概要・あらすじ
第五次非核大戦によって荒廃した世界。廃虚を彷徨っていたデュナンとブリアレオスは、ヒトミと名乗る少女にスカウトされ、人工島オリュンポスへ移住する。ヒトとバイオロイドが共存する理想郷オリュンポス。しかし理想郷といえども、人や国家やテロリズムから逃れる事はできなかった。二人は、ESWAT隊員として様々な思惑や陰謀に巻き込まれて行く。
登場人物・キャラクター
デュナン・ナッツ (でゅなんなっつ)
女性。2105年生まれ。複雑な先祖を持つ混血。幼少時からSWAT指揮官であった父親の訓練を受け、年齢に似合わない戦闘能力と状況判断力を持つ。生身の身体であるが、体内プラント(後にマイクロマシン)が埋め込まれており、大抵の薬物やウィルスを無効化できる。利き腕は右だが、左手でも武器が扱えるように訓練されている。 料理の腕はブリアレオスによると「料理名以外では区別が付かない」。
ブリアレオス・ヘカトンケイレス (ぶりあれおすへかとんけいれす)
男性。2096年生まれ。戦闘サイボーグ。デュナン・ナッツの恋人でありツーマンセルのバディでもある。多重情報処理能力を持つヘカトンケイル・システムを搭載しており、情報処理用に増設した補助脳の助けを借りて、多数の機器と同時にリンクする事ができる。若い頃KGBにスカウトされるが、作戦将校を殺して逃亡。 旧アメリカへ亡命後デュナンの父、カール・ナッツのチームに入る。しかしその後、爆発事故に巻き込まれてサイボーグとなった。
人美 (ひとみ)
女性。バイオロイド。総合管理局・立法院に所属し、秘書のような立場である。DNA内にオリュンポスのメインコンピュータであるガイアの緊急停止キーが隠されている。作者によると「彼女の存在でオリュンポスがユートピアに見えているという点で重要なキャラクター」。
宮本 義経 (みやもと よしつね)
男性。バイオロイド。ヒトミのボーイフレンド。浪費家でメカマニア。明智モータースに勤めているメカニックで一般市民。ギュゲスやランドメイトの整備をしているが、メカニックとしての腕は並。
スドオ
男性。ESWAT隊員。日系人。ESWAT教官だったが現場復帰し、古参としての経験や知識を若手に教える。デュナンを案じて先走ろうとするブリアレオスも諌められた。
マグス
男性。ESWAT隊員。軽薄な台詞回しだが、過去に豊富な経験を持つと思われるベテラン。
モートン
男性。ESWAT隊員。元旧アメリカ海兵隊隊員。マグスとコンビを組む事が多い。デュナンやA-10達より扱いが低い事に不満を持っている。
A-10 (えーてん)
男性。戦闘バイオロイド。オリュンポス行政機関内に3体しかいないうちの1体をランスは常に借り続けている。ちなみに隊員ではなく、警察犬のような機材扱いである。ファング・ブラックボーン・ベリルA-10Fが正式名称だが、名前ではなく形式名。ボルト、ジャンクの2名が登場している。
双角 (そうかく)
男性。戦闘サイボーグ。ペナンダンディ作戦の際に投降してオリュンポスに移住してきた傭兵達の一人。元SASサイボーグ部隊の軍曹で爆発物のプロ。オリュンポス移住後もSAS関係の仕事を請け負っているらしい。
ランス班長 (らんすはんちょう)
男性。ESWAT現場指揮官。大佐と呼ばれる治安局長の直属であるが、ニケ参長への直接コネクションも持つ。作戦立案、人選、配置等を手がけるが、慎重派で大胆な采配を嫌う傾向にある。
アテナ・アレイアス
女性。バイオロイド。オリュンポス総合管理局行政総監、行政院の最高責任者。ヒトの未来を真剣に憂えている。ニケ参長とは深い信頼関係にある。
ニケ参長 (にけさんちょう)
女性。バイオロイド。オリュンポス内務大臣。アテナ・アレイアス総監の片腕として、ESWATや通常の警察機構を管轄する。
アルテミス・アルペイア (あるてみすあるぺいあ)
女性。バイオロイド。都市企画班がオリュンポスへの重要メッセージを届けるために創り出した猫とヒトのハイブリッド型バイオロイド。戦闘用バイオロイドに匹敵する能力を持つ。単為生殖で繁殖する。なおアルテミスは形式名であり、個体名はアルペイア。
カール・ナッツ (かーるなっつ)
男性。SWAT指揮官。デュナン・ナッツの父親であり、デュナンに様々な戦闘技術やサバイバル技術を教え込んだ。バイオロイドへの遺伝子提供者でもある。本編には遠景のみではっきりとは登場しないが、『アップルシード DATA BOOK』では顔が描かれている。
バイオロイド
『アップルシード』に登場する人造人間。複数のヒトの遺伝子を組み合わせて人為的に作られた遺伝子操作人間。ロボットとは違い感情があるが、ヒトへの奉仕をプログラムされている。オリュンポスの人口の半数を占める。オリュンポスではタルタロス・ブロックが生長、教育の管理を行っている。
