レ・セルバン

レ・セルバン

『はねバド!』に次ぐ、濱田浩輔の連載作品。魔物や妖術が存在する、中世ヨーロッパに似た架空世界、ヘイムガルドが舞台。ある日、山裾の国(ヘレンタール)が敵国に滅ぼされ、封印されていた邪竜が目覚めた。王女のアルシノエ・グランカマーノは、「思い出を喰う狂女」の力で邪竜を抑えるが、その代償に父のセルバン・グランカマーノ・ヘルダイルⅡ世の記憶を失ってしまう。亡国の王と記憶を失った王女の、「再生」の旅を描いたダークファンタジー。小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」2022年第6号より連載。

正式名称
レ・セルバン
ふりがな
れ せるばん
作者
ジャンル
ダークファンタジー
 
ヒューマンドラマ
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊4巻
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亡国の王と娘が、故郷を取り戻す旅に出る

中の紀1033年、友好国であるはずのイリア皇国が、山裾の国(ヘレンタール)に進軍。城を離れていたヘレンタールの王、セルバン・グランカマーノ・ヘルダイルⅡ世が戻ったときには、王宮はすでに壊滅状態にあった。王女のアルシノエ・グランカマーノは運良く生き延びていたが、妻のハンナは殺されてしまう。ハンナは魔力を持つ楽園の民(アバタールびと)であり、地下の洞窟で、邪竜、スキアールインを封印していた巫女(みこ)である。彼女の死により、邪竜はその姿を現し始めた。アルシノエは、大切な記憶を代償に強力な炎を放つ「思い出を喰う狂女(セント・ファナ)」を母から託されていた。母の思い出と引き換えにその力を使おうとするアルシノエだったが、セルバンに説得され、父との思い出を代償にする。こうしてアルシノエは、邪竜を弱めることに成功するが、セルバンに関する一切の記憶を失ってしまった。セルバンはアルシノエを連れて自国を脱出。必ず故郷を取り戻すことを誓い、楽園の民の助力を得るため、彼らの国、光輝く砦(グレンツェン・フォルト)を目指す。

人間の力を集結し、邪竜に対抗する

1000年近く前、平和だったヘイムガルドに、突如黒き邪竜が飛来した。存在自体が巨大な魔力の塊であるその竜を追い、北の海から、魔力を持つ種族、楽園の民が上陸する。楽園の民はヘイムガルドの覇者である巨人族、ヘルダイル人とともに戦い、魔女のハンナの力で邪竜を洞窟に封印することに成功した。それから1000年、たった一人で邪竜を封じ続けたハンナが殺され、世界は再び危機に見舞われる。この窮地を乗り切るためには、仲間が必要だと考えたセルバンは、騎士の国、スフランデルやハルパニア王国など、すべての人間の王に協力を求めた。そしてセルバン自身も、最古の民族、ロニ族の地で、邪竜と戦ったヘルダイル人の先祖、セルバンⅠ世の力を手に入れる。

魔神を使役するアルシノエ

邪竜を封じるためには「魔神」の力を借りる必要がある。邪竜を封印していたアルシノエの母・ハンナも魔神を集め、その身に複数の魔神を宿していたのだ。魔神は、人間の信仰によって生み出されたものであり、月光を魔力に変える楽園の民によって各地に封印された神々である。人間と楽園の民の血を受け継ぐアルシノエは、旅の途中で出会った魔神を身体に宿し、必要に応じて呼び出すようになる。魔神を使役する力を持つアルシノエは、邪竜を封じる鍵となる存在である。

野心を持つ皇子により、世界中に闇の眷属(けんぞく)が放たれる

ヘレンタールに攻め入ったイリア皇国を率いたのは、第3皇子コントラーノⅡ世である。偽の会談を設けてセルバンを遠ざけ、その間に城に侵入。封印の巫女、ハンナを殺害した。コントラーノは、イリア聖教大司教サマエルの進言により、邪竜とその身を一つにし、強大な力を得てこの世を支配しようとしていたのだ。しかし、アルシノエの「思い出を喰う狂女」による炎は、邪竜の完全な目覚めを防ぎ、コントラーノは不完全な身体のまま生き続けている。ヘレンタールを占領したコントラーノは「アンブロジア王国」を名乗り、第1皇子が権力を握るイリア皇国から独立。世界中に向け、おびただしい数の異形の怪物、闇の眷属を放つ。

登場人物・キャラクター

セルバン・グランカマーノ・ヘルダイルⅡ世

山裾の国(ヘレンタール)の王。約1000年前、楽園の民(アバタールびと)とともに邪竜スキアールインと戦った巨人族、ヘルダイル人の末裔(まつえい)。若く見えるが実年齢はおよそ100歳。長髪と長いひげが特徴の大柄な男性。妻は約1000年間、一人で邪竜を封印していた楽園の民のハンナ。イリア皇国のコントラーノⅡ世により国を追われ、父のことを忘れてしまった一人娘のアルシノエ・グランカマーノと旅をする。強い力で叩けば雷を放つ、オルフェン鋼という隕鉄で造られた巨大な斧「隕鉄の雷斧」を持つ。また、ロニ族にもらった「学びの腕輪」で、先祖である巨人族、セルバンⅠ世の強大な力を得る。

アルシノエ・グランカマーノ

山裾の国(ヘレンタール)の王女で10歳の少女。セルバン・グランカマーノ・ヘルダイルⅡ世の娘。愛称は「アル」。母は約1000年間、邪竜のスキアールインを封印していた楽園の民(アバタールびと)・ハンナ。イリア皇国のコントラーノⅡ世の侵略を受けるが、身代わりの少女のお陰で生き延びる。邪竜が目覚めようとした際、母から託された「思い出を喰う狂女(セント・ファナ)」の力で邪竜を弱体化させるが、そのかわりに父に関する記憶を失ってしまう。各地に眠る「魔神」を使役する力を持ち、欲望の町(イピシミア)という場所で出会った「風を運ぶ鯨(バルフィート)」を身体に宿す。

書誌情報

レ・セルバン 4巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2022-09-30発行、 978-4098613571)

第2巻

(2023-04-28発行、 978-4098613939)

第3巻

(2023-12-27発行、 978-4098625932)

第4巻

(2024-05-30発行、 978-4098627912)

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