概要・あらすじ
アメリカ・フロリダのライブハウスでバンド活動をしているグラン・パのアパートに、1人の浮浪児が転がり込んできた。リューと名乗る少女は、いつもドン・マクリーンの『アメリカン・パイ』を無気力に口ずさみ、自分のことは何も語ろうとしない。ためしに舞台で歌を歌わせてみたら、未成熟だが人の心をつかむ純粋な歌声で、観客を熱狂させた。
やがて、話を聞きつけたリューの両親がフランスから迎えに来た。リューはボルドーの大きなぶどう園の娘で、病のために余命がいくばくもなく、家出をしていたのだった。グラン・パは、リューをフランスに戻すよりも、生を全うするためにこのまま歌わせたいという。
登場人物・キャラクター
リュシェンヌ・クレー (りゅしぇんぬくれー)
そばかすだらけで、一見、少年のような少女。実はボルドーの大きなぶどう園の一人娘だが、不治の病にかかり、世界中から医師を呼んだが治らず、家族に気を使わせる自分がイヤで家出をした。海外を9か月放浪し、マイアミでグラン・パに拾われる。人を惹きつける純粋な歌声を持つ。
グラン・パ (ぐらんぱ)
アメリカ・フロリダのライブハウス『あなぐら』でバンド活動をしている男性。作曲、ギター演奏、ボーカルをこなすが、顔が不細工なので人気はない。面倒見がよく、世話好き。浮浪児だと思ったリューを拾い、身上を知ってからも世話をし、見守り続ける。12歳で親と死に別れ、祖母に育てられたが、祖母も他界したため1人暮らしになった。 ガレージの上の安下宿に住む。
ローダ
アメリカ・フロリダのライブハウス『あなぐら』の受付係。黒髪をアップに結い上げた美人で、グラン・パに片思いされている。しばしばリューとグラン・パの面倒を見てくれる。
ウィースバード先生 (うぃーすばーどせんせい)
ワシントン在住の医師。1年前、クレー夫妻にフランス・ボルドーまで呼ばれ、リューの診察をしたことがある。マイアミにバカンスに来ているときに、偶然、リューと再会し、クレー夫妻を呼ぶ。人がいい性格で、その後もリューのことを遠巻きに見守り続ける。
ジャクスン
アメリカ・フロリダのライブハウス『ジャンスン・プレイ』のオーナー。グラン・パとは小学生時代からの友人。やり手で、見込みのありそうな若いミュージシャンを引っ張ってくる。リューの歌声の評判を聞き、『あなぐら』から引っ張り、病気のことを知らないまま、将来は大物シンガーに育てたいと思っている。
クレー夫妻 (くれーふさい)
リューの両親。フランス・ボルドーで大きなぶどう畑を経営している。1人娘のリューことリュシェンヌが不治の病にかかったため、世界中から高名な医師を呼んだ。その中のひとりであるウィースバード先生から、家出をしたリューが見つかったと連絡をもらい、マイアミに飛ぶ。しかし、このまま歌わせておきたいと言うグラン・パに、「歌があの子を救えますか?」と詰め寄るが、グラン・パの説得に納得してフランスに帰る。