アンナ・コムネナ

アンナ・コムネナ

陰謀渦巻く宮廷を舞台に、中世の東ヨーロッパにあったビザンツ帝国の皇女で、のちに女性歴史家として名を残したアンナ・コムネナの少女時代からの成長を描いた歴史ロマン。星海社「ツイ4」で2021年11月から配信の作品。

正式名称
アンナ・コムネナ
ふりがな
あんな こむねな
作者
ジャンル
西洋史
レーベル
星海社COMICS(星海社)
巻数
既刊4巻
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あらすじ

皇女の野心

舞台は11世紀末のビザンツ帝国。皇女のアンナ・コムネナは、いつか皇帝になるという野心を抱いていた。しかし、弟のヨハネス・コムネノスが誕生したことや、共同皇帝であった婚約者のコンスタンティノス・ドゥーカスが急死したことで、その野望は潰(つい)えてしまう。その後まもなく、12歳のアンナは名門軍事貴族のニケフォロス・ブリュエンニオスと政略結婚する。控え目でまったく野心のない夫に失望するアンナだったが、やがてニケフォロスの教養の高さに触れ、勉学に興味を持ち始める。さらに、ニケフォロスに文章の才能を見出され、文人皇帝になるという目標を抱くようになる。

緋色の陰謀

アンナ・コムネナの祖母で、宮廷の実力者であるアンナ・ダラセナが突如修道院に隠棲(いんせい)する。それはダラセナが独断で謀反人を処罰し、皇帝のアレクシオス1世コムネノスの不興を買ったためだった。不審に思ったアンナは、調査のためダラセナのいる修道院を訪れる。アンナの夫であるニケフォロス・ブリュエンニオスも、宮廷に渦巻く陰謀について独自に調査を開始していた。その結果、3年前に起きた皇帝暗殺未遂事件に、アンナの元婚約者で故人のコンスタンティノス・ドゥーカスも関与していたらしいことを突き止める。

アンナの家庭教師

学問が大好きなアンナ・コムネナに、母親のエイレーネー・ドゥーカイナは宦官(かんがん)のテオドロス・アネマスを家庭教師につける。アネマスの指導のもと、アンナはその優れた才能を開花させていく。一方、ビザンツの宮廷では皇帝に不満を持つ軍人の一派たちが、不穏さを増していた。皇室の家庭教師として宮廷に出入りするアネマスは、軍人である兄たちの野心に利用され、陰謀に巻き込まれていく。陰謀の発覚により、信頼していたアネマスに裏切られたことを知ったアンナは大きな衝撃を受け、皇帝という立場の厳しさを思い知るのだった。

登場人物・キャラクター

アンナ・コムネナ

ビザンツ帝国の皇女。女性ながら、皇帝になるという大いなる野望を抱いている。父親で皇帝でもあるアレクシオス1世コムネノスを非常に尊敬し、あこがれを持っている。一方、皇位継承権を持つ弟のヨハネス・コムネノスをライバル視しており、衝突を繰り返している。男勝りの勝気な性格ながら、戦いよりも平和を愛し、優しさや繊細さを併せ持っている。だが、10代の少女らしい幼い振る舞いをすることも多い。12歳で政略結婚したニケフォロス・ブリュエンニオスの影響で、神学や歴史など学問に傾倒するようになる。ひそかに物語を書くのを趣味としており、その文才は夫も認めている。幼いため床入りはしておらず、夫に対しては友人や兄のような慕い方をしている。しかし、成長と共にニケフォロスを徐々に異性として意識し始める。実在の人物、アンナ・コムネナがモデル。

アレクシオス1世コムネノス (あれくしおすいっせいこむねのす)

ビザンツ帝国の皇帝。アンナ・コムネナやヨハネス・コムネノスの父親。優れた軍人でもあり、内憂外患を抱えていた帝国を立て直した。イスラム教徒と戦うためにローマ教皇に支援を要請し、これが十字軍遠征のきっかけとなった。しばしば遠征で宮廷を留守にするため、アンナは父親のアレクシオス1世コムネノスの不在を寂しがっていた。器の大きな人物で、テオドロス・アネマスが関与した反乱計画が発覚した時にも、首謀者たちに寛大な処置を与えた。その際、統治者は人を信用し愛さなければならないという心構えをアンナやヨハネスに伝えた。実在の人物、アレクシオス1世コムネノスがモデル。

