アリンコの歌

アリンコの歌

地方の分校に赴任してきた青年教師が体験する物語。1960年代、都会を遠く離れ、高度成長の波にも取り残された貧しい炭坑の村で、必死に生き抜く人々の生活を、笑いと涙で生き生きと描写した、ちばてつやが円熟期に差しかかる以前の代表作。なお、タイトルの「アリンコ」とは、全身真っ黒になって働く炭坑夫の姿をアリになぞらえ、その子供たちを意味している。「週刊少女フレンド」にて1965年8月から1966年7月にかけて連載された作品。

正式名称
アリンコの歌
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
レーベル
ちばてつや全集(ホーム社)
巻数
全2巻
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概要・あらすじ

両親の反対を押し切り、田舎の分校に赴任して来た青年教師の城大介は、村人とその子供たちから歓迎されず、よそ者扱いされる。しかし、大介が情熱をもって生徒たちに接するうちに、次第に彼らと打ち解け、互いを理解し合うようになる。そして、町村対抗の大運動会に向けて、大介と生徒たちは懸命に練習に打ち込み、さらに絆を強めていく。

そんななか、両親不在のため心が荒んだ季節抗員の子供たちが、村にやって来て、大騒動を巻き起こす。大介は対立しあう子供たちの間に立ち、奮闘するのだった。

登場人物・キャラクター

城 大介

黒沢分校に赴任して来た青年教師。裕福な家庭で育った都会の若者だが、あえて田舎の学校を職場に選んだ。児童教育に情熱をかける独身男性。数々の苦難に対しても信念を曲げず、体当たりでぶつかっていく。猪突猛進タイプで、時には失敗もやらかす、愛すべき熱血漢。

城 智子

小学6年生の女の子。城大介の妹。東京で両親と暮らしている。見かけは美少女だが、勝気な性格で、運動も得意なおてんば娘。兄の大介のあとを追って黒沢炭坑の村を訪れ、村の子供たちと仲良くなり、村に居ついてしまう。野球の試合では投手として活躍する。

西郷 文

村の診療所兼託児所で働く美女。黒沢分校に通う西郷ケンの姉。優しい性格のお姉さんとして、村の子供たちから慕われている。城大介とは、村で騒動が起こるたびに顔を合わせることとなり、互いに惹かれていく。

奥山

黒沢分校に勤務する男性教師。教諭免許を持っておらず、新任の城大介を敵視して、追い返そうとする。体罰も辞さない荒っぽい教育方針だが、生徒には慕われている。ダイナマイトの取り扱いに長けている。

吉沢 権助

黒沢分校に通う、数少ない中学生男子のひとり。生徒では一番の年長者。教師の不在時には、生徒たちの監視役を務める。腕っ節が強く、体力にも自信がある。運動が得意なガキ大将だが、離ればなれになっている母親を恋しがる、さびしがり屋な一面もある。

吉沢 たつえ

吉沢権助の母親。権助がまだ幼い頃に、飲んだくれで甲斐性なしの夫と離婚し、家を出た。今は東京の料理屋で働いている。いつも息子の権助を気にかけている。

ヒナ夫

黒沢分校に通う小学生男子。つるつるのハゲ頭。口やまかしく、食いしん坊なうえ、イタズラ好き。しかし、人懐っこい性格で、赴任してきた城大介と、誰よりも早く仲良くなる。チビで運動は苦手だが、負けず嫌いながんばり屋。

西郷 ケン

黒沢分校に通う小学6年生。西郷文の弟。小学生たちのリーダー的存在で、運動も得意で頭も良い少年。町村対抗の大運動会では、複数の種目に出場して大活躍する。卒業後の進路のことで悩んでいる。

西郷 千代子

西郷ケンの妹。まだ小学校入学前の未就学児童ながら、ケンにくっついて、毎日分校に通っている。勝ち気な性格だが甘えん坊。分校では、いつも城大介にまとわりついて、彼を困らせている。

ネコ先生

黒沢診療所のたった1人の男性医師。診療所に泊まり込んで働いている。普段は酒びたりの生活を送っている。飲んだくれていつも寝込んでいるため、「ネコ先生」のあだ名で呼ばれている。しかし、炭坑の落盤事故で、診療所に急患が運び込まれるなど、有事の際には大奮闘して活躍する。

大原 大造

黒沢炭坑を所有する山主の男性。村全体を支配する実力者。絵に描いたような成金趣味の外見で、強欲でケチな性格で知られる。一方で、町村対抗の大運動会では、村民を乗せたバスを連ねて駆けつけ、応援団長を買って出るほど郷土愛が強い。

小林 サコ

黒沢炭坑にやって来た季節抗員の女の子。子供たちのリーダー的存在。長く両親と離れて暮らしているので、ひねくれて暴力的な性格になっている。しかし、心では学校での勉学に飢えている。ケンカの際には、意表をついた戦法を考え出すほど悪知恵が働く。

日比野

金倉小学校野球チームのピッチャー。金倉小学校は、町村対抗の大運動会の常勝校として知られる。毎年優勝している無敵チームのエースだけに、相手を見下した生意気な性格の男子生徒。試合では、黒沢分校のピッチャー・城智子と投げ合い、サウスポーからの剛速球を披露する。

山本 美代

季節抗員の女の子で、未就学児童。小林サコたちと、黒沢炭坑の村にやって来る。両親と離れて暮らすさびしさのあまり、病の床に伏せってしまう。父親は、東京の工事現場で働いている。

場所

黒沢分校

黒沢炭坑で働く抗員一家の子供たちが、通学する学校。生徒数が少ないため、全学年の生徒が1つの教室で学ぶ。小・中学が合体した複式学級形式で、教師も1人だけ、という特殊な環境となっている。古い木造平屋の建物で、村人たちからは「寺子屋」呼ばわりされている。

書誌情報

アリンコの歌 全2巻 ホーム社〈ちばてつや全集〉 完結

第1巻

(1998年6月発行、 978-4834283679)

第2巻

(1998年6月発行、 978-4834283686)

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