アストロ球団

アストロ球団

宇野球一をはじめとする、体にボールの形のアザがあり、人間を超えたプレーが可能な超人たちが、沢村栄治が夢見た世界最強のチームである「アストロ球団」の結成のために死闘を繰り広げる野球漫画。

正式名称
アストロ球団
ふりがな
あすとろきゅうだん
作画
原作
ジャンル
野球
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あらすじ

第1巻

後楽園球場での巨人・阪神戦に突如として現れた覆面投手は、超人的な投球を見せて姿を消す。その姿を見たJ・シュウロは、彼こそが幼い頃に沢村栄治から聞かされた超人の一人と直感し、その投手に接触しようと試みる。シュウロは戦時中に沢村から、体のどこかにボール型のアザがある、昭和29年(1954年)9月9日生まれの超人達を集め、巨人軍だけではなくアメリカ大リーグ打倒を目標としたアストロ球団を結成する事を聞かされていた。そんな沢村の夢を継ぐため、シュウロのもとには次々と超人達が集まってくる。そしてシュウロ率いるアストロ球団は、巨人・阪神戦に乱入した覆面投手の宇野球一を中心に、上野球二三荻野球五明智球七明智球八伊集院球三郎らをメンバーに加え、プロ野球界に乗り込む。だが、そんなアストロ球団の前に、巨人軍の落伍者ばかりで構成されたブラック球団が立ちはだかる。ブラック球団のエース、無七志の殺人L字ボールにより球二は死亡。それに伴う新たな超人の誕生、そしてブラック球団の「カミソリの竜」が超人の一人だったという事実を知る。大激戦の末、アストロ球団はブラック球団に勝利をおさめる。そんなアストロ球団に対し、金田正一率いるロッテオリオンズが挑戦状を叩きつけるのだった。

第2巻

アストロ球団とロッテオリオンズとの対戦が始まった。ロッテオリオンズの金田正一監督は、対アストロ球団戦に備えてモンスター・ジョー、リョウ坂本の二人を入団させ、さらに得意の心理戦でアストロ球団に揺さぶりをかける。序盤はロッテオリオンズのペースで進み、思わぬ苦戦を強いられるアストロ球団だったが、それでも超人達は驚異的な身体能力を発揮して反撃に出る。そして試合が中盤に入った頃、峠球四郎と名乗る男が現れ、宇野球一の投げる魔球をことごとく再現するパフォーマンスを行う。球四郎は球一達と同じアストロ超人である事が判明するが、彼はアストロ球団には加わらず、ロッテオリオンズの試合にも出場しないと告げて球場を去るのだった。

そんな中、球一は新魔球、スカイラブ投法を完成させ、リョウを三振に切って取るが、その影響で腰を痛めてしまう。さらに外野の守備に入ったリョウは、アストロ球団の打球をことごとく防ぎ、得点を許さない。アストロ球団劣勢のまま試合は最終回を迎え、打席には腰の負傷からまともにバットを振る事すらできない球一が立つ事となった。その時、観客席から一人の男が代打を申し出る。彼こそ、ブラック球団の「カミソリの竜」こと高雄球六だった。

第3巻

高雄球六の活躍で、アストロ球団は死闘の末にロッテオリオンズに勝利をおさめるが、プロ野球界は既存の常識から大きく逸脱したアストロ球団の実力を恐れ、アストロ球団潰しの策を実行する。その先鋒となったのが、アストロ超人の一人、峠球四郎だった。球四郎はアストロ球団を潰すため新たな超人球団を結成する事を宣言し、各スポーツ界からさまざまな人材を集めていく。その中には伊集院球三郎の兄であり、陣流拳法の総帥である伊集院大門の姿もあった。弟の球三郎を憎む大門は、野球界のみならずこの世からもアストロ球団を抹殺しよう、という球四郎の誘いを受けて彼に協力する。巨人軍の試合に乱入した球四郎は、これまで集めた人材と共に新超人球団、[ビクトリー球団]を設立、オールスター戦の日程でアストロ球団と対戦する事を宣言する。こうして昭和48年(1973年)7月23日、アストロ球団とビクトリー球団との試合が幕を開ける。