ヨハネス・コムネノス

ビザンツ帝国の皇子。アレクシオス1世コムネノスの息子で、アンナ・コムネナの弟。皇位継承権を持ち、野心家のアンナとたびたび衝突している。気が強いところは姉と似ているが、好戦的で逆らう者には容赦しない性質は姉と対照的。父親が友人として充てがったヨハネス・アクスークに対しても、当初は友と認めず傲慢に振る舞っていた。しかし、ポジティブで飾らないアクスークの人柄に触れ、少しずつ改心して人間的にも成長を遂げる。実在の人物、ヨハネス2世コムネノスがモデル。

コンスタンティノス・ドゥーカス

ビザンツ帝国の名門貴族の男性。アレクシオス1世コムネノスと共に共同皇帝の座につき、アンナ・コムネナの婚約者となるが、アンナが11歳の時に若くして急死した。幼いアンナに優しく接しており、その思い出は死後もアンナの中に残り続けている。のちに、皇帝アレクシオスの暗殺未遂事件に関与していたことが明かされる。実在の人物、コンスタンティノス・ドゥーカスがモデル。

ニケフォロス・ブリュエンニオス

ビザンツ帝国の名門貴族の男性。16歳の時に皇女のアンナ・コムネナと政略結婚した。控え目で野心家ではないことから、当初はアンナを大いに失望させた。しかし学問を得意としており、アンナが学問に興味を持つきっかけになった。また、アンナがひそかに物語を書いていることを知り、その文才を高く評価した。こうした触れ合いを通じて、アンナから深く愛されるようになる。武芸にも秀でており、十字軍と小競り合いが起きた時には得意の弓で活躍を見せた。実在の人物、ニケフォロス・ブリュエンニオスがモデル。

エイレーネー・ドゥーカイナ

ビザンツ帝国の皇后で、アレクシオス1世コムネノスの妻。優しく控え目な性格で、子供たちの成長を温かく見守っている。子供を多く生むことが皇后の仕事であると信じており、健気に妊娠と出産を繰り返した。このため第9子の誕生後に体を壊し、出産できない体になってしまう。皇后の役目を果たせなくなったことを悲観していたが、皇帝の感謝と優しい言葉を受けて立ち直り、以後は皇帝と共に帝国を支えていく。実在の人物、エイレーネー・ドゥーカイナがモデル。

アンナ・ダラセナ

ビザンツ帝国の皇族の女性で、アレクシオス1世コムネノスの母親。皇帝が遠征で不在の時に政務を取り仕切る宮廷の実力者。孫のアンナ・コムネナからは尊敬されているが、非常に厳しい性格のため嫁のエイレーネー・ドゥーカイナは苦手としている。皇帝の不在時、謀反人の処罰を独断で決めたため立場を悪くし、修道院に隠棲する。実在の人物、アンナ・ダラセナがモデル。

ヨハネス・アクスーク

戦災孤児の少年。ビザンツ皇帝であるアレクシオス1世コムネノスが遠征から連れ帰り、皇子のヨハネス・コムネノスの友人として与えた。頭脳明晰(めいせき)で、何事もポジティブな性格の持ち主。このため、当初は傲慢だったヨハネスも少しずつ心を開いていく。皇女であるアンナ・コムネナにあこがれの感情を抱いている。実在の人物、ヨハネス・アクスークがモデル。

テオドロス・アネマス

ビザンツ帝国皇室の家庭教師を務める男性。軍人のアネマス家の出身だが、庶子のため宦官となり、聖職と学問の道に進んだ。皇女のアンナ・コムネナが学問好きなため、皇后のエイレーネー・ドゥーカイナの命を受けて家庭教師となる。アンナの才能を伸ばしたことを評価され、皇位継承者のヨハネス・コムネノスの家庭教師も任される。軍人の兄たちには疎んじられ、劣等感を抱いていた。だが、皇族や元老院と親しいことから野心家の兄たちに利用され、心ならずも政権転覆の陰謀に加担することになる。実在の人物、テオドロス・アネマスがモデル。

書誌情報

アンナ・コムネナ 4巻 星海社〈星海社COMICS〉

第1巻

(2021-12-10発行、 978-4065264591)

第2巻

(2022-06-08発行、 978-4065284056)

第3巻

(2023-01-18発行、 978-4065306383)

第4巻

(2023-07-12発行、 978-4065326237)

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