アルカサル-王城-

アルカサル-王城-

14世紀のイベリア半島中央部に実在したカスティリア王国(現在のスペイン)、その王として15歳で即位したドン・ペドロ1世は、怒りの激しさで「残酷王」と呼ばれ、また公平さで「審判王」とも呼ばれた。後世の評価が別れるこの人物の、激烈なまでの支配への欲望と尋常でない行動力を好意的に捉えて波乱万丈の人生を描いた、歴史ロマン大作。

正式名称
アルカサル-王城-
ふりがな
あるかさる おうじょう
作者
ジャンル
時代劇
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概要・あらすじ

イベリア半島中央部に実在したカスティリア王国、その王である父の病死により、即位したドン・ペドロ1世は、恐ろしく精力的かつ直情径行な男であった。即位当初は宰相の傀儡に甘んじていたが、18歳の時に自らの新政権を発足させる。しかし反発勢力の抵抗に合い、王という名称以外のすべての権力を失う。ドン・ペドロ1世は反省し力を蓄え、権力を取り戻して21歳でカスティリャ王国の専制君主となった。

以後、国内では冷酷な政治を行い、また近隣の王国をも併合して支配しようと、様々な策略をもって激しい戦いを繰り広げる。

登場人物・キャラクター

ドン・ペドロ1世 (どん・ぺどろいっせい)

イベリア半島中央部に実在したカスティリア王国の王子として1334年に生まれる。しかし、父アルフォンソ11世の心は、王妃マリアでなく愛妾レオノーラに向いていたため、彼と母のマリアは王宮より離れた城に追いやられ、父王の愛を得られぬ幼少時代を過ごす。父の急な病死によって、1350年に15歳の若さで即位するが、当初は宰相ダンブルケルケの傀儡に甘んじるしかなかった。 3年後、宰相の影響力を排除し、自らの血縁関係(異母兄弟) と愛妾マリア・デ・パデリアの親族等によって王権を握る。だがその感情の激しさから発生した恋愛事件を、異母兄のエンリケに利用され、諸侯や高名貴族の反発に合い、実母にまで裏切られ、王という名称以外のすべての権力を失う。 ドン・ペドロは反省し力を蓄え、やがて対抗勢力の同盟の内部分裂に乗じて権力を取り戻す。エンリケは逃亡し、生涯にわたってドン・ペドロの宿敵となった。21歳でカスティリア王国の専制君主となったドン・ペドロは、以後国内に関しては裏切りを一切許さない冷酷な政治を行うこととなる。 また様々な策略をもって近隣のアラゴン王国を支配しようと目論み、また政変のあったグラナダ王国とも激しい戦いを繰り広げた。「残酷王」とも呼ばれた、実在の人物であるカスティリャ王ペドロ1世がモデル。

マリア・デ・パデリア

ドン・ペドロの愛妾、のちに正式に妻となる。ドン・ペドロが少年の頃から、彼の母である王妃マリアの侍女であったが、ドン・ペドロの即位後、宰相ダンブルケルケにあてがわれて愛妾となった。ドン・ペドロは、正式な妻としてフランスから迎え入れたブランシュ・ド・ブルボンの性格を嫌悪して幽閉し、マリア・デ・パデリアに愛情を注いだ。 ドン・ペドロとの間に、三人の娘と一人の息子をつくる。その後ブランシュ妃が病死したため、ドン・ペドロはマリア・デ・パデリアを正式な妻とする。実在の人物であるマリア・デ・パデリアがモデル。

エンリケ・デ・トラスタマラ

ドン・ペドロの異母兄。アルフォンソ11世と愛妾レオノーラ・デ・グズマンの間に生まれた双子の兄。自己中心的で、手段を選ばない冷酷さを持つ。庶子だがアルフォンソ11世の愛を受けて育ったため、王位に対する執着が異様に強く、正嫡で王となった異母弟ドン・ペドロを憎む。 一度はドン・ペドロの権力掌握に力を貸すが、ドン・ペドロが恋愛に暴走し失策を犯すと、素早くそこにつけ込んで反対勢力を形成し、ドン・ペドロから権力を剥ぎ取った。しかし、反対勢力同盟が内部分裂を起こし、ドン・ペドロが権力を取り戻すと、国外に逃亡する。以後、隣国アラゴン王国やフランスに居住し、カスティリアの王権を狙い続ける。 妹のカテリナを偏愛する。実在の人物であるエンリケ・デ・トラスタマラがモデル。

アルフォンソ11世

カスティリア王国の王でドン・ペドロの父。元ポルトガル王女だった王妃マリアとの間に、嫡子ドン・ペドロ1世をもうけるが、愛は常に愛妾レオノーラ・デ・グズマンに向かっており、レオノーラが権力を濫用するのを容認していた。レオノーラとの間に、三男一女がいる。 回教徒の侵略からジブラルタルを救うため出兵したが、黒死病にかかって1350年3月に急死する。実在の人物であるカスティリャ王アルフォンソ11世がモデル。