第4巻

ビクトリー球団の先発投手、氏家慎二郎は、大リーグで故意にバッターにボールをぶつけるビーンボール投法で恐れられた投手だった。氏家はそのボールで次々とアストロ球団の超人達を血祭りにあげていく。さらに[三荻野球五は伊集院大門によって肋骨を折られ、負傷退場してしまう。負傷者続出のアストロ球団だったが、ビクトリー球団もまたビーンボールの多投により氏家が廃人となり、両チームの試合はまさに「死闘」の様相を呈していく。そんな死闘の最中、観客席からバロン森という一人の男が登場。そしてビクトリー球団に加わったバロンは、これまで大門が推進してきた、自身の拳法を応用した野球を否定し、これからは真っ当な野球の技術でアストロ球団に対抗する事を提案する。自身を否定された大門はバロンと対立するが、ビクトリー球団の主将、峠球四郎は自身の懐刀であるバロンに全幅の信頼を寄せており、大門は次第にビクトリー球団内で孤立していく。そんな大門を見た彼の弟、伊集院球三郎は、大門との決着をつけるため一つの決意を固める。

第5巻

決死の覚悟で自らに挑んできた弟の伊集院球三郎との死闘を経て、伊集院大門は自身の考えを改める。そして陰腹を切って打席に臨み、宇野球一からホームランを放った末に往生を遂げる。その崇高な死に様に、大門と対立していたバロン森も涙を流し、ビクトリー球団を鼓舞する。球四郎もまた気迫のプレイでアストロ球団に挑み、それに応えるアストロ球団との試合はさらに白熱していくが、試合中のプレイがもとでバロンも死亡してしまう。アストロ球団もまた球一をはじめ負傷者・重傷者が続出し、両チーム共に満身創痍の状態となっていく中、最後の超人、火野球九郎が現れる。アストロ球団とビクトリー球団との死闘は球四郎の押し出し四球でアストロ球団の勝利に終わるが、球四郎はアストロ球団には入らず、球九郎と共に去っていくのだった。そしてその頃、プロ野球界ではアストロ球団抹殺の包囲網が着々と進行しつつあった。

登場人物・キャラクター

宇野 球一 (うの きゅういち)

アストロ球団の一員である野球選手で、ポジションは投手。当初の名前は球児だったが後に改名。巨人-阪神戦で阪神のエース江夏豊に成りすまして登場したところをJ・シュウロに超人としてスカウトされ、以後アストロ球団の中心人物となる。スカイラブ投法、ジャコビニ流星打法などさまざまな魔球・打法を身につけていく。

上野 球二【初代】 (うえの きゅうじ)

アストロ球団に入団した野球選手で、ポジションは捕手。関西弁を使う明るい性格で、当初の名前は球太だったが後に改名。実は偽のアストロ超人であり、無七志の殺人魔球を受けた際にそのことを告白し、死亡した。

上野 球二 (うえの きゅうじ)

アストロ球団の一員である野球選手で、ポジションは捕手。野球に憧れるも小児麻痺で左手を開けることができず、アストロ球団のマネージャーをしていたが、初代上野球ニが死んだ際に落雷を受け左手が開くようになり、アストロ超人として覚醒。上野球ニを襲名する。

伊集院 球三郎 (いじゅういん きゅうさぶろう)

アストロ球団の一員である野球選手で、ポジションは一塁手。元はレーサーだったが、レース中の事故により、視力を失った上、一度は心臓が止まるほどの重症を負う。シュウロによって蘇生しアストロ球団入りすると、以後は心眼によって驚異的な打撃を見せるようになる。アストロ球団一の美男子であり、慕う女性ファンが多い。 伊集院大門は兄。

峠 球四郎 (とうげ きゅうしろう)

アストロ球団の一員である野球選手で、ポジションは二塁手、投手。峠コンツェルン会長の孫であり、関西弁で話す18歳。虐げられた若者たちのために世界的な革命を起こすことを夢見ており、その野望の第一歩として、伊集院大門ら野球は素人だが各界では一流のアスリートを集めた球団である「ビクトリー球団」を結成してアストロ球団に勝負を挑む。 アドルフ・ヒトラーを尊敬しており、ビクトリー球団のメンバーにも自分のことを「フューラー」と呼ばせている。

三荻野 球五 (みおぎの きゅうご)

アストロ球団の一員である野球選手で、ポジションは三塁手。当初の名前は球一だったが後に改名。孤児院出身で、長島茂雄の秘蔵っ子として密かに育てられていた。左肩にボール型のアザを持ち、ボールが跡形もなく潰れるほどの威力を持つ「バム打法」などの必殺打法を使用する。

