ウツボラ

ウツボラ

自殺した藤乃朱。数少ない事件の鍵として、作家の溝呂木舜の元に連絡が届く。彼が死体を見に行にいった時に出会ったのが、藤乃朱の妹の三木桜。溝呂木舜は現在連載中の「ウツボラ」を、藤乃朱の作品から盗用しており、作品を完成させるべく三木桜と手を組むことになる。

正式名称
ウツボラ
ふりがな
うつぼら
作者
ジャンル
推理・ミステリー
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概要・あらすじ

藤乃朱という女性が飛び降り自殺で死んだ、と言う連絡が人気作家の溝呂木舜の元に届く。死体の顔はつぶれており、実際には誰だかわからない。その場には、藤乃朱の双子の妹、三木桜がいた。実は溝呂木舜は、藤乃朱の小説「ウツボラ」を盗用していた。三木桜によって暴かれ、「一緒に本を出そう」とささやかれる。

警察は自殺した人間の周りを調査し続けていたところ、三木桜という人物は存在せず、藤乃朱という存在も実在するかわからない、ということに気付く。三木桜溝呂木舜は逢瀬を続け、「ウツボラ」の連載は続いていく。

登場人物・キャラクター

溝呂木 舜 (みぞろぎ しゅん)

作家。数多くの著名な作品を残していて、ファンも多い。パーティーで藤乃朱と出会ったことがきっかけで、藤乃朱自殺事件に巻き込まれる。かつて担当の辻から新人賞の小説を見せてもらったところ、魔が差して、その中にある「ウツボラ」を盗用。三木桜に暴露されてからは、「一緒に本を出そう」と迫られる。 盗用を重ねるうちに藤乃朱と三木桜が似ているのかそうでないのか、自分が何を書いているのかわからなくなる。

藤乃 朱 (ふじの あき)

飛び降り自殺をして死亡。自殺のヒントになるのは携帯電話の履歴が残った二人だけ。双子の妹に三木桜がいる。溝呂木舜とはパーティーで出会った。双子の妹の三木桜が実際は存在しないということが判明し、「藤乃朱」という存在も疑わしくなってき、警察官の海馬から「藤乃朱と三木桜は同一人物で、殺されたのは別の人間ではないか?」という疑惑が溝呂木に語られる。

三木 桜 (みき さくら)

藤乃朱の双子の妹。しかし、彼女の電話番号や住所や個人情報は全てでたらめで、「三木桜」という人間が存在しないことが警察の捜査で判明。三木桜を名乗る女性は、溝呂木舜と接触を試みながら、彼が藤乃朱の「ウツボラ」を盗用していたことを責めながらも、溝呂木に、「ウツボラ」の元原稿を利用して、私たちで本を出しましょう、と涙するようになる。 ところが警察の捜査が入るうちに、彼女は三木桜でも藤乃朱でもない別の人間であることが明らかになってくる。

コヨミ

溝呂木舜の家で家事全般をこなしている、明るく聡明な少女。溝呂木を「おじさま」と慕う。専門学校に通っている栄養士。溝呂木にほのかな思いを寄せている。

望月 (もちづき)

警視庁生活安全課。海馬の上司の警察官。スキンヘッドで飄々とした風貌。海馬が捜査中感情が暴走したときに、事情を理解して落ち着かせる冷静さを持つ。三木桜の謎を一つ一つ解明し、彼女が本物ではないことを見抜く。

海馬 (かいば)

警視庁生活安全課。非常に背が高く切れ長の目をしており、いつも黒いスーツを着ている。熱心に事件を追う情熱家。感情が暴走しがちで、望月に時おり止められる。3年前に妹を飛び降り自殺で亡くしている。

辻 真琴 (つじ まこと)

南洋出版に務める溝呂木舜の担当編集。非常に真面目で、礼儀正しい青年。溝呂木が「ウツボラ」を盗用しているのを知っている。三木桜に出会った時は、彼女に誘われるがままに抱いてしまう。盗用が確実だとわかった後に、溝呂木に対して「あなたはもう作家じゃない」と激しく怒り狂う。

矢田部 (やたべ)

溝呂木舜とは大学時代に同じ文芸サークルだった、長い付き合いの作家仲間。明るい性格で溝呂木ともいつも親しくしており、彼の家に遊びに行くこともある。飄々とした性格と、女好きの軽薄な男を装っている。溝呂木の「ウツボラ」を誰が書いているのかと疑い、「ウツボラはつまらない」と彼に指摘する。

野宮 愛 (のみや あい)

作家。溝呂木舜と同様に辻が編集担当。辻がお気に入りで、ケータイに連絡して出ないとすぐへそを曲げ、彼を呼び出しては性関係を結んでいる。

秋山 富士子 (あきやま ふじこ)

都内の女子大に在学している学生。皆勤賞クラスの出席率で単位も落とさない優秀な成績の持ち主だったが、次第に欠席が増え、今は出席を一切していない。友人もおらず、サークルにも入っていない。藤乃朱が自殺した際に残っていた携帯電話の契約の際に使われていた学生証に、名前が乗っていた。 違法の美容外科クリニックにカルテが残っていたのが謎解きのヒントになる。

編集長

南洋出版で文芸の本を出している。辻真琴の上司。「ウツボラ」が盗用作品だというのを辻から知らされた上で、「作品の幸せ」として多く読まれるためなら、溝呂木舜名義で出すべきだと提案。最終的に溝呂木舜の作品として出版し、大ヒットを得る。

横領容疑の元OL

違法の美容外科クリニックに秋山富士子を紹介した女性。大手生命会社に努めていた元OLで、横領容疑で警察に追われており、現在は行方不明。望月と海馬が、誰が自殺したのかを探る鍵となる。

集団・組織

南洋出版 (なんようしゅっぱん)

『ウツボラ』に登場する企業。溝呂木舜が小説を書いている出版社のひとつ。新人賞なども積極的に行い、人気作家を多数抱えた大手の文芸出版社。「ウツボラ」は出版後大ヒットを飛ばす。

その他キーワード

さえずり

『ウツボラ』に登場する雑誌。溝呂木舜が小説を掲載している文芸誌。担当編集には辻真琴などがいる。有名作家がそろっている雑誌で、特に溝呂木舜の人気はずば抜けており、熱狂的なファンが多い。

ウツボラ

『ウツボラ』に登場する小説。溝呂木舜が4年ぶりに執筆している小説。南洋出版『月刊さえずり』新春増刊号に読み切り作品として掲載され、好評を博したために連載がはじまった。実際は、藤乃朱の書いた作品の盗用。小説新人賞の第一次選考の作品で、溝呂木が魔が差して盗んでしまった。文体が極めて溝呂木の作品に似ているため、これを多少改変して出版社に提出している。 担当の辻はこの事態に気づいており、三木桜にこれを打ち明けている。溝呂木は「ウツボラ盗用疑惑」に責めさいなまれるが、三木桜は「ウツボラ」は溝呂木舜名義で出版してほしいと願っている。

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