ダンブルケルケ

カスティリア王国の宰相。アルフォンソ11世が死ぬまでは、王妃マリアとドン・ペドロ1世を擁護してきた。のちに15歳で即位したドン・ペドロ1世の後見人として、カスティリア王国の権力を握る。後に、傀儡であることを嫌ったドン・ペドロ1世の手により追放された。 その後の、ドン・ペドロから権力を剥ぎ取る戦いの最中に、ドン・ペドロが送った射手の矢で絶命する。

ブランシュ・ド・ブルボン

宰相ダンブルケルケなどの手配によりドン・ペドロ1世の正式な王妃としてフランスからやって来た公女。プライドが高く、これがドン・ペドロが嫌悪する母、王妃マリアと同じであったため、王よりを拒絶される。ドン・ペドロの手によりダンブルケルケが追い出されたあとは、幽閉された。 彼女は王妃としての誇りを支えにして幽閉生活に耐えるが、難病にかかってしまう。実在の人物であるブランシュ・ド・ブルボンがモデル。

ディエゴ・デ・パデリア

マリア・デ・パデリアの兄。ダンブルケルケを追い出した際、カラトラバ騎士団長になり、以後ドン・ペドロ1世を宮廷で支えたり、戦場でもり立てる。

フアン・フェルナンデス・デ・イネストロサ

マリア・デ・パデリアの叔父。ドン・ペドロ1世の宰相となる。政治・戦争の両面からドン・ペドロを甥とともに支える。

ロドリゲス・デ・カストロ

ガリシアの騎士。美人の妹ホアナがドン・ペドロの情熱的な恋の対象になるが、すぐ捨てられたことに怒り、エンリケらと同調してドン・ペドロの権力を剥ぎ取る一翼を担う。この件でエンリケの妹カタリナと結婚するが、のちに妹を道具にしか思っていないエンリケに引き離されてしまう。 この時の恨みから、妹ホアナの件は水に流し、ドン・ペドロの忠臣となって、戦場で縦横無尽の活躍を見せる。

エル・レビ

ドン・ペドロの財務官。ユダヤ人。ダンブルケルケが追い出された後、財務官に任命される。ドン・ペドロが権力を剥ぎ取られたあとも見捨てることなく仕え、その財力で反対勢力の買収などを行い、ドン・ペドロ復活の中核となった。ユダヤを嫌う傾向にあったイベリア半島で、異教徒に寛容で、自分を重用するドン・ペドロに恩義を感じている。

アラゴン国王ペドロ4世 (あらごんこくおうぺどろよんせい)

カスティリア王国の隣国の中で、一番ドン・ペドロと争った王。逃げこんできたエンリケを利用したり、グラナダ王国の政変に背後から介入した。また、あまり美人でない娘たちを結婚政策に用いようと努力している。実在の人物であるアラゴン国王ペドロ4世がモデル。

マルティン・ロペス・デ・コルドバ

コルドバの騎士だが、さほど名家の出ではない。ある城内で起こった小さな反乱に立ち向かったことで、剣の才能と忠義心をドン・ペドロに評価され、侍従となり重用される。時として秘密の死刑執行の役を負わされることもあり、周囲からは気味悪がられ、プライドの高い名家出身の騎士の妬みを買ったりした。 その後、カラトラバ騎士団長となり、さらにはドン・ペドロの庶子サンチョの家令の役も受ける。

ガルシ・アルバレス

サンチアゴ騎士団長として、戦場で腕をふるった。それまでサンチアゴ騎士団長だったファドリケ(エンリケの双子の弟)が、エンリケの陰謀でドン・ペドロに殺されたあと、任命された。さらにその後には、信頼されてドン・ペドロの嫡子アルフォンソの執事に任命される。

グラナダ王ムハンマド5世 (ぐらなだおうむはんまどごせい)

カスティリア王国の南にある回教国グラナダ王国の王。カスティリア王国の庇護を受けていたが、アラゴン王国とムハンマド5世の弟イスマイルが密約を交わし、ムハンマド5世を追い落として、イスマイルが王位に就く。ムハンマド5世はドン・ペドロに王位奪還の手助けを要請する。 実在の人物であるムハンマド5世がモデル。

アブー・サイド

グラナダ王国の宰相だったが、新たに王になったイスマイルが変死したため、自らが国王となる。最初からそれが目的で王弟イスマイルをそそのかした。ドン・ペドロと激しい戦いを繰り広げる。

ナバーラ王カルロス2世 (なばーらおうかるろすにせい)

カスティリア王国の東北にある、ナバーラ王国を支配する王。「悪人王」という名の通りに、カスティリア王国とアラゴン王国を相手に、狡猾な政治を行う。実在の人物であるナバーラ王カルロス2世がモデル。

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