外道坊&マーダーライセンス牙

外道坊&マーダーライセンス牙

作者平松伸二の代表作『マーダーライセンス牙』と『外道坊』のクロスオーバー作品。『外道坊』連載途中に『外道坊&マーダーライセンス牙』に改題された。人の前世を見抜き、悪党を裁く「スピリチュアル・マーダー」外道坊と、日本で唯一の殺人許可証を持つ暗殺者・木葉優児が共闘し、巨悪に立ち向かっていくさまが描かれる。後半では『ブラック・エンジェルズ』の主人公・雪藤洋士も登場する。

正式名称
外道坊&マーダーライセンス牙
ふりがな
げどうぼう あんど まーだーらいせんすきば
作者
ジャンル
ダークファンタジー
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概要・あらすじ

前世を見抜き、人の道から外れた悪党を処刑する破戒僧・外道坊。彼は、アメリカ兵の脱走事件をきっかけに、暗殺者「マーダーライセンス牙」こと木葉優児と出会う。法に代わって悪を裁く仕置人二人は、世を蝕む巨悪に立ち向かっていく。

登場人物・キャラクター

外道坊 (げどうぼう)

人の前世とオーラを見る能力を持つ僧侶。自らを「仏の道に外れた外道」と称する男性。托鉢坊として全国を旅しながら、無念にも殺された人々の魂を鎮めるため、悪党たちを自らの手で裁く「スピリチュアル・マーダー」。悪党を処刑する際は、その者が前世でどのような悪行を働いたかを語る。武器は錫杖(しゃくじょう)に仕込んだ刀と、刃が仕込まれた網代笠(あじろがさ)。 剣の腕前に優れ、闇の仕置人・木葉優児と互角に渡り合うほどの強さを誇る。本名は清春で、幼いころに自分の能力を恐れた村人たちに追い立てられ、母親を失っている。その後、雲海に拾われ、「雲空」という僧号を与えられた。

木葉 優児 (きば ゆうじ)

木葉忍流十四台当主。通称「牙」。日本で唯一の「マーダーライセンス(殺人許可証)」を持つ男。奥義「マッスルコントロール」により、女性の姿に変身することができる。その変身力を使い、普段は「木葉優子」として内閣情報調査室に所属し、父である板垣総理の秘書兼ボディガードとして彼を守っている。 外道坊によると、前世は板垣総理の前世である武将・上杉義信の息子で、彼を影から支えていた忍者・上杉義影。

板垣 重政 (いたがき しげまさ)

内閣総理大臣。木葉優児の父。信念ある政治家で、私利私欲に流されず国民を第一に考えている。そのため、汚職官僚や他国の権力者から命を狙われることも少なくない。外道坊によると、前世は、元は平和的だったが、野心に取り付かれて破滅した戦国時代の武将・上杉義信。

雪藤 洋士 (ゆきとう ようじ)

法に代わって悪を裁く仕置人「ブラックエンジェル」の青年。自転車のスポークを武器としている。自転車旅をしている途中、外道坊と出会い、彼を同じ種類の人間だと見抜いた。

モーガン・ズールス (もーがんずーるす)

米軍特殊部隊員の男性。階級は軍曹。I国に派遣された際、ゲリラの襲撃を受けて民間人を虐殺する事件を起こしてしまい、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患っている。上官3名を殺害し基地を脱走、銀座の歩行者天国を爆破した。さらに警察署を襲撃したうえ、大臣4名に殺害予告を出し、防衛大臣を狙撃した。外道坊によると、前世はジャック・ハグラーの前世であるカッター将軍に仕えていたインディアン、クレイジー・ズー。

ジャック・ハグラー (じゃっくはぐらー)

モーガン・ズールスの上官。階級は大佐。特殊部隊を率い、日本で殺戮を繰り返すモーガンを追っている男。だが、実はモーガンを裏で操り、板垣総理の暗殺を目論んでいた。その理由は、かつてI国戦争でゲリラの襲撃を受けた際、派遣されていた自衛隊に見捨てられたことで右足を失い、日本を憎悪していたため。外道坊によると、前世は1860年代、対インディアン戦争で無抵抗の部族を虐殺した軍人・カッター将軍。

葉 福国 (よう ふっこう)

中央中共常務委員の男性。チャイナ・クラッシュ(中国バブル)の崩壊を食い止めるため、板垣総理のもとを訪れた。黒孩子たちを集め、工作員、暗殺者の育成やドーピング剤の実験を行う機関を組織している。そこで育てた人間を使い、ハニートラップと暗殺で日本を裏から操ろうと目論む。

