エスプリト

エスプリト

海を渡って未開の地の調査・探検を進める航務員たちの活躍を描いた冒険物語。信じる力が特殊能力となって発現するジンクスを使った戦闘が特徴の作品。「月刊コミックブレイド」2008年11月号から2011年4月号にかけて連載された。

正式名称
エスプリト
ふりがな
えすぷりと
作者
ジャンル
アドベンチャー
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概要・あらすじ

「ウッドツリー=ホーム」で暮らしていたみお=ルナカンタ航務員サラ=リサティとの出会いをきっかけに、航務員協会本部にある「航務員養成学校」で航務員を目指すことになる。養成学校の座学に苦労しながらも、ルームメイトとなったリッカ=シーエンスやエイジ=セプテットらとホームの調査に出ることにより、みおは航務員としての経験を重ねていく。

そんな中、ガリオレ=ガリーレを筆頭とした外海調査団が編成されることとなった。成績も優秀なリッカは選出されたものの、みおは実力も成績も不十分と判断され、本人の強い希望にもかかわらず養成学校に残されてしまう。だが、みおは諦めず、グリフ=ハングやエイジと協力して、独自に外海調査団を追いかけることにする。

登場人物・キャラクター

みお=ルナカンタ

レキ=ルナカンタとともに「ウッドツリー=ホーム」に住んでいた女性。サラ=リサティと出会ったことをきっかけに、「航務員養成学校」に通い航務員を目指すことになる。一度やると決めたことは、死んでもやり遂げるという常人離れした信念と、レキと生活して身につけた超人的な身体能力を持つ。頭は良くないものの、他人を思いやる気持ちや、とっさの判断力に優れており、ホーム探索や外海調査の際にもその才能を遺憾なく発揮する。 一方でジンクスを使うことはなかなかできず、持ち前の身体能力だけでジンクスを打ち破ることもある。ジンクス能力は「図南鵬翼(となんほうよく)」。ただし、明らかなのは名称のみで、その効果は不明。

リッカ=シーエンス

サラ=リサティの助手を務める「ノルマンディ=ホーム」出身の女性。助手をしながら「航務員養成学校」にも通っている。サラに憧れており、彼女に見合うような人物になるよう勤勉に努力を続けている。そのため養成学校の生徒でありながら、ロッテ=シトルラインに認められるほどの実力を持っている。真面目な性格をしているため、ルームメイトではあるが、直情径行なみお=ルナカンタとはあまり相性が良くない。 ジンクス能力は、紙に描いたものが、描き上げた枚数に比例してアニメーションとして動く「画竜点睛(がりょうてんせい)」。

エイジ=セプテット

「航務員養成学校」に通う男性。金髪のチャラい外見をしており、女好きで言動も軽薄。航務員を目指した理由も、いろいろな女の子に会えると思ったからという邪(よこしま)なもの。ことなかれ主義なところがあり、面倒なことにあまり関わろうとはしたがらない。しかし、みお=ルナカンタたちと航海を続けていくうちに、仲間のことを思いやって行動できる人物へと成長していく。 ジンクス能力は、天候を意のままに操ることができる「夏日和人心(なつのひよりとひとごころ)」。

サラ=リサティ

みお=ルナカンタが初めて出会った航務員。学生時代に書いた論文が評価されて、専門の研究室が与えられるほどの天才。航務員就任から僅かな期間で、さまざまな実績を打ち立てることに成功している。一方、人や植物のことを思いやれる心優しい人物でもある。ジンクス能力は、心を通わせた植物を自在に操ることができる「朝顔花一時(あさがおのはなのひととき)」。

ドルチェ=ハーゲン

ガリオレ=ガリーレの弟子である少女。リッカ=シーエンスとは幼なじみである。みお=ルナカンタと外海調査を賭けて戦った際には、ジンクスを発揮して、超人的なみおの身体能力を押さえ込んで完勝した。普段は飾らない性格をしているが、髪を傷つけられると人格が豹変する。ジンクス能力は、髪の毛を伸び縮みさせ質感をも変えて操る「怒髪衝天(どはつしょうてん)」。

