概要・あらすじ
ある日、敵対する城南中学とのケンカに借りだされたウスデカこと大山文吾。図体のデカい自分の登場で暴力沙汰にならないで済むならとハッタリをかます役を引き受けたのだが、ケンカは収まらず、城南中学から出た怪我人を自分の責任にされそうになる。他人に気を使いはっきり物を言わない文吾のことを、文吾の父は苦々しい思いで叱りつける。
他人の借金の保証人となり、病弱な母親を死なせてしまった自分に、お人よしの文吾の姿が重なっていた。しばらくして、文吾の父親は借金を返し終え、近所の人が集まった祝いの席で血を吐いて倒れてしまう。
登場人物・キャラクター
大山 文吾 (おおやま ぶんご)
図体はデカいが気の優しい少年。暴力は嫌いだが、本気を出せば誰よりも強く、本人はそのことに気づいていない。「強くなりたい」と思ってはいるが、「世の中は強くてズルい奴が得をする、お人よしは損をする」というような文吾の父の考え方には抵抗を感じている。
文吾の父 (ぶんごのちち)
大山大吾の父親。他人の借金の保証人になったため、昼は建築現場、夜は道路工事と働きづめとなる。自分のせいで病弱な妻を死なせてしまったことを後悔している。自分に似た性格の優しい文吾が心配で、強くなって欲しいとの思いから辛く当たることもある。
一之瀬 明子 (いちのせ あきこ)
大山文吾の近所に住むクラスメイト。文吾の良き理解者で、文吾に想いを寄せている。「ヤブ医者」と呼ばれる町医者の娘。明子の父から文吾の父の病状をいち早く聞かされ文吾親子を心配している。城南中学の番長に一目惚れされ、同じ中学の黒部の策略で、番長グループに連れ去られてしまう。
明子の父 (あきこのちち)
近所の町医者で文吾の父の友人。文吾の父からは親しみを込めて「ヤブ医者」と呼ばれている。大山文吾親子を心配し見守るが、文吾の父親の容体が思わしくなくなったため、文吾を呼び出して、「強い男とはこういうものだ」と語り始める。
黒部 (くろべ)
大山文吾と同じ中学校の番長。文吾の強さを見抜き、城南中学を倒すために利用しようと企む。一之瀬明子に一目惚れした城南中学の番長のもとに明子を連れて行き、文吾の怒りを城南中学の番長グループに仕向けることに成功する。