる。
宮崎 日和 (みやざき ひより)
宮崎千紗希の母親。OLとして働く36歳の女性。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、腰まで伸ばしたロングヘアを1つに結んでいる。かわいいものに目がなく、化け狸である信楽こゆずの存在も、あっさり受け入れている。そのため、千紗希とこゆずとは3人で仲が良く、一緒に遊びに行くこともある。
おばば様 (おばばさま)
雨野狭霧と雨野雲雀の祖母。「おばば様」は通称で、本名は不明。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、ロングヘアを高い位置でお団子にしてまとめ、和服を着ている。非常に小柄で、三白眼が特徴。恋愛話が好きで、狭霧と雲雀の子供、つまり自分に曾孫ができるのを楽しみにしている。狭霧の報告から冬空コガラシの存在を知って関心を持っており、雲雀がコガラシのもとへ行きたいと願った際にはサポートした。
サブロウ
三毛の猫神。伏黒夜々の友人。一見普通の三毛猫だが、しっぽは二股で、人の言葉を話すことができる。ある日、猫神が集まる「福猫祭り」を偶然訪れた冬空コガラシを案内することになる。猫神の集会にはトラブルも多いため、特にアラマキの存在を不安視している。
アラマキ
猫神の1人。大柄で二足歩行をし、学ランを着た二股のしっぽを持つ猫の姿をしている。以前「福猫祭り」における猫神の集会で、伏黒夜々に恥をかかされたと感じており、夜々に一方的に恨みを持っている。そのため、今年の「福猫祭り」で夜々に復讐しよう、とやって来る。しかし、そこでも冬空コガラシと夜々に完敗。以後は夜々を認め、ピンチの際は協力するようになる。
流禅 (りゅうぜん)
占いの館「占流館」で占い師を務める若い女性。前髪を左寄りの位置で斜めに分けたショートカットヘアにしている。中性的な雰囲気で、男性のような口調で話す。占い師としては修行中の身だが霊視能力を持ち、ある日「占流館」に訪れた冬空コガラシが霊能力者であり、同行した湯ノ花幽奈についても、信楽こゆずのサポートで一時的に人間のふりをしている幽霊であることを、即座に見抜く。 そのため、2人に幽奈の生前に関することを占えないか頼まれ、占うことになる。
緋扇 かるら (ひおうぎ かるら)
京都府の妖怪を束ねる大天狗の嫡子の少女。前髪を目の上で切り揃えて真ん中で分け、お尻まで伸ばした赤いストレートロングヘアで、その一部を髪飾りでまとめている。古風な口調で話す。巳虎神マトラからは「おひいさん」と呼ばれている。冬空コガラシに因縁をつけ、コガラシの誕生日に、突如ゆらぎ荘を襲撃。コガラシをこけしの姿に変え、無力化させて連れ去る。 しかし、実はコガラシの大ファンで、想いを寄せていた。ゆらぎ荘で他の女性と楽し気に過ごしているコガラシにショックを受け、衝動的に拉致したことを、直後に告白する。本来は善良な性格だが、強引で積極的すぎる一面があり、こけしの姿のコガラシと、そのまま無理やり結婚してしまおうとする。
巳虎神 マトラ (みこがみ まとら)
鵺の妖怪の少女。緋扇かるらとともに、突如ゆらぎ荘を襲撃した。前髪を目が隠れそうなほど伸ばしたショートカットヘアを外にはねさせ、生え際と毛先の色が違うグラデーションのかかった髪色をしている。色黒で筋肉質のがっしりした身体つきをしており、男性のような口調で話す。明るく好戦的な性格で、強い相手と勝負するのが好き。 特に荒覇吐呑子には強い関心を持っている。
場所
ゆらぎ荘 (ゆらぎそう)
冬空コガラシが下宿することになった激安下宿。旅行中の女将の代わりに、仲居の仲居ちとせが管理している。かつては温泉旅館で、当時の名前は「ゆらぎ庵」。盛況だったが、女将の意向により閉館し、下宿となった。コガラシに「ゆらぎ荘」を紹介したオーナーは、「ある日、露天風呂で学生の死体が発見され、その学生の霊が建物内をさまよっているらしいという噂で客足が遠のき、廃業してしまった」と語っている。 これは誤りで、実際は閉館直前までにぎわっていた。下宿としては、初期費用0、保証人不要、即日入居可能、温泉付きで、さらに月1万5000円の食費を支払えば、朝夕2食も用意され、家賃はなんと月1000円という破格の条件となっている。