カージュ=ケイス

学術連盟都市「ヴィッセンシャフト」に住む青年。ドルチェ=ハーゲンが苦手と感じるほどのイケメンオーラを醸し出し、穏やかな性格をしている。両親を失って以来ロジ=アキア教授のもとで助手を務めている。ジンクス能力はカージュが持つ箱に触れたものを、どんな大きさのものでも、自在に出し入れできる「自家薬籠中物(じかやくろうちゅうのもの)」。

ガリオレ=ガリーレ

日々をぬいぐるみの中で過ごすファスナー族の航務員。温厚で寛大な人物であり、みお=ルナカンタの突飛な提案も、大概は飲み込むことができる度量を持つ。航務員協会本部を代表して危険な外海に調査に出たり、有力ホームの代表者にも名前を知られているなど、航務員として高い実力と実績を持っている。ジンクス能力は、ぬいぐるみと意識を共有して意思疎通を図れる「以心伝心(いしんでんしん)」。

ヤン=バルクイナ

「航務員養成学校」で教師を務める男性。自身も航務員資格を持っている。グリフ=ハングとは学生時代からの知り合いで、一方的にライバル視されている。バルクイナ家は代々優秀な人物を輩出する家系でありながら、どの人物も短命に終わっていたため、ヤン=バルクイナ自身も若くして死ぬことに怯えていた。ジンクス能力は、自分が他人と違う時間の流れにいると信じることで、他人の時間の流れを停止させる「明鏡止水(めいきょうしすい)」。

グリフ=ハング

航務員の男性。航務員として必要な実力や知識は持ち合わせているものの、あまり知恵を巡らせることに長けてはいない。外海調査団のメンバーから漏れて「航務員協会本部」の護衛を任された際には、みお=ルナカンタと共謀して勝手に外海へ出ようとするなど行動派である。ヤン=バルクイナとは学生時代からの知り合いで、何かにつけて自身の先を行くヤンを、一方的にライバル視している。 ジンクス能力は、炎を操る「星火燎原(せいかりょうげん)」。

ザクラ

「航務員養成学校」で教師を務める男性。自身も航務員資格を持っている。かなりな強面で、鍛え上げられた肉体を持っている。そのため、一見するととても恐ろしい印象を与えるが、性格は優しく、非常に生徒思いな人物である。一方で「荒くれ者のザクラ」の異名も取る。ジンクス能力は、全身を鉄壁の防御と化すことができる「石部金吉鉄兜(いしべきんきちかなかぶと)」。

ロッテ=シトルライン

「航務員協会」と「航務員養成学校」の理事長を務める女性。見た目は年端もいかない少女だが、その言動から相応の年数を生きてきたことが窺い知れる。有力ホームの代表者が航務員協会本部に集まる定例理事会では、中心的な存在であるなど、政治力も持つ。試験期間は過ぎていたもののレキ=ルナカンタに頼まれて、みお=ルナカンタの入学試験を特別に行い、合格判定を下した。 ジンクス能力は、これまでに食べてた来た物のエネルギーを、あらゆる別エネルギーへと転換することができる「満漢全席(まんがんぜんせき)」。

カナリ=オ=シャンブルー

人魚の女性。ホームに伝わる秘薬を飲んだが恋が成就せず、男性を見ると魚になる体質になってしまい、同じような経緯を持つ人魚たちと暮らしている。「空気の読める人魚」と自認しているが、往々にして早とちりなことが多い。リッカ=シーエンスが溺れているところを助けた際にも、失恋をしたものと勝手に思い込み、リッカを助けに来たみお=ルナカンタらを恋敵として撃退しようとした。

ミント

「航務員養成学校」で教師を務める女性。魔法具のエキスパートで、その取扱いや利用方法についてを講義している。説明も聞かずに魔法具を勝手に使ってしまうみお=ルナカンタには、授業の度に手を焼かされている。魔法具に関すること以外では、適当に済ませようとするところが見られる。

ラン=ムセン

エリュシオン教信仰の強い「ベルベット=ホーム」に住む女性。マイ=ムセンの姉。話をしているだけだと器量良しな、どこにでもいる人物なのだが、エリュシオン教の教えが根底にあるため、時おり不穏な顔つきになる。しかしマイが命の危機に晒された際には、エイジ=セプテットに諭されたこともあり、天寿をまっとうしようとしたマイの命を救う行動に出た。