白鳳 (はくほう)

葉福国の部下で暗殺者の男性。ドーピングにより身体能力が強化されており、オリンピック飛び込み競技に出場すれば金メダルは確実と豪語する。武器は両手に嵌(は)めたかぎ爪。葉の機関で育成されたため、感情のない殺人マシーンと化している。自分は捨てられた黒孩子だと教えられていたが、実は才能ある子供を集めていた葉が白鳳の両親から無理やり奪い去っていた。 外道坊によると、前世は清王朝末期の暗殺者・愛無非信。

青竜 (せいりゅう)

葉福国の部下で暗殺者の男性。200キロ近い重さがある巨大な鉄球を武器とし、オリンピックハンマー投げ競技に出場すれば金メダルは確実と自称する。ドーピングにより、鋼のような筋肉を持つ。

黒魁 (こっかい)

葉福国の部下で暗殺者の男性。超硬質ラバーの卓球ラケットとボールを武器とし、オリンピックの卓球に出場すれば金メダルは確実と自称する。ドーピングにより、常人離れした動体視力を持つ。

井上 百合 (いのうえ ゆり)

女性看護師。入院した板垣総理の専属看護師となった。献身的な性格で、板垣にも物怖じせず「重政チャン」と呼んでいる。やがて板垣の人柄に惹かれ、板垣もまた百合を一人の女性として愛するようになる。だが、板垣を狙う葉福国に目を付けられ、強姦されてしまう。

中泉 変一郎 (なかいずみ へんいちろう)

元総理大臣の男性。痛みを伴う構造改革を推し進め、多くの非正規社員を失業させた。失業は自己責任であると、社会的弱者に厳しい考えの持ち主。

大堀 高志 (おおほり たかし)

ホームレスの男性。もともとは外資系の証券マンとして、大金を動かしていたと語っている。だが、見栄を張っていただけで、本当は派遣工であった。苦しい境遇のため、しだいに精神を病んでしまい、通り魔をしようと考えるようになる。

バンデム

覚醒剤の密売人。イラン人の男性。交通事故に居合わせた野次馬たちに取引現場を撮影され、口封じに写真を撮ったものたちを殺して回っている。カツラを被っており、その下のハゲ頭を見られると頭に、血管を浮き上がらせて激昂する。また、フェンシングの使い手でもある。外道坊によると、前世は中世ヨーロッパの吟遊詩人ベルナール・ウィッグマン。

黒沢 幸子 (くろさわ ゆきこ)

小料理屋「幸子」を営む女性。夫である黒沢竜児は殺人罪で服役中で、息子・正夫と二人暮らしをしている。トラックに轢かれそうになった正夫を外道坊が助けたことで、彼と出会った。

黒沢 竜児 (くろさわ りゅうじ)

暴力団島田組の構成員。外道坊と瓜二つの容姿をしている男性。根は優しい人物だったが、組長・島田剛の命令で敵対する組の幹部を殺害し、凶暴な性格に変貌してしまった。妻・黒沢幸子を狙う島田に嵌(は)められたことを知り、復讐のために脱獄する。

島田 剛 (しまだ ごう)

暴力団島田組の組長の男性。黒沢幸子に惚れ、夫の黒沢竜児をそそのかして敵対する組の幹部を殺害させた。母親に虐待されて育ったため、幸子に理想の母親像を見ている。嫉妬深く、残忍な性格。

白州山 実 (しらすやま みのる)

S県警本部長。白州山誠の弟。20数年前、兄とともに村人たちを率いて外道坊たちを迫害し、外道坊の母親を殺害した。今の地位に就いてからは、部下を使って、かつての事件を知る村人たちを、事故死や病死に見せかけて次々と殺害している。

白州山 誠 (しらすやま まこと)

S県知事。白州山実の弟。20数年前、弟とともに外道坊たちを迫害した。多額の補助金を横領しているほか、公共事業の受注に関して汚職を働いている。そのことを板垣総理に追求され、彼を暗殺しようと目論む。

雲海 (うんかい)

外道坊の師匠である僧侶の男性。20数年前、村人に迫害され母を失った外道坊を助け、親代わりとなって彼を育てた。人格者で、これまでに大勢の悪人を立ち直らせてきた。しかし、彼が見逃した男が再び犯罪を犯し、外道坊を襲った。結果、外道坊は男を返り討ちにし、人の道に外れた悪党を裁く「外道坊」の誕生のきっかけを作ってしまった。 外道坊が殺人者となってしまったことを知り、嘆き悲しんでいる。

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