アリアドネの冠

アリアドネの冠

メディチ家の跡取り息子・ロレンツォ・デ・メディチと自由奔放な踊り子の少女・スティラを中心に、15世紀のイタリア・フィレンツェを舞台にした、ルネサンスラブコメディ。「ウルトラジャンプ」2015年4月号から連載中の作品。

正式名称
アリアドネの冠
ふりがな
ありあどねのかんむり
作者
ジャンル
その他歴史・時代
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概要・あらすじ

国を動かすほどの巨額の財産を持つ名家・メディチ家の大事な跡取り息子として、大切に育てられていたロレンツォ・デ・メディチは、生まれた時から決められたレールの上を歩くだけの人生に息苦しさを感じ、退屈な日常を過ごしていた。そんなある日、気晴らしに屋敷のそばにある湖の周辺を1人で散歩していたロレンツォは、普段誰もいない湖に人の気配を感じる。

湖に近づくと、そこには妖精のように美しい少女が、一糸まとわぬ姿で踊っていた。ロレンツォは浮世離れした美しい光景に目を奪われていたが、少女はロレンツォの存在に気づくと急いで衣服を着て、ロレンツォの頬に思い切り平手打ちをする。そして自分が裸で踊っている姿を覗いた代金をよこせ、とロレンツォに迫るのだった。

手持ちのないロレンツォは仕方なく、小腹が空いた時に食べようとしていたお菓子を手渡し、ひとまずその場を収めることに成功する。こうしてロレンツォは気分を落ち着かせた少女としばし談笑するが、立ち去り際に、もう一発少女から平手打ちをくらってしまう。大いに気分を害して帰宅したロレンツォだったが、その後も湖で踊る少女の姿が脳裏にちらつき、気分が落ち着かない日々過ごすことになる。

そんなある日、自室で次期当主としての実務をこなしていると、ロレンツォはあの少女から突然の来訪を受けることとなる。彼女の名前はスティラで、ロレンツォの花嫁候補として、これからしばらくメディチ家に世話になるのだという。こうして、今まで退屈していたロレンツォの日常は、スティラによって波乱万丈な日々へと変わっていく。

登場人物・キャラクター

ロレンツォ・デ・メディチ (ろれんつぉでめでぃち)

メディチ家の長男で次期当主。黒髪で背が高くてスタイルが良く、白いシャツに黒いジャケットを羽織っている。仕事も学問もそつなくこなす秀才で、世間からの評判も良いが、生まれた時から決められた将来に対して、息苦しさを感じている。そのため、周囲が楽しい時間を過ごしていても、退屈そうに覚めた表情をしていることが多い。また育ちの良さから、気が強くプライドが高いところがある。 スティラと出会い、彼女の奔放さに振り回されながらも、交流を深めていくことによって、自分の中に新しい一面を見出すことになる。実在の人物、ロレンツォ・デ・メディチがモデル。

スティラ

踊りを生業にするロマの少女。小柄で大きな瞳をしていて、緑色のボブヘアに大きな赤いリボンを付けている。さまざまなドレスを着用するが、普段は踊りやすい軽装を好んで身に着けている。母親のリディアはスティラを産んで間もなく亡くなった。それからは旅芸人のデージェが母親代わりとして彼女を育て、乳姉弟のソルとともに世界各国を興行して暮らしていた。 明るくおてんばなところがあり、身分が上の者に対しても決して物怖じせず、好き勝手に行動をすることが多い。メディチ家の次期当主・ロレンツォ・デ・メディチの花嫁候補として、メディチ家で生活することになる。

ピエロ・デ・メディチ (ぴえろでめでぃち)

ロレンツォ・デ・メディチの父親。長い黒髪で、前髪を中分けにしている。メディチ家の現当主ではあるが、重度の痛風持ちで、次期当主のロレンツォによく仕事を任せている。物静かで温和な性格をしていて、スティラが、ロレンツォの父親だということを知らずに「おじいさん」と呼んだり、敬語を使わず親しげに話しても怒らずに、会話を楽しんでいた。 また、優れた審美眼の持ち主で、自室にはさまざまな絵画が飾られている。実在の人物、ピエロ・ディ・コジモ・デ・メディチがモデル。

ルクレツィア・トルナブオーニ (るくれつぃあとるなぶおーに)

ロレンツォ・デ・メディチの母親。頭頂部で盛った長い髪を背中に流しており、ロングドレスを着用している。メディチ家の当主で夫のピエロ・ディ・コジモ・デ・メディチが病弱なため、実質的にメディチ家の実権を握っている人物。将来の次期当主として、何かと息子のロレンツォを気にかけているが、ロレンツォからはお節介だと思われている。 実在の人物、ルクレツィア・トルナブオーニがモデル。