マイ=ムセン

エリュシオン教信仰の強い「ベルベット=ホーム」に住む少女。ラン=ムセンの妹。崖っぷちにある花を、危険も顧みずに取りに行こうとするなど、アグレッシブな性格をしている。まだ幼いためか、エリュシオン教の教えを深くは理解していない。

ダージリン

「ヴェクア海賊団」のメンバーである男性。頭脳派の人物で、ファニィと高い連携を保ってお宝を盗み出すことを得意とする。語尾に「じゃん」を付ける癖がある。ジンクス能力は、幼少の頃から愛用している「御竿」でどんな獲物をも釣り上げる「天地一竿(てんちひとさお)」。

ファニィ

「ヴェクア海賊団」のメンバーである女性。ダージリンにベタ惚れしていて、彼が信用している「御竿」にもジェラシーを感じる。言葉の頭に「超」を付ける癖がある。ジンクス能力は、相手の目や筋肉の動きで思考をも読み取る「傍目八目(おかめはちもく)」。

ミーム=エリュミオン

エリュシオン教団の司教である女性。自身もエリュシオン教の熱心な教徒であり、約束の地へと至る可能性を第一に考えている。そのため、それ以外のことに対しては全てを否定するほどの強硬的な思想の持ち主。教団のことを至上として発言するため、教団外の人々からの評判は良くない。

ロジ=アキア

学術連盟都市「ヴィッセンシャフト」の代表を務める老年の男性。連盟の代表だけでなく教授も務めているが、筋骨隆々な肉体をしている。人物的にクセのあるミーム=エリュシオンにも、好意的に話しかけることのできる穏やかな好漢。

ブラッティーノ

ニルヴァーナのもとで動く小人。ギニョール族の生き残りでもある。自分以外の存在は自分に支配されるものと思っている。そのため、実際はニルヴァーナに動かされているのだが、ニルヴァーナも自分が動かしていると思っている。ジンクス能力は、杖で触れたものを意のままに操ることができる「活殺自在(かっさつじざい)」。

オルコ=オルガ

ブラッディーノの指示で動く男性。醜悪な見た目を隠すため、顔全体に包帯が巻かれている。正気を失っており、痛みを感じることはなく、ブラッディーノの支持にひたすら従うだけの戦闘マシーンとなっている。ジンクス能力は、素顔を見られた時に鬼へと変貌する「百鬼夜行(ひゃっきやこう)」。

ベルタ=マリアルド

ニルヴァーナのもとで動く女性。ニルヴァーナに心酔しており、彼の指示であればそれがどんな内容であっても忠実に遂行する。ジンクス能力は、自身が真の美しさを保つと信じている限り、ベルタ=マリアルド本人に対するジンクス能力も物理攻撃までもが霞んで消えてしまう「閉月羞花(へいげつしゅうか)」。強力なジンクス能力を持つ一方で、純粋な戦闘能力も極めて高い。

クラストロ

ニルヴァーナのもとで動く男性。生まれてから一度たりとも密室から出たことがない特異な人物。そのため、密室空間外に出るとパニックに陥る。自身を密室空間の王と信じており、他者に対する態度も高圧的。ジンクス能力は、密室空間と密室空間の間を自在に行き来することができる「屋下屋架(おくかにおくをかす)」。

ニルヴァーナ

ベルタ=マリアルドやアルキニスタらを従えて約束の地を探し求める男性。みお=ルナカンタの存在を知ると、「ルナカンタ号」の生き残りとして、捕らえるよう部下に命じる。ジンクス能力は、思い込みにより次元の違う相手からの攻撃を一切受け付けない「天地神明(てんちしんめい)」。

アルキニスタ

ニルヴァーナのもとで動く男性。自身を偉大な彫刻家であると信じており、自分の作品を批判されることを心から嫌う。みお=ルナカンタとカージュ=ケイスを追った際には、人を取り込んで作り上げた作品「クレアト」を使って戦った。ジンクス能力は物質を組み替えて、形を自在に構成し直すことができる「改転換地(かいてんかんち)」。

ラーマ

ニルヴァーナのもとで動く少年。人を斬ることに楽しみを感じており、フォン=ディーナからは病気とまで言われている。ザクラと戦った際には少年の姿をしていたが、その本体はジンクス能力を使って人間を操る妖刀であったことが判明する。