コットス
『アップルシード』に登場するロボット警察官。オリュンポス内に複数配備されており、言葉も理解するが融通が利かない。報告書作成用の記録装置も内蔵している。
集団・組織
総合管理局 (そうごうかんりきょく)
『アップルシード』に登場する組織。727,370平方kmの規模を誇る巨大な人工島、オリュンポス島に本部がある。地球の統一管理保全を目的とし、世界の情報網化、富の再配分、環境保全等をグローバルに推し進める組織である。
立法院 (りっぽういん)
『アップルシード』に登場する国家機関。7人の老人によって運営され、オリュンポスの立法を司る機関。オリュンポス議会を傘下に持つ。ヒトミはここの職員。
ESWAT (えすわっと)
『アップルシード』に登場する警察機構。「ESpecialy Weapon And Tactics」の略で、オリュンポス・ポリスにおいてSWATの上位に位置する特殊部隊。治安局長直属の組織で、警察活動よりもカウンター・テロや、軍事色の強い特殊作戦を担当する。
ポセイドン
『アップルシード』に登場する国家。巨大な海上都市群からなる企業連合国家。同作者の『攻殻機動隊』シリーズに登場するポセイドン・インダストリアルが、高い技術力と資本を背景に日本を飲み込み、産業複合体としての国家になった姿。オリュンポスと並んで世界規模のネットワークと強力な政治・経済力を持つ。別名大日本技研。
FBI (えふびーあい)
『アップルシード』に登場する政府機関。総合管理局司法省直属の機関であるが、警察というより情報機関的な性格が強い。
都市企画班 (としきかくはん)
『アップルシード』に登場する組織。オリュンポス総合管理局を企画設計した機関。上位機関は不明。
場所
オリュンポス
『アップルシード』に登場する架空の人工島、及びその上に広がる都市。北大西洋のアゾレス諸島とカナリア諸島の間に位置する。総合管理局とほぼ同義であり、住民は国民ではなく総合管理局局員である。人口の半分はバイオロイドが占め、いかなる民族や国家にも属さずに設立されたが、その設立には謎が多い。
その他キーワード
ランドメイト
『アップルシード』に登場するパワードスーツ。「LM」と略される。着るというより乗るという感覚で、民生用、警察用、軍用と多岐にわたる。動作は搭乗者の腕が入ったマスターアームを動かすと、外側のスレイブアームが動きをトレースするという形式が一般的。
多脚砲台 (たきゃくほうだい)
『アップルシード』に登場する兵器。オリュンポス防衛用の自律機械でオリュンポスのメインコンピュータであるガイアと直結している。バイオロイドをヒトの敵と見做したガイアによりオリュンポス市民への攻撃を開始するが、ヒトミのDNAに組み込まれた緊急キーにより停止させられる。
ヘカトンケイルシステム
『アップルシード』に登場するサイボーグ技術。ブリアレオスが搭載している多重情報処理システム。一度に複数の情報処理機器とリンクしたり、複数の手足を操作する能力を持つが、適合性に問題がありブレアリオスを含め数名しか搭載していない。ギリシャ神話に登場する巨人ヘカトンケイルの名にちなむ。
ガイア
『アップルシード』に登場する巨大コンピュータ。オリュンポスの都市機能を司る。緊急時に備えてヒトミのDNAに緊急停止用のキーが組み込まれている。
ギュゲス
『アップルシード』に登場するパワードスーツ。ギュゲス、ギュゲスMM、ギュゲスD等多くのバリエーションが存在する。特にギュゲスDはESWATに正式採用されているモデルで、ダミュソスシステムにより無音で飛行が可能である。なお、通常のギュゲスDがマスター・スレイブ方式の腕を装備しているのに対して、ブリアレオスの物はヘカトンケイルシステムで操作するため、4本の腕がそれぞれ別の動きをする事ができる。
ダミュソス
『アップルシード』に登場する超技術。一種の反重力システムで,多脚砲台の自重軽減や、ギュゲスD型の飛行システムに用いられている。
オーク
『アップルシード』に登場するパワードスーツ。ESWATの装備。ランドメイトよりも小型で、着るように装着する個人用ボディプロテクタ兼パワーアシスト・スーツ。顔付きが凶暴である。ベナンダンティ作戦で使用された。
ガーシム
『アップルシード』に登場するパワードスーツ。ESWATの装備。オークよりも更に軽量薄型で、装甲よりもパワーアシストと衝撃干渉を主目的とする。ESWAT隊員がギュゲスDに登場する時、飛行時のG等を軽減するために装着する。