高雄 球六 (たかお きゅうろく)

アストロ球団の一員である野球選手で、ポジションは遊撃手。元プロ野球選手・高雄正志の息子で、「カミソリの竜」の異名を取っていた。巨人軍への復讐を誓う球団「ブラック球団」の一員としてアストロ球団と試合をしている最中に背中にボール型のアザが現れ、超人に覚醒する。ボールが燃えて捕球できなくなる「コホーテク彗星打法」などの必殺打法を使用する。

明智 球七 (あけち きゅうしち)

アストロ球団の一員である野球選手で、ポジションは左翼手。当初の名前は球七郎だったが後に改名。18歳で明智球八の兄。チーム一の低身長だが、チーム一の俊足を持つ不動の一番打者としてチームを牽引する。球八の肩の上に乗り、宙へと投げ上げられることでホームラン性の打球をもキャッチするという超人的な外野守備が得意。 当初は阪急に入団していたが、宇野球一との対決でジャコビニ流星打法の前に敗れたことからアストロ球団入りした。

明智 球八 (あけち きゅうはち)

アストロ球団の一員である野球選手で、ポジションは中堅手。18歳で明智球七の弟。球七とは対照的に非常に大きな体をしているが気はやや弱い。肩の上に乗せた球七を空高く投げ上げることでホームラン性の打球をもキャッチさせるという超人的な外野守備が得意。当初は阪急に入団していたが、宇野球一との対決でジャコビニ流星打法の前に敗れたことからアストロ球団入りした。

火野 球九郎 (ひの きゅうくろう)

アストロ球団の一員である野球選手で、ポジションは右翼手。サングラスをかけた18歳で、右手の甲にボール型のアザを持つ。アストロ球団と峠球四郎率いるビクトリー球団の試合中に、アストロ超人最後の一人としてJ・シュウロに連れられ現れる。

J・シュウロ

フィリピンの真珠王と呼ばれる実業家で、アストロ球団の総監督。少年時代に兵士としてフィリピンに来ていた沢村栄治から野球の楽しさを教わっており、沢村が夢見たアストロ超人による野球チームの実現を目指す。

伊集院 大門 (いじゅういん だいもん)

『アストロ球団』の登場人物で、顔面に大きな斜めの傷跡がある。伊集院球三郎の兄で、格闘技・陣流拳法の総帥。元は弟思いの優しい兄だったが、父親のあまりの厳しさから自分は実子ではないのではないかという疑念を抱いて父を殺害、球三郎にも重傷を与えた上で放逐する。後に峠球四郎の片腕として、彼の創設した「ビクトリー球団」の中心選手となりアストロ球団と死闘を繰り広げる。 守備位置は一塁手。

無七志 (むなし)

巨人軍に父親を廃人にされた過去がある野球選手で守備位置は投手。巨人軍への復讐を誓う球団「ブラック球団」の一員としてアストロ球団と試合を行い、一見ただのスローボールだがバッターが手を出すとボールがバットを伝っていき頭を直撃する魔球「殺人L字投法」で初代上野球ニの命を奪う。 後に川上哲治との勝負に敗れて巨人軍入り。

集団・組織

アストロ球団 (あすとろきゅうだん)

『アストロ球団』に登場する、宇野球一たちが所属する野球チーム。生前の沢村栄治が夢に見た、1954年9月9日生まれで、体のどこかにボール型のアザがあり、超人的なプレーが可能な9人の「アストロ超人」による球団であり、J・シュウロが沢村の遺志を継ぐべく実現させた。

その他キーワード

ジャコビニ流星打法 (じゃこびにりゅうせいだほう)

『アストロ球団』に登場する打法。宇野球一が使用。あらかじめヒビの入ったバットを使い、ボールを打った瞬間にバットが砕けるようにすることで、飛び散る破片で打球の行方を幻惑させる。

スカイラブ投法 (すかいらぶとうほう)

『アストロ球団』に登場する魔球の投げ方。宇野球一が使用。「スカイラブ」は空中ドッキングの意。右手にボールを持ち、大きく蹴りあげた右足を左側へ回転させる際にボールを左手へと投げ、バレーボールのアタックのように左手で打ち出すという投法。ドロップする豪速球を投げることができる。

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