イリオス

イリオス

円城寺真己が『魔風が吹く』の連載終了から3年後に開始した長編連載。現代日本の裏社会が舞台。九州の伊莉雄会(いりおすかい)・亀松組若頭の亀山パリスは、日本最大の任侠組織、朱維屋会(あかいやかい)のパーティーに出席。朱維屋会・奴狙組(めねらぐみ)組長の妻、エレネを連れ去ってしまう。若くて美しいアウトロー、パリスの行動が、伊莉雄会と朱維屋会の抗争に発展するさまを描いたバイオレンスアクション。ギリシア神話を題材にしたホメロスの叙事詩『イリアス』で語られる「トロイア戦争」がベースになっており、ストーリーはもちろん、登場人物の名前にまで細かいこだわりが見られる。集英社「週刊ヤングジャンプ」2022年20号より連載。

正式名称
イリオス
ふりがな
いりおす
作者
ジャンル
マフィア・ギャング・ヤクザ
 
神話・伝承
レーベル
ヤングジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊12巻
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ギリシャ神話×現代ヤクザ抗争劇

本作の原典とされるのは、ギリシャ神話を題材としたホメロスの長編叙事詩『イリアス』。アカイア(ギリシア連合軍)とトロイア王国(イリオス)の間で行われた「トロイア戦争」を、現代日本のヤクザ抗争として描いている点が、本作最大の特徴である。トロイアの王子・パリスによる、メネラーオスの妃ヘレネーの誘拐が「トロイア戦争」の原因となったように、主人公である九州伊莉雄会の亀山パリスが、朱維屋会傘下の奴狙組組長の妻、エレネを連れ去ったことが、朱維屋会と伊莉雄会の抗争に発展する。また、アカイアの総大将・アガメムノンを、朱維屋会会長・崇目ムネオ、副大将・メネラーオスを、奴狙オサムともじるなど、登場人物の名称にもこだわりがある。

運命に抗うパリスとエレネ

本作の冒頭は、パリスが見た夢から始まり「パリスの審判」のサブタイトルがついている。『ギリシャ神話』における「パリスの審判」では、「国」「勝利」「美女」を授けるという三人の女神のうち、パリスは「美女」を選んだが、本作のパリスは、すべてを手に入れるとして選択を拒否した。こうして運命に抗ったパリスは、三人の女神に付きまとわれることになる。また、エレネは、やくざ者の父親が組の庇護を受けるため、オサムに売られた過去を持つ。運命を受け入れていたエレネだったが、パリスとの出会いで過去と決別しようとする。本作は、『イリアス』を原典としながら、パリスとエレネを主人公に、二人が運命に抗う姿を描いていく。

登場人物・キャラクター

亀山 パリス (かめやま ぱりす)

九州の任侠組織、伊莉雄会(いりおすかい)・亀松組若頭の男性。亀松組組長の息子。金髪のイケメンで敵も見惚(ほ)れる美しい目をしている。ある日、「国」「勝利」「美女」を授けるという三人の女神の夢を見る。女神の中から一人を選んで、黄金の林檎(りんご)を渡すように言われるが、パリスはこれを拒否。三つ全部を望んだため女神の怒りを買う。強欲で謀略に長(た)けた青年で、日本最大の任侠組織、朱維屋会(あかいやかい)傘下の奴狙組(めねらぐみ)組長の妻、エレネを連れ去り、伊莉雄会と朱維屋会の全面戦争を引き起こす。弓矢の達人で、味覚、嗅覚、聴覚に優れる。

エレネ

日本最大の任侠組織、朱維屋会(あかいやかい)の巨大組織、奴狙組(めねらぐみ)組長、奴狙オサムの妻。ロングヘアーの若くて美しい女性。嫉妬深い奴狙に束縛されており、スマホもPCも持たされず、めったに人前に出ない。自分の境遇に嫌気が差していたところ、朱維屋会のパーティーで亀山パリスと出会い、その夜自宅にやってきたパリスについていく。

アキレス

女神と人間の間に生まれたといわれる半神。金髪とサングラスが特徴の男性で、リュラ(竪琴)を持ち歩いていることも多い。また、クサントスという人間の言葉を話す馬を駆る。日本最大の任侠組織・朱維屋会に呼び出され、エレネを連れ去った亀山パリスを追う。人の頭を軽く握りつぶし、槍投げでヘリコプターを落とすといった超人的な身体能力の持ち主。「日が沈んだ後は戦わない」という独自のルールを持っており、パリスを追い詰めながら、夜になったために帰宅した。

粨 トオル (へくと とおる)

九州の任侠組織、伊莉雄会・粨組の組長。世話になった亀松組組長の顔を立てて会長職を譲っているが、実際は伊莉雄会のトップ。七三分け、黒メガネが特徴で、役人のような外見だが人間離れした腕力の持ち主。亀山パリスを弟のようにかわいがっている。朱維屋会との抗争を避けるために上京するが、パリスの策にはまって朱維屋会と戦うことになる。

書誌情報

イリオス 12巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉

第1巻

(2022-08-19発行、978-4088923970)

第2巻

(2022-11-17発行、978-4088924885)

第3巻

(2023-02-17発行、978-4088925950)

第4巻

(2023-05-19発行、978-4088926841)

第5巻

(2023-09-19発行、978-4088928234)

第6巻

(2024-01-18発行、978-4088930367)

第7巻

(2024-04-18発行、978-4088932095)

第8巻

(2024-07-18発行、978-4088933054)

第9巻

(2024-11-19発行、978-4088934396)

第10巻

(2025-02-18発行、978-4088935560)

第11巻

(2025-06-18発行、978-4088936932)

第12巻

(2025-10-17発行、978-4088938707)

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