フォン=ディーナ

ニルヴァーナのもとで動く少年。嗜虐的な人物で、特に女性が痛がって叫ぶ姿を好む。ジンクス能力は、360度すべての敵を視認し、弾道を自在に操って対象へと命中させることのできる「百発百中(ひゃっぱつひゃくちゅう)」。その能力を遺憾なく発揮し、航務員協会本部を混乱させることに成功する。

レキ=ルナカンタ

「ウッドツリー=ホーム」に住む男性。みお=ルナカンタの育ての親。暇さえあれば眠っており、ホームの人間からも、何もしないニートと思われている。しかしレキとの生活を通じて、みおが常人離れした身体能力を身に着けるなど、レキ=ルナカンタ自身も超人的な身体能力を持っている。ジンクス能力は夢を現実に反映させることのできる「胡蝶之夢(こちょうのゆめ)」。

りお=ルナカンタ

「ルナカンタ号」の乗組員の女性。「ルナカンタ号」に乗ったものは皆「ルナカンタ」姓を名乗ることになっていたため、レキ=ルナカンタと同じ姓を持っている。明るく前向きな人物で、レキや船員からも好かれていたが、約束の地へと通ずる嵐に巻き込まれて死亡する。

場所

航務員協会本部 (こうむいんきょうかいほんぶ)

航務員が所属する「航務員協会」の中枢機能が集まる場所。本部だけで1つのホームを形成しており、航務員協会本部周辺には施設用のホームも点在している。「航務員養成学校」も協会本部内にある。教師の殆どは、その科目のエキスパートとして雇われた者で、必ずしも航務員であるとは限らない。各ホームやエリュシオン教からの出資によって成り立っている。

約束の地 (やくそくのち)

エリュシオン教が外海のどこかに存在していると信じる幻の理想郷。多くの人はあくまで伝説上の場所と考えているが、レキ=ルナカンタやニルヴァーナなどは、嵐に巻き込まれて偶然にも辿り着いてる。辿り着いた者は、暇に飽かしたエリュシオンの女神によって願いを叶えてもらえる。

その他キーワード

ジンクス

人の信じる思いが特殊能力として発現したもの。ジンクス能力は使用者によってまったく異なるので、使用者の数だけジンクスは存在する。ジンクスの強さは使用者の心の強さによって左右されるため、どれほど強力な能力を持っていても、使用者の心が折れてしまえば、ジンクス能力も極端に制限されてしまう。ジンクスを使った戦いは、信念と信念の強さを計る戦いともいえる。

ホーム

航務員が、世界中に点在する島のことを呼び指す言葉。「航務員協会」が把握しているだけでも100以上のホームが存在する。ホームにはそのホームごとに独自の文化や歴史が根ざしており、人以外の種族が住んでいることもある。ホームに住んでいる人間は、自分が住んでいる島以外に世界が存在することを知らない場合もある。

航務員 (こうむいん)

世界中に存在する未開拓のホームや外海を調査・開拓する職業。調査の及んでいない外海はもちろんのこと、未開拓のホームにどんな生物や人が住んでいるのか、その実態は航務員がその地を訪れるまでは明らかにならない。そのためあらゆる知識を持ち、実務家としての実力も申し分ない人物でなければ、調査に行くことすらかなわない。「航務員協会」が運営する「航務員養成学校」を卒業すると、航務員として活動する資格を得る。

魔法具 (まほうぐ)

特殊能力を持たない人間でも、魔法の力を使えるようにした道具のこと。「マジカンテ=ホーム」で製造されている。お湯を注ぐだけで使い魔が出現する「インスタントプラズム君」や、舐めている間姿を消すことができる「パニッシュキャンディ」など、さまざまな魔法具が存在する。

エリュシオン教 (えりゅしおんきょう)

外海のどこかに存在するといわれている、幻の理想郷・約束の地への到達を願う宗教団体。天寿をまっとうしたものは、エリュシオンの女神に誘われて、死後に約束の地で転生すると信じられている。外海や未開拓のホームを調査・探索している「航務員協会」に出資し、約束の地の探索も依頼している。

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