ソル

デージェの息子。小柄で癖のある黒髪で、小麦色の肌をしている。肌の露出の多い、動きやすい服装を好んで着用している。幼い頃に母親を亡くしたスティラをデージェが引き取ってからは、姉弟のように育てられた。明るく活発な少年で、スティラとともに都会へ出かけては悪戯を働き、その度にデージェに叱られている。年下なのにも関わらず、スティラに対して、身だしなみやおてんばな性格を指摘するなど、お節介なところもあるが、しっかり者で真面目な性格。

デージェ

ソルの母親。癖のある長い黒髪で、背が高く小麦色の肌をしている。ロングドレスを着用していることが多い。ロマの一族を率いながら、旅芸人の興行の座長を務めている。生まれて間もなく孤児になってしまったスティラを、実子のように育ててきた。責任感が強く、面倒見の良い性格だが、イタズラ好きなスティラとソルには頭を悩ませている。

ナプテ婆 (なぷてばあ)

ロマの一族の老女。長い白髪を左右で分けて三つ編みにした2つの束の毛先を、1つにまとめて結んでいる。もともとはロマの一族の長だったが、今はデージェにその座を譲った隠居の身。一族の者たちからは「ババ様」と呼ばれて慕われている。スティラやソルなど子供たちを相手に、占いをして遊んであげるのが毎日の楽しみ。

ジュリアーノ・デ・メディチ (じゅりあーのでめでぃち)

ロレンツォ・デ・メディチの弟。小柄で癖のある黒髪をしている。メディチ家の第二後継者で、明るく人懐こい性格をしており、年の離れた兄のロレンツォを尊敬している。また、痛風で病床に伏せることの多い父親のピエロ・ディ・コジモ・デ・メディチの部屋が、少しでも明るい雰囲気になるように、毎日花を摘んで来ては飾りつけたり、家庭教師から習っているラテン語の本を読み聞かせてあげたりと、優しく父親想いな一面も持っている。 実在の人物、ジュリアーノ・デ・メディチがモデル。

マルシリアス・フィチーノ (まるしりあすふぃちーの)

学者の男性。ロレンツォ・デ・メディチの祖父のコジモの代から懇意にしている。長髪で毛先が少しカールしており、アカデミックドレスを着用している。本業の他に次期メディチ家当主・ロレンツォの家庭教師も務めており、さまざまな学問を教えている。それ以外にもロレンツォのスケジュールや体調管理も任されている。その神経質過ぎる程の細かさから、ロレンツォには家庭教師というよりも看守のようだと思われ、煙たがられている。 実在の人物、マルシリオ・フィチーノがモデル。

レオナルド・ダ・ヴィンチ (れおなるどだゔぃんち)

芸術家の14歳の少年。14歳とは思えないほどに背が高く、大人びた雰囲気を漂わせている。長い髪を後頭部で1つに束ね、白いロングジャケットを羽織っている。ヴィンチ村にあるヴェロッキオという名の工房で、絵画やデザイン、彫刻等、さまざまな芸術作品を創作している。詩や哲学等の分野にも造詣が深く、趣味は世の中のこと「全部」と言い切ってしまう位に、好奇心豊かで探究心に優れている。 女癖が悪く、メディチ家に客人としてやって来た際には、使用人の女性を口説いて手を出そうとしていた。実在の人物、レオナルド・ダ・ヴィンチがモデル。

サンドロ・ボッティチェリ (さんどろぼってぃちぇり)

芸術家の男性。背が高く、癖のある長い髪で、詰襟のジャケットを着用している。メディチ家から庇護をもらっている、「リッピ」という名の工房に弟子入りして、絵画の修行をしている。強情でプライドが高く、自らの絵には自信を持っており、メディチ家に招かれて絵を描いて披露した際に、同じくその日に招かれていたレオナルド・ダ・ヴィンチから酷評されて怒り心頭に発した。 その後、口論がエスカレートし、どちらの方が絵の実力が上なのか勝負を挑むことになった。実在の人物、サンドロ・ボッティチェリがモデル。

集団・組織

メディチ家 (めでぃちけ)

フィレンツェの銀行家の一族。ロレンツォ・デ・メディチの祖父にあたるコジモの代で巨額の財産と現在の地位を得た。ローマ教皇庁の財務管理者として、国の政治にも多大な影響力を持っている。現当主はロレンツォの父親のピエロ・ディ・コジモ・デ・メディチ。また、芸術にも造詣の深い一族として有名。

ロマ

スティラが属していてる漂泊の民の一族。食料や日用品等の必要なものは家族以外の誰の力も借りず、自分たちで調達してその日暮らしをしている。一族の長のデージェは、旅芸人の座長として一族を率い、興行をしながら各地を転々としている。

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